
こんにちは、鮨ブロガーの、すしログ(@sushilog01)です。
ここのところ注目されている団体、Chefs for the Blue(シェフズ・フォー・ザ・ブルー)。
グルメな方なら誰もが知る一流料理人たちが、日本の魚のために活動しています。
例えば、名実ともに日本一の鮨店「日本橋 蛎殻町 すぎた」の杉田 孝明 親方や、ミシュラン三ツ星を18年も連続で取る奇跡グランメゾン「カンテサンス」の岸田 周三シェフ。
先日、「てのしま」林 亮平 親方、「チェンチ」坂本 健シェフ、「茶禅華」川田 智也 厨師など、そうそうたるメンバーが鈴木農林水産大臣と藤田水産庁長官に提言書を提出されました。

「このままでは、近いうちに日本の美味しい魚が本当にいなくなってしまう」という、「データから類推される確信」にもとづいて啓蒙活動をされています。
「食が大好きで、ずっと日本の美味しい魚を食べ続けたい!」という方は、ぜひとも本記事を読んでみてください。
日本の漁業の現状の一端を、ゼロからカンタンに理解できるよう書きましたので。
ちなみに、日本で食されている魚種は400種類以上にもなり、これは言うまでもなくダントツで世界トップです!

でも、「資源管理」って魚を食べられないようにするの?
それだと漁業者の人が困るんじゃないの?
※説明しよう。「ますのすけ」君は漁業を守るために爆誕したスーパーアザラシだ。漁業管理の大切さに目覚めた稀有なアザラシで、大量に食べるよりも調理を施した極上の食材を少量食べることに喜びを覚える気質であるッ(著作権はすしログ大谷悠也に帰属します)。

確かに、「資源管理」と聞くと、「漁獲規制」=「漁業者に魚を獲らせない政策」と思ってしまう人もいるかもしれないね。
しかし、美味しい魚を獲ってくれる漁業者の暮らしを守り、魚を増やしながら海洋資源を守るのが、本当の「資源管理」なんだ!

単純な二項対立ではケンカにしかならないよね…

そう、「漁業管理」と聞くと漁業者の人をワルモノにしたがる人が現れるけど、それは間違っている。
もちろん獲るのは漁業者だけど、日本人全体の意識が世界レベルに追いついていないことが一番の問題なんだ。

なるほど!でも、「魚を増やしながら海洋資源を守る」なんて、現実的なのかな?


納得したよ〜

鮨タネの多くは近い将来に無くなってしまう可能性をはらんでいる。
この記事で紹介するけど、鮨好きはみんなビックリしちゃうんじゃないかな…
なにせ今は多くの魚たちが保護されていない状況だから。

え、そうなの!?何もしないといなくなっちゃうの??
ボクも仕事をした鮨が大好きだから、それは困るなあ…

グルメな人たちで力を合わせて現状を変えていけば大丈夫だと信じるよ。
かなりピンチな状況だけど、今なら間に合うはず!
僕は過去に、「魚がいなくなっちゃうなら、今のうちに食べまくらないと」と言っているグルメな人や、「いずれ絶滅しちゃうんで、今がチャンスです」と言ってくる料理人に会ったことがあり、残念に思いました。
自分さえ良ければ良いのではなく、将来の人たちのために、当事者意識を持って日本の食文化を守っていきましょう!
食文化とは、発展し続ける点が崇高なので。

最初に結論。グルメな人に覚えておいて欲しい大切なことを書きます。
- 鮨タネになる魚種の大半が激減している事実
- 江戸前鮨のタネ62種のうち、TAC管理対象は9種のみ
- 稚魚や幼魚を獲りすぎないことが大切(例:兵庫のイカナゴ、穴子の稚魚のノレソレ)
- たくさん獲れているのに日本人の食卓に上がらない美味しい魚もいる
- 「魚離れ」は家庭ではそうかもしれないが、外食ではむしろ需要が高まっている
- 日本のミシュランの星付きレストランのうち65%が魚介類に頼っている
※TAC,Total Allowable Catch, =漁獲可能量制度

なお、僕はnoteのメンバーシップで、鮨・魚についてのニュースを紹介&解説しています。
本記事を読んで「楽しかった!」と感じてくださった方は、ぜひともご参加のうえ、ご意見をいただければ幸いです。
タップできる目次
「このままでは、近いうちに日本の美味しい魚がいなくなってしまう」
これは脅しや煽りではなく、データに基づく展望です。
しかしながら、政府や多くの漁協は解決策を提示できていない現状があります。
理由はシンプルで、エビデンスに基づいていないためです。
魚の一例を挙げると、スルメイカ。
不漁が続いていたところ、2025年の晩秋にふっと獲れるようになりました。
そして、「今獲れているなら漁獲量を増やそう」と、エビデンス=数字を確認せずに獲れるだけ獲ろうとする、前時代的な漁業政策が行われています。
警鐘のためにXでポストしている方を見かけましたが、北海道の某漁協の人から「資源評価そのものが極めて不正確でエビデンスなど無い。資源は科学の範囲において最大限利用することが、海で働くものの義務であり、挑戦です」とリプされていて、驚いたことがあります。
漁獲枠をめぐり、2025年に起きたスルメイカショックについて、問題点を箇条書きにすると以下のとおりです。
- そもそも漁獲枠が現実に即していないほど大きかった(2024年の漁獲実績は1万7998トン、漁獲枠は7万9200トン)
- 実績よりも大きい「制限」漁獲枠が設定される(2025年の枠は1万9200トン、上記の通り2024年の実績は1万7998トン)
- 「枠が少ない」という漁業者からのクレームにより、政治家が漁獲枠を6600トン増やしてしまう
- さらに増枠して、トータルで2万7600トンも増やしてしまう
- 別の観点として、スルメイカ漁が県別・漁船(漁法)別の「個別割当」になっていない状況(=結果として北海道から早いもの勝ちになり、青森の漁業者の怒りに繋がった)
これでは保護することも永続的に増やすこともできません。

実は、スルメイカの寿命は一年のみなのは知ってるかな?
なので、「今年は豊漁だ!」と一気に獲ると、産卵前のイカまで獲って資源量を減らすことになっちゃうんだ。

北海道でも、めっきりスルメイカを見なくなっちゃったな…
漁獲枠は前年比ではなく、それよりも前の漁獲量から現実的な枠を設定しなければいけないように感じます。
北海道のシシャモや兵庫のイカナゴのように、絶滅手前まで追い込まれてしまってはリカバリーが困難ですので。
▶スルメイカに関する参考記事:「ノルウェーでは「ありえない」スルメイカ休漁騒動で露呈した日本漁業のずさんすぎる”資源管理の実態”」
データに基づく漁業と消費が求められる現状ですが、他国では成功事例が多数あるので実現出来ないことではありません。
次の項目では、Chefs for the Blueの提言書を紹介、解説します!
Chefs for the Blue(シェフズ・フォー・ザ・ブルー)の提言書は、日本の漁業にとってヒントの宝庫です。
代表の佐々木ひろこさんが2ヶ月もかけて作成されたとの談ですが、記者会見で同席されていた新聞記者や文筆業の方々も驚いていました。
こちらの資料は濃密なので、記者会見とChefs for the Blueのオンライン勉強会で得たことを、グルメな方向けに解説します。
まずは、アイスブレイキング的に各料理人の方の現在についてのコメントを紹介します。
記者会見の冒頭で各料理人さんからお伺いしたコメントです。

昔は良かった…などと懐古的に考えたくはないものの、ひと昔の魚のクオリティと比較すると劇的に落ちています。特にサバが厳しく、一刻も早く、幼魚を獲るのを止めて保護する必要があります。
「日本橋 蛎殻町 すぎた」杉田親方
一般の人は想像できないかもしれませんが、豊洲市場に鮨のための魚が無い日すらあります。そして、仲卸が廃業している状況も懸念しています。
「日本橋 蛎殻町 すぎた」杉田親方

カンテサンスでは料理の60〜70%が魚介類です。しかし、20年前と比べると比較にならないほど魚の味が弱くなっています。
「カンテサンス」岸田シェフ

盲点に思われるかもしれませんが、漁獲量が減ると魚だけでなく「漁師の技術」も失われてゆくことになります。ただでさえ後継者問題がシビアなので、ゆゆしき問題です。
「茶禅華」川田厨師
自分が扱う魚種で言うと、特にタコが致命的です。料理を継承していく危機すら感じています。
「茶禅華」川田厨師

世界的に名前が知られる一流料理人たちのコメントは重みがあるなあ…
どうすれば良いんだろう…
次に、「なぜ魚を守らないといけないのか?」について、グルメな方なら「おお!」と賛同いただけるであろう情報を紹介します。
「なぜ魚を守らないといけないのか?」を考えると、漁獲量の問題だけでなく国として大きな損失であることが分かってきます。

僕も驚きましたが、水産業は想像以上に多くの人の暮らしを支えています。


水産物に関わって生きている人が533万人とは凄い。
さらに、水産物由来の外食の規模は7.3兆円にも及ぶそうです。

水産庁の言う「魚離れ」が日本で本当に起きているなら、ありえない数値です。
7.3兆円もの産業で「魚離れ」とは矛盾していますが、水産省は家庭消費しか見ていないことが原因です。
結果的に「日本人は魚を食べない」と判断して輸出メインの政策になっていますが、データを読み解くと、魚の消費は家庭料理よりも外食にシフトしていると言えます。

しかしながら、魚の数は激減しています。
なんと、ピーク時の1/4程度まで…


しかし、明るいニュースもあります!


インバウンドの68%が日本で鮨を食べているとは!
僕は昔から「日本の未来は食、アニメ、ゲームが担うはずだ」と確信していましたが、まさに食目的で来日する人が増えていて、しかも今や数少ない日本の成長産業になっているのは純粋に嬉しい事実です。


ミシュランの星付きレストランのうち65%が魚介類に頼っているとは、スゴい事実ですね。
東京は「ミシュランの星の合計数が世界一」の都市です。
今や和食に限らず、あらゆる料理ジャンルが世界トップレベルだと、ミシュランのデータが示しています。
いわば世界的に見て日本のグルメ偏差値は75以上の状況です。
そして、日本人料理人はジャンルを問わず日本の魚介類を多用します。
いや、外国人の料理人でも日本に来ると魚介類を活用することが増えています。
和包丁人気でかっぱ橋の包丁屋さんは外国人で常に混んでいますしね。
このような日本のグルメを支えているのが魚介類なので、減少する状況を食い止めなければ日本のグルメ偏差値も下がってしまう事態だと言えます。

海に魚さえいれば、日本の食レベルは右肩上がりのはずだよね!
それでは、次に、「すしログ」らしく鮨タネ(鮨ネタ)の魚種について解説していきます。

それでは、鮨タネ(鮨ネタ)になる魚介類の現状について紹介、解説します。
冒頭の結論で書いたとおり、残念ながら「鮨種となる魚種の大半が激減」していて、「江戸前鮨のタネ62種のうち、TAC管理対象は9種のみ」と、非常に厳しい状況です。

資料に記載されている魚種については、Chefs for the Blue代表の佐々木ひろこさんに情報提供させていただきました。
noteに書いた「鮨種(タネ、ネタ)についてのマニアックすぎるガイド」をご参照いただいています。
まず、江戸前鮨では「必須」と言える鮨種、穴子(まあなご)の現状を紹介します。



僕が大学に入ったのは2000年ですので、そこから現在に至る激減っぷりには驚きます。
何よりも、減っているのにロクな調査をせず、獲り続けて今に至ってしまったことがショッキングです。
資源量を推測(保護)せず、魚体のサイズを選別せず、獲り続けた結果が現在の漁獲量だと言えます。
「大漁」なのか「乱獲」なのかは、「資源量」と「環境変化」に基づく資源管理の方法によって変わるはずです。
僕の出身は広島県ですが、かつて瀬戸内の穴子は江戸の穴子に似た身質と味わいであったため、多くの漁業者が東京に出荷していました。
しかし、現在は豊洲で見る機会がほとんど無く、広島現地の【穴子めし】屋さんも仕入れに苦慮しています。
名産地だった広島の市場も、今や豊洲と同じく対馬・韓国産の穴子に頼っている状況。
対馬の穴子も美味しいですが、内海 の穴子とは味も食感も異なるので、内海の穴子の漁獲量が回復することを願っています。
そして、62種の漁獲量については、佐々木ひろこさんが作成された資料にてご紹介します。
僕は配布された資料をめくった瞬間に感動しました。
鮨好きなら知っている魚の漁獲量が網羅されている超力作なので。
全体的にショッキングな状況ですが、ご自身の推しの鮨ネタがどうなっているか、ご確認ください!


僕のイチ推しはコハダ=このしろですが、2000年から見ても酷い状況です…
鮨職人たちも「豊洲にコハダが無い日すらありますからね」と言っているので危機感がつのります※。
同じく江戸前鮨で必須のクルマエビも惨憺たる状況です。
※コハダは「鮨用の魚」として知られるので、全国の名産地のコハダはほぼ全て豊洲に流れる仕組みです。


鮨店でサワラ、ホタテ、ブリによく出会う理由に納得です。
ヒラメは生息域が特殊だからでしょうか?安定してますね。


イカ類はボラティリティが激しすぎなので、株価だったら気が気でありません。
「しろざけ」は一般的なサケのことですが、全国的に漁業者が嘆いています。


深海魚の中でもキンメダイが減少しているのは意外です。
僕はシャコが大好きなので、大ダメージを喰らいました。


僕はタコも大好物なので心配です。
北海道のシシャモは……2尾で1,000円を超える高級魚になってしまいましたね。
漁獲管理を徹底していれば、こんなことにはなっていないので残念です。
上記の画像を大きく拡大したい方は、こちらのリンクからPDFをDLしてチェックしてみてください。
そこで、どうすれば良いの?というお話ですが、環境調査をしつつ保護を行う資源管理が急務となります。

個人的な見解として、魚に貴賤は無いと考えていますが、料理上「特に重要な魚」の優先度を上げて環境調査を行い、確たる減少理由が推察されるまでは「疑わしきは獲らず」を徹底する他ないと思います。
魚種単位で行えば、漁業者へのダメージも減らせられますので。
とは言え全く獲らないのは非現実的なので、激減する状況下においては、希少な魚種については少量を獲り、高値で流通させるシステムを確立しなければならないのではないでしょうか?
幸か不幸か、現在は世界各国と同じく日本も物価が上がっているので、「全てが安い」という感覚から脱却して、価値に見合った価格で流通を再整備するフェーズに入ったと感じています(展開が急すぎるのは本当に困りものですが)。
端的に述べると、美味しい魚 / 良い手当て(処置)がされた魚は、良い流通で良いお店へ、ということです。
なお、ここで言う「良いお店」は必ずしも高級店に限定しません。
定食であっても、1,000円台で抜群に美味しい魚を出すお店は今でもありますので。

日本が世界に誇る鮨を守ることは最重要事項です。
そのために魚種単位で調査と保護を徹底するのは、日本国の急務だと確信します。
今の日本において「世界に誇るプロダクト」は極めて貴重ですので。
「抜群に美味しいのに日本人の食卓に上がらない魚」があります。
何かおわかりでしょうか?
グルメな方ならもちろん鮨店で食べたことがあり、しかも美味しさを絶賛されているはずです。
答えについては、こちらです。

おわかりになりましたか?

そう、鰯(イワシ)です。
イワシは豊漁にも関わらず美味しいものが食卓に上がりにくい、悲劇の魚でもあります。
なんと80%が食用として流通していません。

イワシの大半は養殖クロマグロのエサか肥料になってしまっています。
鮨店で食べるとあんなに美味しい魚なのに。
臭みはゼロで脂ノリノリ、ご飯や海苔との相性が抜群で誰もが惚れる美味しさ。
しかも、真っ当に流通するようになれば、家庭用は大型6尾で250円〜300円くらいのリーズナブルな価格になるはず。
最近のサンマの価格とほぼ同じです。
日本人はサンマが大好きですが、漁獲量が非常に不安定なので、サンマと同じくらい美味しいイワシが流通するようになれば良いのにと思います。

正直なところ、脂が乗っていないサンマよりも、脂が乗っているイワシの方が美味しいです。
さばくのもサンマよりも遥かに楽なので、家庭用に向いている魚なんですけどね。

イワシの脂には、血液をサラサラにするEPAや、脳の働きを活性化させるDHAが含まれているから、健康意識の高い日本人にピッタリの魚だと思うよ〜
また、サバについても非食用が60%になっていますが、この理由は明確かつ愚かと言えます。
それは、生後0〜1歳に満たないサバを獲っているためです。
日本の太平洋サバは成長に時間がかかるサバです。
一例として資料に挙げられているのが、宮城県の「金華サバ」です。
「金華サバ」はブランディングとサステナビリティが確立されていて、500〜600gでなければ「金華サバ」と名乗れません。
そして、500〜600gに成長するためには現在は5〜6年かかります。
現在日本各地で獲られている生後0〜1歳のサバは「棒サバ」や「ローソクサバ」と呼ばれる幼魚で、100〜200gのサイズにしかなりません。
そりゃあ美味しくありません。
そこで、美味しいサバを食べるためにどうしているか?
輸入です。
日本では未成熟のサバを獲って養殖魚のエサやアフリカ向けの輸出に回しつつ、外国から成熟したサバを買う謎の状況になっています。
しかも国産のローソクサバはアフリカにキロ単価150円ほどで輸出して、ノルウェーからはキロ単価1,000円ほどで輸入している極めてアンバランスな状況です。
では、どうすれば良いのか?
イワシとサバについては明白です。
すなわち幼魚を獲るのを止めれば良いので。
そして、イワシやサバの幼魚を乱獲している漁法で最も影響が大きいのは、まき網です。
勿論まき網の全てが悪ではありませんが、破壊力が多すぎる点と魚種を狙えない点、漁獲後の魚へのダメージが大きい点が弱点です。
また、過去の悪名高き「境港のクロマグロ」で知られたように、まき網船団は大手メーカーが運営しています。
そして、大手メーカーは役人の天下りポストを用意しているので、なかなか規制が掛からない側面があります。
ひとたびシステムとして構築されると中々崩せないのが日本なので、この点は消費者がイワシやサバの魅力を再認識して、需要を高めていくのが第一歩かもしれないと感じています。

育つまで待って美味しくなるならば、絶対に待った方が良いよね!
前項で養殖もののエサの話に言及したので、「養殖技術は日本の水産業を救うのか?」について考えてみたいと思います。
最近、陸上養殖が活況を帯びていますので。
また、つい先日、「山田水産」が開発した世界初の「完全養殖ウナギ」は大注目されましたね。
鈴木農林水産大臣のみならず高市首相も大絶賛されたので、ニュースを観た方は多いはずです。

僕も試しに食べてみようと思ったのですが、1分と経たず売り切れた模様です笑
ウナギは養殖技術が非常に高いレベルで確立されているので、ヘタな天然ものよりも江戸前の調理法(白焼きの後に蒸しの仕事を加える)に合っていると思う魚です。
天然と養殖の違いを比較すると、具体的にイメージしていただけると思います。
- 天然:香りが強い、食感が強い、味が濃い、個体差が大きい
- 養殖:香りが比較的穏やか、食感が柔らかい、脂の甘味が強い、個体差が小さい
天然ものは備長炭による遠火の強火でじっくりと地焼きしたもの(関西風)に軍配が上がり、養殖ものは魚体が大きくないウナギ(脂が強すぎないもの)を蒸し上げたもの(関東風)が最上です。
天然ものの持ち味として、身のみならず皮の食感の強さがあるので、関西風でバリッと弾けるような食感に仕上げたほうが個性を活かせる次第です。
かたや養殖ものはもとより天然ものよりも柔らかく、脂が乗っているので、ふんわり、とろりと仕上げる関東風の調理法との相性が良いと考えています。

このように天然ものとは異なる魅力があり、環境負荷が少ない養殖については希望があると思います。
マス類・サーモンについても、かつての養殖のネガティブな味が無いものもありますしね。
ただ、注意すべきは、この「環境負荷」です。
イワシとサバのように、大して美味しくない養殖マグロのために美味しい天然ものを大量に消費するのは誰がどう見てもNGです。
(※養殖マグロは事業として失敗であったことが証明されていて、各社が大幅に縮小するか撤退している状況です)
養殖によって周囲の環境に悪影響が及ぼされる自体も避けなければなりません。
そして、養殖のエサは自前だけでなく輸入も行っています。
しかし、エサとなる魚粉輸出国No.1のチリは天然魚から作る魚粉の生産量を減らしている現状です。
日本はチリから魚粉を輸入しているが、議論に上がっていないそうです。
この円安が常態化して物価が高騰し続ける世の中では、輸入に頼るビジネスモデルはハイリスクではないでしょうか?
しかしながら、水産庁や政府の方針は「今すぐに稼げれば手段は問わず」と言う印象を覚えます。
環境負荷を考慮しない養殖にせよ、先に紹介したローソクサバの海外輸出にせよ、長期的なビジョンに欠けます。

そもそもの話になりますが、ウナギは例外的で、圧倒的多数の魚は養殖ものよりも天然ものの方が美味しいです。
これは間違いない真実です。
ですので、役人や政治家の方々には、まずは味覚を鍛えて日本の食文化に向き合っていただきたい、と強く感じます。
前述のとおり「日本の食・グルメ」は稼ぎ頭になっているので、食文化や味覚は今や日本人にとっての教養だと思います。
実際に、鈴木農林水産大臣も「職員への食育は必要だと考えている。ぜひとも行って欲しい」とChefs for the Blueに発言されたそうですので。

繰り返しになりますが、食こそ日本が世界に誇るコンテンツです!
しかも、新たに創出せずとも、今あるものを活かすだけで世界トップレベルの訴求力があるなんて、イージーゲーム過ぎませんか?
もはや「やるか、やらないか」でしかありません。
記事を読んでいただき、誠にありがとうございます。
食が好きであればあるほどショッキングな情報が多かったと思います。
しかし、思考停止したり、「誰かが解決してくれるでしょ」といった他力本願は事態を決して改善しません。
本記事では主観的な分析や解説も加えましたが、Chefs for the Blueの提言書が素晴らしい内容なので、客観的な情報の記述に努めました。
僕は、人間ひとりひとりの力は微力ですが、輪が広がった時に大きな力になると信じます。
ですので、記事を読んで新鮮な発見があった方は、本記事を知らなさそうな人に伝えていただければ大変ありがたいです。
それが現在の状況を変える力となるはずなので…

僕は鮨と日本酒に日本の未来を見ています。
理由は現在、国境を超えて人気が高まっているためです。
業界に携わっている方々の努力が結実した結果として。
ですので、漁業の問題にしてもコメの問題にしても、業界の人気向上に水をささぬよう、向かい風に対抗していかなければなりません。
なぜなら、原材料さえあれば、確実に今後も飛躍し続けるジャンルだからです。
日本が世界の人に誇りを持ち続けられるよう、これらの問題を打開していきたいものですね!

アザラシも人間も、ひとりでは生きていけないもんね。
問題解決のためには相互理解が大切だよ〜
もしかすると現代日本人は、漁獲管理をとおして再認識できる「日本らしさ」があるのかもしれません。

冒頭に書いたとおり、僕はnoteのメンバーシップで、鮨・魚についてのニュースを紹介&解説しています。
自分ならではの視点を重視したグルメ情報も発信しているので、ぜひともお試しでご参加いただければ望外の喜びです!
食を愛する人とつながり、飲食業界を末永く盛り上げていきたいですね。
ありがとうございます、すしログ(@sushilog01)でした。
