こちらは鮨の激戦区である札幌でも予約難度が最も高いお店かと思います。
かつて予約を試みて駄目だったことが二度あるため、今回は悲願とも言える訪問となります。
お店は円山公園エリアにあり、席数は多くはなく、贅沢な空間が広がっております。
二回転制のお店となりますが、お値段も上げておらず、それでいてお弟子さんを複数人取っておられ、粋なご主人だと感じました。
なお、ご主人は大変若々しいですが、2020年1月で50歳になるとの事!
各お客さんへの気配りはきめ細かく、且つサラッとしており、常連さんにもベタベタされておらず、お人柄が表れているなぁと感じました。
昨年同じく札幌の某人気店を訪問して常連贔屓のあまり例を見ないほど不快な体験をしたので、こちらの接客と雰囲気には寛ぎと癒しを感じました。
有名ブロガーや評論家の中にはベタベタな特別扱いを求める方もいらっしゃいますが、余りにも幼稚だと思います。
尚、お弟子さんとのチームプレーも素晴らしく、2時間ほどのおまかせは長すぎず短すぎず、終始期待に胸を躍らせるテンポと内容でした。
すし宮川さんのシャリについて
さて、こちらのシャリは赤酢主体で酸味を利かせた力強い味わいです。
同時に赤酢由来の旨味も強いので、脂の多いタネや熟成によって旨味を強められたタネとの相性がバッチリです。
当初は粘度が高めかと思いましたが、問題無くほろりとほどけ、タネと馴染みます。
そして同時に塩気は強くないので、食べ疲れない調味だと感じました。
なお、器は唐津のものが多かったので伺ったところ、親方もお好きなようです。
隆太窯の器を調味料入れに用いるなど、センスの良さを感じました。
ちなみに、外国人旅行者への英語対応もバッチリでした。
頂いた日本酒
綿や純吟山田錦1,100円、初亀特純950円
すし宮川さんの酒肴と握り
ツブ貝、余市産フルーツトマト、梅ジュレ
出汁が良く、上品。
ツブ貝の甘みを活かす、爽やかな味付けと取り合わせ。
メジマグロ
11キロ。漬け炙り。
夏の鮪の酸味を活かす漬けの塩梅で、香ばしさが食味を高める。
おろしにも味覚上の配慮があり、軽い甘みを付けつつ酸味は無い。
同じ付け合わせ調味料でも、食材の旬に合わせて調整しなければ、凡庸な仕事になってしまう。
テンパ(天端)の落とし方も美しかった。
また、器に付いた葱の破片を箸で取り除いておられ、気配りが凄いと感じた。
バフン海胆、熊本産赤茄子
良いセンス!
旬のバフンのとろっとろで甘くジューシィな余市の海胆に、焼き茄子の甘みと香ばしさを合わせておられ、絶妙。
生で頂く海胆も嬉しいが、生で出す事をせず、一工夫加えておられる点が素晴らしい。
旬の生海胆は誰が出しても美味しいものなので(笑)
蒸し鮑
島根産。鮑の煮汁と肝を混ぜたソースと共に。
鮑にはかなり細かい波を入れておられた。
鮑の食感を残しているので噛み締める毎に香りと旨味が高まる調理。
肝は濃密ながらに上品で、磯の強い香りや苦味は皆無。
鯵の藁焼き
合わせ調味料は葱、生姜のみならず北海道らしい山わさび。
旬の鯵を炙るとは鮨店では珍しい調理法だが、これは良い。
皮目はパッと弾け香ばしい。
隣のお客さんは香港人であったが、
心の中で脆皮!(ツイピー)と叫ばれていたのではないだろうか。
中国料理…とりわけ香港や広東料理に於いては「脆」は大変重視される食感なので。
水茄子、北海シマエビ、鰊、空豆、ちっぷ、土佐酢餡
これは北海道の食材目白押しで嬉しい!
「ちっぷ」とはヒメマスの北海道名。
大変脂が乗っている。
鰊は香り良く、これも脂の乗りが上々。
嬉しい一皿の後、握りに移行した。
ガリ
食感が面白い。
細薄切りにして、捻るか絞るかしているのか?
リズミカルな食感が気持ち良い。
味はしっかりしており、辛味も強い。
そして、赤酢の旨味もあるので、少量で楽しめる。
メイチダイ
酢橘は一滴弱。
かなり寝かせておられ、ねっちりとろりとした食感。
シャリの酸味と混ざり、最後に香りが広がりゆく。
5日熟成との事だが、塩梅良好。
鮪赤身
108キロ、漬け。
酸味あり、香ばしい鮪で、漬け仕事が奏功している。
アカムツ(ノドグロ)
さくっと切れてねっちり舌に絡んだ後、とろっととろける。
これも恐らく熟成仕事だが、香りを活かす熟成が巧みだと感じた。
鮪トロ
漬け。旨味がしっかりしたトロで、シャリと乳化して満足度が高い。
むっちり、強いきょうそう、そして香りしっかり嗅覚つよいかたか
鯵
鹿児島との事なので、出水か?
小さいサイズとお伺いしたが、中々どうして脂はしっかり。
オオスケ(マスノスケ、キングサーモン)
見た目から軽く湯霜か?と思いきや、燻香が広がる!
タネの持ち味を殺さぬ程に軽くスモークしている。
身質はねっちりで、これもまた香りを楽しませてくれる。
車海老
かなりレア寄りの火入れ。
よって、甘みと香りを楽しませてくれる。
金目鯛
漬け、炭火炙り。
皮はサクサク!しかし、身は生らしさを保っている。
とは言え、熱で旨味をしっかりと引き出しておられる。
キタムラサキウニ
積丹の美国(びくに)産。
スッキリした甘みながらに、酢飯に卵黄と共に混ぜているので、重厚な旨味。
穴子
甘みが強い穴子で、仕上げはとろりと。
対馬産と思われるが、香りはある。
椀
蜆出汁。ほの甘みのある味噌をごく少しだけ使用。
小鰭 追加
みっちりとした〆加減で、特に酸味を回す塩梅。
朧を噛ませて甘みを加えている。
玉子
超しっとりでスフレ状。
それでいて甘みは上品。
上記の内容で、お会計は2.1万円強。
東京のみならず札幌も値段が高騰しているので、価格を変えずにこのクオリティのコースとは圧倒的な満足度。
人気が出る理由に心から納得しました。
もちろんコストパフォーマンスだけでなく、味は札幌で明確な個性を確立されておりますので!
すし宮川さんのお店の情報
すし宮川(食べログのリンク)店名:すし宮川(すしみやがわ)シャリの特徴:赤酢の酸味と旨味を活かしたシャリで、強い味わいのタネとの相性が抜群。
予算の目安:18,000円〜23,000円最寄駅:円山公園駅から240m
TEL:011-613-2221
住所:北海道札幌市中央区南1条西24-1-30 円山OCT BLD1F
営業時間:1部17:00~19:15、2部19:30~
定休日:火曜
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