ほっこりする雰囲気と味わい!素敵な町の優良鮨店「鮨なか」

鮨なか暖簾

こんにちは、鮨ブロガーの、すしログ(@sushilog01)です。

「瀬戸内さかな」プロジェクトに参加されている鮨店で、お伺いしていないのが「鮨なか」さんのみでした。

そこで、広島出張時に立ち寄らせて頂きました。

すしログ
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結果的に、こちらは誰もが寛げる「素敵な町の優良店」だと実感しました!
地魚の仕入は日によりけりですが、総合的に楽しませて頂けます。

※本記事は「瀬戸内さかな」プロジェクトのPR記事となります!

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広島市「鮨なか」の魅力とは?

「鮨なか」さんは2011年オープンで、職人歴30年以上の親方と女将さんが二人三脚で切り盛りする鮨店です。

親方である中森 勲さんは有名店での修行経験こそないものの、地元の食好きに愛される町の優良店です。

実直な仕事が奏功した結果、「鮨なか」さんはミシュランの「ミシュランプレート」を獲得しています(「ミシュランプレート」とは、星獲得まではいかなかったもののミシュランの基準を満たしている飲食店)。


ランチタイムはリーズナブルな鮨のお決まり(3,800円)を提供されていて、おまかせも頂く事が可能です。

様々なニーズに応えてくれるお店なので、観光客よりも地元の人が多い印象です(ただ、平和記念公園に近いためか外国人旅行者が予約無しでガラリと入ってこられるシーンも何度か…日本人、外国人問わず、人気のお鮨屋さんは予約が必須です!)。


鮨の生命線であるシャリはバッチリ美味しく、パラっとほどけます。

温度管理も良く、今の時代からするとやや低めですが、町のお店としては全く問題無い範疇です。

酸味と塩気は穏やかで、老若男女が楽しめる塩梅。

そして、甘味も大変穏やかで、上品に調和させています。

お酢は3種類のブレンドで、米酢2種にヨコ井の赤酢を少量加えているそうです。

お酢のメーカーについては秘密にされたい様子でしたので、突っ込んでお伺いする事を控えました。


着目すべき点が山葵で、カジュアルな雰囲気ながらバッチリと本山葵です。

しかも、広島県内の吉和産で、おろしたて。

香りが良く、辛くて甘いので嬉しい限りです!

なお、山葵のクオリティに無関心な人は大勢いますが、魚に最も合う山葵は本山葵です。

粉山葵や混ぜ山葵では、魚の香りや繊細な味を壊してしまいます。


使用する魚介は広島市中央卸売市場から仕入れておられます。

なるべく地物を使用されようとしていますが、広島県の魚は非常に不安定なので、仲卸から九州の魚を多く入れているとの談です。

地魚については、鮨店で使う魚種やサイズのものは不安定な状況だそうです。

今後、「漁師さんから直接取引で良いものが入るならば積極的に使いたい」とも仰っておられます。

鮨店への地魚の流通は、河岸(市場)だけでなく漁師とのコネクション作りが今後大切かもしれません。

広島の今後の地魚の流通に大いに期待が寄せられます。


ちなみに、ネット上の口コミを見ていると地物食材の多寡に関してクレームを付ける人が多々いますが、これはちょっとお門違いかなと感じます。

自身の食べ歩きの経験から断言しますが、美味しい食材に出会えるかどうかは、食べ手の食運次第です。

グルメは人間と自然の戦いなので、天候や気候によって変動するもの。

大人のグルメな食べ手ならば、自身の食運も踏まえて内容を判断するのがスマートです。

「鮨なか」のおまかせコースの詳細

「鮨なか」さんのランチについては、前述の通り3,800円と非常にリーズナブルです。

そして、通常の【おまかせ】については、下記のようなラインナップです。

メニュー

そして、今回頂いた【瀬戸内さかなコース】は11,000円。

酒肴5品、握り10貫、椀、玉子で構成されています(仕入れによって変動はあります)。

握りのうち広島県産の地魚はカワハギでした。


お酒については、広島県のものと県外の人気な銘柄を複数揃えておられます。

酒器

個人的にオススメの蔵は神石高原町の三輪酒造さん。

銘柄【神雷 純米】660円は、純米酒ながら青メロン系のスッキリした香りを上品に持ち、お米らしい甘味と強い旨味を楽しませてくれます。

華やかすぎるお酒や、昔ながらの甘味と苦味が強いお酒よりも、このようなお酒が現代の鮨には広く合います。

先付:飛竜頭

先付:飛竜頭

具は椎茸、人参、銀杏。

味付けはほんのり甘く、ほっこり温まる。

寒くなってきた時期に嬉しい先付。

刺身:アコウ(キジハタ)、蛸、鯵

刺身:アコウ(キジハタ)、蛸、鯵

頂いた魚は、アコウ(キジハタ)、蛸、鯵。

産地はアコウが尾道、蛸が江田島、鯵は山口県。

アコウは出会えたらラッキーな広島県を代表する高級魚だ。

アコウは9時、蛸は8時にさばいたものだそうで、産地らしい楽しみがある。


アコウの食感はぷりぷり、パツパツで、香りを楽しんでいると脂がじんわりと広がり、大変甘い。

そして、清涼感ある香りがふんわりと漂う。


蛸は薄切りにして縦に包丁を入れる事で食感と歯切れを良くしている。

これも産地らしい味わいで、握りではなく刺身で出す必然性がある。

それでいて旨味もある。


山口県の鯵も肉厚で脂が乗っている。

ネガティブな風味や味わいはゼロだ。

脂の酸化も感じないので、手当が良いのだろう。

白甘鯛の幽庵焼き

白甘鯛の幽庵焼き

愛媛県産、0.5キロ。

小ぶりだが、白甘鯛らしい脂がある。

熱源はサラマンダーで、ホロッとした火入れだ。

付け合わせのエシャレットと金山寺味噌がアテになる。

八寸

八寸

地物の赤ナマコ、バイガイ、牡蠣、南瓜。

赤ナマコは茶ぶりにして、程良いコリコリ感を残しつつ、歯切れが良い。

牡蠣は初物に近く、中心部は柔らかく火入れを行い、漬け込みにする仕事。

南瓜には穏やかな甘味が付けられていて、飛竜頭と言い、こういう言った味わいは実にほっこりするなあ…と。

町のお店の魅力が味付けにもある。

ガリ

ガリ

ガリもバッチリ自家製だ。

食感は柔らかく、甘みがあるため、幅広い世代に受け入れられるガリ。

水烏賊

水烏賊

長崎県産。

とろりと甘く、包丁で味わわせる仕事だ。

レモンを多めに使用しているが、これは広島らしさと解釈する。


念のため補足。

東京の江戸前鮨店ではレモンは使用せず、酢橘が最も多く、次にカボスだ。

理由としては、レモンの香りは強烈で魚の香りを超えがちである事と、クエン酸の強い酸味の主張が強すぎる為だろう(個人的な解釈)。

そのようになった経緯は、味わい以外にも、大衆的なお店や居酒屋でレモンを多用する事のアンチテーゼもあるかもしれない。

何れにせよレモンは主張が非常に強い柑橘であり、そもそも柑橘は主題の食材を活かす為に使用する事を念頭に置いて調理する必要性がある次第である。

鮪中トロ

鮪中トロ

青森県、大間産。

脂がありつつサッパリした範疇で、余韻も軽やか。

香りも良い。

鉄の余韻がふんわりと残り、清涼感を与える中トロだ。

鯛

山口県産。

こちらにも強めのレモンと塩を使用しているが、鯛の旨味が強いので噛みしめるほどに味わいが込み上げる。

途中から調和する仕事。

茶碗蒸し

茶碗蒸し

具は椎茸、イカのゲソ、穴子、生麩。

とろんとろんで出汁が効いた茶碗蒸し。

これもほっこり。

具がたくさん入っている茶碗蒸しは大衆的な印象を与えがちだが、こちらの具の構成と量は嬉しくなるバランスであった。

鯖

山口県産。

甘味のある昆布に気持ち厚切りの鯖でバランスを取る仕事。

鯵

広島では珍しく〆の仕事を施した鯵だ。

〆で食感をみちっとさせていて、先に頂いた刺身との違いを楽しませてくれる構成である。

また、〆て塩気と酸味を加える事で親方のシャリとの一体感が高い。

車海老

車海老

大分県産。

ほんのりと温かく甘い。

茹で置きではなく茹で上げを行い、少し温度を落ち着かせているのだろうか。

穴子

穴子

ふんわりした食感で江戸前鮨の煮る仕事が活きている。

広島の穴子の調理法と異なるので、これは広島在住の人には嬉しい仕事だ。

そして、甘味が非常に抑えめで、穴子自体の脂と香りを楽しませる。

これは割と珍しく、個人的に好印象の仕事だ。

鮪赤身

鮪赤身

時期とは裏腹に脂は穏やかで、香りと旨味を上品に楽しませてくれる赤身だ。

椀

潮汁ベースでアラも入っている赤出汁。

濃厚な赤味噌が土地らしい味わいだ。

小鰭

小鰭

追加のお願い。

佐賀県産。

〆はクラシックな方向性でしっかり目だが、しょっぱくも酸っぱくもない。

広島で正統派の江戸前の仕事をされている事を、広島の読者さんに伝えたく追加した次第だ(笑)

海胆

海胆

大分県産。

海胆の脂分があり、時期とは裏腹に濃い味わい。

カワハギ

カワハギ

これは地物で広島県産。

肝はとろとろで、誰もが美味しいと感じる冬の風物詩だ。

味付けはポン酢でクラシックな方向性だが、構成が良く、最後に濃厚な脂を楽しませつつキリッと締める点が魅力。

玉子焼き

玉子焼き

玉子焼きもカステラではなく出汁巻きでほっこり。

水菓子

水菓子

抹茶のアイスクリーム。

「鮨なか」の立地と雰囲気

鮨なか暖簾

「鮨なか」さんは賑やかな繁華街から少し離れた、静かな場所にあります。

平和記念公園が近く、ビルの奥に入っています。

鮨なか内観

カウンターには今や東京や高級店では珍しいタネケースが有り、嬉しくなります。

タネケースは、昔は粋で格好良かったそうです。

今の鮨店に慣れている我々にも、サクの魚や仕事をした魚を見せて頂けるのは期待が高まり嬉しいところですね。

ちなみに、江戸前鮨か否かを見極める簡単ポイントは、タネケースに生の魚だけでなく仕事をした魚があるかどうか、です。

江戸前鮨で重要なのは、仕事=調理です。

「鮨なか」のお店情報と予約方法

「鮨なか」さんのお店情報は以下のとおりです。

WEB予約については、食べログ経由で可能です。


鮨なか(食べログのリンク)

店名:鮨 なか

シャリの特徴:米酢と赤酢をバランス良くブレンドし、老若男女美味しく頂けるシャリ。

予算の目安:ランチ3,800円〜、おまかせ11,000円など

TEL:082-578-6438

住所:広島県広島市中区大手町2-6-8 102

最寄駅:袋町駅から85m

営業時間:

12:00~14:00(LO13:30)、17:30~22:00(LO21:30)

定休日:日曜、祝日

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鮨のことを考えるのが大好きな、すしログ(@sushilog01)でした。

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