こんにちは、金沢が好きな、すしログ(@sushilog01)です。
この度、金沢にて出会った素晴らしい日本料理店が「うつしき」さんです。
今のところ食べログのスコアは3.10で、著名人は訪問しておらず、ミシュランやゴ・エ・ミヨも無冠ですが、間違いなく脚光を浴びる料理店だと確信しました。
食材の使い方が巧みで、味付けも繊細ながら味が決まっていて、センスが良いです。
繊細な味付けや食材の取り合わせを好む方なら絶対にヒットします!
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金沢市新竪町にある「うつしき」は、2021年9月オープンの日本料理店です。
店主の村田健斗さんは「東山 和今」ご出身とのこと。
店名の「うつしき」には、古語で「古きものと新しきものが混在する」という意味があるそうですが、随所に店名通りの感性が光ります。
お店は「東山 和今の流れを汲む」と修行先を強調されることが多いようですが、双方が異なる点は料理写真を見ても自明です。
村田さんの感性は随所に光り、食材に最小の手数を加えて最良の味へと昇華させるアプローチが琴線に触れました。
季節表現が実に巧みです。構成は会席料理に基づいていて、一見すると「正統派」のように思える和食ですが、実際にはオリジナリティが光ります。
食材の取り合わせと選択する調理法の面で個性があり、これぞ日本料理における正しい個性の表現だと感じました。
また、お料理のみならず生け花もご自身でされていて、茶道も習われているため、清々しい食事を楽しめます。
東京でキャヴィアやトリュフなどを臆面もなく使用するプレゼン系の日本料理店はどうしても性に合わないので、「うつしき」さんのように語らずとも感じられるお料理と雰囲気は実に嬉しいものです。
お言葉遣いも印象的で、例えば、「すいません」ではなく「すみません」と一言一句を発音されていて、実に素晴らしいです。
情報過多な世の中だからこそ、言葉遣いや立ち居振る舞いに表れる教養ないし品性こそが情報に勝る優良店の判断基準であることは否めません。
「うつしき」さんは【おまかせコース】14,500円一本で明朗会計です。
あまり使いたくない表現となりますが、コストパフォーマンスが抜群です。
この度頂いた内容
- 先付:うすい豆、卵
- 飯:稚鮎、米
- 椀:貝、筍
- 向付:真鯛
- 八寸:旬の食材
- 温物:鰯
- 強肴:さより、うろい
- 焼物:甘鯛、菜の花
- 飯物:葉牛蒡、留め椀、香の物
- 水物:いちご、黒糖
お酒については、地酒をお任せで頂くのが良いです。
茶碗蒸しで、うすい豆はすりながしに。
香り、甘味、極々あるホロ苦さを活かす素敵な仕立てだ。
塩味は非常に攻めていてギリギリのラインを狙っており、茶碗蒸しにはうすい豆のサヤの出汁が効いていて、野菜から繊細に季節を感じさせるアプローチ。
茶碗蒸しのテクスチャーは今風の「とろっとろ」ではなく、「ねちっ」とさせつつダマやすは皆無でもたつかない。
実に良い仕事。
茶碗蒸しもさる事ながら、うすい豆の引き立て方が素晴らしい。
シンプルで繊細、それでいて明確な個性を宿す存在感を放つ。
これは素晴らしい腕を持つ料理人さんだと、一品目で確信する。
技術のみならずセンスが無ければ出来ないアプローチの先付だ。
鮎は七尾湾の河口でとれたもの。
現在は禁漁期であるが、網にかかってしまったものがレアに流通するそうだ。
食運に感謝。
餅米は白山餅で、飯蒸しに。
鮎の香りとホロ苦さが白山餅の甘味と強い香りに合う。
餅米はもっちり感があり、粘度は抑えて、良い蒸し加減。
鮎部分の塩気を強めて先付との強弱を鮮明にする。
これは食材との出会いのみならず提供方法に嬉しさを実感する。
器は輪島塗りで、昭和初期の骨董品。
椀種は蛤の真薯、小松産の朝堀りのタケノコ、輪島産の若芽。
吸い地は昆布出汁を活かしていて、蛤の出汁と調和させている。
塩気を抑えめにする事で、旨味で牽引する良い塩梅だ。
真薯はふわんふわんで優しくなれる食感。
蛤の香りと甘味を活かす調理法。
タケノコは香り良く、ホロ苦で嬉しい味わいだ。
七尾産の桜鯛と桜。
脂がしっかり乗っていて、すぐさま旨味が高まり、香りも然り
余韻がある鯛だ。
寝かせてしっとりさせつつ、軽くぷりっとした食感を残す。
そして、景色も良い!
日本料理の本質として、作られた景色はダメだと再認識する。
そこに教養と想い、美意識があるかどうかが重要で、何かの猿真似で作られた景色は「映え」たとしても醜悪である。
山菜の八寸とは感慨無量だ!
そして会席の作法に基づき海のものも使用。
使用されている山菜と野菜は、タラノメ、コシアブラのお浸し、つぼみ菜(春雷)の天麩羅、コゴミ、スナップえんどう、空豆、ウド、春蘭花。
ホタルイカは新湊産(県外で有名な滑川よりも石川県寄りの港)。
ウドには鰹出汁とお酢を小気味よく効かせていて、すっきりしつつ旨くて香りが良い。
つぼみ菜(春雷)の天麩羅は薄衣でサクサクと軽やか。
香り良くホロ苦い春雷を殺さぬ調理だ。
タラノメについては、キレのある香りが爽快で、春に泣ける粋な香りだと痛感する。
大正時代の白漆の輪島塗。
七尾産の鰯のつみれには山椒を軽く効かせている。
ネガティブな味わいと香りはゼロで見事なつみれだ(上質なお店でも、鰯のネガティブな要素が出やすいのがつみれで、気付かぬ料理人すらいる)。
鰯の香りと旨味を楽しませる料理で、鰹出汁も塩気も穏やかに、それでいて効果的に効かせている。
針魚は七尾産。
針魚を珍しく感じたところ、もともと5船あったが、今は1船のみの漁船がとっているそうだ。
昆布〆を一時間行って、赤紫蘇、土佐酢と共に。
〆の加減が良く、むっちり、ぱつりとした食感。
昆布の香りを残さず、旨味を程良く乗せている。
花穂紫蘇の香りは調理に合い、見た目の為に使う料理人が増えるからこそ、味と香りを大切にするのは良い心がけだと感じた。
こちらも七尾産。
菜の花は炭火焼きに。
甘鯛は振り塩と焼きの両方で凝縮させているようで、旨い。
甘鯛の旨味とゼラチン質は豊富で、そこに炭火焼の菜の花と合わせるセンスが特筆に値する。
甘鯛は柔らかすぎでも硬すぎてもダメだと実感する(鮨職人が酒肴で甘鯛を使う際は柔らかすぎる事が多いが、皆が皆、そのように柔らかくせずとも応えてくれるのが甘鯛であり、むしろ他人と異なる食感表現を行った方が面白いはずだ)。
葉牛蒡とは嬉しい食材を使用される!
一般的に牛蒡は根っこを食べる野菜だが、この牛蒡については根が10センチ足らずで、30~40センチになる葉を主役にしている。
特別に栽培してもらっているそうだ。
牛蒡の甘味を強く感じさせてくれて、シャキッとした食感も面白い。
これは他にないご飯で、素晴らしい。
椀は海老の焼き出汁だろうか?甲殻類の香りが香ばしい。
香の物はカボチャ!
これまた実に良い。
シャキッ!と意表をつく食感から、香り、甘味が広がり意外性が抜群である。
シンプルながら他にはないご飯、そして、留め椀、確かな個性を感じさせてくれる香の物を頂き、これぞ日本料理の喜びだと実感する。
最近は、お食事を複数種類用意するブームが起きているが、究極はご飯、留め椀、香の物だ。
この少数精鋭で如何に自己表現をするかが最も大切で、お客を満腹にさせる事ではない。
複数種類用意頂けるのは嬉しいが、軽い食後感は日本料理の美徳である。
珠洲市の「ベリーポップ」に、黒糖とラム酒のシロップがけ。
イチゴの特性を見極めた上で、味覚を調整するソース。
「水菓子」に真っ向勝負しているのが良い!
付け焼き刃的な菓子よりも、地産の果物に最小限の手数を加えて独自性を出す方が粋である。
心安らぐ滞在となった。
お店は繁華街から少し離れた新竪町にあります。
築百年ほどの古民家を改築されたそうで、小体ながら粋を感じさせる風貌です。
店内も席数が6席と限られていて、能登産のヒバを用いた白木のカウンターが凛々しく輝きます。
壁面には越前和紙が用いられていて、これは村田さんのご出身が福井であるためだそうです。
「うつしき」さんの予約については、「一休」経由でWEB予約が可能です。
店名:うつしき
予算の目安:【おまかせコース】14,500円
TEL:090-7761-6977
住所:石川県金沢市新竪町3-52-3
最寄駅:野町駅から1,100m
営業時間:18:00~21:00
定休日:月曜
直近で金沢をめぐり印象深かったお店です。
鮨いくたさん
鮨の激戦区、金沢で気鋭の鮨職人!「鮨 いくた」すし屋小桜さん
金沢駅に最も近く、最も美味しい江戸前鮨の優良店!「すし屋 小桜」
新たな味の表現に癒やされる、すしログ(@sushilog01)でした。
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