
こんにちは、沖縄の食材が大好きな、すしログ(@sushilog01)です。
さて、沖縄の宜野湾(浦添寄り)にある「トット(Totto)」さんは、鮮烈な印象を与えてくれるレストランです。
ジャンルはイタリアンとなり、イタリアの郷土料理をアレンジしたお料理を多数展開されますが、必ずしもイタリア料理好きでなくても満喫できるはず。
なぜなら調理も調味も意外性があるためです。

沖縄のレストランシーンは最近非常にアツく、挑戦的なお店が増えています。
個人的に、今や沖縄はリゾート目的ではなく、グルメ目的で訪問する場所だと感じます。
そして、「トット(Totto)」さんはその代表格となります。
食べログでは3.5ですが、4オーバーのレストランになる日は遠くない気がします。

食材の取り合わせも調味も素晴らしく、沖縄食材の魅力を実感できます!
イタリア料理の郷土性もバッチリ採り入れている点が、個人的に琴線に触れました。
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「トット(Totto)」は、潮平 里志さんが2022年に開いたレストランです。
潮平シェフはイタリアで4年半修行された経験を持ち、トスカーナ(フィレンツェ)からヴェネト周辺の北部で研鑽を積まれたそうです。
お店の魅力については、サプライズのある沖縄食材との出会いと、想像力を刺激される独自の調理と調味、です。
一言で表現すると、食べていて面白い料理でありコース。
食材の活かし方も味付けも繊細なので、二口目も楽しくなる、面白さの相乗効果が強いお料理と構成です。

潮平シェフは魚の扱い方も巧みです。
未だに「あまり美味しくない」と形容されがちな沖縄の魚を、抜群に美味しく仕上げる手腕をお持ちです。
そもそも魚に貴賤は無く、魅力を引き出すも殺すも調理次第ですよね。
そして、クセが強めの島野菜と合わせつつ、メイン食材の持ち味を決して損ねないようバランスを取っている点に、食材の取り合わせのセンスと調理センスを実感します。
お肉も美味しいのですが、個人的には魚介類と野菜の料理が鮮烈な印象でした。
ぜひともまた伺って、異なる季節の食材を味わってみたいです。

最後に、忘れてはならないのがノンアルコールペアリングです。
アルコールペアリングも用意されていますが、潮平シェフが作るノンアルコールドリンクは独創的で、純粋に美味しいです。
ペアリングを行うお店のノンアルコールドリンクについては、往々にしてドリンク単体で楽しめる味ではなく、料理の調味料的なアプローチで作ったドリンクが多々あります。
グルメ友達は「謎ドリンク」と読んでいますが、納得です。
潮平シェフは「謎ドリンク」ではない美味しいドリンクを作られているので、お酒好きでも頼む価値が大いにあると断言します。
「トット(Totto)」 さんのコースは、【お任せコース7品+ペアリング5杯】22,000円のみです。
ペアリングはアルコールとノンアルコールを選べます。
お酒好きな方は悩むかもしれませんが、お酒好きのハンドルキーパーの僕でもノンアルコールで大満喫しました!
むしろ次回も車で訪問してノンアルコールを頼みたいくらいです。
それほどまでに自家製コンブチャをベースに沖縄の食材を活用したノンアルドリンクが魅力的なので!

それでは、いただいたお料理を紹介します。
2025年9月の訪問時にいただいた内容です。

アカマチは標準和名ハマダイ。沖縄の3大高級魚として知られる(他はアカジンミーバイ=スジアラ、マクブ=シロクラベラの2種)。3%の塩で4週間熟成した魚のハムだ。そこに、フィレンツェの揚げパン「コッコリ」とタレッジョ(ウォッシュチーズ)を使用。魚の香りと旨味が凝縮していて、「食べる魚醤」のようだ。さらに、サクサクで香ばしいパンが加わることであたかも天麩羅のような感覚を覚えるのが面白い。モチモチ感もありつつ、融合して軽やかに消えてゆく。個性と郷土性を共に楽しめる素敵な一品目。ただ、味わいの方向性としては一般的に考えると非常に「攻めている」と感じ、個人的にはこれまた心をつかまれた要素だ。
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パッションフルーツの香りが優雅に漂い、甘味は穏やかで酸味がスッキリ。油ものをスッキリとマスキングするペアリング。甘味が無いノンアルコールドリンクはペアリングの1杯目に非常に良い。

ビーツとフランボワーズのビネガーソース、自家製マヨネーズにメレンゲ、ゴーヤーの「苦味爆弾」、クワンソウとイーチョーバーのピクルス、ジュニパーベリー。ゴーヤーをワイルドに使用し、筒状でフリットにするとは面白い!そして、意外にも苦味は軽やか!ゴーヤーの香りが実に良い。ゴーヤーの「苦味爆弾」と言う苦味のピュレを合わせるとゴーヤーらしい苦味が強まる(沖縄の人はゴーヤーが苦くないと怒るらしい)。衣はセモリナ粉と小麦粉を炭酸水で溶いているためサックサク。ポーションが大きいのにサラッと食べてしまうのはソースの面白さ故だろう。ビーツソースは香りがキュート。自家製マヨネーズも魅力的な味覚のバランスで全く下世話でない。
ドリンク2

複雑なスパイスの香りに、ドライトマトの皮を思わせる香りもある。酸味に苦味、ほのかな辛味も含まれる。ゴーヤーの苦味とぴったり合い、スパイス香を加えるペアリング。100℃で3日かけて作る「黒レモン」の味わいが活きている模様だ。

香ばしく、もっちり、ふわんふわん。甘味が魅力的なフォカッチャ。

沖縄の「クブシミ」だろうか?付け合わせはオクラ、2時間干したドラゴンフルーツ。コウイカはかなり手が込んだ仕込みで、仕上げにグリッリアを行っている。水が抜けてねっちりしつつコリッとしている面白い食感、そして、強い甘味に強烈な旨味が記憶に残る。グリルの香ばしさが甘味に対するアクセントにもなっている。ドラゴンフルーツやオクラとのテクスチャーの一体感も面白い。軽く干す事でドラゴンフルーツの酸味も活きてくる。ピリ辛もあり、トロトロ感によって渾然一体となる。
魚介類の多くについては、ご友人の漁師さんが夜中に連絡してくれるらしい。鮮度が抜群のコウイカをすぐさま処理して数日寝かせているため、ネガティブな要素が無いようだ。個人的に、鮨よりもこのような料理こそコウイカを寝かせる必然性を感じる(巧みにコウイカ=墨烏賊の個性を表現する寝かせを使う職人さんもいるが)。
ドリンク3

ミントの香りと味が先行し、さらにレモングラスが加わり波状的に広がる。爽やかさを前面に押しつつ、甘味もある。清涼感と後味のマスキングがともにあるペアリング。

標準和名はナンヨウブダイで、これも沖縄を代表する高級魚。スープはイラブチャーの骨出汁で、ツルムラサキ、ハンダマとともに。旨味が強くゼラチン質もたっぷりなスープで、玉ねぎの甘味もある、スープにコブミカンオイルの香りが爽やかで野菜の香りも滲む、イラブチャー味が濃密でピュア全く酸化やネガティブな香りが無い、また、大ぶりなポーションも嬉しい。レストランの魚料理は大ぶりなポーションでなくては!(魚の味わいよりも調味の味を食べさせられている印象を抱くお店も無きにしもあらず)。
なお、ハンダマの色がスープに滲んで表情が変化するサプライズもあるので、一気に飲み干さぬよう!
こちらにも、ドリンク3が持つレモングラスの香りが自然に合う。
そして、ここまでで1時間!素晴らしいテンポだ。

使用する豚肉は【喜納農場のあぐー】(沖縄在来種アグーとランドレースを掛け合わせて、独自の配合飼料で育てるブランド豚)。

炭火焼きの後にオリオンビールで煮て、仕上げにビールのソースを塗って焼く調理法。付け合わせはピーマン、ししとうで、赤ピーマンのソース。 これは豚肉のスペアリブを用いつつ、重たくない調理だ。味わい深い豚肉で脂の甘味が豊潤で、香りも上品に楽しませてくれるが、食後感は重たくないのが素晴らしい。軟骨も美味。
ドリンク4

紅茶に多様な香りとふんわり広がる桜の香り!純粋に美味しく、燻香ともバッチリ合う。タンニンがあるため油脂のマスキング効果も見込める。

アマルフィ発祥の郷土パスタが登場。

調理法も豆のペペロンチーノとイタリア感が強いのが嬉しい。麺はもっちり太麺で、初手のオレガノの香りが爽快。豆の濃密なコクと正にペペロンチーノなガーリックの香りと唐辛子のピリ辛で魅力的なバランスのパスタだ。
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カラブリアのひよこ豆のパスタのアレンジなのでカラブリアのワインをイメージしつつ唐辛子も加えているそうだ。月桃の良い香り、酸味と軽いタンニン、黒レモンが活きている。

チーズなしのリゾット。石垣島の新米にヴェネトのオリーブオイル を使用。夜光貝の旨味とホロ苦さがじんわりと込み上げてくるのが良い!そして、オリーブオイルの香りが活きている。那覇市内の人気店で極めて残念な夜光貝のジェノヴェーゼをいただいた経験があるため、シェフの調理センスに心の中で拍手喝采を送った。

そして、付け合わせの【ウツボのスープ】も相性抜群だ。旨味があり、クリアーなコンソメスープ的なスープ。日本料理だと吸い物的な。

沖縄産のフレッシュハーブティーは嬉しい限りだ。

パイナップルとマンゴーのカルパッチョ、小松菜ミント、ピパーチのピクルス、パッションフルーツ、松のオイル。フルーツに手を加えつつフルーツの自然な魅力を伝えるドルチェで素晴らしい。

フーチバーのケーキに、糸満市のバニラを使用したアイスクリーム。バニラの香りが良い!ケーキがサクサクな点が最後に嬉しく、フーチバーの香りが上品に漂うところも余韻として最高だ。
「トット(Totto)」 さんのWEB予約については、テーブルチェックで可能です。
店名:Totto(トット)
予算の目安:【お任せコース7品+ペアリング5杯】22,000円
TEL:098-800-2592 ※完全予約制
住所:沖縄県宜野湾市嘉数4-6-7
最寄駅:なし
営業時間:水~金曜19:00一斉スタート
定休日:月曜、火曜、土曜、日曜
沖縄に行く楽しみが増える、すしログ(
@sushilog01)でした。
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