こんにちは、土地固有の食材が大好きな、すしログ(@sushilog01)です。
さて、今回訪問した「島キュイジーヌ あーすん」さんは非常にユニークなレストランです。
昨今、沖縄のグルメレベルが上がっていて、レストランシーンでは沖縄市の「アレコ」さんなどが記憶に残ります。
一昔前とは異なり、グルメのために沖縄に行く価値がどんどん高まっていると確信します。
そして、今回の「あーすん」さんは那覇市の小禄にあり、瀟洒(豪奢?)な一軒家にあります。
知られざる沖縄食材の魅力を知りたい方ならまず間違いありません。
ワインペアリングの精度も高いので、ぜひとも多くの方に訪問して頂ければ!
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「島キュイジーヌ あーすん」さんは、沖縄の魅力を高い独自性をもって伝えてくれます。
可愛らしい店名の由来はウチナーグチ(沖縄方言)。
店名には「合わせる」と言う意味が込められています。
そして、まさに店名通りの調理がお店の魅力となっています。
沖縄の様々な食材や調味料を組み合わせて他にない味を構築されています。
一口目で感じる味覚の体験はこれまでに無いものです。
ただ、沖縄の食材は非常にユニークなので、正直なところ好みが分かれるのは事実だと思います。
僕自身はフーチバー(ヨモギ)やピパーチ(ヒハツ)だろうが、ヤギ、イラブー(ウミヘビ)だろうがどんとこい!ですが、一般の「内地」の人にとっては躊躇する気持ちが分かります。
しかし、「あーすん」さんは大丈夫!
一般的には「変わった食材」も用いつつ、味わいにおいては皆が美味しい!と感じるハッピーな調理をされています。
郷土性、独自性だけでなく、分かりやすさも意識されている点が強みだと感じました。
御料理の独自性が非常に高いのに、難解さが無い点は明らかな美点です。
実際に頂いたコースとペアリングの詳細を紹介します。「あーすん」さんのコースは以下のようなラインナップです。
- ランチ:3,300円、6,000円、7,500円
- ディナー:10,000円、ペアリング付き16,000円
結論から言うと非常にリーズナブルで驚きました。
繰り返しになりますが、お酒を飲める方はぜひともペアリング付きを!
御料理7品に対して、5種類のペアリングでした。
- 金城さんのターム
- からし菜 今帰仁アグーチラ
- 久米島産車海老 イーチョーバー
- 県産旬野菜
- 小さな今帰仁アグー
- かりゆしキンメ、シークワーサー
- 今帰仁アグー、やんばる産大豆
- チンピン、島バナナ
- ちんすこう
- ハーブティー/和花の畑
金城さんはたーむ(田芋)作りの名人との事。たーむを椎茸とともに練ってフリットにしているとの説明で、つまり【どぅるわかしー】を現代的にアレンジしているとは!まぶしているのは南城市の山羊のチーズ(ジョンさんのものだろうか?)。たーむ特有のねっちりとしたテクスチャーから、たーむのコクと椎茸の旨味や香りが次々と広がる!そして、チーズのアクセントがさらりと上品で馴染む。たーむの魅力を新たな形で伝えてくれる御料理だ。たーむや琉球料理に馴染みがない人はもちろん、琉球料理に精通している人も唸る魅力的な再構築だと言える。
ペアリングは、フランスのシュナンブランを用いたスパークリングワインからスタート。
今帰仁アグー(豚)のチラガー、タン、もも肉を用いた冷製テリーヌ。やんばる産の芥子菜に、サワークリームと芥子菜の種。今帰仁アグーの旨味や香りの重厚さに芥子菜の香りと食感がアクセントになり、味を広げて盛り上げる。ゼラチン質のコクがじゅわりと口の中で溶けて広がる。芥子菜の種もマスタード様の香りと辛味で素敵なアクセントだ。塩気は冷製なので少し強めているところにフレンチらしさを感じる。
車海老はミキュイで、イーチョバーのフランに魚介のフォン、海老オイルを数滴。濃密なフォンで一口目から印象的。海老はぷりっと弾けて、しっとり、ホロホロとほどけるところがミキュイらしい魅力的なテクスチャー。フランは野菜の香りにスパイスも加えているようで、極少量のピパーチか?良い香りの余韻と軽いピリッと感を感じたので、尋ねたところ当たりであった。旨味を強めている料理だが後味が良いのはイーチョバーのお陰なのかな。
スパークリングワインがバッチリ切るマスキングペアリング。海老の香りや濃密な魚介のフォンを全て切る。
大宜味産ガジュマルの器に入っているのは、やんばる大豆のフムス、豆腐クリーム、島の白味噌とアンチョビのピュレ、ドライトマト、今帰仁アグーの自家製ベーコン、島人参、2ヶ月追熟した島人参、島らっきょう、パパイヤにはナンプラー、マカンボ。
ゴーヤーがしっかり苦くて美味しいのが良い!フムスはきめ細かく、豆の香りとコクとともにクミンが広がりる。人参は野趣が力強く、沖縄に来るとこれが人参だよなぁと思わされる。追熟したものは甘くて芳醇。オクラは粒のテクスチャーが良い。パパイヤにナンプラーを加えてピクルス的な仕立てにするのも魅力的。今帰仁アグーは脂が実に旨い。名護の桜チップで燻製にされている。島野菜は良いなあとしみじみと感じた。
イタリアのジビッポ、オレンジワイン。コクを同調させている。同時に軽い苦味で穏やかにリセットする。酸味が強いものにはワインの苦味が立つが、全般的にバッチリとペアリングされている!コク、甘味、苦味のあるワインで。
県産のゴボウ、アマゾンカカオ。ナイフを入れた瞬間に感じる肉質に笑顔になる。いざ頂いてみると指先の感覚は間違い無く、みっちりしたテクスチャーで実に今帰仁アグーらしい!味わい深い豚肉にカカオの香りと軽い苦味が良い相性だ。ゴボウの香りもアクセントになる。
提供するお酒は泡盛で、しかもカラキ茶割!料理に巧みに香りを補足!米の香りとシナモン香が料理に補足されて、料理と合わせるとカクテルのよう。米の香りは穏やかに同調する。料理に更なる精細を与える、香りの調和が実に面白いペアリングだ。
なお、ここまでで1時間半。コースにおいては料理を「1時間でどこまで進められるか」が極めて重要だと実感した。
かりゆしキンメは糸満産の金目鯛。ソースヴァンブランにシークヮーサーを加え、皮も削っている。そして、ウコンパウダーで苦味を少々加えている。
金目鯛はみっちりしていて香りが良い。クラシックを感じさせるソースに郷土性と酸味の軽やかさを合わせるソース。よって、ソースを吸った長芋も美味い!ウコンは香りを立たせない素敵な塩梅。
オーストラリアのリースリング。シークヮーサーに寄せてペアリングされているそうで、確かに酸味と軽いキリッとした苦味を合わせている。
部位は肩ロースで、160℃で回転させながら焼き上げ、仕上げにグリエしている。ソースではなく「骨出汁を煮詰めたもの」を使用されているそうだが、これは頂いて【骨汁】のインスパイアか?と感じた。
付け合せの調味料は自家製マスタード、たーむのグラタン、トマトと唐辛子のピュレとともに。ナイフは龍泉刃物。
脂の部分は、ぷちっ!と切れて、もっちり、しっとりテクスチャー。実に魅力的だ。今帰仁アグーの旨味と香りにグリエの香ばしさを加える調理法も魅力。グラタンには肉を加えて、大豆が異様に美味いとろりとした食感にしてマスタード香や出汁の旨味やゼラチン質を乗せて少量ベーコン=スーチカー?も、今帰仁アグーは本当に美味しい肉。これだけ頂けるレストランは贅沢である。
ワインはキャンティ(サンジョヴェーゼ)。トスカーナで猪に合わせることにインスパイアされて、今帰仁アグーに合わせたとのことで納得。今帰仁アグーは猪に近い品種なので、食材の知識を持っているとドラマ性が上がる。なお、抜栓は【小さな今帰仁アグー】のタイミングでされていて、そこからしばらく放置されていたのは流石。
琉球王朝伝統菓子の【チンピン】はカカオと黒糖で作られていて、カカオニブ、イエラムゴールドと黒糖のソース、島みかんの皮のパウダーとともに。島バナナのアイスクリームは濃厚な香りと甘味で、そこに島みかんの皮パウダーが素晴らしく馴染む。また、カカオニブの食感が楽しさを加える。チンピンを見事にクレープとして使い、旬の島バナナをこのような形で楽しませてくれるのは実に嬉しい。
今帰仁アグーのラードを使用したちんすこう。コクがありつつ重たくなく存在感はしっかり。食感はサクサクながらきめ細かい!
フレッシュレモングラスティー。香りが強い!南国のフレッシュものはこうなるのか~!としみじみ。思わず道の駅で購入して自宅で楽しんだほど。甘味に爽快なキリッとした風味がたまらない。
「島キュイジーヌ あーすん」さんは小禄の駅から少し歩いた高台の斜面にあります。
建物は一瞥では全容をつかめない豪邸。元の所有者はお茶の先生で、しかも別荘として使われていたそうなので大層な話です。
外観は邸宅なので少し戸惑うかもしれませんが、ひとたび店内に入り、靴を脱いで上がると寛げる空間です。温かみのある内装と窓外には南国の植物が風にゆったりとたゆたう。リラックスして楽しめる雰囲気です。
なお、他に「個室」もあるそうで見せて頂きましたが、「個室」というよりも「広間」で驚きました。
「島キュイジーヌ あーすん」さんは食べログ経由でWEB予約が可能です。
店名:島キュイジーヌ あーすん
予算の目安:ランチ3,300円〜、ディナー10,000円、ペアリング付き16,000円 ※前日までの予約
TEL:098-851-5360
住所:沖縄県那覇市金城5-13-5
最寄駅:小禄駅から300m
営業時間:火・水・木11:00〜15:00(L.O. 13:30)、18:30〜23:00(L.O. 20:00)、金・土12:00〜15:00(L.O. 13:30)、18:30〜23:00(L.O. 20:00)
定休日:日曜、月曜
文中で言及した「アレコ」さん
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地産地消こそ最高の贅沢だと感じる、すしログ(@sushilog01)でした。
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