「瀬戸内じざかな日和」レポートNo. 3:広島の江戸前鮨の現状と地域グルメを活性化する方法

すしログレポートアイキャッチ03

こんにちは、鮨ブロガーの、すしログ(@sushilog01)です。

「No. 1」「No. 2」と紹介してきた当レポートも今回で最後になります。

「No. 3」では、「候補店のリサーチと店舗訪問で見えてきた課題」を整理します。


さらに、「No. 1」と「「No. 2」の内容を踏まえて、広島の水産業に関する問題提起も行います。

そして、最後に、「今後への提案~地域グルメを活性化する方法~」を3点紹介します。


本記事は広島県の内容ですが、他県の方もご参考になる部分があるかと思います!

ご意見やご感想があれば、是非ともお聞かせください!(ご連絡フォーマットはこちら)。

※本記事には店名が多数登場するので、敬称を割愛させて頂くことをご了承ください

本記事がオススメな方
  • 広島に関心がある方
  • 広島在住、広島出身の方
  • 魚、鮨が大好きな方
  • 広島の職人さん、料理人さん、生産者さん
  • 広島以外で郷土性を志向する職人さん、料理人さん

広島の江戸前鮨の現状と課題の分析

まずは、広島の江戸前鮨の現状を見て行きましょう。

今回、広島県の鮨・地魚に向き合うべく、広島に存在するほぼ全ての鮨店・寿司店に目を通しました。

合計店舗数は490軒。

その中で一定のレベルを超えている江戸前鮨のお店は18軒でした(全体の3.67%)。

鮨店の調査において重視する項目

  • 酢飯(シャリ)の状態が良い
  • おにぎりではなく鮨として握れている
  • 鮨種(魚)の切り付けが良い
  • 鮨種に江戸前鮨の仕事(調理法)を施している
  • 創作的な調理を控えている
  • 地魚を使用している
  • 本山葵を使用している

僕は、ふだん訪問するお店を選ぶ時は更に多くの項目を確認しています。

ただ、本記事では細かくなりすぎるので上記のみ挙げます。

これらだけでも意識すれば、美味しいお店に出会う確率は格段に上がります。


さて、18軒という数字が、多いのか、少ないのか?

他県のデータと比較してみましょう。

岡山、愛媛、新潟との比較

都道府県名合計4.0オーバー3.5オーバー
広島県490軒0軒(0%)20軒(4.0%)
岡山県360軒2軒(0.5%)12軒(3.3%)
愛媛県308軒1軒(0.3%)24軒(7.7%)
新潟県573軒2軒(0.3%)35軒(6.1%)

隣県の岡山県と愛媛県は、県外から鮨目的で訪問する人が多い事で有名な県です。

そして、豊洲での魚の評価も高い県です。

上記のデータは、食べログで調査して集計しました(2022年2月公開時点)。


岡山には、かつて「西の横綱」と全国に名を知られた名店「魚正」(1946年~2019年)があり、現在もその系譜が続いていて、他にも、京都に「きう」を持つ「すし処 ひさ田」など、多くの人気店があります。

愛媛には「鮨の間」「鮨いの」と言った人気店があり、僕が最も期待している俊英「くるますし」や、他店と異なる方向性の「鮨 まえざわ」、今治で藤本さんの魚を駆使する「あか吉」など、お店のバリエーションに富みます。

広島は3.5オーバーの「店舗数」で比較すると負けてはいませんが、4.0オーバークラスのお店=ミシュランが言うところの三ツ星「そのために旅行する価値のある卓越した料理」や、二ツ星「遠回りしてでも訪れる価値のある素晴らしい料理」を提供するお店が少ない状況と言えます。


実際にミシュランを確認したところ、下記の通りの状況です。

都道府県名三ツ星二ツ星一ツ星
広島県0軒0軒3軒
岡山県0軒2軒3軒
愛媛県0軒2軒2軒

ミシュランはシビアなので全体的に数字が小さいものの、実情を反映していると判断できます。

ただ、ミシュランの選出を見ていると、純粋に味だけでなく、都市・所在地の性質も考慮していると感じます。

あるジャンルの店舗数が多かったり、全ジャンルで美味しいお店が多かったりする都市は評価が緩くなる印象です。

なので、広島の各既存店が頑張っておられることは強調しておきます。

一ツ星は「近くに訪れたら行く価値のある優れた料理」です。


そして、新潟県もここ数年で鮨の知名度を一気に高めました。

また、新潟県はグルメツーリズム(ローカルガストロノミー)で成功を収めている県です。

その事実は岩佐十良さんの名著『新潟美食手帖』を読めば一目瞭然です。

僕が初めて新潟県を開拓したのは2012年で、その後2年に1回ほどのペースで訪問しています。

しかし、2012年から2014年頃までは、食べログのトップはラーメン店や安い居酒屋ばかりでした。

今や、グルメな人たちが「そのために旅行する」お店が増え、トップ3のうち2軒が鮨店と言う状況です。

「兄弟寿し」「登喜和」と言うツートップの職人さんの奮闘が奏功するとともに、鮨がグルメのキラーコンテンツになる事を証明しています。

お二人の職人さんは、漁師さんと連携して魚の質を向上させていて、それが結果に繋がっているのは間違いありません。


ちなみに、僕は食べログ公認のトップレビュアーで2013年から投稿していますが、お店選びの際にスコアや権威性は全く気にしていません。

むしろ低スコアが好きです(頑張っている実力のある方を応援したいためです)。

その上で、美味しいお店と出会うには、自身の「選球眼」を鍛えつつ、信頼する友人・知人の口コミを基準にするのが良い、と発信しています。

しかし、食べログはデータベースとしては国内で最も有用なサービス。

よって、上記のデータは現状を反映していると判断できます。


さらに、筆者が「ご当地江戸前鮨の二大巨頭」と考えている、札幌と福岡を加えてみます。

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鮨が「旅する理由」になっている札幌、福岡との比較

都道府県名合計4.0オーバー3.5オーバー
広島県490軒0軒(0%)20軒(4.0%)
岡山県360軒2軒(0.5%)12軒(3.3%)
愛媛県309軒1軒(0.3%)24軒(7.7%)
新潟県573軒2軒(0.3%)35軒(6.1%)
札幌市587軒4軒(0.7%)107軒(18.2%)
福岡市490軒5軒(1.0%)89軒(18.1%)

流石に人気店の数が違います。

両都市ともに3.5オーバーのお店が18%とは、鮨が旅の誘因となっている事は間違いありません。

そして、人気店の多さが若手職人のインセンティブになっているのも間違いありません。

東京の有名店で修業した職人さんがUターンで戻り、さらに人気店が増えて行く好循環が生まれているのだと思います。


いきなりここまでのレベルに到達するのは不可能ですが、人気店が増える事で広島も新潟のようになれるはず……と信じています。

ともに日本酒の優等県という共通点もありますしね!

自分がより深く関わるならば、SAKE DIPLOMAの立場から日本酒のペアリングを交えた企画を練ります。

県にとっては一石二鳥、お店と消費者にとっては相乗効果がある企画でないと、持続性がありません。


いずれにせよ、地魚のPRにおいては、鮨が効果的である、とデータが裏付けています。

鮨ジャンルでの交流人口が増えると、県内外の人が「○○という魚は美味しい」と認識して、情報発信してくれるようになります。

日本の効果的なフードツーリズムの一つ「鮨ツーリズム」なのではないでしょうか?


最後に、「鮨の聖地」である東京も加えてみます。

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「鮨の聖地」東京との比較

都道府県名合計4.0オーバー3.5オーバー
広島県490軒0軒(0%)20軒(4.0%)
岡山県360軒2軒(0.5%)12軒(3.3%)
愛媛県309軒1軒(0.3%)24軒(7.7%)
新潟県573軒2軒(0.3%)35軒(6.1%)
札幌市587軒4軒(0.7%)107軒(18.2%)
福岡市490軒5軒(1.0%)89軒(18.1%)
東京都5,109軒30軒(0.6%)375軒(7.3%)

「ケタ外れ」という表現がピッタリです。

僕は都外の人から「東京で何を食べたら良い?」と聞かれた際に、「東京では鮨を食べるべし」と言い続けてきましたが、データが証明してくれました。
(ちなみに、他ジャンルだと中華、郷土イタリアン、エスニック全般も、他県と比べてケタ外れです)

東京については母数が大きすぎる状況ですが、10分の1の規模で考えると、広島の鮨が発展途上だと分かります。

広島と同規模の福岡は4.0オーバーと3.5オーバーのお店が5軒・89軒なので、東京の10分の1の数字である3軒・37.5軒を大きくクリアしています。


現状、広島は0軒・20軒なので、新潟の成功モデルを意識しつつ、東京の10分の1の数字を目指せば良いと考えます。

それを達成するために重要な事は、新潟や東京、福岡と同じく、業界で横のつながりを作ることだと考えます。

それも、業界団体のような昭和的な互助組織ではなく、意見を自由に交換できる開かれたつながりです。

風通しが良く、有益なつながり。

このあたりの話も、後ほど更に掘り下げます。

最後に、広島で頑張っている腕利きの職人さんのお店を3軒挙げます。

「魚喰い切り 壮士」

「鮨 稲穂」

「吉鮨」

中堅職人に絞ると、「魚喰い切り 壮士」の佐谷親方と「鮨 稲穂」の三原親方は、広島の地魚を活かそうという気概が溢れている方です。

このような職人さんがゼロ人だと、僕も広島県に希望を抱けません…。

お二人が広島の鮨業界に好影響を与えてくれる事を心から願っています。


次に、広島の水産業に関する自分なりの問題提起を行います。

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広島の水産業に関する問題提起

僕が「瀬戸内じざかな日和」プロジェクトのアドバイザーを引き受けた時は、「広島県の地魚にはポテンシャルがある」と確信していました。

年度内の活動を終えた現在でも気持ちは変わりません。

ただ、ポテンシャルを活かすためには複数の課題解決が必須だと実感しました。

その課題とは、以下のとおりです。

  1. 漁獲量の低減
  2. 漁師の高齢化問題
  3. 魚介の手当て(処理・輸送技術)の向上

順に説明していきます。

漁獲量の減少理由とは?

「No. 1」「No. 2」でお伝えしたとおり、全ての方(鮨職人、料理人、市場関係者、そして行政の方)が認識している課題は「魚が減っている事」でした。

もともと瀬戸内海には多種多様な魚がいます。

そして、岡山県や山口県の魚は評価が高く、瀬戸内海を挟んで向こうの愛媛県も同様です。

しまなみ海道をちょっと先に行った今治には、全国に名が知れ渡るスター漁師である、藤本純一さんがいらっしゃいます。


広島の市場に広島の魚が揚がらないのは何故だろうか…?

温暖化の影響、宅地造成により森の栄養が海に流れなくなったため、護岸工事の影響で海が死んだため…数々の意見を聴きます。

理由の中で主な問題とされていたのが、海底のヘドロ化と海水の貧酸素化です。


河川から海に流れ出た有機物(人の日常生活から生じる)は、海洋プランクトンが10%を消化してくれますが、90%は海底に溜まってヘドロになっているそうです。

そして、ヘドロが貧酸素水塊を生み出し、生物の棲めない海底水域を作っている模様…。

▶出典:広島大学 日比野忠史 先生のコメント

しかし、これについては手立てがが講じられ、現在は改善されているそうです。

瀬戸内海環境保全特別措置法(通称「瀬戸法」)に基づき、下水道の整備を行い、強力な排水規制を20年近くかけた結果、「富栄養化」状態は解消されました。

ただ、今度は「貧栄養状態」に陥り、「海が綺麗になりすぎて魚がいない」状況となっているそうです。

その結果、2021年に「瀬戸法」が改正されて、海の栄養塩を適切に管理して「豊かな海を取り戻そう」という流れになっています。


【2023年11月追記】

中国新聞が2023年11月6日に報道した紙面によると、瀬戸内海に面する9府県の下水処理場54施設が、処理能力を弱めて排水中の窒素などの栄養塩類を増やす「緩和運転」をしているとのことです。

広島県内では、福山市の3施設と、尾道市の1施設が2015年から、廿日市市と呉市の2施設が2023年10月から開始したそう。


さらに、中国電力が開発した石炭灰造粒物「Hiビーズ」を用いて水質浄化や干潟造成を行って、海の回復を目指しているそうです。

今後が大いに期待されます。

下記に資料が2点ありますので、詳細を確認されたい方がご参照ください。

▶広島港湾空港技術調査事務所の紹介ページ


また、先の日比野先生はヘドロで発電する研究もされています。

広島はアナゴ料理が有名な土地で、かつては豊洲にも流れていました。

しかし、現在は水揚げが非常に少なく、広島も他県産(主に対馬産と韓国産)に頼っている状況です。

アナゴは内湾の砂地やドロ地に生息するため、

他国では努力によって資源を回復させた事例が幾つもあります。

広島、瀬戸内海も復活して欲しい…と、鮨好きの立場から痛切に願います。

一般の方が問題を広く認識して頂くだけで事態は変わるので、よろしくお願いいたします。

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漁師の高齢化問題

漁師の高齢化については、広島県に限った問題ではありません。

ただ、広島県は特にその傾向が強いのか、「ある漁師さんが引退すると、ある魚が揚がらなくなる」と言う話も聞きます。


そこで、提案があります。

漁師の高齢化対策については、行政が補助金を用意し「スター漁師育成プログラム」を実施すれば良いのではないか?と思います。

少々楽観的に響くかもしれませんが、実は、一人の漁師さんや魚屋さんが流通を変えた実例は全国に複数あります。

確かな技術を習得するまでの生活費用を補填する代わりに、広島の一流店が使える「プレミアム地魚」を獲る漁師を育成するプログラム。

人選さえ誤らなければ実現性のあるプロジェクトだと思いますが、いかがでしょうか?


生活の保障高収入の可能性、そして最も重要な仕事の面白さ、これら3つが無ければ高齢化問題は解決しません。

仕事の面白さを高めるには、料理人との交流が効果的です。

「スター漁師育成プログラム」の過程で、広島の一流店、人気店、期待のお店の料理人と早い段階で意見交換を行い、「グルメのための魚介流通」を構築すれば、仕事が面白くなり、魚介の新しい販路も生み出せます。

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魚介の手当て(処理・輸送技術)の向上

最後に、魚介の手当て(処理・輸送技術)の向上については必須です。

魚介の味は、手当て=獲った後の処置で大きく変わります。

野締めにするか、神経締めにするか、神経締めでも脳殺を優先するか、放血を優先するか。

そして、輸送時の温度などの保管方法や、魚のボディにストレスを加えない扱いなどなど。


スター漁師や仲卸の間では既に必須教養となっていますが、まだまだ認識が甘い地域があるようです。

特に高齢の漁師さんは、手当てに無頓着な方が多いかもしれません。

ただでさえ高齢化しているので、細かい事を要求すると「たいぎい(面倒)」の一言と共に関係が悪化してしまうかもしれません。

だからこそ、上記の高齢化対策で挙げた「スター漁師育成プログラム」で、手当ての技術も伝授して、高度な技術が当たり前のものとなれば…と思うばかりです。


日本の魚食文化は間違い無く世界の中で一番です。

これは26ヶ国ほど巡り、世界で食べ歩きをしながら市場があれば必ず見に行く変態的な行動を取ってきた経験から、断言します。

「美味しい魚料理」なら他国にもありますが、「扱う魚種の多さ」と「一つの魚に対する調理法の多さ」で言うと、日本を超える国はありません。

面白い事に、魚は産地が変われば味が変わります。


また、季節によっても味が変わり、産地で旬が異なる事などはザラです。

つまり、魚を通して土地の味と季節を味わう事が出来ます。

四季のある国、日本で季節を楽しめる食材こそが、魚です。

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今後への提案~地域グルメを活性化する方法~

前項では広島県の鮨と魚を巡る現状分析と問題提起を行いました。

最後に、幾つかの提案を行います。

県・エリアの食文化を盛り上げる方法

まずは、県・エリアの食文化を盛り上げる方法を提案いたします。

これは全国で6,000軒以上の飲食店を巡ってきた経験から、確信を持って断言する地域活性化の勝ちパターンです。


それは即ち、生産者、料理人、消費者の好循環を創り出す事です。


その好循環は生産者と料理人の交流から生まれます。

生産者と料理人の対話が行われている県・エリアは、グルメな方々が明らかに注目するようになっています。

昔は地方の「隠れた名店」を探すのは相当骨が折れましたが、現在は難易度が下がりました。

その理由は、生産者と料理人が対話しながら情報を発信しているためです。


新潟県など他県の成功モデルを見ていると、対話が無ければ地域の食文化の向上は見込めない、とすら思います。

センスのある腕利きの料理人が生産者とコミュニケーションを取る事で、交流人口が増えるとともに、料理のクオリティが飛躍的に高まります。

生産者と料理人の連携が奏功しているお店には、全国を食べ歩いている食通の人が訪問します。

そして、高単価であっても美味しければ、再訪したり情報を拡散したりします。

結果的に、全国から注目されて、生産者も料理人も潤います。

生産者の収入が増える事で、新たに生産者を志す人も増えます。

これぞあるべき形の地域活性。

一人勝ちせず、地域で勝つチームプレイです。


日本には、過去の習慣や価値観にとらわれて後発の人に過剰な負担を強いる陋習ろうしゅうがありますが、これではダメです。

戦中の精神論から何の進歩もありません。

先人は何かを成し遂げたのであれば、後発の人が楽して自分以上に結果を出せるシステムを伝えないと。

陋習は放っておくと生きながらえるので、同志が繋がり、大々的に変えていく必要があります。

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広島県のグルメ偏差値アップのための顕彰制度

広島県はここ数年でグルメな人がわざわざ訪問するお店が増えていますが、僕が学生の頃はB級グルメの土地でした。

僕もお好み焼き、ホルモン天ぷら、広島ラーメン、尾道ラーメン、広島つけ麺、広島汁なし担々麺などなど、B級グルメも大好きで連食していますが、それは僕が広島県人だからです。

県外のグルメな方々は、まずA級グルメのお店をピンポイントで(数ヶ月前に)予約して、その後にB級グルメのお店を検索します。

国外から来る人ならば尚更です。

よって、僕は広島県のグルメ偏差値アップのためには、広島県が選ぶ料理人顕彰制度があると良い、と考えています。

農林水産省が主催する「料理マスターズ」の県限定版です。

「料理マスターズ」の素晴らしい点は、郷土性(ご当地性)が強い料理人が選ばれるだけでなく、生産者にもスポットを当てる点です。

フランスの農事功労章がモデルになっているだけあり、文化の発展性を感じる顕彰制度です。

これはまだ他県でやっていない模様なので、先を越される前に着手する事を真面目に提案します。


「あれ?地魚は関係ないのでは?」と思われるかもしれません。

しかし、料理人、生産者、消費者の全てがハッピーになる制度で、まずは地魚に限らず県のグルメ偏差値を一気に上げて、結果的に地魚を巧みに用いる一流店を増やしていけば、自ずと地魚の知名度も高まります。

僕のような鮨・魚マニアは人口的にはマイノリティなので、圧倒的多数を巻き込むためには、地魚だけでなく肉、野菜、郷土料理、発酵食、調味料、そして日本酒を総動員してグルメ偏差値を上げる必要があります。


ちなみに、この顕彰制度で重要な点は、審査員です。

業界団体の影響が無い、要はクリーンな人を選出しなければなりません。

そして、全国、全世界から人を呼ぶための制度なので、広島県に限らず全国を食べ歩いている食通や、自県以外の食文化にも詳しい料理人も必須です。

「権威性」も重要ですが、グルメ系の賞で最も重要なのは「味覚」と「食の教養」。

それは世界一の権威を誇るミシュランを見れば瞭然です。

消費者は賞が持つ「味覚」と「食の教養」に信頼を寄せ、それ故に権威が確立されます。

権威ありきでは、消費者が付いていきません。

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広島県の地魚を盛り上げるために効果的な作戦

「広島の江戸前鮨の現状と課題の分析」で述べたとおり、地魚を盛り上げる上で、鮨はキラーコンテンツです。

鮨の人気はここ10年の間に飛躍的に高まりました。

上述のデータが示す通り、グルメな旅行者は鮨を目的に旅します。

なので、ここはひとつ、「鮨ツーリズム」に取り組んでみてはいかがでしょうか?

具体的には、先行する実力派職人のお話を伺うべく、意見交換会を設けることが必要です。

課題や疑問を共有して現状を認識しなければ、発展は無く、現状維持か停滞するのみです。

建設的な意見交換から横の連携が生まれ、広島の水産業にも良い結果を与え、鮨店のレベルが高まり、広島で開業する鮨職人が増える…このような素敵な未来を、自分は描きます。

まとめ

これにて「瀬戸内じざかな日和」のレポートを終えます。

プロジェクトに関わる過程で見えてきた課題を整理して、鮨の専門家としての提案を行いました。

地魚を中心として、広島のグルメシーンが更に面白くなることを心から願っています。


現在、広島はグルメ偏差値が上がっているので、チャンスだと思います。

ご意見やご感想がございましたら、是非ともお聞かせ頂ければ幸いです!

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レポートNo. 1

レポートNo. 2

本記事がきっかけで、広島と広島の魚介に関心を持って頂ければ幸いです!


鮨と魚の輝かしい未来を願う、すしログ(f:id:edomae-sushi:20201002142555p:plain@sushilog01)でした。

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