こんにちは、鮨ブロガーの、すしログ(@sushilog01)です。
2018年に一目惚れならぬ「一口惚れ」した、横浜・関内の常盤鮨さん。
当時の時点で、神奈川県を代表する鮨店の一つだと実感しました。
しかし、その後、何度か足を運んだ結果、都内の人気店・予約困難店に匹敵する、確かな実力者だと確信しました。
それもそのはず、3代目親方の林ノ内勇樹さんは、今は無き名店「鮨 水谷」で二番手を任されていた方。
「名人」として知られた水谷八郎氏の技を受け継ぐ、ほぼ唯一の直系職人さんです。
系譜と技量、ポテンシャルを考えると、全国から訪問すべき一軒であることは間違いありません。
食べログのスコアは3.3ほどと低いものの、4.0オーバーの実力店に匹敵する実力をお持ちです(その後、2022年3月に3.77まで上昇)。
2024年2月にお店を閉じられ、3月に東京・広尾に移転される「常盤鮨」の林ノ内親方。
「横浜の名店」として応援していたので移転は正直なところ寂しいものの、親方のチャレンジは心から応援したいと思います。
東京が全世界における「鮨の聖地」であるのは間違い無いので、鮨職人であればチャレンジしたくなる気持ちは分かります。
地方で地元食材を駆使するお店が東京に移転するのは正直なところダサいですが、神奈川であれば理解できます。
タップできる目次
横浜・関内の「常盤鮨」は1952年(昭和27年)創業の老舗です。
しかし、3代目親方の林ノ内勇樹さんは、冒頭の通り「鮨 水谷」で研鑽を積まれました。
林ノ内親方は「鮨 水谷」の二番手を任されるまでになり、他のお弟子さんの面倒を見られていました。
ちなみに、その他のお弟子さんとは、バンコク”Sushi Ichizu“の戸田陸親方や、築地「鮨 桂太」の青山桂太親方です。
ただ、鮨好きならご存知の通り、お二人は「鮨 水谷」の後に他のお店に移りました。
戸田陸親方は「日本橋蛎殻町すぎた(日本橋橘町都寿司)」の杉田孝明親方に、青山桂太親方は「鮨 太一」の石川太一親方に師事されました。
ともに赤酢のシャリを用いるお店で、「鮨 水谷」の系統とは異なります。
よって、林ノ内親方は「鮨 水谷」のほぼ唯一の直系と言えるのです。
林ノ内親方の鮨で特筆すべきところは、バランスです。
味覚のバランスが絶妙で、この点において多くの人気店を凌ぐ技量を感じさせます。
魚の引き立て方が巧く、切り付けも魚味を最大化することに成功しています。
シャリの味わい、魚の仕事、魚の切り付け、握りの全てが高度に一体化しています。
今回伺って、過去からの飛躍に最も驚いたのは、このバランスにおいてです。
さらに、鮨の生命線であるシャリも絶妙。
林ノ内親方のシャリは、すきやばし次郎の系譜の通り米酢で、酸味と塩気を利かせた硬派な味わいです。
修行先の系譜を感じさせる酸味と塩気を利かせたシャリなのですが、試行錯誤されています。
訪問の都度微調整されていて、この点も鮨好きとしてはマニア心をくすぐられて魅力的です
二度目、三度目と足を運ぶ過程で、どんどん美味しくなっています。
直近では、硬く炊いたお米に酸味をキリッと利かせて、端正な方向性に仕上げつつ、塩気は次郎直系よりも穏やかだと感じました。
ミツカンの「白菊」を主体とした米酢のシャリとしては、全国トップクラスの完成度です。
酸味をコントロールするために他のお酢もブレンドもされていますが、同じミツカンで調整をされる点が硬派極まりない姿勢。
砂糖を用いつつ「端正な味」を表現し、粒は粘度が穏やかで、硬すぎずほろりとほどけます。
以前、親方から「如何に粘度を抑えるかを模索している」と伺って、「これは更に美味しくなるな」と予感しましたが、見事に有言実行され、シャリの完成度を上げられています。
もちろん、シャリの温度管理もバッチリです。
お米については、以前は「ササニシキの古米」を使用されていましたが、現在は「あきたこまち」を使用されています。
昨今は赤酢のシャリが流行している状況ですが、僕は今後米酢のシャリの再評価が進むと予測しています(2018年頃より予感)。
完全に異なる魅力があり、それ故にタネや仕事へのアプローチも変わります。
食べログやSNSを見ると、現在の赤酢に慣れている人が米酢のシャリや、関西の砂糖と昆布出汁を用いるシャリを低く見ている事がありますが、そもそも全然違うものです。
大切なのは、自身のシャリで魚をどう引き立てるか?に尽きるでしょう。
米酢のお店が増えると鮨が更に面白く進化するのは間違いありません。
夜も昼もともにお伺いしていますが、いつも握りを一通り(=おまかせで)頂きます。
それでは、今までの訪問について、5回分をご紹介します。
直近以外の記事は畳んでありますので、読まれる際には「クリックして記事をひらく」をクリックしてください。
2023年12月に訪問した際の内容です。
時期ものの極細もずく。
ジャクジャクと強い食感が妙味だ。
赤貝のひも、大根おろし、生姜と共に小粋な提供。
清涼感の中でひもの強烈な旨味が存在感を示す。
青森県産の鮃、北海道・野付産の帆立。
鮃は香り爽やかに旨い。
縁側は強い脂。
帆立は昆布水をくぐらせて提供する。
食感が良く、甘い。
野付の帆立は実に良い。
香り、甘味に、繊維の食感も良し。
身はむっちりしていて、肝は言わずもがなに濃厚な味わい。
ネガティブな香りは無し。
皮付きの炙り。
温かみが残る状態での提供が意表を突き良い。
脂が乗りつつ酸味もある、爽やかな旨さだ。
山掛けでの提供。
鉄と血の香りでキリッとした印象。
海苔は極細ながらに香りが良い。
山芋が時折ざっくりした食感であるのが楽しい。
兵庫県淡路島・室津の牡蠣。
火を入れつつ中心は生の香りと持ち味を楽しませる。
香りが良く、甘い。
ぷちりと弾けた後に、とろーんととろける。
やり過ぎぬ印象に落ち着くのは出汁のお陰だ。
昆布〆によって軽くみちっと凝縮させつつ、とろりとした食感。
ゴリッとした食感は強くなく、パツパツとろりととろける。
塩を当てて1時間ほど脱水して、握る直前に温めて提供する手法。
香りがふんわりと立ち、活性化した強い脂が酸味の効いたシャリと協奏する。
良い仕事だ。
大間。
旨味が強い。
そして、香りも鉄分も強い赤身だ。
鮪の赤身の魅力を伝えきる赤身だと実感。
サクッと切れて、トロトロかつ大味ではない脂を楽しませてくれる。
旨い。
閖上産。
昆布様の香りが強い点は正に閖上だ。
ただ、閖上の赤貝については、過去よりも旨味が格段に弱くなっている点が気懸りだ(産地としての心配)。
脂が強く、それでいて香りもある。
味のある大トロだ。
バシッと〆つつ後から香りや旨味が高まる。
ぷちっと弾け、皮は当たらない。
60℃で火入れして0.8%の塩水でバラす手法。
函館根崎産。
香りが強く、口どけも良くて、甘味は紫らしい。
トロトロではなくねっちり感のある穴子。
「常盤鮨」さん定番の出汁巻き玉子。
都内移転後にどうされるのか、個人的に気になるところだ。
青森県産。
脂が多い鯖はしっかりと〆るに限る。
旨い。
煮ツメは軽く、蛤自体の味を活かす。
2022年5月に訪問した際の内容です。
ビール小瓶を1本頂き、2貫追加して16,100円。
トータルの満足度として、都内の人気店・予約困難店に匹敵あるいは凌駕する美味しさだと、今回も実感しました。
先付
真鯛
相模湾産。
昆布〆を施した後に寝かせているため、食感が独特かつ絶妙だ。
しっとりととろけつつ、鯛の香りがバッチリと広がる点が素晴らしい。
昆布〆+寝かせは真鯛に対していささかトリッキーと言えるが、味わいの着地点はK点越えだ。
イサキ
八幡浜産で、5日寝かせている。
身に回った力強い脂だけでなく、香りも力強く楽しませてくれる。
パンチのある2貫が繰り出され、どちらもが誰とも異なる仕事だ。
白甘鯛
訪問の少し前に昆布を当てているそうで、「〆の手前」くらいの食感だ。
握る前に室温に慣らし、温度を上げている。
それゆえに、「甘鯛」たる所以が分かる一貫だ!
食感はタフなのに、本当に甘い。
提供温度が実に良い。
蛸
ブランドの明石産。
強い香りが広がり、甘みと旨味が高まる。
旨味だけでなく甘みも強く感じさせる蛸であった。
鮪赤身
島根産で、定置網。
みっちりした身は旨味が強く、酸味がふわっと広がる。
香りは上品で、ほのかな野趣がふんわりと高まる。
鮪中トロ
行き過ぎない脂だが、しっかりとコクがあり、シャリとの相性もバッチリだ。
林ノ内親方の鮨は、お腹が空き続ける鮨だと実感する。
鮪背トロ
みちっとした身はしっとりとほどけ、旨味と香ばしさが炸裂する。
小鰭
強めに塩で〆つつ、しっとりとほどける。
時期的に脂は爽やかだが、鮪3連発の後に嬉しい味わいだ。
系譜らしいこの構成は実に理に適っている。
トリ貝
三重県産。
滑らかにほどける繊維で、甘みが強い!
これは日本海のものを超える、太平洋のもの故。
車海老
朱色の発色こそ穏やかであるが、とにかく甘みが抜群に強い!
海老は古来より見た目が重視されてきたが、必ずしも見た目ではない事を実感する。
産地は天草との事だ。
いくら軍艦
完全に季節外れなのに、いくら!?と思いきや、なんとキングサーモンのいくらであった!!
「キングサーモン」と聞いて頭に浮かべるタフな印象とは裏腹に、一瞬でとろける。
あたかも飲み物のようないくらで、これは凄い。
鮭のいくらが持つ卵黄的な濃密さはないものの、皮がサラッと消え去りシャリと同化する速度には心から驚嘆を覚えた。
仲卸が親方の為に取り置いていたそうだ。
お客としても感謝を覚える。
海胆軍艦
はだての紫海胆。
流石のはだて!と感じる味わいだ。
紫なのでスッキリだが、濃厚な味わい。
蝦蛄
みちっとした身はすぐにしっとりほどけ、強い甘みを舌に残す。
殻ごと焼いているため香ばしさも魅力だ。
鯵 追加
みっちりと滑らかで、舌に吸い付くような身質だ。
これは下ごしえが素晴らしい。
生で頂く鯵であっても握る前に仕事が完了し、仕事が全てである事を教えてくれる。
蛤 追加
みっちりな身質で、滋味深い味わいの蛤だ。
椀
蛤出汁で濃厚な旨味。
香りも良い。
玉子
以前よりも甘みの強い出汁巻き玉子。
林ノ内親方のシャリと構成ならば、この出汁巻き玉子が良いように感じる。
2022年2月に訪問した際の内容です。
先付、酒肴を4品頂き、握り14貫、干瓢巻き、椀、玉子を頂きました。
過去よりも更に美味しくなっていて、正直なところ驚きました。
うるいのお浸し
季節感を感じさせる野菜の先付けとは、嬉しい。
清涼感のある香りを楽しみつつ、期待を高める。
のれそれ
鯛出汁のつゆで頂く温かい調理。
のれそれは、とろ〜り滑らかな口どけで、独特の食感を楽しませる。
ぷるぷるな生の食感も魅力的だが、より穴子らしさを感じさせる火入れだ。
鯛の出汁はしっかりと利いている、
蒸し牡蠣
仙鳳趾産の大きな牡蠣。
これも、とろりととろけるようで、みっちりと凝縮された魅力がある。
強火で蒸しているそうだ。
アカムツ
通称のノドグロではなく、標準和名のアカムツと仰る方は珍しい(素晴らしい)。
骨で出汁を取り、焼き浸しのように仕上げている。
皮の焼き加減も身の火入れも良く、鮨店のアカムツの酒肴として大変魅力的な仕事だ。
ガリ
シャキシャキの食感、ごく控えめな甘み、シャリに負けず端正な味わいのガリ
鯛
名刺代わりの一貫目から白眉…!
濃厚な旨味が広がった後、鯛の芳醇な香りが高まる。
そして、脂がシャリと乳化して、抜群に美味しい鯛の握りだ。
2日ほどの寝かせを行い、鯛の魅力を引き出し、シャリとの相性も考え抜かれた卓越した仕事だ。
産地は明石産。
墨烏賊
墨烏賊らしいバツバツ、プチプチした食感が優先だが、時差的に甘みも楽しませてくれる。
とろりと甘く、シャリの酸味が高まり、次第に墨烏賊の甘みの印象が強まる。
包丁で食感を、シャリで甘みを活かす、墨烏賊の仕事としては硬派かつ完成度が高い。
白甘鯛
山口県産、昆布〆。
旨味をしっかりと楽しめ、昆布〆は程良く上品な塩梅だ。
鰆
これも素晴らしい仕事!
漬けにしているが、ここまで鰆の香りを活かす仕事は珍しい。
と言うよりも、鰆の漬けとしては、日本最高峰の完成度だ。
漬けにより身質はねっちりと柔らかくなっており、シャリに瞬時に合致する。
その上、脂がしっかりと乗っていて、鰆特有の軽やかな酸味もある。
香りもある。
漬けで鰆の魚味を全く殺しておらず、漬けの仕事で鰆の魅力を最大化している。
赤貝
大分県産とのことなので、定評ある豊後水道のものか。
昆布香がしっかりと感じられ、赤貝らしさを満喫できる。
鮪赤身
現在はかなりの人気が出ている鮪の仲卸、結乃花。
林ノ内親方親方は早期から結乃花の鮪を使用されている。
今回頂いた鮪は、下田産の背カミ。
赤身らしい酸味と鉄分の香りとクロマグロの香りが強く、噛み締めていると旨味が高まる。
初手から旨い!ではなく、じわじわと魅力が高まり、強く印象を残す赤身だ。
通好みの味わいで、実に奥深い。
鮪中トロ
腹側でないので、みしっとした食感の後にトロトロと脂が溶けてゆく中トロだ。
同時に、クロマグロの香りもある。
濃密な余韻があり、赤身とともに特徴的な味わいを満喫。
鮪はがし身
これはメチャクチャ旨い。
身質は非常に柔らかい。
香り、旨味、脂の全てを兼ね揃えていて、記憶に残る鮪であった。
小鰭
みしっとした強い〆方。
皮がするりと切れて、小鰭の香りと〆による酸味が広がり、旨味が喉に残る。
鮪3連発の後の小鰭は「すきやばし次郎」「鮨水谷」流の定番の流れ。
しかし、職人さんによって印象が異なる点は面白い。
小鰭の〆方に加えて、仲卸さんの影響も大きい構成だと実感する。
車海老
茹で上げで、バッチリ甘くて香りが良い車海老。
海胆軍艦
標津産。
塩水海胆を使用し、口どけが最高。
爽やかな味わいで、時期らしさにうっとり。
穴子
トロトロな食感による一体感はさて置き、シャリの酸味との相性が実に良い。
鯖
青森産。
肉厚な鯖で、脂が乗りつつ、スッキリとした後味。
言うまでも無くシャリのお陰だ。
蛤
みちっとした食感の蛤。
温めてから提供している。
漬け地の優しい甘みがシャリの酸味と合致する。
味覚の整合性が高い。
椀
山椒を利かせた三ツ葉入りの赤出汁。
干瓢巻き
柔らかめで、甘みを利かせた味付けの干瓢巻き。
ふと、林ノ内親方のシャリで、硬めで醤油が利いた濃い口の干瓢巻きを食べてみたくなった。
きっと相性が良いのではないだろうか…
また、今度は他の巻物も頂いてみたいと感じる。
玉子焼き
カステラ玉子ではなく、クラシカルな出汁巻き玉子だ。
しかし、家庭的な出汁巻き玉子とは異なるので、決して無粋ではない。
じゅわっと味が染み込んでいる。
先代から引き継ぐ味、と言うのも人情味があり嬉しい。
2020年9月に訪問した際の内容です。
ガリ
薄切りで食感があり、甘みをつけつつ媚びない甘みのガリ。
鮃
肉厚な切り付けで、もっちりした身を噛みしめると香りがぶわっと広がり、旨味も舌をグイグイと刺激する。
インパクトがある白身の握り。
寝かせ日数は2日で、非常に良い。
クロムツ
塩で軽く脱水した後に昆布〆を行っている。
よって、特徴的な食感で、ねっちり、とろりながら引き締まっている感じだ。
昆布の香りは少し強めに付け、それがクロムツに良く合っている。
鰆
漬け。
鰆の香りを感じさせる仕事で、これは嬉しい。
食感は漬けによりねっちり、まろやか。
春子
橙酢〆と面白い仕事。
しっとりと非常に柔らかい身は個人的に理想的な春子の〆加減。
鮪赤身
三厩…なので、釣りモノの鮪だ。
赤身の酸味が利いていて、旨味も楽しませてくれる。
夏から旬の秋に入っていく事を、味の変化で伝えてくれる味わいの赤身。
鮪トロ
濃厚な脂だが、タイセイヨウクロマグロとは異なり、さらりとした脂の質。
ちなみに、親方は結乃花(ゆのか)の鮪を初期から使用されているが、最近取り扱う鮨店が増えているそうだ。
良い鮪を扱う仲卸さんなので、頑張って欲しい。
墨烏賊
バツバツ感が強くなってきた新烏賊。
まだとろり感があるので、秋に入り墨烏賊らしい食感になるのが毎年楽しみだ。
特にシャリが美味しい鮨店となると。
小鰭
皮はぷちっと弾け、身はしっとりほどける。
旨味を引き出していて良い〆。
香りも良い。
小鰭の産地は天草(有明海南部)だが、産地違いで佐賀(有明海北部)のナカズミを頂いた。
サイズの違いはあれども旨味が強く、脂が非常に乗っていて驚く。
ナカズミサイズの小鰭は酒肴として出されているらしい。
いくら軍艦
皮はぷちっと弾け、さらっと溶ける。
卵の味を活かすため、バラす温度は38℃程度と低温だ。
車海老
茹で上げで、良い温度。
甘みをたっぷりと楽しませてくれる。
車海老は元々の味に加えて仕事で甘みが大きく変わる。
産地は大分。
海胆軍艦
甘みが十分な海胆で夏の名残を満喫させる。
シャリが存在感を示して魅力的な味のバランスの軍艦。
穴子
ふわんふわん、とろとろな穴子。
玉子
先代から続く美味しい出汁巻き玉子。
鯵
江戸前内湾の鯵。
とろり、むっちりとグラマラスな食感。
しかし、それ以上に香りが独特で楽しい。
どことなく磯の香りがある。
薬味はおろした生姜を中に噛ませる。
椀
2018年12月に頂いた内容です。
先付
有明海の生クラゲの酢の物。
乾物のクラゲよりも瑞々しい食感。
鮟肝
とろとろで、香りが良い。
ノドグロ(アカムツ)の酒蒸し
身はホロホロで、皮と皮下脂肪はとろろん。
柑橘強めのポン酢が端正に引き締める。
鮃
むっちりした食感から濃厚な旨味が滲む。
昆布〆にしており、凝縮感もある。
牡蠣
長崎・小長井産。
レア寄りに火入れされているが、熱は通っている。
苦みと甘みのバランスが良く、香りが実に濃厚で小長井らしい。
墨烏賊
とろんとした食感優先で、その後にバツリと弾け、またとろり。
鰆
漬け。
まずは濃密な脂が広がり、最後に香りがふんわりと漂う。
青柳
肉厚で食感が強い。
香りしっかり目の青柳。
小鰭
前回とは裏腹にやや食感が柔らかだが、旨味はしっかりと楽しめる。
鮪赤身
三厩の170キロ。
まろやかな旨味に酸味が滲む。
鉄の香りの余韻が印象深く、冬よりも夏の鮪の要素に近く、意外に思う。
三代目も意外な味わいだったので入手したとの事であった。
中々面白い経験となる。
鮪中トロ
酸味が先に来て、旨味が高まる中トロ。
これのみフジタ水産さんからの仕入れ。
鮪はがし身
これは強烈な旨味と脂のインパクト!
赤身、中トロとのコントラストが実に印象深い。
鯖
脂がとろっとろに滲むが、これは〆ているからこその楽しさ。
赤貝
香りが強い赤貝で、甘みも中々。
閖上は質にバラつきがあるため、産地にはこだわらずに仕入れておられるそう。
金目鯛
昆布〆。
脂がしっかりだが、昆布の旨味が引き締めてくる点が面白い〆加減。
針魚
しっかり脱水して食感を楽しませる針魚。
車海老
愛知の天然モノで、とにかく甘みが強い。
また、香りも良い。
蝦蛄
雄。しっとり!そして香りが高まりゆく。
蛤
やはり煮ツメが旨いと再認識。
いくら軍艦
かなりのとろけ加減。
噛んだのではなく、溶けたんじゃないのかと思う程。
干瓢巻
甘みを利かせた仕様なので、今回のシャリには少しだけ勝ってしまった。
2018年11月の初訪問時に頂いた内容です。
ガリ
甘みを付けつつ、生姜の辛味があるためダレない。
針魚
しっかりと昆布〆。
そこから甘みが横溢し、シャリの酸味が支える。
針魚の仕事として完成度が非常に高い。
縞鯵
旨味が強くねっちりした食感で、香りはごく弱い。
熟成を掛けて旨味主体の仕事に纏めておられるのかと感じた。
墨烏賊
バツッ!と弾け、とろりととろける。良き包丁。
赤貝
豊後水道産!赤貝と言えば言わずもがなで閖上がピンであるが、個人的に豊後水道のものも上質であると思う。
鯖
八戸産。
香りの後に身から脂がとろとろ溢れ出てくる。
これは美味しい鯖。
鮪赤身
三厩産。
頂いてみて、クオリティの高さに驚く。
鮪背トロ
赤身よりも更に印象深い味わい。
旨味がしっかり乗っており、同時に爽やかな風味。
鮪大トロ
脂の口溶けが良く、濃厚な脂を満喫させてくれる。
ひとえに、温度の馴らし方が巧い。
鮪自体、押しなべて上質であったのでお話を伺ってみたところ、予想した通り結乃花(ゆのか)であった。
今後伸びてくる仲卸であるのは間違いないと確信している。
小鰭
素晴らしい〆加減。
しっかりした繊維質としっとりした繊維質が同居し、食感が気持ち良い。
皮目はしっとり仕上げている。
〆てから5日寝かせているそう。
鰆
香りが活きているが、寝かせて旨味を高めている。
仕事は漬け。
いくら軍艦
プチンプチンと気持ち良い食感の後に、飲み物のように喉に流れる。
車海老
茹で上げで甘く、食感も柔らかくて美味。
蛤
ジャクジャクと力強い食感で、煮ツメが旨い。
海胆軍艦
昆布森の塩水海胆。
実に旨い。
ミョウバンの収斂味はゼロに近い。
穴子
これもまた煮ツメが奏功。
旬の時期に頂いてみたいところ。
玉子
意外にも出汁巻き!
これはこれでほっこりするので良いと思う。
小鰭 追加
前述の通り秀逸だったので追加。
バツバツ、トロトロ、じゅわっと…食感の変化が魅力。
鯖 追加
旬なので追加する。
最初に頂いたものよりも脂が多く、〆仕事がバシッと決まっていた。
干瓢巻
中庸の食感。
硬くも柔らかくもない。
甘みはやや強めで、醤油はそこまで強くない。
シャリを活かす仕事の干瓢。
常盤鮨さんは横浜・関内で1952年から続く老舗鮨店です。
関内で歴史を誇るだけあって、ビルの谷間にありながら、妙に存在感を放っています。
漬け場には現在、2代目と3代目が親子で立っておられます(→最近は3代目の林ノ内勇樹さんだけのことが多いです)。
家族経営の鮨店は実に鮨店らしくて、鮨好きとしては心が踊ります。
林ノ内勇樹親方は名店「鮨 水谷」で修業された後、ご実家に戻り、お店をリニューアルされました。
随分と気合の入った内装で、銀座の鮨店の良さを継承する雰囲気だと感じます。
こじんまりとしつつ、上質な雰囲気が漂う、いかにも銀座の路地にありそうな空間です。
なんでも「親に無理を言って案を通した」そうなので、お客としてはありがたい限りです(笑)
鮨を置く器は陶器ではなく、黒塗りの漆器。
これは「すきやばし次郎」、「鮨 水谷」の系譜らしく、握りが美しく映え、上質な気分も味わわせて頂けます。
予約については基本的に電話予約のみとなります。
ただ、部分的にOMAKASEでも開放されています。
上質なタネを入れられているので、前もって予約してお伺いするのがベターです!
店名:常盤鮨(ときわすし)
シャリの特徴:米酢のみで塩気も酸味も端正なシャリ。→今回は前回訪問時よりも穏やかであった→酢の香りと酸味を利かせつつ、程良い塩気と少量の砂糖でまとめたシャリ→酸味、塩気、温度、粘度の全てがバランス良く、ミツカンの白菊を使用する米酢のシャリとしてはトップクラス
予算の目安:軽い酒肴、16貫、巻物、日本酒2合で20,000円くらいのイメージ
TEL:045-681-2065
住所:神奈川県横浜市中区常盤町4-44
最寄駅:関内駅から300m
営業時間:お昼12:00~14:00、夜17:00~22:00
定休日:日曜、祝日
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これからも足を運び続けよう!と決心する、すしログ(@sushilog01)でした。
本記事はNo. 256、No. 260、No. 347を統合し、最新の情報を追記しています。
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