すしログ:若くして己の鮨を確立し、快進撃を続ける職人!広尾「すし良月(あきら)」

すし良月看板

こんにちは、鮨を愛する鮨ブロガーのすしログ(@sushilog01)です。

広尾の「すし良月あきら」さんは、東京の「予約困難店」の中でも最も伺いたかった鮨店の一つです。

親方の前岩和則さんのご出身は和歌山県との事で、僕は南紀の名店「召膳 無苦庵」の雲井大将からオススメ頂き、気になっていた次第です。

しかし、OMAKASEのアラート設定を掛けていても、空席通知の1分以内には埋まっている始末!

すしログ

何回試みてもムリだったので諦めていたところ、白金高輪の名店蓮香レンシャンの小山内シェフから誘って頂き、訪問が叶いました。

結論から言うと、想像以上に素晴らしく、親方の比類稀なるセンスを実感しました。

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広尾「すし良月(あきら)」の魅力とは?

「すし良月」さんの魅力は多々あるので、5つに絞り、箇条書きにします。

  • シャリの完成度と安定感
  • 古典的な江戸前仕事も採り入れる点
  • 郷土寿司をアレンジするセンス
  • 当世流行りのタネに意識的に向き合っている点
  • 酒肴が高品質でありながら抑制が効いている点

詳細は後述しますが、これらが有機的に組み合わさる事で明確な個性に昇華されています。

そして、一般的な人気店にありがちな「あざとさ」が皆無である点が粋だと感じました。

なお、店名の「良月あきら」は、お祖父さんのお名前との事です。

 

前岩親方は2019年11月に、若干28歳でお店をオープンされました。

「すし匠まさ」で二番手を務めるまで修業された後、中華の「茶禅華」で修業された異色の経歴を持ちます。

しかも、「茶禅華」では、体験入店のような勤務ではなく、みっちり1年修業されたと言うのが凄い。

 

頂いた感想としては、上記に挙げた魅力の通り、期待以上の素晴らしさ。

親方の現在の年齢を考えると、将来が非常に楽しみです。

 

鮨の生命線であるシャリは、ぱらりとほどけつつ、粒がもっちりしていて、お米の甘味も感じる良い炊き加減。

塩味に旨味を強く感じ、オールマイティーに美味しいシャリです。

温度や硬さは申し分無し。

その上、手返しは速く、手数が少ないなど、技術の高さは一目瞭然です。

 

そして、使用しているお酢については、和歌山県の「九重雜賀」さん。

内心「キターーー!!」と思いました。

「九重雜賀」さんは和歌山県紀の川市にある醸造蔵で、使用する鮨店は大変珍しいです。

しかし、実は、日本屈指のお酢メーカー。

伝統的なお酢は日本酒から造られるものですが、今や日本酒から造っている蔵は、こちらと「飯尾醸造」さんくらいだと思います。

「雑賀吟醸赤酢」に目を付けた前岩親方の慧眼に感服します。

 

それでは、おまかせコースの詳細で、お店の魅力をお伝えします。

「すし良月(あきら)」のおまかせコースの詳細

「すし良月(あきら)」のおまかせコースは、時価の要素がございますが、目安としてはOMAKSEの33,000円です。

品数は豊富で、非常に充実した内容です。

 

そして、こちらはソムリエさんがいらっしゃるので、ワインだけでなく日本酒も味覚に準拠したペアリングをご提案頂けます。

「SAKE DIPLOMA」を持つ自分としても勉強になる、刺激的なご提案でした。

  • 今西酒造 みむろ杉 木桶菩提もと 2021
  • 森島酒造 森嶋 純米吟醸 山田錦
  • 藤井酒造 龍勢 ゆらぎの凪(ぬる燗)
  • 松瀬酒造 松の司 純米大吟醸 AZOLLA50
  • 宝剣酒造 宝剣 純米 超辛口

それでは、おまかせの詳細です。

煮鮑

煮鮑

佐渡産。

一口頂いて、「見事なものだ…」と心の中で思った。

くにゅくにゅと柔らかくとも鮑らしい確かな反発がある上に、香りが良い。

食感のグラデーションが実に魅力的な仕事である。

鮑は「ただ柔らかいだけ」では全く面白くなく、「食感のグラデーション」が重要だ。

紫海胆の【いちご煮】風

紫海胆の【いちご煮】風01

青森県産。

鮑出汁と合わせて、郷土料理の【いちご煮】風にアレンジしている。

このセンスはドンピシャで琴線に触れる。

しかも、味付けとアレンジの方向性が良い。

海胆のピュアな甘味と香りが、出汁の旨味と強烈に合う。

それでいて上品。

紫海胆の【いちご煮】風02

調理面でも調味面でも同様の方向性で設計できる職人は少ない。

メジマグロの刺身

メジマグロの刺身

1日前に水揚げされたもので、佐渡の24キロ。

身はぷるぷると活かっているけれど、特有の酸味は溶けゆく脂でマスキングされ、味わいは強い。

食味の良さに提供温度が奏功している。

鮟肝

鮟肝

塊から芯を切り出す鮟肝。

シャトーブリアンのようで贅沢だ。

きめ細かく濃密な味わいで、下味の甘味が抑制されている点も良い。

赤貝のヒモきゅう海苔巻

赤貝のヒモきゅう

千葉県金田の海苔が印象的で、バリッ!と爽快な音を立て、薄くとも香りが抜群。

赤貝のヒモは香りを楽しめて、爽やか。

余韻も心地良い。

九絵の焼きしゃぶ仕立て

九絵の焼きしゃぶ

天草産、32キロ。

噛み締めた時のパンチが凄い。

脂が舌から喉に突き抜ける。

これは言うまでも無く炭火焼きが奏功している。

燻蒸香も付いているが、喉に残る旨味の余韻が強く、印象を上回る。

これは13日の熟成を掛けて、個体の魅力を引き出すモダンな江戸前鮨らしい仕事の賜物だ。

ピリ辛みのある大根おろしも良いアクセント。

単なるおろしだと甘味が冗長に感じられる筈だ。

 

お酒は、森島酒造 森嶋 純米吟醸 山田錦。

虎河豚の白子

虎河豚の白子

明石鯛の出汁とともに。

旨味を足しているけれど、お互いが活きる方向性だ。

この一品の味覚設計は鮨と言うより和食寄り。

 

お酒は、藤井酒造 龍勢 ゆらぎの凪(ぬる燗)。

 

この後、握りに移行する。

ガリ

ガリ

意外にも甘味があり、酸味もあいまってフルーティな印象。

辛味がピリリと爽快。

当初はピリ辛だと思ったが、終盤は思ったよりも辛口に感じた。

鮪中トロ

鮪中トロ

長崎県壱岐産、235キロ。

口溶けが良く、訪問時期(2月末)としては珍しい脂のコクと穏やかな酸味のバランスだ。

ヒートランプウォーマーで鮪の脂を融解させる試みは素晴らしい。

シャリ交換直後の高温度帯のシャリとも調和する。

ヒートランプを用いる鮨店が登場したら、「すし良月」前岩親方のパクリだと一発認識しよう(笑)

鮪大トロ

鮪大トロ

極めて強いパンチの脂だ。

これもシャリの温度と合わせるのが巧い。

鮪赤身

鮪赤身

仕事は切り身の塗り漬け。

むっちりした身から穏やかな脂と酸味、香りが滲む。

旨味がじんわりと喉に広がる春鮪。

余韻は旨味が主体だ。

シャリの温度がトロよりも温度低めな点が味覚に対する良い計算。

アオリイカ

アオリイカ

朝まで生きていたものとの談。

つまり、寝かさず、包丁で食感を表現している。

むっちりした身は軽くぷちりと弾ける。

いきなりとろっとろに溶けないのは、自らのシャリとの相性を考慮した選択だろう。

これも巧み。

アオリイカは柔らかさと強い甘味を前面に出しがちだが、前岩親方ののように仕事と向き合う職人さんがいらっしゃるのは将来の江戸前鮨を考えると頼もしい限りだ。

手練の食べ手ですら、柔らかさ、甘味、脂に懐柔されている昨今。

センスある職人さん、料理人さんは、率先してお客を啓蒙して頂きたい。

ノドグロの蒸し寿司

ノドグロの蒸し寿司01

蒸し寿司が出てくる点も郷土寿司マニアとして嬉しいが、ノドグロ(アカムツ)に対する提供方法が良い。

ノドグロの蒸し寿司0102

自家製ポン酢も相性良し。

白甘鯛

白甘鯛

愛媛県今治の名漁師、藤本純一さんの白甘鯛。

塩で脱水し、白板昆布を用いて軽い〆を行う、細やかな配慮。

ともに塩梅が良い。

このような白甘鯛に頼り切らず白甘鯛の旨味を活かす仕事は頂いて嬉しくなる。

和食の場合には白甘鯛に頼り切る調理法もアリだが、鮨においてはこれではダメと言うのが私見だ。

もともとパワーのある魚種であればあるほど、仕事の選択とシャリとのバランシングは重要になる。

春子

春子

酢オボロ漬け…これは系譜を感じる仕事だ。

しかし、味付けの塩梅が良く、春子の上品な香りと旨味を楽しませてくれる点にセンスを実感。

軽くみちっとした食感で、柔らかすぎない点も良い。

 

合わせるお酒は、松瀬酒造 松の司 純米大吟醸 AZOLLA50。

針魚

針魚

千葉県竹岡産。

これはカンヌキも閂!
※30cmを超え太った針魚は「閂」と呼ばれる

超肉厚で驚いた!!

〆が巧みなお陰か、針魚離れした力強い食感が快感だ。

しかも、昆布〆にしていない点が素晴らしい選択で、それでいて昆布様の旨味を楽しませてくれる。

春子と同様に巧みに〆られた針魚は昆布様の印象を与えてくれるものだが、これを実現できる職人は人気店でも稀有である。

春子と針魚と言う、江戸前の古典的な魚は、職人の技術を端的に表す。

なお、自身の経験だと、春子の仕事は「鮨處やまだ」の山田親方が卓越している。

鰆

みっちりしていて、ぷちりとちぎれる身は脱水が良い証。

鰆の香りと甘味が活きる仕事だ。

炭火がありながら使用しない点に前岩親方の美意識を感じる(※炭火の炙りや焼付が悪いという訳では決して無く、他店で多用される仕事を封印されている点に粋を見る次第である)。

越前蟹の蒸し寿司

越前蟹の蒸し寿司01

江戸前鮨のコースの中に蒸し寿司を2つ加えるとは、素敵な試みだ。

越前蟹の蒸し寿司02

甘味がたっぷりなので、シャリの酸味が活きる。

この酸味の広がりが、実に蒸し寿司らしい。

器の下に大葉を敷いて蒸している点など、細やかな配慮が本当に好感。

湯気とともに立つ香りも蒸し寿司の魅力だ。

小鰭

小鰭

〆で脱水させてから寝かせており、クラシックを感じる〆の仕事だ。

塩だけでなく酸味も浸透させつつ旨い。

さらに、小鰭の香りの立て方も良い〆の仕事。

下手をすると表れる小鰭のネガティヴな要素が一切無い。

赤貝

赤貝

昨今定評ある山口県産。

香りは穏やかだが、旨味が強烈!

赤貝特有の昆布的な旨味が舌と喉にビリビリと伝わる。

かつての閖上のピンのような旨味の粒子のきめ細かさこそ無いが、仕事で旨味を強化していてこれぞ鮨だと実感する。

良いモノを仕入れました、で終わっていない。

これは4日水抜きを行う仕事が奏功していて、厚みがある赤貝を活かす仕事だ。

ノレソレ、鼈出汁

ノレソレ鼈出汁

実に意表をつく取り合わせだが、大味でも下品でもない。

強烈な旨味は言わずもがな。

ノレソレの食感の表現が良く、とろろんと仕上げ、鼈出汁のゼラチン質と旨味に調和させる。

強い旨味を持つ赤貝の後でも違和感なく、むしろ鼈が浮かない構成になっている。

また、穴子の前にノレソレとは、粋な流れではないか。

 

合わせるお酒は、宝剣酒造 宝剣 純米 超辛口。

穴子

穴子

サラマンダーではなく炭火らしい香ばしさと軽いサクッと感を纏い、ほのかに苦味がある。

良い焼きだ。

焼きによって親方らしさを出している。

煮加減はホロホロのところ、焼きで他店とは異なる仕上げに。

シャリの酸味が後味を引き締める点も良い。

干瓢の手巻き

干瓢の手巻き

手巻きで、まさか干瓢が温かいとは驚いた。

温度が高いので甘味を感じ易い。

それでいて、最後に山葵の辛味がバシッと涙ギリギリまで追い込んできて、爽快に終わる。

メジマグロ(追加)

メジマグロ

湯霜漬けで脂と風味を閉じ込めている。

鰤(追加)

鰤

和歌山県産。

食感はみちっとしていて、脂が乗っていて、香りが良い。

産地に惹かれて頼んで正解であった。

玉子

玉子

帆立を極めて上品に使用している。

帆立の香りは穏やかで、甘味の部分を活かし、食感も良い。

「すし良月(あきら)」の立地と雰囲気

「すし良月(あきら)」は広尾、恵比寿、白金のいずれの駅からも離れています。

しかし、今や美味しいお店が増えたエリアなので、足を運ぶ事に抵抗感を覚える人はゼロでしょう。

すし良月看板

お店の外観、内観ともに重厚な雰囲気ではなく、軽やかに上品な雰囲気です。

爽やかな前岩親方に合っているなと感じました。

 

ちなみに、この場所にはかつて「心白」さんが入っていたので、懐かしい限りです。

「心白」さんは2014年12月15日にオープンされたところ僕は2月にお伺いして、その後、5回ほどお伺いした事があります。

「すし良月(あきら)」のお店情報と予約方法

WEB予約については、OMAKASEでの予約になります。

訪問されたい方は、アラート設定は必須です。

 

すし良月(食べログのリンク)

店名:すし良月(あきら)

シャリの特徴:和歌山県の「九重雜賀」のお酢を巧みに用い、オールマイティーに美味しいシャリ

予算の目安:おまかせ33,000円ほど

TEL:050-3390-0121

住所:東京都渋谷区恵比寿2-37-8 グランデュオ広尾1F

最寄駅:広尾駅から750m、恵比寿駅から1,100m、白金台駅から1,100m

営業時間:12:00~14:30、18:00~21:15、21:30~22:45

定休日:月曜、たまに不定休

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才気あふれる若手職人さんに出会うと鮨の未来が楽しくなる、すしログ(@sushilog01)でした。

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