こちらは大阪ミナミにあり、創業100年を超える老舗です。
元来は大阪寿司を出しておられたそうですが、戦後に江戸前鮨に切り替えられたとのこと。
そう聞くと、訪問から数年後に書いたこちらの記事の内容が頭によぎります。
大阪寿司のお店が減るのは残念な気持ちがありますが、こちらでは完成度の高い大阪ならではな江戸前鮨を頂けます。
前情報を持たずに伺ったので、如何なるものかと訝しむ気持ちがありましたが、頂いてみると数々の個性的な仕事と、確かな握りの技術に魅了されていきました。
こちらは「超高級店」と思われているようですが、お会計は明朗で、リーズナブルなお決まりもあります。
タネの札も掲げられているので、オーダーに悩むこともありません。
僕はまずはその日のオススメを6貫握って頂き、気になるタネを追加していきました。
日本酒も色々と入れておられ、仕事も割と強めなので、日本酒と合わせて頂きました。
こちらのシャリは柔らかめで、ほのかな甘みもあるので、東京の感覚で頂くと少し違和感を覚えます。
しかし、ご主人の仕事に合っており、頂くごとに魅力が増していきました。
シャリとは対照的に、ガリがシャープな辛みを持つところも面白い。
また、煮キリも複数種類用意されており、何かと個性的です。
そして、ご主人の握りの技術は流麗で、捨てシャリをされません。
カウンターが満席で、酒飲みの方や僕みたいなお好みで頂く人間が入り乱れていても、お一人で淡々とさばかれている姿が印象的でした。
先付
白甘鯛
バシッと昆布で〆ており、甘みのある赤酢を付けておられるよう。
個人的には甘鯛に対して〆がやや強い印象を抱きましたが、独特の仕事です。
木ノ芽とは合っております。
海胆
淡路産。甘みと香りが強く旨い。
トリ貝
軽く湯引きし、酢橘を数滴。
磯の香りと甘みをしっかり感じることが出来、湯引きのため食感が強調されている。
アイナメ
おろしポン酢が大阪らしい。
アイナメは甘みが強く、気持ち良く反発する食感を楽しめます。
牡蠣の漬け込み
厚岸産。おろした酢橘を使いつつも、甘い煮詰めと相性が良く嫌味になりません。
火入れが秀逸で、じゅわっと旨味が滲みます。
惜しむらくは温度で、冷蔵庫から出した後に温度を戻されたほうが美味いかと。
シラサエビ
クルマエビ科のヨシエビ。
味噌が非常に濃厚で、山葵が良い塩梅。
卵をたっぷり持っており、深い余韻があります。
ここからお好みで頂きました。
鯵
〆ているようですが、浅めで、ぷるんとした食感。
甘めの煮キリを使用されているところが面白いです。
小鰭
これも浅めの〆。
ジューシーながらに香りと旨味を残しております。
蝦蛄
岡山産の大振りなもの。握る直前にさばかれる。
香りと甘みを楽しめ、ツメまで出して頂けるところが嬉しい。
穴子
加古川産。瀬戸内らしい香りがあり、レヴェルが高いです。
鰻
大阪に来たら、やはり鰻の握り。
皮をパリッと仕上げており、身はジューシーに脂が滲みます。
頂いたのは吉野川産でしたが、時期によって仕入れを変えているそう。
口直し
トマトの甘酢浸し。
先付に加えて11貫とビール小瓶、日本酒二杯(鶴齢特純越淡麗55%、山形正宗純吟2013)を頂いて、1万4,000円弱でした。
タネのクオリティと仕事を考えると、非常に満足度が高いです。
個人的には、大阪で最も有名な福喜鮨さんよりも味わい的にも雰囲気的にもオススメです(鯛は先方の方が旨かったですが)。
実は【逆巻き】発祥のお店らしいので、今度はそちらも頂きたいと思います。
店名:末廣鮓(すえひろすし)
シャリの特長:柔らか目で甘みもあるが、個性的な仕事に合致するシャリ。
予算の目安:10,000円~
最寄り駅:日本橋駅から223m
TEL: 06-6211-8341
住所: 大阪府大阪市中央区千日前1-7-1
営業時間:11:30~14:00、17:00~23:00
定休日:日曜
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