すしログ No. 27  初音鮨@蒲田

※本記事については、業態が変わる前の内容となります

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こちらは、江戸前の仕事を忠実に把握した上で、「創作的な仕事を施す鮨店」としては、現状ベストのお店です。※業態が変わる前の評価となります

 

写真撮影可能になってからの記事はこちら

すしログ No. 124 初音鮨@蒲田

 

変化系のお店だとすし通や與兵衛もお気に入りですが、夜の満足度では紛れもなく当店が屈指。

江戸前の枠組みで展開される独自性の高い仕事に感動を覚えました。

 

こちらのお店は蒲田にあり、外観は妙にメルヘンで、内装は重厚。

待合があり、カウンターには靴を脱いで上がる。

上等な旅館のように寛げる雰囲気です。

 

お店に入って驚くことは、お客の入店と同時にシャリを切るところ。

寝かせるのが常のところ、杓文字で飯を切る音が響いてきます。

そして、やおら握る前のシャリをそのまま食わす。

当然のことながら、酸っぱくて、尖っているシャリです。

甘みは皆無で、しかも、熱い。

これを、熱が逃げるに任せ、順次握っていく。

硬さ、温度が変化するシャリ。

普通では考えられないシャリの使い方です。

しかし、この変化するシャリをタネに合わせ、独自のストーリーを構築する。

私見ですが、シャリを時間軸で再解釈している点が当店の凄味であるかと思います。

シャリの味わいは赤酢中心に米酢もブレンドし、塩を立たせて、甘みは排除。

 

そして、煮キリについても個性的。

通常とは異なる毛の長さ・硬さのハケでほんの微量使うのみ。

塩分はタネに対する仕事とシャリでコントロールされています。

 

仕事は主に〆と漬けの仕事が駆使され、何処にもない味わいを作り出す。

特に、漬けに関しては常識を覆されるレベルで、中トロにまで施す。

しかし、鮪の旨味、香り、食感を引き出し、

生では出会えない魅力を生み出しております。

 

そして、通常では握れない、いくらや牡蠣、白子なども軽妙に握る。

手つきに乱れは無く、捨てシャリも少ない。

山葵は辛味が低く、香り豊かな中伊豆産を使用。

これもまたタネ、シャリに合わせて絶妙に量を調整する。

 

ご主人は闊達な江戸弁を話し、握りのテンポと合わせて気持ち良いです。

時折、江戸弁に混ざる横文字も妙に馴染みます。

何故だろうかと考えると、やはりご主人の鮨の独自性だろうかと思います。

墨烏賊

相模。塩を振り、とろりとした食感を凝縮している。

その後、プツッと切れる独特の食感。

鮃

焼尻島。縁側と蒸した肝を用いる。

腹側は強く塩で〆ており、肝が塩気を包み込む。

赤貝

閖上。ストレートに旨い。

非常に強い旨味を持ち、昆布のグルタミン酸の如く。

小鰭

浅い〆で一晩寝かしたもの。

食感はソフトで、酢も穏やか。

 

小鰭

熟成を掛けたもの。まさかの小鰭二貫連続。

強烈な香りと旨味で、前の小鰭とのコントラストが面白い。

 

鮪赤身漬け

白眉。鮪の鉄分と香りを残し旨味を凝縮させる漬け。

湯霜の加減も抜群。二貫連続で頂いたが、全く色あせない。

鰆

食感が上手くコントロールされている。硬さと柔らかさの間。

鮪中トロ

中トロも漬け。脂を活かす漬けの技術に感服。産地は大間(赤身も同様)。

牡蠣

岩手。ぷりぷりの食感に磯の甘い香りが絡む。温度が良い。

いくら

軍艦ではなく、まさかの握り。強めに漬けているが、塩分濃度は制御されている。

鱈の白子

アツアツで、噛みしめるとさながらリゾットのよう。

寒鰤

旬ものの寒鰤を漬けにするという着眼点。脂をまろやかに感じさせる。

ずわい蟹

味噌を塗って味わう。味わいもさることながら、包丁捌きが見事だった。

尚、この時だけ出刃を使用され、他は柳刃一本。

鉄火巻き

中トロ・赤身の漬けを使用。海苔はあおさ入りで手巻き。

炙らずに頂いて、香り良し、口溶け良し。

干瓢巻き

甘めで、やや柔らかめの干瓢。山葵を利かせて海苔との一体感を高める。

 

玉子握り

玉子

芝海老をたっぷり使い、一時間以上下拵えし、一時間以上火を通した玉子。

ふんわり、じゅわっと甘美な味わい。

 

こちらは、卓越したセンスと味覚で江戸前を再構築しておられ、

出会えて良かったと感じる、稀有な個性を持つ名店です。

 

店名:初音鮨(はつねずし)

シャリの特徴:甘みを排除し、赤酢と米酢をブレンド。味わいを時間軸でコントロールする。

予算の目安:20,000円~26,000円→2019年よりおまかせ45,000円~→2020年おまかせ55,000円~(前払い)

最寄駅:蒲田駅から360m

TEL:03-3731-2403

住所:東京都大田区西蒲田5-20-2

営業時間:17:30、20:00開始の2回転制 →15:00、17:00、19:00の3回転制

定休日:日曜、祝日 →水曜、木曜、日曜、市場休場日

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