![鮨あさひ外観01](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/83de10bd99ad855b71902322f02f49d5.jpg)
こんにちは、鮨ブロガーの、すしログ(@sushilog01)です。
2022年11月に、自身が「J.S.A. SAKE DIPLOMA(酒ディプロマ)」の資格を取ったことを受けて、鮨・和食と日本酒のペアリングに関心が高まっています。
![日本酒ペアリングアイキャッチ](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/180d24d848d523498c7a86b37926576b-160x160.png)
従来は「日本酒は和食に合う」の一言で片付けられる事が多く、味覚や嗅覚を意識した提案が少ない状況にありました。
例えば、イカの塩辛や酒盗などの塩気が効いた珍味を食べた時に「日本酒との相性が最高!」と言われるものの、どの日本酒が最適かは、あまり考えられて来ませんでした。
しかし、昨今は日本酒のバリエーションも広がっているため、ワインのように料理ごとのペアリングも行うことが可能になっています。
ハッキリ言ってポテンシャルしかありません。
そのような中で、五反田の「鮨あさひ」さんは鮨と日本酒のペアリングを行っている面白いお店です。
すしログ
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「鮨あさひ」さんについては、SNS上では「コスパ抜群!」と紹介されることが多いですが、個人的にはコスパ自体がお店の魅力だとは思いません。
コストパフォーマンスに優れているのは間違いありませんが、コスパ優先だとお店の魅力を最大限楽しめないはず。
【ランチおまかせコース(全16品)】5,500円などもありますが、絶対に日本酒ペアリングのコース14,300円を頼んだ方が面白いです。
こちらは経営の母体が株式会社クリエイティブプレイスだけあって食材の仕入れは中々で、日本酒の品揃えは秀逸です。
「日本酒原価酒蔵」を運営し、勝山酒造と「SAKE COLLECTION LUXE」などの商品開発も行う、体力がある日本酒系飲食企業なので、個人店とは異なるアプローチで楽しませてくれます。
日本酒については詳細を後述するとして、肝心の鮨についてはどうか?
結論から言うと、十分に楽しめます。
鮨店という業態である以上、日本酒が良くても鮨がダメでは本末転倒。
「鮨あさひ」さんは仕事についても包丁の入れ方についても、標準以上のパフォーマンスを発揮しています。
酒ありきではないお店です。
そして、こちらのシャリは、温度、硬さともに問題ありません。
時たまダマがあったり、交換時に粘度が変わったりする点、つまりシャリがもったりする点は課題ではありますが、全体的にはオーケーです。
シャリ切りの精度を上げると、さらに安定感のある酢飯を表現できるはずです。
使用しているお酢は「一梅酢」とのことで、どこかで聞いたことがあるな…と思ったところ、以前お伺いした渋谷の「鮨一」さんも系列店との事でした。
なるほど。
日本酒の酒場から鮨業態に移行するとは、興味深い企業です。
「鮨あさひ」さんの日本酒ペアリングコースの詳細をご紹介します。
コースの内容
- 先付
- 水芭蕉純吟スパークリング+塩×海胆
- 【同居】ペアリング:仙禽あかとんぼ×白身魚と煎り酒・もずく酢・ミズダコの握り(塩酢橘)
- 【補完ペアリング】:寫楽純米吟醸なごしざけ×加賀蓮根まんじゅう銀餡・カマスの握り・カンパチの握り(昆布〆)
- 【マスキング・ペアリング】:あたごのまつ純米大吟醸absolute×蒸しアワビ磯の風味に・北寄貝の握り・鮪中トロの握り、獺祭純米大吟醸磨き45、アワビ肝ソースと獺祭の山田錦ご飯
- 【温度変化による濃淡の調和】:白隠正宗生酛ぶれんど常温×秋鮭の小丼塩いくら・小鰭の握り・鮪赤身漬けの握り(柚子)
- 【相互効果ペアリング】:天狗舞生酛純米の燗酒×塩鯖の焼き物・ノドグロ昆布蒸しの握り・煮穴子の手巻き
- 黒龍の貴醸酒×玉子焼き(限り無くカステラ仕様)
なお、お水は「南魚沼からの仕込み水」と言うペットボトルを頂けます。
これは鉄分が無い超軟水だそうです。
ペアリングコースでは最後まで美味しく食事とお酒を楽しむべく、しっかりお水を摂りましょう!
ペアリングには何故か日本酒以外のドリンクが一杯サービスで付いてくるそうで、驚きました。
![ビール](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/34816437a2d3fed266df47244d9300d6.jpg)
【知多ハイボール】と悩みつつ、【ヱビス マイスター】を頂きました。
先付
![先付](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/ff09631095af32ee70092fd27c696157.jpg)
自家製豆腐、クリームチーズの純米粕漬け、炙り銀杏。
正直なところ見た目からこの先に不安を抱いたが、杞憂に終わった。
水水芭蕉純吟スパークリング+塩×海胆
![水芭蕉純吟スパークリング海胆](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/792b202d5d3dacfcbf705dfb0aa4ff26.jpg)
海胆は北海道産で、臭みは無く濃厚な味わい。
水芭蕉スパークリング純吟と塩でキリッと流す試みは成功している。
また、塩気だけでなくブドウ様の香りも一躍を担っている。
【同居】ペアリング:仙禽あかとんぼ
![仙禽あかとんぼ](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/5f55c9795e2da589f972f6a578f51d2c.jpg)
白身魚と煎り酒
![白身魚と煎り酒](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/cf0ba7ea1a0cedb45be6a08d1953b802.jpg)
仙禽あかとんぼは刺身よりも煎り酒の味、特に梅の酸味に合わせている。
こちらの煎り酒は鰹出汁を割と効かせている。
仙禽の酸味が馴染み、これは良いと実感する。
もずく酢
![もずく酢](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/b2d84f24bbaf91fa6610c6d3279d55dc.jpg)
沖縄県産の太もずくに、長芋とガリのみじん切りを合わせている。
酸味や甘味に仙禽あかとんぼを調和させ、酒の苦味が後味を切る!
これはマリアージュを感じるペアリング。
水蛸
![水蛸](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/11289dcaf4fbccd718d50a2419f122bd.jpg)
ねっちりと柔らかい水蛸で、隠し包丁も効果的に入れている。
酢橘と塩(昆布塩か)を用いて仙禽あかとんぼとのバランスを取っていて、確かに馴染む。
ただ、個人的には仙禽あかとんぼがの甘味が馴染むと実感する。
ガリ
![ガリ](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/761b5913a6acf81dd16fba5c32b58cb8.jpg)
甘味がありつつも辛味と強い旨味のあるモダンタイプのガリ。
食感はシャキシャキ。
【補完ペアリング】:寫楽純米吟醸なごしざけ
![寫楽純米吟醸ならしざけ](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/938f976368de6537b164ee2f8b7824b4.jpg)
加賀蓮根まんじゅうに鰹出汁の銀餡
![加賀蓮根まんじゅうに鰹出汁の銀餡](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/e9d8a7f2d9a54f52c9266008aad3e83d.jpg)
加賀蓮根を使用するとは気が利いている。
さらに、芝海老を用いている点も江戸前鮨に対する敬意を感じる。
加賀の伝統野菜と江戸の魚介を合わせるとは素敵な感性だ。
蓮根のコリコリ食感と香りも活かす。
餡の塩気が強い点は気になったが、トータルとして期待以上である。
カマス
![カマス](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/c4b058ba5b24f7a629ad4cd1c687e292.jpg)
脱水して食感と旨味を変化させつつ、皮目に包丁を入れて、モダンな鮨としてきっちりと仕事をしている。
カンパチ
![カンパチ](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/55a4af5d9d2e9c6d618e18a70b6ee40b.jpg)
昆布〆。
みっちりとした身を噛みしめると昆布の旨味と香りが立ってくる。
そこに寫楽の味が乗り、確かに補完を感じる。
【マスキング・ペアリング】:あたごのまつ純米大吟醸absolute
![あたごのまつ純米大吟醸absolute](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/6b54270a5b985b692d5af3b9d774f371.jpg)
蒸し鮑
![蒸し鮑](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/94ef683eeaaccfe71479cf6ced5167b1.jpg)
蒸し鮑が持つ磯の風味に、あたごのまつの特注品をペアリングし、肝ソースと米には獺祭を合わせる。
![蒸し鮑02](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/8eec42c847c28e2855450dd81cb498c2.jpg)
それぞれに異なるお酒を合わせる理由が分かるペアリングだ。
![獺祭](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/ab63778efa94e658c67d77b0e133f69f.jpg)
お米には45%精米した獺祭の山田錦を使用している点が面白い。
![山田錦](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/b72cd3cb0c5002040fbb4fa8495692d1.jpg)
サプライズがある構成で、これはお店のコンセプトを強く感じさせる。
北寄貝
![北寄貝](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/a7a5c44bf479f72bdb863735d1f838a8.jpg)
臭みは無く、甘い北寄貝だ。
鮪中トロ
![鮪中トロ](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/73b6f5bd40f48d3a58787a5506b982c1.jpg)
酸味とコクが共にある中トロで、香りも高まる。
同じターンのペアリングでも、タネによって日本酒の印象に変化がある点が面白い。
【温度変化による濃淡の調和】:白隠正宗生酛ぶれんど常温
![白隠正宗生酛ぶれんど常温](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/7ef79a90346e89563bd21b1ac308f08b.jpg)
濃い味に移行するため生酛を合わせていて、提供温度も旨味を感じやすい常温だ。
秋鮭の小丼、塩いくら
![秋鮭の小丼塩いくら](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/4c93b1ec1f756a7a40e1653936bd0c8e.jpg)
純粋な江戸前鮨のお店ならば飛び道具と言うかチートな感じの一品だが、ペアリングを打ち出すお店ならば魅力となる。
ほうじ茶風の液体はホタテ出汁だ。
甘味を付けていて、旨味が強い出汁。
シャリに酸味を効かせて、塩気は穏やかなので、出汁と調和する。
小鰭
![小鰭](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/77bb8cf2581f709ec5bb3a960048d6b3.jpg)
皮目はむっちりしていて、身はホロホロ。
面白い点が〆加減。
お店はある意味「軟派」というかモダンであるものの、〆はジューシィではなくしっかり〆で、凝縮させている。
これは意表を突かれるので鮨マニア的にはポイントだろう。
鮪赤身
![鮪赤身](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/1ac1af6d107e67458a390aa30723428e.jpg)
漬け。
コクが強めの赤身を漬けにして酒とのペアリングを志向している。
さらに、柚子を効かせて爽やかに仕上げ、酸味のある生酛造りの酒とマリアージュ。
【相互効果ペアリング】:天狗舞生酛純米の燗酒
![天狗舞生酛純米の燗酒](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/7156ecbe20b23f9183f2bc75165a3109.jpg)
後半に移行するため、旨味のみならず温度帯を上げるところも流石と言える。
塩鯖の焼き物
![塩鯖の焼き物](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/0f7dc4a942b9addc31a03576092ccc18.jpg)
伊東産の鯖を使用。
これも王道の江戸前鮨ならばチートだが、純粋に美味い。
香の物はキュウリの山葵漬け、山ごぼうの醤油漬け。
ノドグロ(アカムツ)
![ノドグロ(アカムツ)](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/2e3bf13fb8196a60f63934afabdbba21.jpg)
ノドグロとはミーハーな魚種の選択であるが、昆布の上に乗せて蒸す仕事で足し算と引き算を同時に行っている。
つまり、昆布の旨味と香りを足しつつ、ノドグロの余分な脂を落としている。
さらに、食感を引き締めて終盤でも媚びないむっちりした食感に仕上げている。
これは良い。
そして、ノドグロの脂を燗酒で切る。
煮穴子の手巻き
![煮穴子の手巻き](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/55a7601365d580c158949213ccae2253.jpg)
穴子に海苔と山椒を合わせる。
ペアリングの奏効は感じるが、海苔と山椒のクオリティを上げると更に良い。
海苔は青飛び、山椒はやまつ辻田のものを使用すると良いだろう。
椀
![椀](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/bbd0587c3184c42d8795c4b9a7becfbf.jpg)
蜆の椀に椎茸出汁を強めに効かせる調理。
これは評価が分かれそうだ。
蜆出汁に他の出汁は必要だろうか?
玉子と黒龍の貴醸酒
![玉子と黒竜の貴醸酒](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/d57c7bce4dabb5394a4cf61df9643f76.jpg)
グラニュー糖をキャラメリゼした玉子焼き。
玉子自体はふわふわしっとり仕上げている。
芝海老は不使用なので、限り無くカステラだ。
よって、貴醸酒が申し分なく合う。
![鮨あさひ外観](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/56dda39badf829fbfe81095b742704bb.jpg)
「鮨あさひ」さんは五反田駅から徒歩5分程度の場所にあります。
店内はカジュアルな雰囲気で、4人掛けテーブルが6台にカウンター6席と、テーブルが主体です。
すぐ近くが「城南五山」の高級住宅街である池田山ゆえか、子ども連れの家族も多い点が特徴です。
よって、雰囲気は結構賑やかです。
メニュー表記は明朗会計で、サービスはマニュアルに則っているため、資本系らしい安定感を感じます。
WEB予約については、一休や食べログ経由で可能です。
店名:鮨あさひ(すしあさひ)
シャリの特徴:特注の一梅酢を用い、万能タイプに仕上げたシャリ。温度や硬さはバッチリ。
予算の目安:ランチおまかせコース5,500円、日本酒ペアリングコース14,300円
TEL:03-6277-1132
住所:東京都品川区東五反田1-11-8 大阪屋ビル1F
最寄駅:五反田駅から350m
営業時間:11:30〜14:00、16:00〜23:30(お料理L.O.22:30、ドリンクL.O.23:00)
定休日:無休
自身が書いたペアリングの記事
![日本酒ペアリングアイキャッチ](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/180d24d848d523498c7a86b37926576b-160x160.png)
ワインペアリングを行う鮨店
神楽坂「すしふくづか」
表参道「鮨m(エム)」
奥渋谷「あじゅう田」
鮨と日本酒のポテンシャルにワクワクする、新米酒ディプロマのすしログ(@sushilog01)でした。
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