![鮨無垢看板](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/cbc9037be16a81dbfbd92206f56c7863.jpg)
こんにちは、鮨を愛する鮨ブロガーのすしログ(@sushilog01)です。
以前、鮨と日本酒のペアリングで可能性を感じた、五反田の「鮨あさひ」さん。
六本木に新店舗を出されたと聞いて、オープンからしばらく経ったタイミングで訪問しました。
結果的に、五反田の「鮨あさひ」さんと同様に「SAKE DIPLOMA」スタッフによる日本酒のペアリングが面白い!
「日本酒原価酒場」のクリエイティブプレイスさんが資本だけあり、日本酒の品揃えと明確な個性を確立しています。
「ピン」を求めれば幾らでもあるのが東京ですが、「鮨と日本酒のマリアージュ」を求めると極端に少ないのが東京のみならず日本の現状です。
僕自身「SAKE DIPLOMA」を取得したのは、鮨ならびに飲食業界に日本酒のペアリングを提案したいから。
すしログ
日本酒に詳しくない人ならば日本酒に魅了されることと思います。
僕自身、下記の記事を書いています。
![日本酒ペアリングアイキャッチ](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/180d24d848d523498c7a86b37926576b-160x160.png)
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六本木「鮨 無垢」さんの魅力は、「鮨あさひ」さんと同様に日本酒ペアリングに尽きます。
鮨において今まで考えてこられなかったペアリング理論を用い、相互補完的に相互の魅力を高めるコースは今のところ珍しい。
そして、五反田、六本木と訪問して、スタッフ教育とマニュアル構築のスピード感と精度の高さに驚きました。
既にペアリングの型が出来ていて、若手職人さんもOJTで教育されていたのが凄いなと。
これは伝統的な江戸前鮨店では難しい事なので、資本系ゆえの強みだと感じました。
食べ歩きをする人の中には「資本系NG」な人もいますが、個人的には両方あるからジャンルの人気が伸びるのだと思います。
なお、ペアリングについては、日本酒であってもワインであっても、「料理ベースのお店」と「お酒ベースのお店」があるかと思います。
100%比重が置かれていなくとも、どちらを重視してコース設計するかは非常に重要。
その意味において、こちらは「お酒ベースのお店」だと感じます。
個人の江戸前鮨店は「料理ベースのお店」なので、「鮨あさひ」さんや「鮨 無垢」さんでは、この点を意識すると楽しさがアップするはずです。
最後に、非常に細かい着眼点となりますが、こちらは酒肴1品と握り2品に日本酒を合わせて行くのが基本的なスタイルなのですが、それら3つで日本酒の味や印象が変化する点が素晴らしいです。
料理1品に日本酒1銘柄を合わせるスタイルではないので、日本酒の様々な表情とポテンシャルを実感できます。
訪問される際には、念頭に置いてみてください。
【極上SAKEペアリング付きおまかせコース】は、「鮨あさひ」さんと同じ14,300円です。
六本木交差点至近の立地なので、個人店では不可能な価格設定です。
さらに、【超希少黒龍4種含むSAKEペアリング付おまかせコース】が15,900円で驚きました。
「石田屋」、「二左衛門」、「しずく」、「八十八号」が付いて、通常プラス1,600円はバグっています。
コースの内容
- 先付
- 水芭蕉純吟スパークリング+本鮪のネギトロと海胆混ぜ
- 【同居】ペアリング:新政NO.6 X-type×真鯛と煎り酒・もずく酢・ミズダコの握り(塩酢橘)
- 【補完ペアリング】:笑四季劇場アンドロメダ×鰤の塩焼きとカボチャのポタージュ・カンパチの握り・春子の握り
- 【マスキング・ペアリング】:花の舞酒造・白銀×蒸しアワビ磯の風味に・北寄貝の握り・鮪中トロの握り
- 【マスキング・ペアリング】:獺祭純米大吟醸磨き45、アワビ肝ソースと獺祭の山田錦ご飯
- 【温度変化による濃淡の調和】:すっぴんるみ子の酒×秋鮭の小丼塩いくら・小鰭の握り・鮪赤身漬けの握り(柚子)
- 【相互効果ペアリング】:秋鹿の燗酒×鰆の西京味噌焼き・九絵の握り・煮穴子の手巻き
- 黒龍の貴醸酒×玉子焼き
日本酒に入る前のドリンクが1杯無料というのは、五反田店と同様のサービス。
![ヱビスマスター](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/6a248dda30be85dd9f217816b1d0503a.jpg)
【ヱビスマスター】を頂きましたが、通常だと800円なのでお得に感じます。
先付
![先付](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/6fafa843c0f0b095b90e26904b1de1a6.jpg)
蕪のお浸し、クリームチーズの純米酒粕漬け、タコとワカメの胡麻和え。
五反田店で頂いた時よりも洗練されていて安心する。
シンプルに野菜を提供するのは良い選択。
お浸しにはほのかな甘味があるため、ほのかに家庭的な味付け。
胡麻和えには錦胡麻に胡麻油を加えていて、胡麻の香りを強く実感する。
水芭蕉純吟スパークリング+本鮪のネギトロと海胆混ぜ
![水芭蕉](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/7cfd5ce6c0899d8e0a9662f3afe85fd8.jpg)
![本鮪のネギトロと海胆混ぜ](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/cff244a01dc50ee3a84467a8f9dc273b.jpg)
本鮪のネギトロと海胆を混ぜ、イクラと合わせるという豪胆な提供方法。
しかも、イクラは塩漬けイクラを鰹出汁に漬けているそうで、旨味と甘味の強烈な足し算だ。
水芭蕉スパークリングは瓶内二次発酵させたスパークリング日本酒で、米由来の旨味、苦味、甘味にブドウのような香りが印象的。
料理が強い味なので、スパークリング日本酒の爽やかな味とガスのシュワシュワ感で味を切るイメージのペアリングだ。
真鯛と煎り酒
![真鯛と煎り酒](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/9773dad4fc3df2010a7b2abb761ffb71.jpg)
香りを楽しむ魚である真鯛に香りが付いている煎り酒を合わせるとは、普通のお店なら疑問符が浮かぶところだが、こちらは日本酒と合わせる為の設計だ。
とは言え、鯛には仕事がしてある。
脱水されていて、食感はみちっとしているので、噛みしめると香りを取りやすい。
![新政X](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/8ba4190327d093074e8b7502f7ad371a.jpg)
新政(NO.6 X-type)特有の酸味と、煎り酒の酸味を合わせるペアリングの設計。
もずく酢
![もずく酢](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/ef8e12ae7e3086fe30d597a2c163795d.jpg)
もずくは沖縄県産で、長芋、ガリとともに。
三杯酢は酸味が強めで、甘味があるので、新政NO.6 X-typeの味わいが変わり、サプライズがあるペアリングだ。
お酒もしくはお料理の味が変わる、要はマリアージュがあるペアリングは鮨店では珍しい。
水鮹
![水鮹](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/83f33e61f812383f5d4524f0ba34a9c0.jpg)
味付けは塩、酢橘。
新政NO.6 X-typeの温度が上がり、まろやかな甘味を感じやすくなったタイミングで、酸味を効かせたタネと調和させる方向性が面白い。
お酒の温度帯も考えている点は素晴らしい(ほとんどの和食店で考えられていないポイントだが、非常に重要だ)。
笑四季劇場アンドロメダ
![笑四季劇場アンドロメダ](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/f9fca25b12327fb36ae3e1d7dba555a9.jpg)
まだ試験醸造で、市場に出ていないお酒との事。
これは嬉しい。
香りについては、上品なリンゴ香にメロン、白桃が混ざり、ミネラル香も強い。
味わいは、まろやかな甘味が広がり、すぐに旨味を伴った苦味が切る。
![鰤の塩焼きにカボチャのポタージュ](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/85d243c1fcfa013fbccc0329e966f883.jpg)
合わせるのは、鰤の塩焼きにカボチャのポタージュとほうれん草を合わせる変則的な酒肴。
これがお酒と合う。
鰤の酸味と脂、カボチャの甘味に、華やかな香りで甘味がありながら苦味のある方向性のお酒は相乗効果が期待できる事を体感した。
カンパチ
![カンパチ](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/1cbf6310bea62d4925e4992e0ef6ebf8.jpg)
春子
![春子](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/14eefc0ae5fe64c3179b53f89e64afa7.jpg)
特に春子との相性が良い。
日本酒の甘味、香りが華やかに調和する。
春子には昆布を当てているが、それ故にカプロン酸エチルと合うのだろうか?
自分も自宅で試してみたい。
![花の舞酒造白銀](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/d126a057009afe7c323b88990bcdb258.jpg)
花の舞酒造・白銀は精米歩合60%のお店オリジナル銘柄で、鮑の磯の香りをマスキングする選択との事。
生酛造りとの事だが、生酛由来のニュアンスは無い!
青いバナナ香を感じた後に、酸味と苦味がキレとなり、ボディの旨味が余韻として残る。
お米を磨いているのにコクを伴う苦味が強い点は印象的だった。
温度が上がるとバナナやメロン感が高まる。
![鮑02](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/55cc18e2f3a1a96657ddcd5d134cd80a.jpg)
強烈な味わいを持つ鮑の肝に酢酸イソアミル系の香りを持つ日本酒は相性が良い事が分かる。
![鮑01](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/1f5a24bef40974e10cbcb1fc6412fe45.jpg)
こちらの定番の提供方法だが、鮑の肝ソースに油脂は使わない方が絶対に良い。
そして、肝ソースに投入するお米は獺祭の山田錦。
![鮑04](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/1ff64f2f05da8ffc38ae8d885f0e8e0a.jpg)
![鮑03](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/c6aae9eabacaa551ecb7adbecfe15b02.jpg)
獺祭と合わせる、この提供方法は大変ユニークだ。
帆立
![帆立](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/12e9facf30748137bd36abced5cb0e5e.jpg)
炙って、特製の出汁に漬けているそう。
帆立の甘味を日本酒の苦味が引き締める方向に変化する。
お酒の印象が変わるところも、こちらの面白い点だ。
鮪中トロ
![鮪中トロ](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/e92cc87d3264d9533435363dd91b5006.jpg)
脂が強く、産地はアイルランドだろうか。
この脂をお酒の苦味が切る方向性だ。
苦味のある酢酸イソアミル系の日本酒は鮪に合わせられる事を実感。
すっぴんるみ子の酒
![すっぴんるみ子の酒](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/c521425b4da5504ed6b8d3f600ced6b8.jpg)
骨太な味わいを楽しませるため、冷や(常温)より少し高めのぬるい温度での提供。
最初に合わせる料理は、炙り白子。
![白子](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/c7032f524ec9db9da062dc7646ebfcd1.jpg)
途中から酢橘果汁入りの鰹出汁を掛けて頂くスタイルがユニークだ。
白子は下味を漬けて焼き込んでいる。
出汁の酢橘と酢飯の酸味がキリリと爽やかな印象を残す。
鯵
![鯵](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/1de61c3f37cc594ead9f83c526340cba.jpg)
脂が乗った鯵の温度を完全に常温に戻して、日本酒の温度と合わせている点が素晴らしい配慮。
味覚の面でも相性が良く、軽く寝かせている【すっぴんるみ子の酒】と合う。
鮪赤身
![鮪赤身](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/667974d0495df8657f902e807e363028.jpg)
柚子が強めの漬け。
これ単体では疑問符を抱く仕事だが、お酒の酸が調和してコクと相乗効果を与える。
冒頭に書いたが、日本酒の印象をタネ毎に変えていくプレゼンは実に素晴らしい。
秋鹿 槽搾直汲 山田錦 純米吟醸
![秋鹿](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/410b96d591ee7e61912baeb03a0583ab.jpg)
48℃の燗酒で頂く。
鰆の西京味噌焼き
![鰆の西京味噌焼き](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/22a72bfa19e7dbc7ab453bbb3b9eb9a2.jpg)
日本酒の苦味、旨味、甘味がバチッと調和する。
鰆については、漬け込みも焼きもしっかり強めなので、燗酒に合う。
高級店ではしっとりと仕上げるので、日本酒にアジャストした調理だと言える。
香の物は、キュウリの山葵漬けと沢庵。
特に沢庵が秋鹿の燗酒に合い、泣かせる相性の良さだ。
九絵
![九絵](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/33abaf9f7c5bdce2797129c5476a1999.jpg)
握った後に昆布に乗せて蒸すと言う「握り蒸し鮨」にしているそうだ。
みっちりとした食感で、九絵の旨味の後に昆布の旨味を感じさせる段階的な設計が良い。
昆布の旨味や香りが先行すると、技に溺れた印象を抱いてしまうだろう。
提供温度帯も燗酒と合う。
穴子の手巻き
![穴子手巻き](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/6554628de573aea809e3a37488657664.jpg)
ふわふわ、とろんと、柔らかな食感で、甘味は程良い。
シャリの酸味が加わり、酒の旨味と苦味で合う。
甘味で合わせないところが良いペアリングだと実感。
椀
![椀](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/f4096ece52bd35e3b1b4745e1cb810f0.jpg)
リーズナブルなお店にありがちな、蜆のネガティブな香りは無く、好印象。
玉子焼き
![玉子焼き](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/ee4565c5d15203bed10bdf831d8c996a.jpg)
キャラメリゼのパリパリ感とふわんふわんな食感。
![黒龍の貴醸酒](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/4ab2ebc77f656571d0b268eccf6e6e95.jpg)
黒龍の貴醸酒との相性が本当に抜群だ。
「鮨 無垢」さんは六本木交差点から徒歩5秒の場所にあります。
![無垢外観](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/f2033bfaf13f195c6388386dd6d41e44.jpg)
屋号が書かれていないので、知らなければ気になって終わりです。
ビルの地下1階で別々の鮨店を営んでいて、店内で別々の間取りになっています。
![無垢外観02](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/3c6251fea8801391b68c9f9b070c5a6b.jpg)
内装はスッキリしていて、カジュアル。
照明は落とし目でしっとりしていますが、什器や施工は若い人でもリラックス出来るもの。
六本木ではありますが、気軽に訪問できるカジュアルな方向性です。
WEB予約については、食べログ経由で可能です。
店名:鮨 無垢(すし むく)
シャリの特徴:特注の一梅酢を用い、万能タイプに仕上げたシャリ。温度や硬さはバッチリ。
予算の目安:極上SAKEペアリング付きおまかせコース14,300円ほか
TEL:03-6804-1763
住所:東京都港区六本木7-14-7 トリニティビルB1F A
最寄駅:六本木駅から100m
営業時間:17:00~23:30(最終開始21:30)
定休日:月曜
自身が書いたペアリングの記事
![日本酒ペアリングアイキャッチ](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/180d24d848d523498c7a86b37926576b-160x160.png)
姉妹店の五反田「あさひ」
ワインペアリングを行う鮨店
神楽坂「すしふくづか」
表参道「鮨m(エム)」
奥渋谷「あじゅう田」
鮨と日本酒のポテンシャルにワクワクする、酒ディプロマのすしログ(@sushilog01)でした。
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