広島で最高の人気を誇る広島流の江戸前鮨!「壮士」

壮士表札

こんにちは、鮨ブロガーの、すしログ(@sushilog01)です。

2022年12月に初めて訪問した「壮士(旧・魚喰い切り壮士)」さん。

その後、店名と業態を変えられて更に美味しくなったと方々で聞いていました。

実際にお伺いして頂いたところ、過去よりも更に魅力が高まっていて大満足!

小鰯
すしログ
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広島を代表する鮨店であるのは間違いありません!

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広島「壮士」の魅力とは?

広島の「壮士」は、佐谷 壮士親方が2014年にオープンにされた鮨店です。

佐谷親方は、仲卸を経て独学で鮨を体得したというから凄い!

仲卸で17年間も勤め上げた後に独立。

僕がお伺いした時点で9年の月日が経過していましたが、単に独自性だけでなく確かな江戸前の仕事を押さえられている、と実感し、広島らしい江戸前鮨を体感しました。


佐谷親方は毎朝4時半には市場に入り、徹底的に目利きをするそうです。

東京の職人さんでも河岸に行くのは7時台が多いため、これには驚きました。

そして、頂けば確かな目利きを実感します。

広島と近隣県の地魚を巧みに用い、確かな仕事で生よりも美味しく仕上げます。

生魚信仰が強い土地だと江戸前鮨がないがしろにされがちですが、頂いてみれば江戸前仕事の素晴らしさは明瞭です(食感信仰が強い方にはお手上げですが)。

鯵

そして、佐谷親方は鮨の生命線であるシャリについても、広島産の食材を活かしています。

お米は県北の庄原産の「アキサカリ」で、山葵も広島県産です。

お酢は京都宮津の銘蔵である飯尾醸造のお酢ですが、これは近年各地の鮨職人が愛用する名酢です(製法は他メーカーが真似できない非凡なものなので、ご関心のある方はリンク先の記事をご参照ください)。

ブレンドは3種類で、富士酢、富士酢プレミアム、赤酢プレミアムをブレンドしています。


お米の粒はもっちりと立っていて、必ずしも硬く炊いていないのに歯応えがある良きシャリです。

この加水状態と食感に仕上げられる職人さんは多くは無く、この点において佐谷親方のセンスを実感します。

酸味や塩気はバランス良く調和し、広島の伝統的なまろやかさを配慮した調味か?と推察します。

シャリの温度管理も申し分無く、タネに対する温度調整も行い、東京のトレンドをバッチリ押さえておられます。


【2024年7月追記】

お米の粒感を感じる存在感のある炊き加減は変わらず。

今回はお酢を少し強めに利かせ、キリッとした味わいで、飯尾醸造らしい香りをしっかりと感じました。


トータルとして、名実ともに素晴らしい職人さんである事を実感しました。

広島出身の筆者としては心強い限りです。

今後も折に触れてお伺いしたいと思います!

「壮士」のおまかせコースの詳細

「壮士」さんのおまかせコースの内容について、紹介します。

2024年7月に頂いた内容

2024年7月に頂いた内容については、下記のとおりです。


頂いたお酒

お酒01
お酒02
お酒03
お酒04

オコゼ

オコゼ

広島産。厚みがあり、切断面が鋭利すぎない切りつけが良い!軽い漬けによる食感の変化も面白い。味付けも良く、オコゼの旨味を楽しめる。身だけでなく卵、胃袋、皮を和えたものも供されて、サプライズがある!良い提供方法だ。オコゼの香りと食感楽しめる出汁や塩の塩梅も素敵。前回の訪問から、より洗練を感じた。

鮎

太田川産。コンフィにしてからオーブンで焼いているのかな。最初の一口から鮎の香りと苦味を横溢させ、ホロホロかつクセが無い魅力的な口どけと味わいを実現している。これは鮎に苦手意識を持つ人でも喜ぶ仕立てだろう。焼きトマトの軽いお洒落さもある。

アオリイカ、生唐墨

アオリイカ、生唐墨

むっちりした濃密感を高める脱水が良い。ともに広島県産。さらっとしていて軽い塩気に旨味と唐墨香をふんわりと加える。

鮑

山口県産。むっちむちでタフな食感で、香りと旨味が広がる。ゼラチン質たっぷり。最初から肝ご飯セットは良い。肝の油脂がダイレクトに伝わるのではなく、酸で切る方向性なので。

鰻

太田川の天然モノ!皮はサックサクで、身はふわふわ。脂が多く、香りが程良い野趣を持つ。温度が少し下がると濃密なゼラチン質を感じられる。

ガリ

ガリ

白甘鯛

白甘鯛

名刺代わりの一貫目は前回と同様に白甘鯛。プチッと弾けて、濃密な脂が滲み出る!それをシャリの旨味が受け止めて、酸味がキリッと後味を引き締める。産地は山口県。

ケンサキイカ

ケンサキイカ

萩産。中心あたりはきめ細かく包丁を入れ、周辺部は軽めにして食感の起伏を付けている点が魅力だ。甘味は当たり前に強い。

穴子

穴子

島根県産。噛みしめると甘味と旨味がこみ上げて、シャリの酸味と調和していく。生での提供という物珍しさだけでなく、きっちり魚の魅力を伝えてくれる仕事で、シャリも奏功している。

鱚

肉厚なものを脱水させて旨味をちゃんと感じさせつつ大葉で爽やかにフィニッシュ。決して過脱水ではなく、むちっとしつつしっとり感もある〆加減が良い。

ジャガイモの茶碗蒸し

ジャガイモの茶碗蒸し

出汁が効いたトロトロの茶碗蒸しにインカのめざめの濃密なピュレ的な甘味と香りを加える。

車海老

車海老

茹で上げから自らむき、温度を落ち着かせてから提供。香りとしっとり感が魅力。

小鰯

小鰯

香りが良いなあ。あと、ぷりっとした食感と極軽い苦味が実に良い!薬味を用いつつ味を楽しめる範疇に収めている。

縞鯵

縞鯵

愛媛県産。ぱっつりしつつ、脂は神津島あたりのものよりも軽め。持ち味の香りは爽快だ。

蛤

茨城県産。抜群。香りも蛤らしいコクと苦味も全てが良い。柔らかすぎず、むちっとした食感も魅力。

焼き鯵棒寿司

鯵

これはエポックメイキングな美味しさ!しっとり、ホロホロの身は旨く、香りも楽しめる。皮のサクッとした食感も巻物としては非常に斬新なアクセント。使用する海苔は広島が誇る三國屋。

鮪とマイクロハーブの手巻き

鮪とマイクロハーブの手巻き

梶谷農園のマイクロハーブが活きる海苔使い!食感、香り、旨味が強いので、ハーブを用いても印象がぼやけない。

赤海胆

赤海胆

山口大島産で、さっきとれたばかりのもの。濃密な甘味で、そしてふわっと追いかけてくる香りが極めて印象深い。

穴子

穴子

ホロッホロで、繊維がほどけながら香りを楽しませてくれる煮方と味の含ませ方だ。トロトロや甘甘でないのが広島で江戸前の煮穴子を出す最適解かもしれない。

椀

出汁も加えたアラ汁かな?黒瀬のじゅんさいはぬるが強くて丸い。

干瓢オボロ巻き

干瓢オボロ巻き

干瓢に胡麻、そしてオボロも使用!広島の地でおまかせに細巻きを組み込み、しかも干瓢とオボロとは粋すぎる。味わいも申し分無い。

出来たて出汁巻き玉子

出来たて出汁巻き玉子

アッツアツ、ジューシィな出汁巻き玉子。ここまで振り切ってくれると良いなあ…出汁巻き玉子も、と思わされる。

2022年12月に頂いた内容

2022年12月に頂いた内容については、下記のとおりです。

この度頂いたお酒

酒器

  • 會津龍が沢 純米大吟醸 無ろ過うすにごり生原酒 豊醸感謝祭 ヌーヴォー(夢の香、50%)
  • AKABU 純米 NEWBORN 生酒(吟ぎんが、60%)
  • 陸奥八仙ヌーボー特別純米 おりがらみ 生原酒(華吹雪、麹:55%・掛60%)
  • 七本鎗 純米 搾りたて生原酒(玉栄、60%)

牡蠣のつみれ汁

牡蠣のつみれ汁

牡蠣は江田島産で、ピンクの色合いの由来は紅芯大根だ。

つみれは、意表をつかれるほどに牡蠣の風味と旨味が強い!

そして、貝柱などで食感を効果的に採り入れている点も魅力的だ。

吸い地は出汁と紅芯大根の上品な野趣とも言うべき香りが調和。

見た目のお洒落さ以上に骨のある味わいの先付だ。

蛸と蛸の肝

蛸と蛸の肝

蛸は生と煮の間を絶妙に攻める火入れだ。

ぷつぷつっ!コリコリッ!と弾け、香りが抜群である。

肝はクセが無く、コクがある。

黒い理由は料理としては珍しい蛸墨を混ぜている為だ。

唐墨と揚げシャリ

唐墨と揚げシャリ

「揚げシャリ」とは非常にユニークな発想だ。

煎餅状の揚げシャリと肉厚な唐墨が融合して、旨い!

ありそうでない酒肴で、これは楽しい。

九絵と九絵の出汁

九絵と九絵の出汁

そもそも出汁のスープが抜群で。ゼラチン質と旨味にうっとりする。

そして、肉厚な九絵本体も勿論旨い。

力強い協奏である。

真魚鰹の朴葉焼き

真魚鰹の朴葉焼き

味わいが濃い真魚鰹で、一口目から「おお!」と感じた。

産地は香川県との事だ。

海老芋を合わせている点も嬉しい。

野菜の茶碗蒸し

野菜の茶碗蒸し

マッシュルーム、レンコンなど野菜主体の茶碗蒸しとはお洒落。

アボカドも入っていて、馴染んでいるのが面白い。

ガリ

ガリ

甘味がふんわりと漂い、旨味が強く、酸味と辛味はキリリと用いつつ穏やかな範疇に留めるガリ。

白甘鯛

白甘鯛

名刺代わりの一貫目は、山口県上関の白甘鯛。

旨味が強い白甘鯛だ。

柑橘を使用しているが、それを超えて旨味がどんどん高まり、喉に余韻が残るほど。

柑橘はレモンで、使用量は一滴のみ。

水烏賊

水烏賊

標準和名アオリイカ。

中に塩、金胡麻、レモン一滴、とろりととろけ甘い!

イカの味わいが強いので、金胡麻やレモンとも問題なく調和する。

針魚

針魚

叩いた大葉を噛ませているところがユニーク。

ぱっつりと食感が良い針魚は味わいも美味しく、大葉の香りが爽やかに演出する。

車海老

車海老

茹で上げを暫く寝かせて温度を落ち着かせ、甘味としっとり感を出している。

鰆

身質は柔らかく、脂がたっぷりと乗っていて、香りも良い。

余韻もある。

これは美味しい鰆だ!と思ったところ、広島県産との事で嬉しくなる。

どうしても広島で美味しい鰆は山口県か岡山県が多いので。

鯵の棒寿司

鯵の棒寿司

肉厚で香りが良い鯵だ。

皮目に炭を焼き付けているため、香ばしさが付加され、鯵自体の香りも高まる(脂が溶けるため)。

シャリには大葉と金胡麻が混ぜられている。

コースの冒頭に巻いて、しばらく置いて馴染ませてから提供する。

産地は山口県柳井。

小鰭

小鰭

なんと広島県三原産!

確かにコノシロの郷土寿司があるので小鰭がいるのは当然であるが、漁獲され市場に出回っているのが素晴らしい。

江戸前鮨が出来るではないか。

脂は穏やかな小鰭だが、旨味の高まりが良い。

これは〆により小鰭のポテンシャルを巧く引き出している。

皮目は柔らかいが、上品に皮のテクスチャーを楽しませてくれる〆。

寝かせてお酢を浸透させつつ、酸味はシャリとのバランスが良い。

つまり、良い〆の仕事だ。

より脂が乗った小鰭で頂いてみたいと心底感じた。

ウマヅラハギ

ウマヅラハギ

肝がたっぷり使われている。

あたかもフォアグラのようなハギらしいコクと芳醇な香りを満喫する。

しかし、それでいて香りを主に楽しませる仕事で、脂が過多で大味ではない肝だ。

加熱で脂を落とす仕事が奏功している。

これは引き算の仕事であり、肝を如何に濃厚に供すか考える凡庸な職人とはセンスが異なる。

提供が煮キリではなく塩である点も素晴らしい。

ワタリガニ

ワタリガニ

広島県産で、香りが強く、旨いワタリガニ。

下には蟹味噌が引かれている。

握り鮨巻き

握り鮨巻き

漬けの大間産の鮪のトロを握り、広島が誇る梶谷農園のマイクロハーブと合わせて海苔で巻く、超変化球的な仕事だ。

コクと香りが強い鮪で、それをマイクロハーブの苦味と香りが引き締めるところが面白い。

他の握りが硬派な仕事なので、巻物で遊んでも嫌味にならない。

赤海胆

赤海胆

柳井産の赤海胆で、強いコクと松葉様の香りがキリッと漂う。

穴子

穴子

蒸し器でホロッホロかつしっとり仕上げている。

味付けは甘味が特に控え目で好印象。

椀

アラ汁ベースの味噌汁。

出汁巻き玉子

出汁巻き玉子

焼きたてで、ふわんふわん、とろっとろな玉子焼き。

お茶

「壮士」の立地と雰囲気

お店は広島の中心地にありますが、静かな道路に面しています。

鮨店とは思えない英国アンティーク調の鉄扉が印象的!

壮士外観

店内に入ると更に予想を裏切る内装が待っています。

モダンなイタリア料理店のような雰囲気で、「漬け場」というよりも「シェフズテーブル」という印象です。

しかもカウンターは14席もあり、個人の鮨店としては大箱です(→業態変更後、席数を減らされました)。

佐谷親方は的確にテンポ良く提供され、雰囲気も相まって非常に落ち着きます。

「壮士」のお店情報と予約方法

「壮士」さんのWEB予約については、OMAKASE経由で可能です。

たまにキャンセル席が出ているので、チャンスはあります。


壮士(食べログのリンク)

店名:壮士(そうし)

シャリの特徴:飯尾醸造のお酢をバランス良くブレンドし、硬さや温度管理はバッチリなシャリ

予算の目安:20,000円〜25,000円

TEL:082-504-6213 ※問い合わせ時間については、10:00~15:00、22:30~24:00

住所:広島県広島市中区立町5-18

最寄駅:立町駅から90m

営業時間:1部・18:00~20:00、2部・20:30~22:30 ※一斉スタート制なので要注意

定休日:不定休

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