すしログ:今や札幌を代表する鮨店の一つ!唯一の個性を持つ円山公園「鮨しののめ」

鮨しののめ暖簾

こんにちは、鮨ブロガーの、すしログ(f:id:edomae-sushi:20201002142555p:plain@sushilog01)です。

さて、実力に対して知名度が低すぎるので人気を高めよう!と足を運び、渾身の記事を書いた「鮨しののめ」さん。

その後、人気が高まったのは心から嬉しいのですが、自分が取りにくくなってしまいました(笑)

一度予約を取れずショッキングだったので、今回の旅行ではかなり前から予約して臨みました。

そして、以前から格段に腕を上げられていて感動!

将来的に、もっと人気が高まる事を確信しました。

 

初訪問は2018年の6月で、当時の食べログのスコアは3.06で、ネガティヴなレビューも散見されました。

すしログ

信頼する職人さんの言葉を借りぬなら、「鮨職人は100%センス」。

しかし、センスを発揮するためには応援し続けるお客が必須だと実感しました。

そして、更に言うと、味が分かる友人とお店の選球眼も必須。

同志を探しながら、自分の眼力も研ぎ澄ませていこう、と心底思います。

鮨職人、鮨業界の進歩とともに、自身も研鑽していきたい。

すしログについて

★全国6,000軒以上を食べ歩く食好き
☆鮨の食べ歩きは15年以上のキャリア
Twitterでは幅広く、インスタでは鮨・魚介料理日本酒
☆「すしログ鮨会」のご案内は、すしログの公式LINEにて
★noteに、各種グルメマガジンを連載しています!
Substackでは、英語で鮨の魅力を発信中!

すしログの情報リンク【すしログライブラリー】

「鮨しののめ」の魅力とは?

何度か訪問する中で、名店が数多ある札幌の中でも、明確な個性を確立していると実感します。

その理由は主に2つで、一に食材の仕入れ、一に創作性。

 

まず、北海道産の食材も魅力的なものを仕入れていて、サプライズがありますが、他県の食材も自身の眼で仕入れる店が素晴らしい。

東京では同じ仲卸から仕入れる人が増えていますが、それだと似通ってしまうリスクが存在します。

「鮨しののめ」の中原親方は、九州で神経〆を行う漁師から仕入れ、道内外問わず人を楽しませる味に昇華させています。

 

次に、親方はコラトゥーラやエシャレットを用いるなど洋風なエッセンスも採り入れておられるのですが、しっかり鮨店の枠組みの中に落とし込んでおられるので嫌味になりません。

この上品なアレンジ性が今後どのように変化するのかは楽しみです。

▼2022年9月追記

2022年時点で洋風のエッセンスを封印され、和の調味料に絞っています。

しかし、根底にあるアレンジのセンスは唯一無二で、抑制も効いているので、今後更に変化するはずです。

 

仕入れと創作性を高いレヴェルで両立する鮨店は、強いです。

「鮨しののめ」は、ポテンシャルをまだまだ感じる、楽しいお店です。

▲目次へ戻る

中原親方の仕事とシャリについて

さて、「鮨しののめ」の中原親方は、上川郡東川町のご出身です。

27歳から5年間の修行を経て、2016年7月にお店をオープンされました。

鮨職人としては遅めのスタートであり、且つ短い修業期間と言えるでしょう。

 

しかし、親方の握りには江戸前の確かな仕事と、上述の通りセンスあるアレンジが加えられています。

そして、生命線であるシャリの完成度も高いです。

 

タネには熟成を巧みに掛けており、厚みのある切り付けが男らしい。

その力強いタネを受け止めるシャリは硬すぎず、それでいてお米の輪郭があります。

やややんちゃなお米かもしれませんが、酢と巧く合わせておられます。

 

再訪時(2019年)にはシャリを変えておられ、指摘したところ親方に驚かれました。

お米は東川の(ご実家で作られている)ななつぼし、水は東川旭岳の水を使用されています。

 

お酢は飯尾醸造の3種類の酢をブレンド。

10年熟成の「赤酢プレミアム」と「純米富士酢」、「富士酢プレミアム」です。

「赤酢プレミアム」は飯尾醸造のお酢らしく「赤酢らしいパンチ」は穏やかで、コク・旨味が非常に強いところだ特長。

中原親方のシャリは酸味は割と強めですが、塩気も利かせてバランスを取っている印象です。

酸味、塩気がともに強すぎないので、食べ疲れしない配合だと思います。

 

シャリの印象を一言で形容すると「渋い」シャリ。

粒が細長いななつぼしを低加水で炊く事により、独特の舌触りと歯応えとなっています。

古米の玄米を都度精米されているそうですが、それも要因かもしれません。

渋く、幽玄な印象を与えるシャリだと感じます。

 

▼2022年9月追記

シャリについては、過去よりも2段階ほど美味しくなった印象です。

大粒なななつぼしを前よりも加水率高めで炊き上げ、もっちり感を楽しませつつ甘味も程良く味わわせる事に成功されています。

さらに、お酢の酸味のアタックを抑えながら、旨味を活かしています。

それでいて、噛みしめると酸味が広がる塩梅なのが良い。

中原親方は、ご実家のななつぼしを使用し続けているので、そのお米を活かすシャリ切りを実現されているのは自分としても嬉しかった。

 

なお、店名は親方が東川町出身である事に加えて、「夜明け」を意味する事から、「初心を忘れない」と言うメッセージが込められています。

▲目次へ戻る

「鮨しののめ」のおまかせの詳細

それでは、実際に頂いたおまかせの詳細をご紹介します。

2022年9月に訪問した際の記事

2022年9月に訪問した際の記事については、下記のとおりです。

 

この度頂いたお酒

鮨しののめ酒器

  • 上川大雪 特別純米酒 吟風 辛口(協会6号)
  • うまからまんさく 旨辛口純米酒(秋の精、協会9号)
  • 三千櫻 純米R CLASS(ななつぼし)

「上川大雪」は今や東京で大人気の銘柄ですが、僕が初めて頂いたのは、「鮨しののめ」さんだったように思います。

当時から美味しいと感じましたが、華やかな香りがありつつ、あくまでもキリッと引き締める旨味の強い苦味などは、人気の理由に納得するところです。

 

松川鰈

松川鰈

縁側は塩麹で、身は鮎魚醤で漬けている。

午前〆なのでぷりぷりした食感に脂が乗っていて、魚醤漬けの仕事も奏功している。

ねっちり感を与えつつ、さっくり、しっとりほどけゆく食感だ。

また、縁側に塩麹は良い仕事。

塩麹の香りも穏やかなアクセントになる。

かつてはコラトゥーラ(イタリアの魚醤)で同じ仕事を施されていたが、和の調味料にシフトされたようだ。

 

ガリ鯖巻き

ガリ鯖巻き

この調理法は、〆の塩梅が活きる酒肴だと実感する。

酸味が上品で、ガリの甘味がバランスを取るのが良い。

酸味のアタックが強すぎるとバランスが崩れてしまうので、中原親方は巧みだ。

 

鰆

宮城金華山の鰆。

砂糖で一時間、塩で一時間〆ていて、【りゅうきゅう】をイメージしているところが面白い!

脂がガツンと広がるが、香りもあるのでワイルドすぎない。

松の実の油分と香りが相性良し。

 

ボタンエビ

ボタンエビ

塩麹漬けの仕事が白眉。

ねっちりした食感の中に、ボタンエビらしいぷっつり切れる食感もある。

塩麹頼りでなく、ボタンエビの良さを活かすセンスが光る。

 

鮟肝

鮟肝

余市Sagraさんから紹介された鮟肝との事!

奈良漬けと干しイチヂクを合わせていて、これは考案した「すし匠」の仕事を一歩進めている!

鮟肝は脂が乗っていて、香りも良い。

奈良漬けは細切りにすることで干しイチヂクとの一体感を高めている。

干し柿でも試した事があるそうだが、結局イチヂクを選択されたそうだ。

 

蝦夷鮑

蝦夷鮑

食感の選択が実に良い。

柔らかさだけでなく、コリコリ感をほんのり残している。

 

ガリ

甘味が強めで、辛味もある。

シャリとのバランスを考慮した調味だと思われる。

 

イサキ

イサキ

大分県産。

脂と香りがあり、生麹で漬けている!

なるほど…麹の香ばしさが活きている。

 

北寄貝

北寄貝

根室産で、肉厚。

北寄貝らしい甘味の前に、香りと旨味、食感が先行するのが良い。

そして、調和する。

 

毛蟹

毛蟹

噴火湾。

たっぷり!シャリ温を上げている点も抜かり無し。

 

鮪中トロ

鮪中トロ

羽幌産。

香りが強く、酸味もあり、鉄分の余韻がある中トロ。

札幌市場から入れているそう。

 

トキシラズ

トキシラズ

みちっと引き締まりつつ、ほろっほろにほどける。

香りが高まり、その後から脂がじわじわと広がる。

そして、喉に余韻として残る。

この仕事は素晴らしい。

漬けを選択せず、塩と酢でそれぞれ1時間も〆る仕事だ。

 

鰊

網走産。

極厚なものを塩〆し、骨切りして握っている。

脂だけでなく香りを漂わせるテクスチャーも見事だ。

新たな北海道らしい仕事を生み出す事に成功している。

極厚でも持て余さないのが素晴らしい。

 

鮪赤身漬けTKG

鮪赤身漬けTKG

定番の提供方法で、安定の美味しさ。

ある意味「ズルい」一品だが、コースの中に馴染んでいる。

 

海胆

海胆

赤利尻。

濃密な甘味に昆布塩が活きている!。

昆布が途中から存在感を示し、海胆単体の味にしないところに、仕事へのひたむきさを感じる。

 

筋子の西京味噌漬け

筋子の西京味噌漬け

脱水により濃密な味わいの筋子に味噌の香りも前面に出しつつ、塩気が後半に高まりアクセントになる流れは中々。

 

椀

ボタンエビの出汁が効いていて、香りがしっかりと漂う。

海老の姿が浮かぶほど美味しい椀。

 

干瓢巻き

干瓢巻き

北海道らしい構成のコースの中、干瓢を出されるのが良い。

しかも前からだ。

やや硬めに炊いて、ねじって巻くため食感が抜群だ。

醤油を利かせつつ、辛くも甘くもない良き味付け。

 

玉子焼き

玉子焼き

王道でメチャクチャ美味しい玉子焼きである。

同じクオリティで仕上げられる職人さんは決して多くない。

80分ほど焼き上げて、この繊細なテクスチャーと色合いに仕上げている。

 

ハスカップパンナコッタ

ハスカップパンナコッタ

さらに、白ワインのゼリーも添えて。

いつも意表を突かれる水菓子で、楽しみである。

 

▲目次へ戻る

2019年8月に訪問した際の記事

2019年8月に訪問した際の記事については、下記のとおりです。

 

この度頂いたお酒

f:id:edomae-sushi:20190820224832j:plain

  • サッポロクラシック
  • 山城屋・Dry超辛口純米大吟醸
  • 上川大雪・特別純米

 

玉蜀黍の冷製茶碗蒸し、じゅんさい

f:id:edomae-sushi:20190820224742j:plain

とにかく甘い!香りも良い!

低温でじっくりと茹でて糖化させた玉蜀黍は、北海道の恵みを伝えてくれる。

 

f:id:edomae-sushi:20190820224817j:plain

根室産。

香りを楽しめる鰯。

少し脂が弱いので伺ったところ、根室の漁師は近場で獲れる時は沖に出ないため小型ばかりとの事(笑)

 

利尻産バフン海胆、アカシマエビ

f:id:edomae-sushi:20190820224825j:plain

「アカシマエビ」は標準和名モロトゲアカエビか?

両方の甘みもさる事ながら、食感の組み合わせも良い。

海胆はとろけ、海老はねっちりと絡む。

そして、異なる香りで魅せる。

 

鮟肝

f:id:edomae-sushi:20190820224840j:plain

鮟肝は天塩町産との事で初めて頂いたが、脂がメチャクチャ濃厚。

 

夏鰊の炙り、ポン酢ジュレ

f:id:edomae-sushi:20190820224922j:plain

初手はポン酢の酸味が勝つか…と思いきや、鰊の脂と風味が超えてくる。

夏なので産卵後となるが、魚味が回復している。

鰊は風味が強い魚だが、包丁が奏功しており、上品に仕上げている。

炙りの香りも行き過ぎていない。

 

蒸し鮑

f:id:edomae-sushi:20190820224927j:plain

シャリと肝を合わせる酒肴は今やお馴染みとなっているが、中原さんはソースとして用いている。

海苔の佃煮を混ぜる事で磯の芳しさが加わり、シャリの軽い酸味が活きており、これはソースだと感じた次第。

 

f:id:edomae-sushi:20190820224953j:plain

 

この後、握りに移行します。

 

ガリ

f:id:edomae-sushi:20190820225008j:plain

 

アオリイカ

f:id:edomae-sushi:20190820225014j:plain

最初の食感が個性的でただトロトロではないのは包丁仕事のお陰。

 

メイチダイ

f:id:edomae-sushi:20190820225023j:plain

熊本産。

脂が強く、旨味もしっかり。

北海道で珍しいタネを用いるなと思ったところ、某神経〆の名手の魚を仕入れておられた。

 

北寄貝

f:id:edomae-sushi:20190821075633j:plain

もの凄い甘みに心底驚いた!

長万部の黒北寄貝との事。

大変肉厚ながらに繊維質のほどけは良い。

ジャクジャクと良い音を立ててほどけゆく。

香りは上品ながらに十分楽しめる。

さらっと火を入れておられ、甘みを感じさせる温度帯も良い。

 

鮪トロ

f:id:edomae-sushi:20190821075638j:plain

何と美国産!

夏場にこの海域で揚がっているとは驚いた。

味わいは、脂が強く、それなりに香りも楽しめる。

魚で生態系と気候の変化まで感じられるのは嬉しい。

一昔前のようにブランド産地で脊髄反射するだけでは、今後の漁業を考えられない。

 

マスノスケ(オオスケ)

しののめマスノスケ

漬けにして、エシャレットの微塵切りと共に。

エシャレットの香りは嫌みが無く、合っている。

脂の乗ったマスノスケを活かしている。

 

小鰭

f:id:edomae-sushi:20190821075647j:plain

〆て5日との事で、かなりの脱水感。

朧を噛ませているが、その必然性のある小鰭の仕事。

 

漬け鮪TKG

f:id:edomae-sushi:20190821075653j:plain

これは見た目を裏切らない、誰もが喜ぶ味(笑)

 

海胆

f:id:edomae-sushi:20190821075658j:plain

イチカワの赤利尻で、ランクはピンク。

無添加の箱海胆で濃密な甘みなので、昆布塩が合う。

 

いくら

f:id:edomae-sushi:20190821075703j:plain

仕事が面白く、西京漬けにしている。

真夏の新ものと言うだけで嬉しいが、独創的な仕事も魅力的だ。

皮は柔らかく、とろーんととろける。

 

干瓢巻き

f:id:edomae-sushi:20190821075709j:plain

味わいに加えて食感も力強い干瓢は、正しくクラシカルな江戸前仕事。

 

f:id:edomae-sushi:20190821075714j:plain

 

玉子

f:id:edomae-sushi:20190821075720j:plain

みっちり且つしっとりな玉子。

ぷにゅっと反発する感じもある。

海老の香りが良い。

 

ゴールドキウイのソルベ、パンナコッタ

f:id:edomae-sushi:20190821075725j:plain

ゴールドキウイのナチュラルに強い酸味を、ミルクが受け止める。

▲目次へ戻る

2018年6月に訪問した際の記事

2018年6月に訪問した際の記事は下記のとおりです。

この度頂いた日本酒

f:id:edomae-sushi:20180611202717j:plain

  • 華味之至(しかみ)吟醸1,100円
  • まる田特純750円

華味之至は山形の酒米・山酒4号を使用する北海道の吟醸酒。

華やかな甘みが広がった後にアルコールのピリッとしたアクセントを感じ、米の風味がまろやかに残る。

酒器や器には、岩見沢のこぶ志窯のものを複数使用されている。

 

冷製茶碗蒸し

f:id:edomae-sushi:20180611202712j:plain

余市産の海胆と秋田産のじゅんさい。

かなり滑らかな口当たりで美味い。

塩気も良い塩梅で、海胆の甘みを活かす。

 

松川鰈のコラトゥーラ漬け、キャヴィア

f:id:edomae-sushi:20180611202713j:plain

これが件の一品。

恐る恐る頂いてみたが、理に適った調理であった。

松川鰈は寝かせて旨味を強化した上で漬けている。

それも、強めに。

身はプリプリでありつつ、熟成による柔らかさがあり、この食感がコラトゥーラの風味に合っている。

コラトゥーラとは南イタリア産のカタクチイワシを原料とする魚醤。

故に発酵の風味があり、あたかも塩辛のよう。

よって、キャヴィアの熟成感とも調和する。

見た目は心配だったが(笑)、杞憂に終わる。

 

鰯の海苔巻き

f:id:edomae-sushi:20180611202714j:plain

〆た鰯に葱、ミョウガを合わせて海苔で巻いている。

頂いてみると鰯の香りが広がり、旨味が満ち溢れる。

とろろんととろける鰯の脂を海苔がバリッ!と受け止める。

鰯の状態が良かったので産地を伺ったところ、根室だった。

 

蛍烏賊串焼き

f:id:edomae-sushi:20180611202715j:plain

意外な時期の蛍烏賊

大ぶりでとろんと旨い。

 

太刀魚酒蒸し

f:id:edomae-sushi:20180611202716j:plain

香り良く、身は柔らかすぎず良い感じの火入れ。

太刀魚が柔らかすぎると残念に思う次第。

強めのポン酢も合っている。

 

鮟肝

f:id:edomae-sushi:20180611202718j:plain

奈良漬と干しイチジクをあしらう。

鮟肝は脂が非常にしっかりで、厚い切り付け。

食感は柔らかで、プリン的。

 

蒸し鮑

f:id:edomae-sushi:20180611202719j:plain

鮑の下は肝を用いたリゾット。

同様の酒肴は鮨店に定着した感があるが、海苔の佃煮を混ぜてオリジナリティを出されている。

海苔の佃煮は使用量が良く、巧く接続されている。

磯の香りが良い。

余韻としての香りもある。

60分で握りに入りました。

非常にテンポが良く、好印象です。

おまかせのお店でダラダラ出されたり、ダラダラ飲み食いしたりするのは好きではないので。

 

ガリ

f:id:edomae-sushi:20180611202720j:plain

甘みが割と強いが、辛みもあり、食感はしっかり。

お茶は濃く熱い。

 

縞鯵

f:id:edomae-sushi:20180611202721j:plain

食感は縞鯵らしくバツッとしているが、少し寝かせている模様。

香りは雄々しく、旨味がグイグイと高まる。

熟成を掛けておられ、6日との事であったが、食感や香りなどに熟成の腕を感じさせられた。

 

鮪中トロ

f:id:edomae-sushi:20180611202722j:plain

沖縄産。

切り付けは嬉しい程に肉厚だが、包丁の入れ方が細やかで良い。

中トロは夏らしい旨味の後に、甘み、酸味が広がる。

 

トキシラズ

f:id:edomae-sushi:20180611202723j:plain

漬け。

割と長めに漬けていたが、力強い風味がある。

仕事に負けておらず、肉厚な切り付けも奏功。

バツッとした後に、しっとりとほどけ美味。

 

ノドグロ(アカムツ)

f:id:edomae-sushi:20180611202724j:plain

流行りのタネであるが、こちらは独自性が高い。

仕事は恐らく、熟成を掛けた上で皮目を残して切り付け、浅葱を噛ませて握り、皮目をごく軽く炙るだけ。

非常に脂の強いノドグロであり、トロトロながらに食感もある。

しかも、脂が焦げると過剰に香ばしくなってしまうので、これは巧いやり方。

ノドグロへの上品なアプローチである。

産地は対馬との事であった。

 

小鰭

f:id:edomae-sushi:20180611202725j:plain

しっかりした〆でありながら、香りは上品で、噛み締めると旨味が増す。

白板昆布の甘酢も嫌味が無い塩梅。

何よりもシャリとのバランスが良かった。

 

アオリイカ

f:id:edomae-sushi:20180611202726j:plain

6日熟成で甘みがかなり高められているが、包丁で食感を生み出している。

甘み成分グリシンが最も豊富なイカがアオリイカだが、反面、食感の緩さをどうするかが握りの上での課題となる。

こちらは肉厚に切り付けた後、効果的に包丁を入れ、中心はとろりだが、表面にゴリッと切れるような食感を表現している。

 

鮪赤身

f:id:edomae-sushi:20180611202727j:plain

まさかのTKG!

ご飯に生卵を混ぜ、浅葱、海苔を散らし、漬けにした赤身を乗せる。

 

海胆

f:id:edomae-sushi:20180611202728j:plain

利尻産の本物の無添加。

ある海胆屋さんが独自開発しており、使用している店舗は6店のみの希少品である。

ある種ナッツのような深い香ばしさが印象的で、更にスッキリ抜ける爽やかな香りもある。

旨味は言わずもがな。

余韻に爽やかな磯の香りがあり、初夏に北海道を訪れる喜びを伝えてくれる。

掛けられた昆布塩も嫌味が無い。

 

穴子

f:id:edomae-sushi:20180611202729j:plain

海苔で挟み、意外な形で登場(笑)

産地は対馬だろうか。

磯の香りがある江戸前や瀬戸内のものであれば海苔は不要だが、脂の強い対馬であれば納得できる食べ方である。

 

干瓢巻き

f:id:edomae-sushi:20180611202730j:plain

干瓢巻きを出されるとは、嬉しい。

最近の若手職人さんのお店では、干瓢巻きを出す方が非常に少ないので。

お客に干瓢巻きよりもトロ巻きを好む方が増えているのも原因かもしれないが、個人的には鮨の煮もので重要なタネだと思う。

干瓢は甘すぎず、食感がしっかりで美味しい。

「干瓢巻きも出されるとは、良いですね」とお伝えしたところ、「こう言う手の掛けたやつ好きなので…まあ地味ですけど(笑)」と、素敵な回答。

 

玉子

f:id:edomae-sushi:20180611202731j:plain

甘エビを使用しており、塩気は程良く利かせ、みっちり、しっとりした食感。

スイーツぽさは低い玉子である。

玉子の香りと穏やかな甘みが好ましく、海老の香りは上品に漂う。

 

しじみの味噌汁。

味噌は上品な使用量。

旨味がグイッと奥歯に広がる。

 

生パイナップルとフローズンヨーグルト

f:id:edomae-sushi:20180611202733j:plain

お洒落なスイーツとは意外!

▲目次へ戻る

「鮨しののめ」の立地と雰囲気

お店は札幌の中でも名店が集まる、円山公園エリアにあります。

北海道の鮨業界を牽引してきた「すし善」さんや、僕が札幌トップクラスの鮨店と思う「和喜智」さんなどがあります。

ちなみに、界隈の西洋料理だとフレンチの「モリエール」さん、イタリアンをベースにしたイノベーティブの「TAKAO」さんが僕のオススメです。

 

「鮨しののめ」さんは閑静な円山公園エリアのビルに入っています。

ビルと言っても猥雑な雑居ビルではなく、非常にスタイリッシュなビルの2階。

 

階段を上がるとすぐそばにあり、控えめな扉をくぐると、カウンター8席の静謐な空間が出迎えてくれます。

席の間隔はゆとりがあり、親方の手元も見えるカウンター席なので、ゆったりと寛ぎながらライブ感たっぷりの握りを頂く事ができます。

「鮨しののめ」の店舗情報と予約方法

WEBサイトについては、食べログ、ぐるなびより可能です。

予約のタイミングについては、最近の傾向的に、連休の場合は1ヶ月前に予約した方がベターです。

ただ、訪問数日前でも取れる事も多いので、助かっています。

鮨しののめ(食べログのリンク)

鮨しののめ(ぐるなびのリンク)

 

店名:鮨しののめ

シャリの特徴:飯尾醸造のお酢を3種類ブレンド。温度や硬さなど良好で、幽玄な印象を与えるシャリ。

予算の目安:おまかせ12,000円・16,500円 →2022年10月より16,500円に一本化

TEL:011-215-4144

住所:北海道札幌市中央区南1条西22-2-15 シーズンビル2F

最寄駅:円山公園駅から400m

営業時間:17:00~22:30(L.O.20:00)

定休日:木曜

関連する記事

若手で次に来るはずの職人さん、たな華

札幌随一の名店、鮨菜和喜智

 

使用されている飯尾醸造のお酢については、下記ご参照のこと

 

鮨は最高の料理だと確信する、すしログ(f:id:edomae-sushi:20201002142555p:plain@sushilog01)でした。

▲目次へ戻る

本記事は、No. 298とNo. 232の記事を統合し、最新情報を追記しました

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA