京都で気になっていた最後の寿司店。
これで京都の京寿司、江戸前鮨の主要なお店は全て伺った事になります。
こちらは祇園の一等地にありつつ若いご主人のようなので、前々から伺うのを楽しみにしておりました。
どうやら修業先は東京で人気を誇るしみづさん。
(つまり、鮨竹の竹内氏の兄弟子に当たる模様です)
この度、お昼に訪問しました。
お店の外観は祇園の街並にフィットしており、瀟洒。
暖簾をくぐる喜びがあります。
店内は少々落とし目の照明で、キリッとした香りに包まれております。
祇園の京料理店風なのに、香りは鮨店というギャップが面白いです。
お昼のメニューはお決まり9,000円、お任せ12,000円。
違いは貫数で、お決まりが13貫、お任せが17貫との事でしたので、お任せにしました。
尚、夜同様に酒肴が付くコースもあり、15,000円です。
(貫数は仕入れによって少し変動する模様です)
こちらのシャリは、頂いて驚きました。
圧倒的に強い赤酢と塩気で、やや硬めの炊き加減が良く、パラッとほどけます。
実に関西らしくないシャリです。
ご主人曰く、「あえて強めにしている」との事。
いやはや、素晴らしい試みだと感じます。
個人的にはやや強すぎると感じましたが、関西で赤酢のシャリを出すならば、これくらいアグレッシヴでも面白いでしょう。
読者の方で京都や大阪在住の方がいらっしゃるならば、こちらに行けば東京で流行りのシャリを味わえる、とお伝えさせて頂きます。
ガリ
鯛
明石産。
熟成させているようで、ねっとりとした甘み。
シャリだけでなく、白身をとっても関西の一般的な仕事とは異なります。
墨烏賊
酢橘は一滴だけ。
パツッとした食感を爽やかに満喫。
小鰭
しっかりした〆で、旨味と香りを凝縮した仕事。
鮪
大間産。
シャリとの相性良し。
シャリとのコントラストで鮪の甘みが強調される。
煮蛤
蛤自体の味付けがしっかりしており、これもシャリとの相性良し。
煮ツメも濃厚で好みでした。
甘鯛
京都ならではなタネ。
ただ、強い味のタネが続いた後と言うこともあり、シャリとのバランスが気になる。
折角の甘鯛に、シャリ(赤酢)の香りが勝ってしまっている。
縞鯵
これは甘鯛に比べて香りが強いので、シャリと合っております。
脂の乗りも良く、それでいてしつこくない。
鰆
軽いスモークを利かせ、食感はふんわり。
燻香の後に甘みが広がる。
車海老
茹で上げで、肉厚ながらに噛みしめると甘みがほとばしる。
これも少しシャリの酸味が勝つところがネック。
北寄貝
鮮度良く気持ち良い食感。
なお、酒肴を頼んだお客さんには炙りで供されておりました。
ツブ貝
包丁の入れ方が良く、ツブ貝特有のゴワッとした食感を楽しみながらに歯切れが良い。
鯖
塩、酢ともに強めの〆だが、脂と香りを楽しめる。
下手な鯖寿司を食べるくらいなら、こちらで一貫頂いた方が嬉しい。
鰤
白眉。
炙った後に漬けにしており、香りが素晴らしく、
凝縮された脂の旨味に心を奪われる。
鰤の雄々しい香りも楽しめ、清々しく横溢する。
海胆軍艦
昆布森産のバフン海胆。
使用している海苔のクオリティも高い。
いくら軍艦
薄皮で弾けて消えゆく、いくら。
穴子
穴子が冷えており、シャリとの温度差が気になった。味は良い。
干瓢巻き
甘辛く仕上げた干瓢で、食感も良い。好みである。
玉子
三層のグラデーションになっている、見目麗しき玉子。
良質なプリンのような食感。
すし処ととやの玉子も素晴らしいが、こちらの玉子も完成度が高い。
17貫と巻物、玉子を頂いて12,000円とは、内容を考慮すると非常に満足です。
「シャリと仕事のバランス」という観点で考えると、シャリに改良すべき点が無くは無いものの、まだお若いので更なる進化を期待出来ます。
個人的には、赤酢の角をもう少し丸めた方が全体的な完成度が上がり、それでいて、お店の個性も殺さないように感じました。
とは言え、京都のみならず関西で頂ける江戸前鮨としては、非常にハイレヴェルだと思います。
店名:鮨まつもと
シャリの特徴:赤酢の輪郭を強調し、塩も利かせたシャリ。硬さ、温度なども良い。
予算の目安:9,000円~
最寄駅:祇園四条駅から230m
TEL:075-531-2031
住所:京都府京都市東山区祇園町南側570-123
営業時間:12:00~14:00、17:30~21:00
定休日:火曜、水曜のランチ
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京都の江戸前鮨の主要なお店はすべて伺ったことになります?
嘉瑞は行ってないでしょ??
匿名さま
コメントありがとうございます。
嘉瑞さんは上野毛にあったお店でしょうか?
京都に移転された現在、会員制と伺っております。
当ブログ(=僕の食べ歩き)では読者の方が訪問できるお店を基準としており、会員制のお店は対象から外しております。
大変申し訳ありませんが、ご了承頂ければ幸いです。