
こんにちは、鮨ブロガーのすしログ(@sushilog01)です。
さて、今回ご紹介する「鮨 たか晴」さんは、今後確実に人気が高まると感じた鮨店です。
そのように感じた理由は仕事の根底に流れる思想の為。
古典とモダンをハイブリッドされているので、今後の伸び代がバッチリです。


本当は秘密にしておこうと思ったのですが、クラウドファンディングを実施されたので、記事を書くことにしました(笑)
【2025年3月追記】
クラウドファンディングの「黒龍ペアリング」で再訪したので追記します。改めてこちらは「筋が通った」お鮨屋さんだな〜と感じました。

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神田錦町にある「鮨 たか晴」さんは2024年7月にオープンした新店です。
親方の木目田 隆晴さんは「銀座久兵衛」で11年間修行された方。
「鮨 たか晴」を任される直前はハレクラニ沖縄にいらっしゃったそうです。
お若くして客あしらいが巧みなので、キャリアがバッチリ活きていると感じました。
海外ゲストの接客の結果、TOEICで900点を取られたとのことで驚きました!

木目田親方は古典的な江戸前仕事をバッチリ押さえつつ、味わいはモダンに仕上げているのが非常に良いバランスです。
おまかせコースの中に〆、漬け、煮るを全て用いて、しかも美味しいと心から嬉しくなります。
しかも提供テンポが抜群で、食べ終わりまで60分を切りました。
鮨職人にとって手が速いのは才覚です(思えば、僕が通っているお店の職人さんは皆手が速い)。

生命線のシャリについては、やや硬めの炊き加減ながら全く嫌みのない硬さです。
お米はあきたこまちを使用されているとの談。
ぱらりとほどけ、赤酢の酸味がふわりと漂い、温か目でモダンな仕上げ。
お酢はヨコ井の琥珀を主軸に、味の深みを足すために私市、香りを足すために富士酢をブレンドされているそうです。
今後が楽しみな一軒の誕生です。
「鮨 たか晴」さんのコースについては、以下の構成です。
- ディナーコース 19,800円
- ランチコース 16,500円
- ランチ握りコース 11,000円
今回は冒頭に書いたとおり「黒龍ペアリング」のコースでした。

実に滋味深い…!振り柚子を上品に使用されている。

寝かせてしっとりとした食感で、皮寄りの部分は程よくむっちりしている。非常に甘い!そして、香りはふんわりと広がる。福井県産(黒龍とのテロワールを感じさせる)。

バナナと青メロン、ほんのりとリンゴ。上品に米の甘味、旨味がありつつフィニッシュはキリッとしている。アルコール感と強い苦味のフィニッシュでマスキングする方向性。冒頭にキレのあるお酒はやはり鉄板中の鉄板。

香りが抜群。気持ち良い食感の後に旨味が広がる。

名産地、竹岡産の炭火焼き!脂があり旨く、香りも良い。

デリシャスリンゴとミネラルの香りが広がる。この方向性の吟醸酒としては甘味が強すぎず、黒龍らしい苦味がやはり特徴的。甘味を寄せて香りも寄せて苦味で上品に切るペアリング。

クリームコロッケに車海老とは鮨店らしい…と言って良い酒肴なのだろうか?贅沢だ。濃厚なベシャメルソースも自家製とのことでハッタリ感が無い。ぷりぷりとした食感の海老は嬉しく、海老味噌を使った自家製ソースも魅力。海老の香りが上品で、これ見よがしではない点が良い。

大間産。香りが良く、バチコ様の香りが強い。コリッコリと食感を楽しませつつ、ほどけてゆく。調味料は土佐酢。

バナナ香。甘味も広がり、とろりとしたテクスチャーも相まって実にバナナっぽい。そして、苦味が後味を引き締める。甘鯛の脂や昆布の旨味に合わせると苦味が有機的に作用する。甘味は同調しつつ。烏賊も甘味があるので合う。

昆布締めで、みっちりした食感。脂の甘味が広がりつつ、昆布の旨味と香りがじんわりと高まる。

バツバツ感よりもパツッと切れて、とろりとしたテクスチャーで甘味がある墨烏賊。

大間。旨味が広がり、血の香りもこの時期(1月末)としては楽しませてくれる。湯霜漬けによる凝縮が良い。オープン時よりも精度が上がっていると実感。

火入れ無しの熟成酒との談。麦と油のあるナッツ、そしてやや納豆様のジアセチル臭のオフフレイバー。これは鮨に対してオーバーパワーであった。

舞鶴。むっちり感、そしてぱつりと弾けて、ほどけてゆく食感。鯵の香りの後に当たり葱の香りが広がる。

シャキシャキと良い食感。生っぽく甘味のある北寄貝の仕事。じんわりと苦味が広がり、ネガティブな香りや味わいは無い。

活からの茹で。茹で加減が良い。半生で甘味が良く、しっとり感とぷりぷり感がいいバランス。温度も温かすぎず良い。味噌もレアに仕上げつつ臭みや苦味を出していないのは見事。

甘味、旨味がありつつ綺麗で、後味に苦味が広がる。黒龍の持ち味は苦味だ。

鮪の大トロにあたる砂ずりの部位。1週間熟成。身はぷちっと弾けて脂が溢れ出る。旬らしい脂を楽しめて、脂が多い部位でありながら香りも楽しめる。

煮ツメを用いず漬け込みのみで蛤の滋味と言うべき旨味を活かす仕事が冴える。柚子を少々。産地は鹿島。

熊本県産。脂を凝縮させていて良い〆だ。塩を効かせて、酸味は非常に穏やか。しっとりではなく柔らかいテクスチャーで、香りがふんわりと広がる。提供のタイミングにも独自性があり、煮ものの後にサッパリさせつつ小鰭の印象を高める配置。

「旨味のある辛口」と言った方向性。かなりドライな苦味。

背中の血合いギシ。柔らかいパーツを、包丁でさらに歯切れ良くしている。甘味があり酸味もふわりと広がる。

ホロホロで香りが良い穴子。甘味も程良い。

軽く食感がありつつほどける干瓢。デフォルトで山葵無しとは硬派だ!
蜆。蜆で始まり蜆で終わる。

芝海老を使用した2層式。甘味が上品なので食後感が軽い。
今回は初訪問なので、握りに集中すべく【ランチ握りコース】を頂きました。
お酒については黒龍酒造のものを中心にそろえているようです。



香りが抜群で、甘味も楽しめる。

新生姜。甘味と辛味が初手で広がりつつ、甘味、酸味、塩気のバランスが良い。味をカットすると言うガリの本質に沿ったガリ。

むちむちで、ぱつりと弾ける身で、皮もコリッと気持ち良い食感。食感を楽しませて、香りが広がり、甘味が広がる。塩振って脱水の後に寝かせを行っている模様。一晩との事であった。

出水産。塩は沖縄・屋我地島のものを使用されていて、選択の理由は鉄分があるものを選んだ為だそう。柔らかさがこの時期としては強めの新烏賊。新烏賊らしさがあり、シャリとのバランスも良い。酸味が尖らずに爽やかに漂う程度。

湯霜漬け。一晩寝かせてねっちりとした食感に仕上げつつ、香りがじわりと高まる。余韻としての血の香りを楽しめる。煮キリは塗らず、漬け地の塩分濃度もバッチリだ。

優等生的な香りと脂のバランスの鯵。香りは途中からグイッと高まる。中に当たりネギを噛ませている。産地は舞鶴。

トロトロな面を上にしているため、初手の甘味が強烈だ。裏は軽く火入れをしており、これは湯引きかな。最後に香りがふわっと広がる。

愛知県産。柔らかく、香りも良く、甘い。食欲をそそる香りが実に良い。軽い〆で魅力を引き出している。ネガティブな要素はゼロで、臭いも骨も除去。広島以外で「コイワシ」と呼ばれるのを初めて聞いた。

活からの茹で上げで、温度を落ち着かせてから提供。活からの茹でなので半生の海老味噌を噛ませつつネガティブな香りが無い。車海老の甘味を満喫させてくれる仕事。

皮の柔らかさと爽快感のある香り。即ち、新子の魅力に浸れる。良い意味で、ある種の淡水魚を思わせる清涼感のある香りが持ち味だ。脂や旨味とは違う楽しみがあると再認識する。

柔らかくコクが強く、濃密な味わいの中トロ。

熱々に仕上げている。もともとの煮加減がトロトロではなく、軽くみしっとして繊維質がホロホロな塩梅なようなので、熱々にしても絶妙なバランスとなっている(トロトロ志向で熱々だとシャリとの一体感に欠けるだろう)。

山葵無しで古典的な提供スタイル!意図的に山葵を抜かれているようで、素晴らしい見識だ。柔らかく煮つつコリッとした食感もあり、醤油とメイラード反応による香ばしさがあり、甘味も強すぎない。良い塩梅の味付けなので、山葵無しでバッチリ決まる。

芝海老入りで、熱源は炭火との事。しっとりとプリンの完全な二層構造。それでいて甘味は上品。

蜆出汁。優しい味噌汁だ。
「鮨 たか晴」さんは竹橋駅から徒歩7分、神田駅、小川町駅からともに徒歩10分ほどの静かな場所にあります。
神田駅周辺は賑々しいものの、神田自体は落ち着いたエリアなので、鮨店が似合う立地だと感じました。

カウンターは樹齢250年以上の吉野檜を使用しており上質です。
実は、首里城修復の為に確保されていたそうですが、原木は8メーター以上あったとの事。
鮨店が増え続けることで職人と魚が取り合いになっていますが、カウンター用の原木もまた然りですね。
良い原木との出会いも縁だと感じる昨今です。
なお、包丁は「日本橋蛎殻町すぎた」杉田親方と同じ佐賀の「二葉商会」のものを使用されています。

「鮨 たか晴」さんは、食べログ経由でWEB予約が可能です。
店名:鮨 たか晴(すし たかはる)
シャリの特徴:ヨコ井の琥珀を主軸に、味の深みを足すために私市、香りを足すために富士酢をブレンドしたシャリ。
予算の目安:ランチ握りコース11,000円、ランチコース16,500円、ディナーコース19,800円
TEL:03-3518-9218
住所:東京都千代田区神田錦町1-17-5 DAIWA神田橋ビル 1F
最寄駅:竹橋駅から450m
営業時間:12:00~14:00、17:00~23:00
定休日:月曜、祝日
江戸前の仕事をバッチリ押さえた若手職人さんに出会うと嬉しくなる、すしログ(@sushilog01)でした。
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