
こんにちは、鮨ブロガーの、すしログ(@sushilog01)です。
今回ご紹介する仙台の「鮨 いわ貴」さんは、宮城県の食材をフル活用する江戸前鮨店です。
宮城で有志が推進している「伊達前鮨プロジェクト」は発足前に関係者の方からお知らせいただいて以来、ずっと注目しています。
そのプロジェクトに参画されている職人さんの一人が、「鮨 いわ貴」の岩井親方。
今回楽しみに訪問したところ、期待以上の美味しさでした。


東京仕込みの江戸前の仕事と、三陸の海の幸が融合した魅力的な江戸前鮨です。
東北の鮨好き、仙台に旅行する鮨好きなら訪れるべき一軒です。
「鮨 いわ貴」の岩井 貴之親方は、東京屈指の予約困難店として知られる「三谷」で計13年にわたり研鑽を積まれた叩き上げの職人さんです。
長年の修業を経て故郷である仙台へ戻り、2024年12月に自らのお店を構えられました。
店内は清浄な空気に満ちており、メインのL字カウンターには宮城県南産のカヤの一枚板、背面の棚板には宮城県北産のケヤキが使われています。
地元の銘木に囲まれた空間は温かみと凛とした品格を兼ね備えており、心地よい緊張感の中で鮨と向き合うことができます。

岩井親方の握る鮨の特徴は、地魚を積極的に取り入れながら江戸前鮨の確かな仕事を施す「ご当地江戸前鮨」のスタイルです。
三陸や宮城の魚介類は全国有数のクオリティを誇りますが、岩井親方は単に鮮度の良さに頼るのではなく、江戸前の技法を駆使して魚の持ち味を引き出されています。
同時に、東京での修行を活かして江戸前の小鰭を出すなど、臨機応変な仕入れが見て取れます。

そして、鮨の生命線であるシャリは、米酢のみを使用した端正な仕立てです。
酸味は突出させず、穏やかな酸味と上品な甘味が広がるバランス。
米粒はやや長めでしっかりとした存在感があり、口の中でパラリとほどけてタネと美しく調和します。
シャリの状態が良いお店は信頼が持てます。
それでは、いただいた内容をご紹介します。
おまかせコースはお昼(10,000円)と夜(18,800円)の二本立て。
今回はお昼に訪問しました。
2026年7月に訪問した際にいただいた内容です。
お酒はお任せでお願いしました。


知床産のツブ貝に山形だし風のジュレとしょっつるを合わせた涼やかな先付。キリッと効かせた酸味の中でツブ貝の強い甘味と旨味が引き立ち、ミョウガの爽やかな香りと食感が心地よいアクセントになっている。最初の一杯には山口の「雁木 スパークリング」を合わせて爽快にスタート。

気仙沼産の鰹のタタキを米油と炒り胡麻で和え、上品なコクをまとわせた一品。「ユッケ風」と表現しつつ胡麻油を使用せず、香りやコクを軽やかに表現した酒肴。海苔は旨味と香りが濃厚な「魅のり」を使用。海苔で巻いていただくと香ばしさと鰹の酸味が調和し、バランスが良い。


甘味に酸味をしっかり効かせたフルーティなガリ。奥から生姜の辛味がピリリと広がる。

宮城・網地島(あじしま)産のアイナメ(現地名では「ねう」だそう)。昆布の香りと旨味の乗せ方が巧みで、皮目のパッツリとした力強い食感を漫喫させつつ、シャリとの一体感が高い。白身魚の握りとして複雑な食感と味わいを表現しており、無駄のない名刺代わりの一貫目だ。一貫目に白身魚を供し、土地の味わいを楽しませてくれつつ、シャリとのバランスが良いと大きな安心感と期待に繋がり気持ちが鼓舞される。

七ヶ浜産のアカイカ。包丁によってパッツリとした歯ごたえを感じさせつつ、咀嚼とともに柔らかくほどけていく切りつけ。アオリイカほど甘味が強くなく、上品な甘味と旨味が広がる。

陸前高田産のホタテ。繊維質の主張よりも柔らかさを追求した仕事が施されており、舌の上でふんわりとほどけてピュアな甘味が広がる。

神奈川・松輪で揚がり、仙台市場に入荷した金目鯛。もっちりとした身質で丁寧な脱水が施されている。皮目を香ばしく炙り、軽やかな脂の旨味を活かしている。皮目の炙りがやや強めに感じたので、少々調整すると魅力が向上するはず。

北海道・噴火湾産の鮪赤身。もっちりとした肉質で、夏の赤身らしい血の香りと爽やかな酸味が魅力。ねっちりさせすぎない浅めの漬け加減で煮キリの味わいを乗せる。煮キリには青森の赤酢をブレンドしているそうで、細部への独自の配慮が味わいの一体感に貢献している。


赤身と同じく噴火湾産の中トロ。酸味が活きたサッパリとした味わいで、軽快な脂の甘味が広がる。見た目とは裏腹に軽やかな味わいなので魚体をお伺いしたところ45キロ程度とのことで成る程。

江戸前の小鰭。脂は淡くとも旨味を感じさせる。酸味の浸透は軽やかで塩〆で旨味を効果的に伸ばしている。皮の食感はシャクシャクとしていて、皮を活かすタイプの〆。また、「魚卵のような香り」とのご説明をいただいたが、いざ味わって納得した。


志津川産の穴子。三陸で地の穴子に出会うと嬉しくなる。江戸前も瀬戸内も獲れなくなり、対馬が主力の現在、穴子の産地は非常に貴重だ。味も全く異なるので。その穴子を、山形・庄内の藻塩でいただく。表面はサックサクに焼き上げられて香ばしく、身はしっとりホロホロ、皮目はとろりととろける。コントラストのある魅力的な食感だ。そして、甘味の塩梅も非常に良く、穴子の味わいを楽しませてくれる仕事だ。

宮城・涌谷町(わくやちょう)の鶏卵を使用し、30分かけて焼き上げている。出汁巻き玉子仕立てでプリンのような食感を表現している点で個性が非常に強い。プリン的でありながら甘味は控えめである点が粋。

コリッとした小気味良い食感の干瓢巻き。甘味を抑えて海苔の香りを活かしている。さらに地元・上村豆腐店の油揚げを巻いた助六のアレンジも添えて面白さを演出している(助六は稲荷寿司と巻き寿司がセットになった詰め合わせの総称である)。油分と甘味を極軽くしており、香ばしさを付加する仕事だ。

出汁をしっかりと利かせ、味噌は甘くなく辛口の方向性で、アオサを合わせた味噌汁だ。キリッとした味噌の風味とアオサの磯の香りがコースを軽やかに締めてくれる。

上村豆腐店の豆乳を使用した黒胡麻の甘味。黒胡麻の豊かな風味がありながら、豆乳ベースのため後味はスッキリ。甘味のコントロールが巧みだ。鮨店において水菓子の糖分・甘味が考慮されていると印象が良くなる。
「鮨 いわ貴」さんは、お電話もしくはInstagramのDMで予約が可能です。
DM時に必要な情報はこちらの公式サイトに記載されています。
店名:鮨 いわ貴(すし いわき)
予算の目安:ランチ 10,000円(ツマミ2品、握り8巻、巻物、デザート)、ディナー 18,800円(ツマミ5品、握り12巻、巻物、デザート)
最寄駅:勾当台公園駅から700m
TEL:022-393-4554
住所:宮城県仙台市青葉区上杉3-3-32 レーヴテラス上杉1F
営業時間:昼 12:00〜14:00(入店12:00〜12:30)、夜 18:00〜22:00(入店18:00〜19:30)
定休日:月曜日(※火曜・土曜はランチ休)+月に1度連休あり
宮城県の個性派鮨店たち
「伊達前鮨プロジェクト」の動向に注目する、すしログ(@sushilog01)でした。
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