こんにちは、料理旅館が大好きな、すしログ(@sushilog01)です。
さて、小豆島は料理に関心のある方なら知る通り、醤油醸造で有名な島です。
全国で1%程度しか現存していない木桶で仕込む醤油蔵も、小豆島にはなんと20蔵もあるそうです。
まさに醤油の聖地!
明治時代には400軒もの醤油蔵が軒を連ねていたそうなので、さぞ圧巻だったことでしょう。
(※衰退ではなく品質を追求して厳選された結果、現在の造り手に集約されていったそう)
その小豆島で醤油にフィーチャーした料理を提供する旅館が「島宿真里」さんです。
名物の「醤油懐石」は期待以上に面白く、美味しくて、インスピレーションを頂きました!
和食、発酵、調味料に興味がある人に特にオススメです。
島内の醤油蔵見学と合わせると、体験価値が高まります。
タップできる目次
「島宿真里」さんはモダンな内装のお宿ですが、実は3代続く老舗とのことです。
現在の3代目のお祖母様が民宿としてスタートして、2019年に創業50年を迎えた模様。
そして、2代目が高級旅館に業態を変更されて今に至ります。
2019年には全室オーシャンビューの別館「海音真里」さんをオープンされて、小豆島を代表する料理旅館となっています。
「島宿真里」さんの魅力については、下記のとおりです。
- 醤油懐石
- 落ち着く雰囲気
- (良い意味で)カジュアルな接客
名物の「醤油懐石」が楽しくて美味しいのは言わずもがな、空間も大きな魅力です。
都会の喧騒を忘れさせてくれる、ちょっとした隠れ家感のある内装で、大変落ち着きます。
高級ホテルのようにパリッとした接客ではないので、日本人ならホッと安心感を抱ける、そんな接客も魅力です。
名物の「醤油懐石」はもろみをドリッパーでろ過するところから始まり、醤油の魅力を伝えてくれる秀逸なコースです。
純粋に味の比較だと都会の高級店に軍配が上がりそうなものですが、コンセプトと体験価値によって、都会の高級店に匹敵もしくは凌駕する魅力を与えてくれるのが料理旅館。
そこでしか得られない体験や文化を感じると、自然に感動するものですね。
「醤油懐石」の詳細は、次の項目でチェックしてください!
それでは、まずは夕食のご紹介です。
温泉につかってから食事をできるのが料理旅館の魅力…幸せです。
調理については全体的に甘味を感じる味付けで、これは土地の味かな?と思いました。
よくある「旅館メシ」のような野暮ッたさは無いので、郷土の味として楽しめる次第です。
この度頂いた日本酒
- MORIKUNI ふわふわ。純米吟醸酒
- 西野金陵 金陵 特別純米酒 楠神
「MORIKUNI」は小豆島唯一の酒蔵「小豆島酒造」さんのブランド。
もともとは香川県高松市で1872年に創業された「池田酒造」がルーツで、2005年に「森國酒造」として小豆島でオープンしたそうです。
その後、2019年4月に現社長の池田亜紀さんに運営が譲渡され、ブランドリニューアルによって、小豆島酒造「MORIKUNI」として復活。
現在主流の蔵元杜氏ではなく、杜氏集団から杜氏を呼んで酒造りを行う伝統的なスタイルを採られていて、腕の立つ但馬杜氏が醸しています。
事前予約をすれば見学もさせて頂けて、全ラインナップをテイスティング可能です。
僕もお宿にチェックイン後、見学させて頂き大満足でした。
なお、見学と言えば、ぜひとも醤油蔵も見学されてください!
▶「島宿真里」さんがメインで使用している正金醤油(要予約・平日のみ)
醤油蔵を見学すると、醸造の崇高さを実感するとともに、醤油の美味しさがアップするのは間違いありません。
家に複数種類の醤油を常備したくなるはずです。
それでは、コースの詳細に入ります。
前述の通り、正金醤油さんのもろみをドリップするところからコースが始まる。
一般的に販売されている醤油は火入れを行っていますが、こちらは蔵から特別に入手している非加熱の「生あげ」。
しぼりたての醤油の風味には驚くこと必至。
しぼりたてのフレッシュな醤油は鮮烈な赤い色で目を奪う。
島で採れたスダチと自家菜園のローズマリーのシロップを使用。
甘味が控えめですっきり。
ビンテージっぽいグラスと漆器の盆が素敵な相性。
カリッと焼いて塩気が効いた餡でたけのこ芋の甘味を引き立てる。
酒肴にもなる。
濃厚な味わいのねりたて胡麻豆腐で、胡麻自体の甘味を感じられて旨い。
そして、もろみが良い香り!
コースを甘味が付いて2品で始める構成が面白い。
諸味漬 いりこ酢掛け、蛸自然薯おろし、にし貝黄身酢、南蛮漬いりこドレッシング、もえび麹酢みそ。
【諸味漬 いりこ酢掛け】は「いりこ酢」が個性的。
名前の通りいりこの風味が効いていて、酸味が穏やかで、甘味があるほのかな甘酢。
野菜は、ほうれん草、ゴボウ、茗荷。
【蛸自然薯おろし】は、蛸を細切りにしてサッと湯がいているのかな…?と思いきや、恐らく軽く干している模様。
これも甘味ある味付け。
【にし貝黄身酢】はトコブシのような食感に仕上げている。「和製マヨネーズ」と言える黄身酢と合う。
【南蛮漬いりこドレッシング】もいりこの風味が効いていて土地柄を感じて良い。
【もえび麹酢みそ】は、お米の熟成したような香ばしさと海老の甘味が面白い組み合わせ。出汁を含ませて塩気が軽い春菊も小粋。
讃岐うどんに使われる県産の小麦「さぬきの夢」を使用している。
むっちりしていてパツパツの食感。
もろみの風味が堪らない!
白菜を鰹出汁で煮込んで裏ごしをして、牛乳を加えたすり流しとのことでユニークだ。
魚は鯛。
炒めた白菜も加えて香ばしさと強い鰹出汁の香りの調和が面白い。
創作的で嫌みのない椀。
魚介類は、鮃、メジナ、スズキ、にし貝、そして小豆島産の野菜。
そして、醤油はこちらでは脇役ではなく主役級。
目の前でドリップした生あげ醤油、生のもろみに甘味や生姜を加えた諸味たれ、低温殺菌と膜ろ過による淡口醤油、大豆・小麦のアレルギー対応として開発されたそら豆醤油の4種類だ。
鮃、メジナ、スズキ。
全て肉厚な切りつけで、ぶ厚くてワイルド!
「漁師の刺身」と言った感である。
ただ、味は予想を遥かに超える美味しさ。
料理旅館とは言え、旅館でこのクオリティの刺身は嬉しい限りだ。
鮃は肉厚で脂がたっぷりと乗っている。
味わいが濃いので、醤油によって旨味が活きる!
メジナも脂たっぷりで香りも良い。
スズキもこの時期なのに脂が乗っている。
その上、旨味もあり喉で感じられるほどだ。
全てネガティブな香りや酸化に伴う酸味は無し。
さらに、山葵は本山葵で甘味がたっぷり!
ここで、醤油のレビューを。
生あげ醤油は前述の通り赤い色合いに驚くとともに、香りが実に良く、旨い!
淡口醤油は香りもコクもサッパリしているので、淡白な鮃を引き立てる。
そら豆醤油は空豆の香りがたっぷりで、良い意味でクセが個性派だ。
なので、香りにクセのあがあり旨味が強いにし貝と合う!
諸味たれは和三盆と胡麻を効かせており、肉とも相性が良いであろうタレだ。
「オリーブ牛」は香川県産の黒毛和牛で、オリーブ飼料(小豆島産オリーブのしぼり果実を配合したエサ)を与えているそうだ。
出荷2ヶ月前から毎日200g以上オリーブのしぼり果実を与えた牛で3等級以上のものが「小豆島オリーブ牛」として認定される。
「島宿真里」さんでは、オリーブの茶葉で燻しながら焼き、もろみを用いた「醤ぽん酢」と頂くところがユニークである。
もろみを活かしてポン酢にする発想が面白い。
ほんのりと効いたスモーキーフレーバーが良い。
「ゲタ」とは舌平目の小豆島での呼称だそうだ。
それを一夜干しにして焼き、長ネギと合わせた煮物椀。
長ネギはトロトロに煮込んで裏濾ししているそうで、発想が面白い。
ネギの甘味と香りが嫌み無く凝縮されている。
甘辛い照焼きの鰆に、甘酢だけでなく蜜柑のエキスを合わせている点が素敵。
お米は中山千枚田のコシヒカリ。
2024年新もののオリーブの新漬とオリーブオイルを使った炊きこみご飯で、途中からもろみを合わせて頂く。
これが驚嘆に値する程に美味しかった。
出汁で炊いたご飯、鮮烈な味わいのエクストラヴァージンオリーブオイル、もろみ、それらが唯一無二の味わいをおりなし、お腹が一杯でも止まらなくなる。
高尾農園さんのルッカ種のエクストラヴァージンオリーブオイルは苦味と青い香りが出汁ご飯に絶妙に合う!
64gで2,484円する高級オリーブオイルだが、ついつい購入したほど(720ml換算で27,945円とは!!)。
香の物も抜かりなく自家製。
このご飯に、シンプルな澄まし汁をあわせるセンスも嬉しい限りである。
なお、僕は下記の記事を書くほどオリーブオイルが好きだ。
▶【本当に美味しい】本物のオリーブオイルを選ぶ方法とオススメの高級オリーブオイル
その上で、小豆島産のオリーブオイルの上質さに感銘を覚えた。
高尾農園さんのものは希少なので入手しづらいが、最も歴史ある東洋オリーブさんの下記のものも美味しかった。
ふるさと納税もあるのがありがたい!
国産の美味しいオリーブオイルの記事もまとめよう…と心から実感した。
シャーベットには島のキウイを使用していて、濃密なキウイの甘味と香り、酸味を楽しめる。
薩摩芋レアチーズは芋の香りとねっちり感があり、チーズも香るチーズケーキ。
「島宿真里」さんは朝食も美味しい。
ボリュームは多すぎず、満足度が高い朝食である。
豆腐はきめ細かい絹ごしなのに凝縮感があり風味豊かだ。
【こびき平麺】は、むっちりした食感で、歯ごたえのあるうどんと素麺の間の子的な趣。
ご飯はもちろん炊きたて。
付け合わせのオリーブ牛の時雨煮がご飯泥棒である。
そして、デザート。
パイナップルに地元のみかんをブレンドしたジュースも爽やか。
「島宿真里」さんは小豆島の中で醤油蔵や酒蔵が密集するエリアにあります。
観光資源が豊富なエリアですが、流れる空気はゆるく、落ち着いています。
ぜひとも周囲を散歩するのがオススメです。
テラスから見た周囲の風景。
お部屋は温かみがあり落ち着きます。
そして、露天付きの貸切風呂もありますが、お部屋のお風呂も眺望が良く心地良かった。
「島宿真里」さんは旅館なので、各種予約サイトからWEB予約が可能です。
今回の印象が非常に良かったので、今度は姉妹宿の「海音真里」さんにも泊まりたいと思いました。
店名:島宿真里(しまやどまり)
予算の目安:30,000円~40,000円
TEL:0879-82-0086
住所:香川県小豆郡小豆島町苗羽甲2011
営業時間:チェックイン14:00~、チェックアウト10:00~
定休日:不定休
オーベルジュが大好きな、すしログ(@sushilog01)でした。
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