こんにちは、鮨ブロガーの、すしログ(@sushilog01)です。
さて、今回ご紹介する赤坂「 鮨 一新」は、「かねさかグループ」が運営する、関東ITソフトウェア健康保険組合員専用の鮨店です。
IT業界の人から「コストパフォーマンス抜群!」と聞いていましたが、僕はITと対極とも言える出版人なので、縁は無いだろうと思っていました(笑)
しかし、この度、お誘いのお声を頂いたので、二つ返事でお願いしました。
飛び付いた理由はコストパフォーマンスではなく、「すし家 祥太」の祥太親方が以前つけ場に立たれていたためです。
現在、急速に人気を高める祥太親方がどのような環境で働いていたのだろう…と気になったので訪問した次第です。
結論としては、赤坂「鮨 一新」は「かねさかグループ」の「鮨アカデミー」だと感じました。
すしログ
赤坂「鮨 一新」とは?
ここ1年くらいの傾向として、若手職人さんに早期経験を積ませるお店が増えています。
例えば、鮨結うグループの「翼」や、りんだグループの「ブルペン」ですね。
あるいは、鮨 龍尚がプロデュースした「立喰い寿司 あきら」や、築地青空三代目の「EDOMAE SS」も頭に浮かびます。
これは「鮨バブル」からの揺り戻しであり、時代の変化に敏感な、ビジネス意識の高い職人さんが選択した手段のように感じています。
また、資本家がプロデュースするいわゆるパトロン系の鮨店についても、鮨バブル価格帯ではなく、リーズナブルな価格帯を選択するケースが増えていますね。
これは自身が2017年から2019年にかけて予想した通りの状況。
すしログ
ただ、今後も鮨店の高級化が進むのは間違い無いと踏んでいます。
「回らない鮨店」の中で価格帯やステータスが分岐していきながら鮨が発展していくと、次を予想します。
話が少し逸れましたが、このような時代の流れを踏まえると、金坂 真次氏のビジネス感覚は卓越していると感じます。
時代の変化よりも相当前に、赤坂「鮨 一新」を作られていたのは慧眼と言えるでしょう。
しかも、健保と組んで支店を出すなんて、既存の江戸前職人には中々発想できないビジネス思考です。
「かねさかグループ」は旗艦店の「鮨かねさか」でも2万円を切る価格帯を維持しているので、値付け、質、教育など全ての面で、現在の鮨シーンに多大な影響を与えているグループです。
ミシュラン三ツ星を取り続けた「鮨さいとう」の斉藤孝司親方も、元は「かねさかグループ」で、「鮨かねさか 赤坂店」として独立されたので。
「久兵衛」の衣鉢を継ぐ存在であるのは間違いありません。
「鮨 一新」は「かねさかグループの鮨アカデミー」と表現しましたが、鮨学校とは異なり修業を経た職人さんが任されているので、技術は高く、客あしらいもこなれています。
今回握って頂いた方は、日本がペラペラな韓国出身の方でした。
ひょっとして…と思ったところ、やはり祥太親方の口添えで来日された方でした。
幼少の頃から日本で働きたいと思っていたそうなので、今後が楽しみです。
何故か頑なにお名前を仰らなかったのは、ご自身の礼節か、お店のルールか…
そのあたりは分かりませんが、是非とも精進を続けて頂ければと思います。
現状、シャリとタネのバランスはまちまちで、荒削りではありますが、成長される職人さんだと感じました。
タネの仕込みを複数人で行うグループだからこそ握る難しさがあると思いますが、ご自宅でも修練されれば、成長スピードは格段に上がるはずです。
赤坂「鮨 一新」のおまかせの詳細
価格帯は細かく分かれています。
- 一新特選コース(1日10名まで):被保険者・被扶養者7,700円、同伴者12,100円
- 板前おまかせコース:被保険者・被扶養者5,500円、同伴者8,800円
- 一新すし会席コース:被保険者・被扶養者3,300円、同伴者5,500円
- 一新にぎりコース:被保険者・被扶養者3,300円、同伴者5,500円
- にぎり月コース:被保険者・被扶養者2,200円、同伴者3,300円
- にぎり花コース:被保険者・被扶養者1,100円、同伴者1,650円
町寿司でもビックリな価格帯で、これならば新卒の初任給でも楽しめるでしょう。
まさに福利厚生!
IT健保、おそるべし…と感じました。
今回頂いたのは【一新特選コース】です。
赤坂「鮨 一新」さんのシャリは、赤酢を用いた万能タイプです。
酸味も塩気もやや強めですが、赤酢のコクも相まって、合わないタネはありませんでした。
温度は温かめで、硬めの炊き加減ではないもののホロリとほどけます。
煮キリの甘みが強めな点が特徴的です。
この度頂いたお酒
- 飛露喜、純米大吟醸1,100円
- 黒龍、純米吟醸800円
1合の価格なので、極めてリーズナブルです。
鮭の昆布〆
独創的な先付からスタート。
鮃
身は寝かせているのかしっとりしているが、味わいはサッパリな鮃。
価格相応のクオリティだが、縁側も付けて頂けるのは嬉しい。
赤貝
頂く前から香りが良い赤貝。
これは価格以上の魅力を感じるクオリティ。
毛蟹
臭みはなく、香りが良く、甘い毛蟹。
温めてから提供している。
海胆
ストレートにそのままで提供。
鮪トロのスモーク
これは現代人ならば嫌いな人がいないはず。
鮪の脂と燻香が、食欲を猛烈に刺激する!
調味料を2種類使用している点が嬉しく、生七味と当たり葱であった。
煮蛸、煮鮑
煮蛸は比較的強めの食感を維持していて、みっちり。
歯を入れると、サクッと切れる。
下味の甘みは強すぎず、程良い。
鮑の肝ソースには油脂か乳脂肪分を使用しているようで、これは完全にやり過ぎだ。
肝の香り、苦味、旨味に乏しく、出来の悪いマヨネーズ状のクドい味になっている。
海老の茶碗蒸し
香りをたっぷり楽しませる。
非常にユニークなのが、上に乗せている小海老。
独特の発酵感があり、良きアクセントになっている。
伺ったところ、酒盗で和えているそうで、これはアイデア賞。
ノドグロの焼きもの
みんな大好きノドグロ(アカムツ)の焼きもの。
柔らかさ、脂、甘みは分かりやすい。
この後、握りに移行します。
ガリ
薄切りでジャキジャキした食感。
甘みがありつつ、酸味がキリッと引き締める。
辛味は弱い。
九絵
一貫目が九絵とは、意外性がある。
むっちりした身には脂がしっかり乗っている!
ただ、やや血抜きが不十分で、臭いが気になった。
鮪赤身
サッパリした味わいで、香りは弱いため、外国産の小さな魚体のものと思われる鮪。
鮪大トロ
脂がとろりと滲み、シャリとの調和を楽しませてくれる。
小鰭
みしっと凝縮していて、しっかりした〆加減。
旨味を凝縮させ、小鰭特有の香りを強めに感じさせる寝かせ方。
春子
しっとりとモダンな〆加減だが、塩気はやや強めに浸透させていて、それをオボロでバランスを取る仕事。
鰹
見た目も良く、味もなかなかの鰹。
藁炙りによる燻香が心地良い。
蛤
漬け込みの甘みは優しく、煮ツメも軽い味。
白海老
安定感のある甘み。
白海老のみシャリの味が勝っていた。
海胆軍艦
口溶けが良く、ミョウバンの収斂味も無く、美味。
穴子
身は柔らかすぎず、皮目はトロトロで、これは魅力的な穴子の仕事。
干瓢巻き
初めは柔らかいと思いきや、ごわりと強い食感を示す。
甘みが強めだが、醤油も濃いので、バランスが良い味付けだ。
椀
濃い口の赤出汁で、アオサ入り。
玉子
2層構造になっていて、ほろりとした食感とプリン状の食感を楽しませてくれる。
見た目とは裏腹に、海老の香りがふんわりと漂うところは、江戸前の玉子の仕事を残している。
水菓子
キャラメルアイスクリーム。
赤坂「鮨 一新」のお店情報と予約方法
予約については、関東ITソフトウェア健康保険組合に加盟している方のみ可能です。
そして、予約手段はお電話のみ。
その場で取ることは行っていないので、フェアに開かれているお店です。
店名:赤坂「鮨 一新」(すし いっしん)
シャリの特徴:酸味と塩気がやや強めだが、ほとんどのタネとの相性が良い赤酢のシャリ。
TEL:03-5570-1921
住所:東京都港区赤坂2-5-6 トスラブ山王健保会館1F
最寄駅:溜池山王駅から150m
営業時間:17:00~22:00(L.O.21:15)、※2時間制
定休日:毎月第4日曜、ほか休業日あり
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最後に、「鮨 一新」と言えば、1992年オープンの浅草の「鮨 一新」さんを頭に浮かべる鮨通は多いはず。
しかし、完全に別資本なので、その点はご注意ください!
各健保施設に鮨店を設けて欲しい!と願う、すしログ(@sushilog01)でした。
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