すしログ:滋賀で貴重な江戸前鮨!老舗の三代目が握る独創的な握り・長浜の京極寿司

暖簾

こんにちは、鮨ブロガーのすしログ(f:id:edomae-sushi:20201002142555p:plain@sushilog01)です。

滋賀県はナレズシの聖地であり、湖魚(こぎょ)を用いた郷土料理に恵まれる土地です。

【鮒鮓(フナズシ)】は日本で最も古いスシですが、現在でも通用する魅力的な料理です。

世界にファンを持つ余呉の徳山鮓さん、「鮒鮓懐石」を作るマキノの湖里庵さん、江戸時代から続く高島の喜多品老舗さんなど、魅力的なお店が多数あります。

 

それ故に、江戸前の握り鮨のお店は少なく、未だに鮨店の多くが街場寿司の形式を採られています。

今回ご紹介する長浜の京極寿司(きょうごくずし)さんも、先代までは街場スタイルのお店でした。

しかし、県外で修業された三代目が、自らの江戸前鮨を探求されているところです。

しかも、関西鮓も出しながら滋賀らしい江戸前鮨を模索されているので、今後が非常に楽しみな一軒と言えます。

長浜自体、魅力的な街なので、鮨好きな方は新幹線ひかりを使って訪問されては如何でしょうか?

長浜の老舗・京極寿司と親方・真杉国史さんについて

京極寿司さんは創業から60年以上の歴史を持つ老舗で、長浜の中心街にあります。

長浜は戦国時代から要所として知られる港町で、北国街道沿いの宿場町です。

歴史がある街なので、街歩きが楽しい。

今でも舟板塀や紅殻格子(べんがらごうし)を持つ家や土蔵がある老舗の商家が現存したり、常夜燈が建っていたりします。

同時に明治時代に鉄道を誘致し、モダンな建築の銀行が建てられた事を受け、西洋的な建築物も散見されるところが面白い街です。

京極寿司さんは2020年に外観をリニューアルされたばかりなので、大きな商店街で目を引きます。

 

現在つけ場に立たれているのは三代目の真杉国史(ますぎくにちか)さん。

札幌のすし善に修行に入られ、その後、2002年にカレッタ汐留にオープンした東京店で研鑽を積まれました。

そして、家業を継がれる前に、福井で今や大変な人気店となっている鮨 十兵衛に勤務。

鮨 十兵衛二代目の塚田哲也親方はすし善での兄弟子に当たるとの事で、良き信頼関係があるようです。

京極寿司さんの握りとシャリについて

この度、15貫6,600円(税込)の【江戸前おまかせ握り】を頂きました。

握りは8貫2,200円の【梅】の始まり、13貫4,400円の【江戸前おまかせ握り】もありますが、貫数だけでなく使用する魚のクオリティも変わってくるとの事です。

県外からお伺いするなら【江戸前おまかせ握り】がベストでしょう。

リーズナブルな価格なのにタネに妥協されておらず、満足度の高い内容です。

また、使用する山葵は極太の本山葵なので安心です。

 

握りの方向性としては、使用するタネに個性があり、地元の人も県外の人も楽しめる構成です。。

主に金沢(近江町市場)から仕入れる北陸の魚と、江戸前鮨らしいタネ、滋賀の湖魚を織り交ぜておられます。

ほぼ全てのタネに仕事(調理)を施し、熟成も使用。

自身の経験上、ここまで徹底している江戸前鮨のお店は、滋賀に他には有りません。

 

シャリは甘みを利かせ、米酢の酸味が程ほどなまろやかな味わい。

これは如何にも関西の酢飯だと感じます。

シャリの温度が低く冷ためなので当初は訝しんだ次第ですが、お話を伺って理由に納得しました。

それは、暖簾を継ぐとともにシャリも継がれている為です。

関西寿司も作り、昔からのお客さんを大切にされる姿勢が表れたシャリと言う事です。

親方は食べ歩きをされているので鮨のトレンドを把握されていますが、敢えて先代と同じシャリを使われている点に、職人気質を感じます。

お話をしていると、お好みで頂ける昔ながらの鮨店(人形町・喜寿司のような)を愛する気持ちが伝わってきました。

短期的に集客するためには赤酢のエッジが利いたシャリを出すのが正解ですが、敢えてそのような事をせず、先代とシャリと自身の仕事を一体化させている点が、こちらの魅力だと思います。

 

なお、お米は全て近江米を使用されていて、日本晴(にっぽんばれ)をベースにササニシキなどをブレンドされています。

滋賀は古くから京都で珍重されるお米の名産地。

今でこそ東北のイメージが強いかもしれませんが、滋賀のお米は美味しいので、皆さまも是非!

▲目次へ戻る

京極寿司さんの【江戸前おまかせ握り】の詳細(実際に頂いたもの)

15貫6,600円(税込)の【江戸前おまかせ握り】の詳細をお伝えします。

 

ガリ

ガリ

甘みを利かせたクラシカルなガリ。

 

鱈

初手が個性的なタネで意表を突かれるが、仕事が良い。

昆布で24時間〆ていて、水ッぽさは皆無で、むぎゅっとした食感。

柚子皮の使用量も上品で良い。

 

ノドグロ(アカムツ)

のどぐろ

3日寝かせていて、脂だけでなく旨味も活かしているのが魅力。

人気が高い割に脂が個性の(ある意味面白さに欠ける)魚なので、仕事の方向性に共感を覚える。

 

イワシ

林檎酢で5分〆ているそうで、これも良い〆加減。

鰯の香りは割と強め。

 

甘海老

甘海老

福井産。氷に挟んで一晩寝かせているそう。

ぷちっと切れて、強い甘みがねっとりと舌に絡む。

 

琵琶鱒(ビワマス)

ビワマス

琵琶湖の固有種の琵琶鱒で、天然モノ(世には養殖モノも多々ある)。

むっちりした身は脂が乗っていて、同時に特有の香りを楽しめる。

軽い漬けにしているが、漬け地は煮キリとポン酢をブレンドしている。

薬味は生姜。

 

雲子の茶碗蒸し

雲子の茶碗蒸し

「雲子」は関西の言葉で鱈の白子。

焼いたもの乗せつつ、茶碗蒸しにも溶かしている。

竜王町の古株牧場の「つやこフロマージュ」も使用している点がユニーク。

チーズの味を考慮して薄味なのが良い。

 

鮪赤身

鮪赤身

正直なところ鮪は期待していなかったのだが、個性的で良い鮪であった。

望外の喜び。

産地は紀伊勝浦。

むっちりした身はじゃくっとほどけ、食感に妙がある。

さらに、香りが良く、酸味も楽める赤身。

 

鮪中トロ

鮪中トロ

背中側、とろっととろけ、濃厚な脂だが、クドくない。

塩で食べさせる手法もモダン。

 

小鰭

小鰭

しっとりした〆加減で立地的に意外性がある。

旨味は弱いものの、頂けるとしても強めの〆が多い土地なので、県内の人は面白いのではないだろうか?

 

針魚

針魚

〆て凝縮させつつ、しっとりほどける〆加減。

 

バイガイ

バイガイ

朝むいたもの。海苔を噛ませて。

じゃくっと気持ち良く弾ける食感が爽快。

切り付けの厚みが良い。

海苔との相性も想像以上に高く、バイガイのほろ苦みと甘みがじんわりと舌を喜ばせる。

 

ブリ

能登の寒ブリ。

旨味と酸味が良い!

脂よりも他の味覚で楽しませる鰤で印象的。

尾の身を用いており、6日熟成。

 

鯖

4枚づけにする事で舌に触れる表面積をアップさせ、結果的に印象を強めている。

これは非常に美味しい鯖で、堂に入った〆の仕事。

しっかり〆て旨い鯖の仕事だ。

これは流石に鯖の棒寿司を大量に仕込まれているだけある。

 

針魚の皮焼き

針魚の皮

お酒を飲んでいないのに珍味を出してくださるところが嬉しい。

 

穴子蒸し寿司

穴子蒸し寿司

使用する穴子の仕事は煮穴子(江戸前流)だが、箱寿司を蒸すと言う関西鮓の妙味を楽しませてくれる。

冬に笑顔にしてくれるのが、関西の蒸し寿司。

細かく刻んだ椎茸も関西鮓らしい。

 

ズワイガニ

ズワイガニ

季節もののズワイガニをまさか滋賀・長浜で頂けるとは驚いた。

 

海胆

海胆

予想外にミョウバン無添加の海胆で、これまた嬉しい!

生産者は根室のマルカワ川村水産。

 

 

玉子

玉子
すし善の玉子と、鮨十兵衛の鰹の出汁巻き玉子の2種類。

すし善の玉子は江戸前仕様で、きめ細かく、しゅわっとした食感。

 

抹茶のブランマンジェ

抹茶のブランマンジェ

金粉が乗っていて少しバブリーだが、味は美味しい(笑)

 

夏場は琵琶湖名物の小鮎を用いるそうなので、是非とも再訪して頂きたいと感じました。

▲目次へ戻る

京極寿司さんのお店の情報と予約方法

予約についてはお電話のみとなります。

 

店名:京極寿司(きょうごくずし)

シャリの特徴:米酢を用い、甘みを利かせ、酸味と塩気は穏やかな関西らしいシャリ。

予算の目安:【カウンター限定江戸前おまかせ握り】4,400円(13貫)、6,600円(15貫)、【カウンター限定おまかせ鮨割烹】8,000円〜

TEL:0749-62-3265

最寄駅:長浜駅から450m

住所:滋賀県長浜市元浜町6-11

営業時間:11:00~21:00

定休日:火曜、第3水曜

 

【滋賀の名店リンク】

余呉の徳山鮓さん

マキノの湖里庵さん

高島の喜多品老舗さん

安土の魚石さん

 

滋賀が大好きな、すしログ(f:id:edomae-sushi:20201002142555p:plain@sushilog01)でした。

▲目次へ戻る

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA