
こんにちは、鮨ブロガーのすしログ(@sushilog01)です。
過去に訪問して「長崎ナンバーワンの素晴らしいレストランだ」と感じた「villa del nido(ヴィッラ デル ニード)」さん。
訪問当時は当ブログで西洋料理のお店を紹介していなかったので、記事には書いていませんでした。
この度、3年ぶりにお伺いしたところ、やはり秀逸な御料理で「全国区レベルの名店」だと確信しました。


食材の活かし方、味覚の構成が極めて素晴らしいです!
季節を変えて訪問するのが心から楽しみです。

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「villa del nido(ヴィッラ デル ニード)」さんの魅力については、全ての御料理が完全にどこにもない味わいで、しかもハイレベルである点です。
オリジナリティの高い料理をイノベーティブと呼ぶならば、イノベーティブ系のレストランの中で日本トップクラスです。
こちらの為だけにフライトを予約して訪問する価値があります。

使用される食材は地物に絞り込んでいて、上質な味わい。
予期せぬ食材の取り合わせを行いつつ元の味わいを活かしながら化学変化をもたらす点にシェフの非凡なセンスを感じます。
オーナーシェフの吉田 貴文さんは長崎県雲仙市生まれの方。
東京の大学で国際文化を学ぶ研究者でしたが、料理人を志して26歳でイタリアに渡ります。
イタリア北西部のピエモンテ州でキャリアを積み、2015年に「ヴィッラ デル ニード」を開業されました。
自身が訪問したのは開業から6年が経過した後でしたが、既に独自のスタイルは明確に定められていて、今回再訪して更に洗練されている事を実感しました。
冒頭に書いた通り味覚調整が巧みで、香りの用い方や起伏の付け方も秀逸。
東京では過剰な味や食材を付加して印象を高めようとするお店が増えているところ、吉田シェフは料理の根幹である味覚と香りに向き合って自らの料理の印象を高めます。
様々な調理技術を駆使される中で、とりわけ発酵と自家製調味料作りをされている点が筆者の琴線に触れます。
吉田シェフは僕と同じ1981年生まれなので、今後も応援し続けたいと強く感じます!
それでは、「villa del nido(ヴィッラ デル ニード)」さんで頂いた御料理の詳細を紹介します。
2024年1月に訪問時に頂いた内容です。


長崎唐人菜、羊の発酵ブイヨン、発酵レモン、白エビ、有明海苔、在来種高菜の種。初手から構成要素がユニークなのがお店の魅力だ。サプライズとともに、複雑な香りと多様な食感を楽しめる一皿となっている。高菜の種はプチプチ弾けて辛くて香りが良い!発酵レモンによる酸味を感じつつ、エビの甘味と特徴的な海苔の風味が食欲を刺激しながら広がり、唐人菜の食感も楽しい。

自家製フォカッチャ。カリッカリかつもっちもちで酸味があるのが魅力!

キジハタとハヤトウリをミルフィーユ状に重ね合わせている。調味料は、自家製味噌、ハイビスカスと麹の泡と自家製醤油のジュレ、羊節。酸味の奥からキジハタの旨味が広がり、食欲をそそる香りも加わる!羊節の羊香も面白い!嫌み無く羊香を添えるところが独創的だ。ハヤトウリのシャキシャキ食感が楽しくさせて、底にある生姜の香りや辛味がアクセントになる。

魚は珍しいエリアカコショウダイで、ジャガイモの発酵ペーストのフリット。大根の葉とサヤのペースト、クミンビネガー。今回は力強い味わいの魚種で、香りも脂も乗っている。海中神経〆ながら軽く血のニュアンスもある。血合いの部分から上品にかすかに感じる(のが良い)。

出始めの里芋で、上が赤里芋、下が白里芋のピュレとのこと。蒸したミズイカ、ディルオイルとともに。ミズイカのとろとろテクスチャーと甘味が里芋の香りと甘味と一体化して、多層的な甘味を楽しめる!

香りが良く、実に美味しいパンだ。

ハヤトウリの端っこの部分とたいらがね(地物のワタリガニ)の出汁、唐辛子ピクルス。カニの香りと甘味をまろやかに楽しむ素麺だ。麺は極細でプチプチした食感。素麺料理として非常に美味しい。


もち米の玄米を練って揚げたもの、いりこ出汁のスープと鯛の田麩、唐津サフランオイルとともに。鯛の旨味と香りがたっぷり楽しめて、いりこの出汁は非常に上品。もち米の香ばしさが引き立つ。

穴熊、間引き春菊、ウコン、柚子、手打ちのタリオリーニ。穴熊の脂が甘く、余韻が長い。コクと香りも長く楽しめる。そして、ウコンの苦味がアクセントとして用いられている点が面白い。メニューに表示された名前通り脂を楽しむ料理ながら軽やかな後味だ。

10ヶ月のサフォークのロースで、カボチャ醤油を塗りながら焼いたもの。付け合せの野菜は、間引き人参と赤蕪。

肉質は柔らかく、香り良く旨い羊である!人参の葉も香りが良くて魅力的だが、本体が小さいのに味わい濃いのが衝撃!軽やかな味わいで香りを楽しませる赤ワインソース。赤蕪も強い苦味の中から甘味も込み上げてきて、味わいが濃い。肉も野菜も嬉しさのある味わい。

発酵唐辛子のビネガーミルク、緑茶、いちじくの発酵シロップ、いちごと橙の葉のシャーベット。スッキリ!前回も意表を突かれたが、再び頂いてもやはり面白い発酵唐辛子を用いたデザート。

在来種の黒米を使ったクレープ生地、ホワイトチョコと貴腐ワイン、鶏の卵のソース。上には栗の渋皮煮。これまた相変わらず美味しいデザートだ。生地のみちっとした独特の食感とコクが魅力!

トマトと麹梅はぜの蜂蜜を混ぜたものはオリーブの葉をスプーン代わりにして頂く。トマトの酸味と旨味で蜂蜜が魅力的なデザートに変わる。キャラメリゼした落花生、自家製きなこをまぶしたスポンジも美味。

浅煎りのコスタリカ、地元の黒糖とともに。
2024年8月に訪問時に頂いた内容です。
ドリンクについては、運転手だったのでノンアルコールドリンクを頂きました。
自家製梅干しシロップのスパークリング

香り良く酸味が爽やか。プラムのような味わい…!
雲仙アイスグリーンティー

瑞穂町の玉緑茶のアイスティー。
この度頂いたコースの内容
- 玉葱
- 湧水パン
- 魚
- モリ突き海中神経締め
- 湧水パン
- 青香
- 素麵
- 川
- 粉物
- 肉
- デザート

マスタード代わりの自家製調味料から素晴らしい。すなわち、蒸して発酵レモンと合わせた高菜の種である。玉葱は自家製のフレッシュチーズ、茴香と、地元名産のたいらガネ=ワタリガニを合わせている。最初に酸味が広がり、蟹の甘味とチーズのコクが圧倒する。香りも良く、高菜のプチプチ食感とピリッとした辛味が上品なアクセントとなる。一口で多様な味わいを感じさせて頂き感動!一品目からストーリーに引き込まれる傑作である。

フォカッチャ。カリッカリ、もっちりで、美味しい。酸味がある点が面白い。

キジハタ、味噌マリネ、レモングラス、レモン味噌の泡、醤油ジュレ、ボラ節。キジハタは皮目のみ軽く炙っている。ボラ節の香りがスモーキーで食欲をそそり、キジハタの旨味と脂がどんどん広がり、レモングラスの爽やかな香りや少量のみじん切り生姜の香りと食感が爽やかにまとめていく。全体的に香りが非常に魅力的だ。
このような魚料理を頂くと鮨だけ食べていても世界は広がらない事を実感する。酸味の使い方や香りの加え方などなど日本料理がインスピレーションを得る余地は多数ある。

スジアラとジャガイモ発酵ペーストのフリット、クミンとヴィネガーを用いた黒田五寸人参のピュレ。きめ細かい衣でカリッカリ。サクッと弾けて、スジアラの香りが広がる。そして、大きなポーションながら繊細な繊維がホロリとほどけて、旨味が広がる。衣の中で完全に蒸し焼きになっているため、非常にジューシィかつ旨い。そして、ピュアな味わいだ。これについては、海中神経〆だけでなく放血も海中で行っているとの談で納得。

ピュレは単体だと酸味が強めだが、共に食べると味を支え、香りを加える。良きバランスの調味料使いである!

ポーションが大きい点も嬉しい!加熱系の魚料理はポーションが大きくなくては。

塩漬けにしたアオサ入りのパン。ゼッポリーニと言うか海苔餅のような印象!

在来種のキュウリ、槍烏賊のマリネ、烏賊のフレイバーオイルと地物の鶏を蒸して2年熟成させたもののピュレ、キュウリの外側のオイル。旨味と香りが強烈!ディルを思わせるキュウリの香りがふんわりと広がる…これはオイル由来かな。キュウリのマリネはシャッキシャキ。

キュウリと向き合って主役まで引き上げる工夫ある料理で深い感銘を覚える。

吉岡製麺さんの極細島原素麺、玉ねぎの周りの部分と湧水のスープ、有明海のコウカイ(標準和名テングニシ)。玉ねぎの旨味と甘味がたっぷりで存在感のあるスープ。そこに、貝の旨味、甘味、軽い苦味、コリコリ食感が実に良い調和とコントラストを生み出す。玉葱は茹でて粉砕して裏ごししているのか、とろりとしたテクスチャー。素麺はプチプチ食感の素麺で快感。輪切りの発酵青唐辛子?が良いアクセント。

近所の河川の天然鰻に、羊肉を一年発酵させたエキスを塗って焼いたもの。イリコ、唐津産サフラン、朝日米。鰻は皮をむっちりと表現していて、タフな香りと旨味が印象的。イリコの香りと鰻の香りが独特のバランスを生み出している。サフランの香りもエキゾチックなアクセントに。

猪、空芯菜、発酵生姜と大葉、ラヴィオリ。プルプルして軽くもっちりしている皮、猪はざっくりした粗挽きで叩いているかのよう。猪肉のコクを楽しんでいると、生姜、大葉の香りがふんわりと上品に広がる。

島原産サフォークのホゲットのもも肉を炭火焼きに。ソースはサルサ・アル・ヴィーノ。旨味たっぷりで香りが優雅に漂う羊。優しい甘味と酸味があり、軽やかな赤ワインソースが良い塩梅。蓮根は焼き込んで味わいを凝縮させている。ダビデの星はトロトロ。

イチゴと橙の葉のソルベ、唐辛子の香りを移したビネガーミルク。唐辛子の香りがしっかりと広がり攻めているデザート!酸味でスッキリな口直し。

在来種の黒米を使ったクレープ生地、ホワイトチョコと貴腐ワイン、鶏の卵のソース。生地にはグラッパを染み込ませている。気品のある香りのドルチェだ!甘味も丁度良い。

トマトの皮を乾燥させて昆布出汁で戻してハゼの蜂蜜漬け、イチジクとキャラメリゼした落花生、ケーキに自家製黄粉をまぶしたもの。トマトの皮は酸味と旨味を感じる面白いスイーツ。小菓子も全て非凡なのが嬉しい。

爽快にフィニッシュ。

「villa del nido(ヴィッラ デル ニード)」は雲仙市で有明海に面した多比良(たいら)にあります。
海岸線から奥まっている、農園が点在する小高い丘に瀟洒な建物が建っています。

店内はシックで落ち着いた雰囲気。
じっくりと御料理に向き合える素敵なお店です。
「villa del nido(ヴィッラ デル ニード)」さんは、ポケットコンシェルジュ経由でWEB予約が可能です。
villa del nido(ヴィッラ デル ニード)(食べログのリンク)
店名:villa del nido(ヴィッラ デル ニード)
予算の目安:おまかせコース20,570円
TEL:0957-73-9713
住所:長崎県雲仙市国見町多比良甲313-2
最寄駅:多比良駅から1.0km
営業時間:ランチ12時スタート、ディナー19時スタート
定休日:火曜、水曜
未知の味覚に出会うと幸せを感じる、すしログ(@sushilog01)でした。
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