心根さん。 ※2018年12月に高槻に移転(最新記事リンクは後述)
5ヶ月後の2月に再訪しました。
本来であれば新しい店舗に移転されている筈でしたが、施工に思案を重ねておられるようで、期せずして同じ店舗への再訪が叶いました。
料理全体の俯瞰については前回の記事を参照頂くとして、一言で述べると、矢張り素晴らしい個性を誇るお店です。
2019年2月追記:移転後の情報となります。
2019年9月の再訪記事もございます。
先付:干し貝柱と蕪皮で出汁を取った吸い物
日本料理では珍しい貝柱の旨味を、蕪皮のほのかな野趣が支える。
蕪の風味が加わる事で和風にまとまっている。
面白いところが林檎ジャムを使用されているところで、最後にほの甘ーく〆、蕪との相性の良さを気付かせてくれた。
八寸
お多福の器には飯蒸し、銀杏にクルミ味噌、鰤の幽庵焼きほぐし。
食欲を刺激する味わいで、味噌の風味が強いクルミ味噌に鰤の旨味が滲み、銀杏が苦味を加えて抑制。
八寸は立春をイメージした升の器で。
ますます福が来るように、と。
蕗の薹の白和え、蒟蒻椎茸、鯖寿司、八幡の農家さんの朝どれタケノコの唐揚げ、鴨の脂で炒めた堀川牛蒡に菜の花、畳鰯、金柑蜜煮、蒸し大豆、梅酢に漬けた黃人参、梅大根、一年熟成の鮒鮓。
まず、大豆を大王松(ダイオウショウ)に刺し、豆を投げた時の放物線をイメージされているところが素敵。
そして、鮒鮓の飯(いい)はすり下ろしてフローズンにして、名残雪をイメージされている。
蕗の薹は香り良く、ほろ苦さが春を予感させる。
タケノコの甘みも初春の喜びをいち早く伝える。
鯖鮓は小型だが脂が良い感じに封じ込められている。
香りは上品で、酸味も同様。
畳鰯が古来より鶴岡八幡宮への神饌だった事は初めて知った。
アオリイカと「シャリ粥」、卵黄の醤油漬け、唐墨
全体の一体感が高い。
アオリイカの甘み、唐墨の香り、香り良い有明一番海苔、卵黄のコク、フリーズドライ醤油。
シャリ粥の酸味が爽快に纏める。
鰹の塩タタキ
前回はシャリ粥と共に提供されたが、今回は単体でいぶりがっこと共に。
野菜は芥子菜、水菜。
藁で炙った鰹といぶりがっこの風味は言わずもがなの相性で、更に酸味がアシストしている。
アクセントとしての山椒油、煎り黒豆、福井産地芥子なども魅力的。
鮃、鮃の肝、野菜、ポン酢ジュレ
錦糸状に切った酸味が強めのポン酢ジュレが良い塩梅。
酸味が強くとも肝のコクと力強い風味の野菜が協奏する。
野菜はオゼイユ、エンドウ豆の新芽、ウイキョウの花、紅芯大根、緑大根、赤蕪。
海老芋饅頭
あしらいは下仁田葱、柚子。
海老芋饅頭はトロットロで、中から鴨の野趣が顔をのぞかせる。
鴨肉は滑らかに叩いている。
葛でごく自然なとろみが付けられており、出汁は主張し過ぎず良い塩梅で支える。
黒ムツの焼きもの
幽庵地。オランダ芥子(クレソン)、キクイモチップスを添え、橙を絞っている。
白い粉は自家製山椒油パウダー。
火入れはしっとりでホロホロ。
山椒油パウダーが、じんわり、柔らかく引き締める。
松葉蟹のほぐし身
あしらいは菜の花、塩揉みした林檎、赤酢に漬けた赤蕪。
中心には糯黍(モチキビ)をクチナシで色付けして唐辛子と酢で漬けたものを添えて。
蟹酢ゼリーが掛けられており、出汁がしっかり利いている。
林檎の程良い甘みが酢とよく馴染む。
酸味を多重的に重ねつつ、上手く纏めている。
お食事
遊穂の粕を使った粕汁
遊穂(ゆうほ)は石川県羽咋市の御祖酒造(みおやしゅぞう)のお酒。
ちなみに、お酒の名前は街でUFOがよく目撃される事にちなむ。
いやはや、実に奥深い味わいで、美味しい粕汁。
一般的な粕汁のクセが皆無。
そこに岡山産のシシ肉、丸大根、笹掻き牛蒡が加わり力強い野趣を感じさせる。
シシ肉は炙ってから煮ているのだろうか。
金時人参のすりおろしが優しい甘みを楽しませる。
TKG
白ご飯も大変美味しいが、オプションで卵かけご飯を。
超濃密な黄身が旨く、米油に山椒油をブレンドした油も良し。
焙じ茶アイスクリーム
乳脂肪45%の生クリームを使用しているため、焙じ茶を強く用いてもコクが支える。
椿餅
光源氏と紫の上が食したと言う2月の季節菓子。
椿の葉に餡入りの道明寺生地を挟んだ菓子。
糯米の甘みにバランス良く合わさる餡が印象的。
こちらはデザートも美味しい。
店名:心根(こころね)
食べるべき逸品:独自の感性で季節を表現し、自然の恩恵を感じさせてくれる片山料理。
予算の目安:お昼のコース10,500円 移転後→お昼8,000円もしくは15,000円のコース、夜15,000円〜
最寄駅:なし
TEL:072-691-6500
住所:大阪府枚方市氷室台1-44-32 移転→大阪府高槻市中畑久保条15-1
【お昼】12:00〜15:00、【夜】18:00〜21:00
定休日:火曜
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