渋谷で幅広い層にオススメのカジュアルながらに個性的な良店「鮨一(はじめ)」

こんにちは、鮨ブロガーの、すしログ(f:id:edomae-sushi:20201002142555p:plain@sushilog01)です。

渋谷と言えば先ず再開発が頭に浮かびますが、鮨好きにとっては鮨店の増加っぷりが気になるところです。

奥渋も含めて新規店が次々と生まれ、「渋谷に美味しい鮨店は無い」と言うイメージは最早過去のものとなっています。

今回ご紹介する「鮨はじめ」は資本系の鮨店ですが、親方が独自性を発揮されていて、今後が楽しみな一軒です。

鮨一中トロ

築地青空三代目・丸の内店の佐野親方も同様に、大手資本系と言っても侮れない鮨店が増えている点に業界が変わってきている印象を覚えます。

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渋谷・鮨一の馬場幸成親方とシャリについて

渋谷の「鮨はじめ」は冒頭の通り、資本系のお店です。

バックボーンの資本は、なんと「日本酒原価酒蔵」の株式会社クリエイティブプレイス。

「日本酒原価酒蔵」と言えば、パンデミックの最中に「本格寿司食べ放題キャンペーン」を行っていたのが印象に残っています。

 

その流れで「本当に本格的な鮨店」もオープンされたのか?と思いましたが、それは勘違いでした。

お店は2020年7月30日のオープンなのでキャンペーンよりも前で、実際には経験歴のある職人さんが漬け場に立っています。

 

親方の名は馬場幸成こうせいさん。

笑顔が素敵で、若い方でもリラックスできる好漢です。

馬場親方は、もともとは街場寿司で修業を開始されたそうですが、その後キャリアを積まれ、「鮨一」の前は五反田の「SUSHI TOKYO 81」にいたそうです(こちらもクリエイティブプレイス資本)。

「SUSHI TOKYO 81」はYouTuberのヒカルさんの、【「大将、一番高いネタだけで」回らないお寿司で最も高価な握りを頼み続けたら会計いくらになる?】で紹介されてバズった鮨店。

なかなか面白い体験をされていますね。

 

このような情報から軟派なイメージを持たれるかもしれませんが、お店は真っ当な設えと雰囲気です。

まして、仕入れ、仕事、シャリの三拍子が馬場親方に任されているとの談。

資本系であってもお店の運営は個人店に近い模様です。

 

では、そろそろシャリの話に入ります。

鮨一のシャリについて

こちらのシャリを特徴づける点としては、使用するお酢にあります。

ミツカンでもヨコ井でもなく、愛媛県新居浜市にある一梅酢の赤酢を使用されています。

鮨一一梅酢の赤酢

もともと赤酢を造るメーカーではなかったようですが、「鮨一」(ひいてはクリエイティブプレイス)のために造り始めたそうで、興味深い。

 

まさに完全特注の専用酢で、「熟成期間は未だ短いものの今後成長していく赤酢」だそうです。

ただ、熟成期間は1年たらずで赤酢としては非常に短いものの、酒粕は10年以上熟成させたものを使用されています。

こう聞くと関心が高まったので、ショットで頂きました。

鮨一一梅酢の赤酢02

味わいとしては、酸味が強めで、旨味が印象的です。

あたかも昆布のような強い旨味が特徴的。

 

そして、その一梅酢の赤酢を用いたシャリの味は?

酸味、塩気ともに当初は上品に感じ、万能タイプと思いました。

しかし、じっくりと味わうと酸味がキリッとしていて、塩気も割と利かせているので、上品に感じる理由は旨味だと感じました。

ブレンドせず、一梅酢100%で切られているそうです。

 

お米は馬場親方の出身地である会津産のコシヒカリ。

硬めに炊き上げ、パラッとほどけます。

温度を的確に調整されていて、この点は現代のスタンダードをしっかりと押さえています。

 

なお、味の話ではありませんが、使用する漆器は藤八屋のものとのこと。

鮨一バチコ

「すきやばし次郎」と同じ製造者さん!

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渋谷・鮨一のおまかせコースの詳細

それでは、実際に頂いたおまかせコースの詳細をご紹介します。

「鮨一」のコースはシンプルで、以下の3つです。

  • おまかせコース 17,000円
  • 一日一組限定 完全個室カウンターおまかせコース 25,000円
  • 土日祝日限定のランチコース(15品) 8,000円

ランチ以外は、カウンターか貸し切りの個室かの2択ですね。

鮨一酒器

この度頂いたお酒

  • W 越の雫50 純米無濾過生原酒
  • 澤屋まつもと、純米酒
  • 日高見、純米秋あがり
  • みむろ杉、純米吟醸山田錦
  • 播州一献、鉱山熟成2016

この通り、なかなか素敵なチョイスです。

特に嬉しかったのが、【日高見、純米秋あがり】です。

日高見純米秋あがり01

その理由は…

日高見純米秋あがり02

すしログ

平孝酒造の社長さんは大の鮨好きと伺っていますが、このユーモアに触れて、いつか会いたい!と痛切に感じました。

 

まずは、鮪の切りつけからスタート。

鮨一鮪

大間の177.7キロ。

 

鮪のホホ肉と聖護院大根のおでん

鮨一鮪の頬肉と聖護院大根のおでん

日に日に寒くなっているので、嬉しい先付。

また、牛すじではなく鮪のホホ肉というのも、鮨店としての礼節を感じる。

大根は鰹出汁をしっかりと利かせていて、ホホ肉は甘辛くホロホロに。

 

煮蛸、じゃばら胡椒

鮨一煮蛸じゃばら胡椒

蛸はホロッホロで、ひたすら柔らかく、味付けは甘みも醤油も強すぎず。

味付けの塩梅が良い。

じゃばら胡椒は柚子胡椒よりも辛味が穏やかで、キリッと塩気がアクセントになる。

 

ヒラスズキ

鮨一ヒラスズキ

ヒラスズキとは嬉しい!

煎り酒で頂き、ヒラスズキには酢橘を一滴のみ使用。

ヒラスズキは、むちっ、パツパツと強い食感だが、すぐに脂が溶けてゆき、旨味もある。

脱水が巧い。

伺ったところ、ドレス(頭なし)で氷温で1日寝かせて、バリアラップで脱水しているそう。

煎り酒は鰹を使用したタイプだが、出汁も梅も塩梅が良い。

 

鮨一鰹

島根の迷い鰹で、脂が強い!

藁のスモーキーフレーバーはハードで、仕上げに備長炭で軽く炙っている。

そのままと、下北沢の小笹寿し発祥の調味料「あたり葱」と行者ニンニクの醤油漬けで頂く。

味が強い鰹なので調味料との相性が良く、異なる調味料で味を変化させるプレゼンも魅力だ。

 

煮鮑

鮨一煮鮑01

鮑はエゾアワビで、お酒と水で6時間煮込んでいるそう。

鮨一煮鮑02

鮨店の定番となっている肝のソースは、日本料理の卵の素たまもとを応用し、卵に油を用い味醂と煮キリのみで仕上げているそう。

乳製品は使わないポリシーとのことで、硬派。

完全に乳化させているので濃厚だ。

 

ガリ

鮨一ガリ

キッチリ自家製で、甘みが控えめで旨味のあるガリ。

 

マツカワ

鮨一マツカワ

3日目、しっとり且つコリッとした食感で、旨味のみならず脂が印象的であった。

塩と酢橘だが、これも酢橘の使用量が控えめで好印象。

 

秋刀魚

鮨一秋刀魚

マツカワの後の2貫目が秋刀魚とは驚いた。

〆加減の印象としてはナチュラルな秋刀魚の仕事だ。

何よりも香りを活かす仕事。

生っぽくもあり、それでいて〆ている感じは正に鮨らしく、独自性も担保されている。

伺ったところ〆は5分ほどだが、キンキンに冷やした立て塩とヨコ井の琥珀で行っているそう。

これにはビックリした。

 

カワハギ

鮨一カワハギ

もちろん肝を噛ませているので、濃密な味わいだ。

旬の走りではあるが嬉しい。

シャリ温を上げて提供している点も抜かり無いと感じた。

 

車海老

活きの状態から茹でるのだが、生の状態で首折りして、別々に茹でる点が独特だ。

鮨一車海老01

頭は2分、ボディは35秒。

鮨一車海老02

頭は味噌と共に叩いてペーストにして噛ませる。

鮨一車海老03

火入れにこだわり抜いているだけあり、しゃくっと良い食感だ。

香りも良く、これは頭のお陰。

仕事の説得力がある握り。

 

鮪赤身

鮨一鮪赤身

仕事は漬け。

酸味は冬らしく弱く、香りが強まり、旨味も強まっている。

漬けだがねっちりした食感ではなく、むぎゅっとした食感なのは面白い。

 

北寄貝

鮨一北寄貝

肉厚で甘みが強く、焦げの苦味もあり、バランスが中々。

ただ、北寄貝の仕事で、焦げは蛇足である気がする時もある。

焦がさずに温度を上げて、備長炭の香りを付ける仕事などがあっても良いのではないか。

 

春子

鮨一春子

しっとりと艶めかしい食感で、モダンな印象の春子。

脱水はされている。

春子の香りを引き出すことが次の課題か。

 

茶碗蒸し

鮨一茶碗蒸し

種は雲子。

出汁が良く、塩分も上品だが、火入れが強い。

 

鮪中トロ

鮨一中トロ

旨味があり、その後に脂が広がり、酸味も届く。

波状的な味わいの広がりは好ましい。

そして、酸味と旨味が喉に残り、余韻を強める。

超有名仲卸ではないが、魅力的な味わいだ。

 

海胆

鮨一海胆軍艦

小川のバフン海胆。

濃密な香りのあるバフンなので海苔は紺飛びにするなど、意図を感じるのが良い。

 

バチコ

鮨一バチコ

突如登場した嬉しい酒肴。

お酒もハードなものに。

鮨一播州一献

 

小鰭

鮨一小鰭

産地は江戸前、芝海老のオボロを噛ませて。

食感はバッチリ〆ているが10分前後。

 

穴子

鮨一穴子

皮目と脂部分はトロトロ、繊維はもぎゅもぎゅとコントラストがある食感は良い。

甘みは抑え目。

 

玉子

鮨一玉子

均一的にきめ細かく、大変魅力的な味わい。

しゅわっとしていしっとりな食感で、芋と海老の香りのバランスも良い。

そして、黒糖を上品に用いる心ニクい。

かなりの完成度の玉子!

 

鮨一椀

鰹とイリコ、昆布出汁で、潮汁ベースではない。

ただ、これはこれで魅力的で、出汁がしっかりでキリリとしている。

 

干瓢巻き 追加

鮨一干瓢巻き

おまかせに入っていなかったので当然オーダー。

宣言以来、絶対にブレない。

頂いた干瓢は大変魅力的で、これを求めない消費者が多いのは勿体ないと感じた。

ごわっごわっと力強い食感で、甘みがあり醤油が尖りすぎておらず、山葵との相性が高い。

リズミカルに最後を〆てくれる干瓢巻だ。

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渋谷・鮨一の立地と雰囲気

お店は渋谷駅から10分ほど歩いた場所にあり、ロードサイドにあって静かです。

「渋谷」と言う単語から想起する猥雑さは無く、落ち着いて食事を出来ます。

鮨一看板

お店に入ると10席のカウンターが迎い入れてくれます。

満席時にはカウンターを2人の職人さんで回されているようで、これは資本系らしいコントロール。

 

奥には6名掛けの個室カウンターもあり、こちらは時間無制限との事です。

接待などのニーズに応える仕様だと感じました。

 

ゾーニングを分けて複数の用途に対応する点は立地的に奏功しています。

カウンター席は緊張せず、親方はじめスタッフの方がフレンドリーに対応されるので、若い方でもリラックスできるはず。

実際、若い方のリピーターが多いそうで、雰囲気と接客のお陰だろうと感じました。

渋谷・鮨のお店情報と予約方法

お店のWEB予約については、一休と食べログ経由で可能です。

鮨一(一休のリンク)

鮨一(食べログのリンク)

 

店名:鮨一(すしはじめ)

予算の目安:土日祝日ランチコース8,000円、おまかせコース17,000円、個室カウンター25,000円

TEL:03-6419-7621

住所:東京都渋谷区渋谷3-15-5 グリ-ムビルB1F

最寄駅:渋谷駅から550m

営業時間:平日18:00~、20:30~、土日ランチ11:30~、13:00~、17:00~、20:00〜

定休日:無休

 

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