![心根外観](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/be628b3f582c49a6c006eca48a8ea795-1024x576.jpg)
こんにちは、都市部には無い御料理が大好きな、すしログ(@sushilog01)です。
いきなりですが、大阪府高槻にある「心根」さんは、全国から訪問すべき日本料理店だと断言します。
僕は2017年10月に初めて訪問して以来、折を見て通っていますが、どんどん美味しくなっています。
高槻と亀岡の山間部に移転され、コロナ禍では非常に厳しい局面を経験されつつ、ブレずにご自身の世界観を追求されているところが素晴らしい!
![すしログ](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/bfff16286f71f92772bdffbe98056593.png)
この度、コロナ明けに訪問したところ、深い感動に包まれる御料理でした。
率直に申し上げて、2023年に訪問した幾つかの予約困難店を既に超えています。
「心根」さんは遠くとも伺うべきお店であり、これこそがミシュランの定義である、三ツ星「そのために旅行する価値のある卓越した料理」あるいは、二ツ星「遠回りしてでも訪れる価値のある素晴らしい料理」だと感じます。
個人的に、全国でも行きにくい立地だと思う京丹後の「縄屋」さんや、島根日原の「美加登家」さんなどと同等の感動を与えてくれるので、グルメな方々は是非とも今のうちに訪問してみてください。
高槻駅からの送迎もありますので!
![すしログライブラリー_アイキャッチ](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/910017e372204aeb3368ce8ca768f40c-160x160.png)
タップできる目次
「心根」さんに初めて訪問した時には、八寸の素晴らしさに感動しました。
僕も大好きな京都の名店「草喰なかひがし」の中東 久雄さんを「師匠」と仰ぐ方だけあり、季節感を見事にとらえつつ、美しい八寸でした。
さらに、季節感、美しさだけでなく、ストーリー=想いも盛り込まれている点が深い感動に繋がります。
純粋な味のためだけではなく、季節感は勿論、想いを表現するために食材を選択されている料理人は稀有な逸材です。
また、伝統的には作り置きの料理を盛り込むのが八寸ですが、片山さんは直前に作られた料理も盛り込み、新たな八寸表現を実現されています。
海と山のものを合わせる茶懐石の流儀に則りながら、季節感も盛り込み、感情を動かす八寸です。
これはご主人が二十四節気を多分に意識して、自然環境に身を置き表現されている事に起因します。
![内観](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/2e89375f7907f45ebccfcf394bef1314-1024x680.jpg)
そして、御料理には日本料理や郷土料理の伝統的な手法を盛り込んでおられ、それでいてモダン。
片山さんは有名店での修行経験が無いそうですが、だからこそ系譜に属さない独自の「片山料理」を生み出すのに成功しています。
過去に比べて地産食材の使用量を増やしつつ、さらに他県の有力生産者さんからの仕入れを強化されているので、調理技術と調理センスに食材力が加わり、さらに世界観が広がっている状況です。
例えば、この度頂いた熊肉。
忖度なく申し上げて、滋賀の名店「比良山荘」さん(何と食べログ4.48!)の上を行くクオリティでした。
しかも、食材力だけでなく、鍋の吸い地は片山さんに軍配が上がります(数段上でした)。
有名店が超有名店になると全国、全世界からスタンプラリーが始まりますが、「心根」の片山さんは今のところ「無冠の名手」と言うべき存在です。
なお、熊も猪も一頭買いされているそうで男気を感じます(熊一頭は数10万円になります)。
最後に、日本酒とのペアリングを行って頂ける点も魅力です。
ペアリングの方向としては同調を意識されていて、ラインナップは全体的に食中酒として御料理に寄り添うものが多い。
銘柄は他店とは大きく異なり、香り酵母系のお酒を使わない点も素晴らしい選択です。
繊細な御料理を作る料理人、鮨職人でも、香り酵母を意識されない方は多く、これは折角の御料理が勿体ないので注意して頂きたいと感じている次第です。
ですので、お酒を飲める方は是非ともペアリングをお願いしてみてください!
![すしログ](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/bfff16286f71f92772bdffbe98056593.png)
車移動が多い自分ですが、送迎車でお伺いして良かった!と感じました(笑)
![f:id:edomae-sushi:20190901075808j:plain f:id:edomae-sushi:20190901075808j:plain](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/2020/10/20190901075808.jpg)
「心根」さんは2018年12月に移転され、高槻駅から車で35分の場所にあります。
移転された時は「なんてチャレンジングな!」と驚きましたが、お店に伺うと納得する雰囲気です。
遠くとも足を運ぶ価値があるので。
![天井 f:id:edomae-sushi:20190203182552j:plain](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/2020/10/20190203182552.jpg)
築100年超の古民家をリフォームされていて、実に贅沢な空間です。
移転後に、片山さんが仰った「夢を売るのが商売ですから…頑張りました」との言葉が今でも記憶に残ります。
![へっついさん f:id:edomae-sushi:20190203182554j:plain](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/2020/10/20190203182554.jpg)
建物に入ってすぐの場所には、朱色の「へっついさん」が鎮座します。
これは京都で言う「おくどさん」、要はカマドですね。
壁には「阿多古祀符 火廼要慎」が貼ってあり、関西らしいです。
![内観02](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/cb1bff770d31c9a53bd9eb18c657e4fe-1024x680.jpg)
それでは、頂いた御料理の紹介に入ります。
![盆](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/36940095f5f481c986f85b22b5190029-1024x680.jpg)
御料理を訪問順にご紹介します。
2024年2月に頂いた御料理の内容については、こちらです。
- あつもの:蕪蒸し、浜坂のずわい蟹
- 八寸
- 椀:雪中たけのこ、岩魚
- 向付:鯉
- 焼きもの:サクラマスの味噌幽庵焼き、国産モリーユ茸
- 熊鍋、鴨の丸、芹
- お食事1:琵琶鱒のルイベと炊きたてご飯
- お食事2:恵方巻き
- お食事3:熊鍋ラーメン
- お食事4:新作イノシシカレー
- 水菓子1:日本の柑橘8種類のゼリー
- 水菓子2:椿餅
- お薄
![お茶](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/abc9a79d151a80b257a1d6e703062bb2-1024x680.jpg)
八朔の皮を加えた深蒸し緑茶で一息。
![お酒01](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/05128270013a13feff7b5866839da626-1024x680.jpg)
![あつもの:蕪蒸し、浜坂のずわい蟹](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/87610f71f4126e06fab3d05d5863374b-1024x680.jpg)
蕪蒸し、浜坂のずわい蟹。
雪景色をイメージしているそうだが、器の景色は正に仰る通り。
蕪の香りと甘味が安らぎに繋がる。
時折しゃくっとした食感に遭遇し、蕪の食感をランダムに活かしてる点も実に良い。
出汁をキリッと効かせていて、蟹はたっぷり。
舌だけでなく心に響く御料理だ。
じんわりと胃を刺激してくれる。
![お酒02](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/3d6179edc4e0bc0cff6fa46468566ae4-1024x680.jpg)
![八寸01](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/04be44d7a6b0ba5f21a48c46094657d4-1024x680.jpg)
狐面をめくると、節分仕様の八寸が登場する。
![八寸02](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/913ab916677b692c5d8007e91c256f8a-1024x680.jpg)
今朝摘みの蕗の薹、唐墨をまぶした菜の花、残雪の結晶を模した蓮根の氷餅、卵黄、モロコ、クルミチップで燻製した鰯、五色豆のかりんとう、名残の海老芋で表現した金棒、「鬼斬り」からおにぎりを模した自然薯、蕗の薹の白和え。
まず、蕗の薹の白和えの香りに魅了される。
香りを楽しみ、この場所で頂く喜びがある!と実感した次第である。
![ふきのとうの白和え](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/f2ee79316fdd835722584128ad5b5634-1024x680.jpg)
香りは記憶の深いところに残る感覚だと考える。
よって、前半の御料理の構成において香りは重要だ。
香りで感情に如何に訴求するかが料理人のセンスの見せ所と言える。
昨今、前半から単なるブランド食材や脂の強い食材で押してくる押し出しの強い方が増えているのは残念である。
片山さんの蕗の薹の白和えは香りとホロ苦さを楽しませた後、胡麻のコクでじんわりと甘味、旨味を伝えていく自然な味覚のプレゼンテーションだ。
「おにぎり自然薯」は食欲をグイッと高めてくれる、こっくり味。
「海老芋金棒」は、海老芋の甘味に紫蘇の酸味が加わり、爽やかに甘い。
モロコも極めて上品な南蛮漬けで、酸味がふんわりと漂いつつ、八寸の中でのバランスを取る。
同様に蓮根も酸味をスッキリと効かせて、見た目やストーリー性だけでなく味のメリハリが意識されている。
八寸は味のメリハリが無ければ駄作だ。
鰯は脂が乗っていて、燻香もじんわり。
菜の花も出汁の含ませ方が素晴らしい。
卵黄も塩気が強すぎず、豆かりんとうは香ばしくて嬉しい!
![お酒03](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/b489d1ba3a171dc40ad5aecfb142f492-1024x680.jpg)
![椀:雪中たけのこ、岩魚01](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/322ff20a064ef1789b10f2222dd3cefd-1024x680.jpg)
椀は明治時代の漆器。
![椀:雪中たけのこ、岩魚02](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/f8e93a44b72ae759e0cd69b048120133-1024x680.jpg)
椀妻はうるい、吸口は木ノ芽。
鰹出汁がキリリとしつつ、非常にまろやかな吸い地。
まーるいのが実に良い。
走りの雪中たけのこは、ほんのりとホロ苦くて甘い。
コリコリの食感も嬉しい。
これらの味わいと食感、香りで春を予感させてくれる。
やはりたけのこは素晴らしい食材だ。
うるいは甘く、もぎゅもぎゅ、シャキシャキした食感も気持ち良い。
イワナもこの地らしくて嬉しい。
淡水魚と洗練された出汁を合わせるお店は、全国的にも決して多くはないが、今後ポテンシャルがある取り合わせだろう。
![椀:雪中たけのこ、岩魚03](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/25ed32214a32aebd144d3e4e329d64ca-1024x680.jpg)
![お酒04](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/564b8a1e1c6e0e353454fa55981e8546-1024x680.jpg)
![向付:鯉](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/c259ee3d80daeb7d34d2cf5c70d2a15a-1024x680.jpg)
バレンタインゆえにコイのお造りとの事。
このような現代的な洒落も組み合わせるのが片山料理の特徴でもある。
鯉は昆布〆、皮の湯引き、鱗せんべいも添えて。
薬味は、芥子菜、白髪ネギ、辛味大根のおろし、茜蕪の酢漬けを乾燥させたもの、さっき摘みの野蒜。
都会のセンスが無いお店だと味覚的な必然性を考えずに花穂紫蘇を多用するが、その対極を行く薬味使いである。
鯉は昆布〆による軽く凝縮した食感が良い!
調理法に合う。
辛味大根の爽快な辛味、野蒜の香りなどが組み合わさり、素晴らしい味わいだ。
多様な味、香り、食感の多重層によって、鯉が美味い魚だと伝えてくれる点も意識が高い!
なお、この鯉の提供方法は言うまでもなく「草喰なかひがし」スタイルであり、中東さんへのリスペクトも含まれているのが粋だと感じた。
![お酒05](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/9dab2b01bba0453640e6a3e8a024a2eb-1024x680.jpg)
![焼きもの:サクラマスの味噌幽庵焼き、国産モリーユ茸](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/bbb79e2b5d1c1c74630f766e4d3b0f79-1024x680.jpg)
あしらいは野蒜の根っこを揚げたもの、揚げ餅米、編笠茸(フランス料理のモリーユ茸)。
これは素晴らしい焼き物。
このような御料理こそ足を運んで頂く魅力がある。
野蒜もモリーユも香りが抜群で、サクラマスとの相性も良い。
地の食材の取り合わせの強さを実感する。
![お酒06](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/0476977a4af33272e21e0e9d75124d4a-1024x680.jpg)
![熊鍋01](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/48140a2302303517f0c55d03b5ded69e-1024x680.jpg)
素晴らしいクオリティの熊肉だ。
思わず無心で頂いてしまった。
そして、料理としての完成度も高い。
![熊鍋02](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/65197df88ee42c617638d22fca287e11-1024x680.jpg)
熊の脂が持つ甘味は言うまでもなく、鴨の丸も味わい深くて香り良い。
むっちり、もぎゅもぎゅと強い食感で、噛むほどに味わいが強まる。
そして出汁が素晴らしい。
コロナ下で2021年8月にお取り寄せの鍋を頂き感銘を覚えたが、お店で頂くと尚更嬉しい。
なんと塩分濃度0.5%刻み、醤油の塩梅も数10パターン試して完成したそうだ。
これは是非とも多くの人に味わって頂きたい!
![お食事1:琵琶鱒のルイベと炊きたてご飯](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/46e94e99c28bdee62c22c20d4e3a3ce8-1024x680.jpg)
炊きたてご飯にルイベとは面白い組み合わせ!
以前は抜群に美味しい炊き立てご飯に、削りたての鰹節、美山の平飼い卵、自家製塩鮭、香の物が提供される硬派なお食事のスタイルで感銘を覚えた次第だが、現在は少量ずつ数種類提供する最近流行りの提供方法に変更されていた。
ただ、個々が美味しく、複数品頂いても重くない点は嬉しい限り。
僕は炊き立てご飯と留め椀、香の物こそが至高の食事であり、ご飯の炊飯技術を味わうには白米こそが正義だと考える人間だが、楽しく頂いた。
![香の物](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/7aed863aba234ab46017fe22cf0dca97-1024x680.jpg)
![お食事2:恵方巻き](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/82e481ea33a090e9542f295a52bee0d2-1024x680.jpg)
鮪、海胆、車海老などなど豪華食材の恵方巻き。
![お食事3:熊鍋ラーメン](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/82d0c13d5b54930631121a9f3504118f-1024x680.jpg)
国産小麦の中華麺で、鍋の〆専用に特注されているもの。
もぎゅっと凝縮した食感の麺。ツユが美味しい。
![お食事4:新作イノシシカレー](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/f4f1d78f38280f44019a9286935c886e-1024x680.jpg)
一頭買いしているため、すね肉などの御料理に使わない部位を8時間炊いて作った新作だ。
トマトの酸味がスッキリ!
スパイスも効いていて美味しいカレー。
サッパリ味なので、全くもたれなかった。
![水菓子1:日本の柑橘8種類のゼリー](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/488395fb0c766a28d4527fbcfd34e1ba-1024x680.jpg)
柑橘がゴロゴロで、砂糖による糖分は控えめなので美味しいゼリー。
お茶は煎り番茶。
![椿餅](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/0d995e38164a66e770c602cf14ad01b5-1024x680.jpg)
『源氏物語』の「若菜上」で光源氏と紫の上が食した日本最古の餅菓子だ。
昔から2月に作られている。
道明寺(糯米)の甘味にバランス良く合わさる、白小豆の餡が印象的。
ホロッと馴染む餡である。
![お薄](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/8113d2de94a4cabc5141f9b302c6581c-1024x680.jpg)
お薄を頂き、余韻に浸る。
2019年8月に頂いた御料理の内容です。
この度頂いた飲み物
自家製赤紫蘇ソーダ。
![f:id:edomae-sushi:20190829004156j:plain f:id:edomae-sushi:20190829004156j:plain](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/2020/10/20190829004156.jpg)
他に青梅と山桃もあり、夏限定との事。
頂いた御料理
- あつもの:鱧と松茸
- 八寸
- 夏野菜のお浸し
- 真魚鰹の焼きもの、飯蒸し、葉唐辛子
- 鰹の塩タタキ
- 椀仕立て:鮎、冬瓜
- 強肴:毛蟹、鮑、坊主ごろしなどの酢のもの
- 平井牛ランプの燻製の炭火焼き
- お食事:炊き立てご飯、削りたての鰹節、美山の平飼い卵、自家製塩鮭、香の物
- 水菓子(自家製の生菓子)
- お薄
あつもの
![f:id:edomae-sushi:20190829004202j:plain f:id:edomae-sushi:20190829004202j:plain](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/2020/10/20190829004202.jpg)
鱧と松茸の出会いもの。
松茸は走りであり、時期的に外国産だろうけれど、香りを楽しませてくれる。
何よりも素晴らしいのが鱧出汁の吸い地。
大変濃厚で、走りの松茸に精彩を加えている。
スダチや白髪ネギなども抑制の利いた使用量。
八寸
![八寸](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/d15f2a95501c86749723230639d493cf.jpg)
うちわ形のお皿に盛り付け、山で摘まれた葛の葉を添えて。
鬼灯の中に高槻名産の寒天を用いた野菜のゼリー
![f:id:edomae-sushi:20190829004211j:plain f:id:edomae-sushi:20190829004211j:plain](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/2020/10/20190829004211.jpg)
モロヘイヤのお浸し、乙訓(おとくに)の小茄子の煮浸し、オクラの味噌漬け、黒胡麻花オクラ巻き、蛸の柔らか煮、室戸の海女さんの獲ったトコブシ、トウモロコシの味噌漬け、山桃、早生の里芋の唐揚げ、鱧寿司。
野菜が美味しい八寸!
蛸の柔らか煮はクラシカルな八寸料理であるが、食感をぷりぷりに仕上げている点が凡庸でなく嬉しい。
また、トコブシも定番と言える食材だが、モノの良さを活かしている。
夏野菜のお浸し
![f:id:edomae-sushi:20190829004217j:plain f:id:edomae-sushi:20190829004217j:plain](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/2020/10/20190829004217.jpg)
千両茄子、桃太郎トマト、伏見唐辛子、バターナッツ、ちりめんじゃこ。
じゃこは赤蕪で色付けされており、一夏の恋で赤く染まった…とのコメント(笑)
料理の説明に文学的な引用もされる片山さんだが、ギャグも交えるとは…流石、大阪人や!
出汁も温度もキリッとしており、各野菜の食感の違いが楽しい。
真魚鰹の焼きもの、飯蒸し、葉唐辛子
![f:id:edomae-sushi:20190829004222j:plain f:id:edomae-sushi:20190829004222j:plain](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/2020/10/20190829004222.jpg)
真魚鰹はスーパー漁師、愛媛・藤本さんのもの。
飯蒸しは昆布出汁を利かせており、旨味の強い真魚鰹と相性良し。
組み合わせの妙。
鰹の塩タタキ
![f:id:edomae-sushi:20190829004229j:plain f:id:edomae-sushi:20190829004229j:plain](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/2020/10/20190829004229.jpg)
「目には青葉 山ほととぎす 初鰹」の句(江戸時代中期、山口素堂)に合わせた一皿。
器は400年前の明のもの。
調味料は和芥子、あしらいはスベリヒユ。
藁で炙っており非常に香ばしく、鰹の酸味がキリリ。
椀仕立て
![f:id:edomae-sushi:20190829004233j:plain f:id:edomae-sushi:20190829004233j:plain](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/2020/10/20190829004233.jpg)
鮎は風干しして苦うるかを塗って焼いている。
冬瓜、おかひじき、黒豆、針ミョウガ、青柚子皮。
川をイメージしたあしらいが晩夏に一服の清涼感。
味わい的にも、これは素敵な組み合わせ。
昆布を利かせた吸い地は、鮎の香りを殺さず、楽しませてくれる。
うるかはそこまで強くない。
強肴
![f:id:edomae-sushi:20190829004239j:plain f:id:edomae-sushi:20190829004239j:plain](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/2020/10/20190829004239.jpg)
毛蟹、鮑、坊主ごろし(鳥取のもずく)、いちじく、糸瓜、葛の花の酢のもの。
「酢のもの」と言ってもオリジナリティに富む逸品。
一番出汁のゼリーとメロン酢を合わせており、爽快そのもの。
【坊主ごろし】は初めて頂いたが、ジャクジャクと力強い食感と香りのもずく。
御料理そのもののみならず、流れとして大変爽やかだと感じた。
酷暑に涼しさを求める方には是非とも体感頂きたい。
平井牛ランプの燻製の炭火焼き、賀茂茄子
![f:id:edomae-sushi:20190829004243j:plain f:id:edomae-sushi:20190829004243j:plain](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/2020/10/20190829004243.jpg)
自家製の山椒油、粒マスタード、48℃で乾燥させた木ノ芽、珈琲オイルと、個性的な調味料を使用。
辛味大根の鬼おろしには平井牛の肉汁を混ぜており、フレンチのソースで言うところのジュを嫌味なく和食に適用させている。
塩のみで煮詰めたトマトも甘みが良い。
山椒油は香り良く、ほんのりピリリ。
珈琲オイルは違和感なく、香りが良い。
そして、肝心の平井牛ランプ。
旨味が強く、脂はほどほどで、酸味が魅力で香りが良い。
調理法が素材を活かし、個性的な調理法に耐える肉だと実感する。
お食事
![f:id:edomae-sushi:20190829004253j:plain f:id:edomae-sushi:20190829004253j:plain](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/2020/10/20190829004253.jpg)
炊き立てご飯、削りたてのカネイチ商店のクラシック節、美山の平飼い卵、自家製塩鮭、香の物
![f:id:edomae-sushi:20190829004257j:plain f:id:edomae-sushi:20190829004257j:plain](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/2020/10/20190829004257.jpg)
自家製塩鮭は1日塩蔵した後に風干し。
![f:id:edomae-sushi:20190829004305j:plain f:id:edomae-sushi:20190829004305j:plain](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/2020/10/20190829004305.jpg)
いやあ、こういうご飯が良い!
一見素朴でありながら、良い素材とプロの極上の技で非凡な味へと昇華。
贅沢とは本質的にこう言う事であろう。
水菓子、お薄
![f:id:edomae-sushi:20190829004322j:plain f:id:edomae-sushi:20190829004322j:plain](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/2020/10/20190829004322.jpg)
素晴らしい意匠の自家製生菓子!
![f:id:edomae-sushi:20190829004315j:plain f:id:edomae-sushi:20190829004315j:plain](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/2020/10/20190829004315.jpg)
大和芋を用い、白餡と合わせた練り切りに、大納言の漉し餡を使用。
意匠は鉄仙(クレマチス)。
これは素晴らしい完成度。
芋は丹波のものを使用されているそうで、芋の香りが良い。
2019年2月に頂いた御料理の内容です。
15,000円のコース
・あつもの:百合根のすり流し
・八寸
・スマガツオの塩タタキ
・蟹と蟹味噌の千枚漬け巻き
・琵琶湖産モロコの焼きもの
・鰤の餅米揚げ、蕪餡、あられ柚子
・平井牛カイノミの焼きもの
・お食事:炊き立ての土鍋ご飯、粕汁、卵、本枯れ節、香の物
・椿餅
・お薄
![煎茶 f:id:edomae-sushi:20190203182528j:plain](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/2020/10/20190203182528.jpg)
まずは、濃いめの煎茶で温まります。
寒い時期の訪問なので嬉しい。
百合根のすり流し
![百合根のすり流し f:id:edomae-sushi:20190203182529j:plain](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/2020/10/20190203182529.jpg)
鱈の白子の天麩羅、地元の椎茸焼きを添えて。
頂くと出汁の旨味が広がり、百合根の甘みが奥深く満ちてくる。
決してやかましく主張せず。
そして、しゃくりとした食感を少し残している。
この百合根の甘みと食感の活かし方に、センスを感じさせる。
(百合根は非常に甘く、柔らかく供される事が常なので)
八寸
![八寸 f:id:edomae-sushi:20190203182530j:plain](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/2020/10/20190203182530.jpg)
二十四節気の立春から大寒の時期を表現した八寸。
「立春大吉」の札はご主人自らの筆。
持ち帰らせて頂き、玄関先に貼りました(笑)
![八寸 f:id:edomae-sushi:20190203182531j:plain](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/2020/10/20190203182531.jpg)
まず、お多福の器には、豆乳を葛で練った豆腐。
三ツ葉が結んである所以は、「結び目に神が宿る」とされているからとの事。
勉強になる。
![八寸 f:id:edomae-sushi:20190203182532j:plain](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/2020/10/20190203182532.jpg)
大豆を大王松(ダイオウショウ)に刺して、豆を投げた時の放物線を表現されている点には昨年同様に嬉しくなる。
他のお料理にも意味が込められているが、訪問された際のサプライズが無くなるため、今回は割愛。
全体的にお手製の発酵食品が奏功しており、印象深かった。
出汁を含ませた菜の花は、香りと苦みが爽やかで、唐墨を上品にアクセントとして使用。
赤蕪で挟んだへしこは旨味の強さより発酵期間の長さが窺い知れる。
![八寸 f:id:edomae-sushi:20190203182533j:plain](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/2020/10/20190203182533.jpg)
つぼつぼに入ったキクイモサラダにも唐墨が使用されているが、ついついお酒を飲みたくなる佳き味。
山椒を少し用いてピリリとさせている点もニクい。
味わいのみならず、金柑をタンポポに見立てて飾り包丁を入れ、来る春に憧憬を抱かせる。
八寸は作り手と受け手、共に感受性が必要な料理形式である。
食べ手の感受性をくすぐる八寸は、誠に嬉しい。
ちなみに、片山さんはしっかり説明してくれるので、安心だ(笑)
スマガツオの塩タタキ
![スマガツオの塩タタキ f:id:edomae-sushi:20190203182535j:plain](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/2020/10/20190203182535.jpg)
標準和名はスマで、ほぼ関西、四国、九州あたりで消費される魚。
スマは藁火で炙っているので、香ばしく旨いのは言わずもがな。
個人的に野菜の使い方と、イクラの漬け地にほのかな甘みを付けている点が印象深かった。
紫大根の甘み、紫水菜のかすかな苦味など、味覚を巧くバランシングされている。
蟹と蟹味噌の千枚漬け巻き
![蟹と蟹味噌の千枚漬け巻き f:id:edomae-sushi:20190203182536j:plain](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/2020/10/20190203182536.jpg)
実に西の冬らしい小品。
蟹の風味と甘みが広がり、最後に新生姜の香りと辛味がふうわりと纏める。
蕪が味覚的にも食感的にもしっかりと受け止める。
琵琶湖産モロコの焼きもの
![琵琶湖産モロコの焼きもの f:id:edomae-sushi:20190203182537j:plain](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/2020/10/20190203182537.jpg)
付け合せの調味料が面白く、クレソン酢!
野菜は手摘みのハコベ(ご存知、春の七草のひとつ)の白和え。
甘みのある白和えが、モロコの苦味に寄り添う。
モロコは勿論「へっついさん」による炭火焼きで、カリッと感としっとり感が共存している。
鰤の餅米揚げ、蕪餡、あられ柚子
![鰤の餅米揚げ、蕪餡、あられ柚子 f:id:edomae-sushi:20190203182538j:plain](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/2020/10/20190203182538.jpg)
餡は蕪の甘みが活きており、旬の鰤の酸味と旨味を強調する。
ゆっくりと炭火で焼き上げた、パリパリの蕪の菜っ葉も魅力的。
実に滋味深く、冬を楽しませてくれる。
平井牛カイノミの焼きもの
![平井牛カイノミの焼きもの f:id:edomae-sushi:20190203182539j:plain](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/2020/10/20190203182539.jpg)
平井牛は亀岡で1912年に創業された京都丹波牧場の牛。
ストレスフリーで育てられた牛は文句無しの味わい。
![平井牛カイノミの焼きもの f:id:edomae-sushi:20190203182540j:plain](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/2020/10/20190203182540.jpg)
非常に柔らかく、酸味に加えてたっぷりの旨味が満ちている。
脂は全くクドくない。
焼き加減も抜群だ。
![平井牛カイノミの焼きもの f:id:edomae-sushi:20190203182541j:plain](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/2020/10/20190203182541.jpg)
付け合せはクレソン、キャベツ、むかごのおこわ。
黒大根の鬼おろしの餡にフリーズドライ醤油をまぶしている。
付け合せは楽しませてくれる組み合わせで、最後にキャベツで餡をくるんで頂いた。
お食事:炊き立ての土鍋ご飯、粕汁、卵、本枯れ節、香の物
![炊き立ての土鍋ご飯、粕汁、卵、本枯れ節、香の物 f:id:edomae-sushi:20190203182543j:plain](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/2020/10/20190203182543.jpg)
まず言いたいのは、ご飯が美味しいこと美味しいこと(笑)
本当に美味しい。
滋賀・安土の魚石・瀬海さんの白ご飯も美味しいけれど、片山さんの白ご飯も格別。
これだけで箸が止まらなくなりそうだ。
![本枯れ節 f:id:edomae-sushi:20190203182545j:plain](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/2020/10/20190203182545.jpg)
理性を総動員して、削りたての本枯れ節を掛けて頂く…
![本枯れ節ご飯 f:id:edomae-sushi:20190203182548j:plain](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/2020/10/20190203182548.jpg)
しゅわっと溶けるような削り具合で、旨味が舌に広がる。
そして、粕汁も絶品。
![粕汁 f:id:edomae-sushi:20190203182542j:plain](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/2020/10/20190203182542.jpg)
京人参、三重の猪の時雨煮、揚げた里芋、笹掻き牛蒡、大根など、魅力的な冬の具材がたんまり入っている。
「粕汁ってこんなに美味しかったっけ?」と思う事は必至。
![亀岡産・平飼い卵 f:id:edomae-sushi:20190203182544j:plain](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/2020/10/20190203182544.jpg)
そして、ご飯をお代わりして、亀岡産・平飼い卵でTKG。
![TKG f:id:edomae-sushi:20190203182549j:plain](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/2020/10/20190203182549.jpg)
全て頂き、日本人である喜びを実感。
外国人の方も、「今度生まれ変わったら日本人になりたい」と思うことだろう。
水菓子
![椿餅 f:id:edomae-sushi:20190203182550j:plain](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/2020/10/20190203182550.jpg)
椿餅。
片山さんの和菓子は下手な和菓子店をゆうに超えています(笑)
お薄
![お薄 f:id:edomae-sushi:20190203182551j:plain](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/2020/10/20190203182551.jpg)
「心根」のお店情報と予約方法
予約については、お電話はもちろん、WEB予約は一休より可能です。
店名:心根(こころね)
予算の目安:お昼8,000円もしくは15,000円のコース、夜15,000円〜
TEL:072-691-6500
住所:大阪府高槻市中畑久保条15-1
最寄駅:なし
営業時間:12:00~15:00、18:30~22:00
定休日:火曜
※完全予約制です。
片山さんの心の師匠「草喰なかひがし」
![八寸](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/6e9e93e53b37b4b84b6c0d16642e6336-160x160.jpg)
片山さんと中学の同級生の鮨職人「鮨みずかみ」
![鮪中トロ](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/f4d40c5cad95acbca922a94dbabbed5e-160x160.jpg)
片山さんと交流のある京丹後「縄屋」
![クエ](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/2a37f02c41d49cd05177479d6e46f3ba-160x160.jpg)
「心根」さんと同じく遠方から訪問する価値のある長野県茅野市「無名」
![無名鹿タンのカツ](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/a03ff173f675fb3bb2bb41ef7a41a4ee-160x160.jpg)
センスある料理人さんを応援したい、すしログ(@sushilog01)でした。
No. 160とNo. 180を統合して、最新情報を追記して更新しました。
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