こんにちは、塊肉を焼くのが大好きな、すしログ(@sushilog01)です。
さて、以前生産者さんを取材して、その魅力にすっかり魅了された「榊山牛」。
広島では取り扱う一流店が増えていて、今やグルメで知らない人はいないほどの知名度になりました。

そして、「榊山牛」を扱う焼肉店として、「焼肉ふるさと」の本店を紹介しましたが、今回は旅行者にとってアクセスしやすい「広島駅前店」を訪問しました。
再開発で注目を集める広島駅・ミナモアから楽勝で徒歩圏内の店舗です。

訪問したところ美味しさを再認識して、「これは広島県民以外にも知られて欲しい!」と感じました。
広島では予約必須の人気店として知られますが、旅行者の知名度が低いのは勿体ないなと。


面白いことに、黒毛和牛が苦手な妻も大喜びでした。
脂が控えめで旨味が強く、食感が良い牛肉なので、苦手な人にもヒットするのだと思います。
だからこそ、牛肉が好きな人なら違いにビックリされるのではないかと思います。


「焼肉ふるさと」の魅力については、以下の5点に尽きます。
- ブランド牛の「榊山牛」をリーズナブルに楽しめる
- 牧場から文字通り一頭買いなので、部位が豊富
- 「榊山牛」以外の仕入れも良い
- 味付けが焼肉店として上品な方向性
- 一品料理が焼肉店離れしていて、肉割烹レベル
まず、「榊山牛」の主な魅力については、以下の2点です。
- 非常に柔らかくて、旨味が強い
- 脂が多くなく食後感は軽いのに、満足度が高い
国内のブランド和牛は旨味や香り、食感ではなく脂の量(BMS)で評価されます。
そして、最高の和牛がBMS12とされるところ、榊山牛はBMS7~8ほど。
脂は軽く、旨い牛肉です。
「榊山牛」に関するより詳しい情報は本店の記事と牧場取材の記事をご参照いただくとして、今回広島駅前店でいただいて改めて感じた魅力をお伝えすると、「味付けが上品」である点と「一品料理のクオリティの高さ」となります。

個人的に、僕は東京の人気店に行っても「タレが甘すぎるし、多すぎる。肉の味がわからない」と思うことが多々あり、「焼肉は牛肉の味ではなくタレの味を楽しませるお店が多い」と結論付けて、行く機会を減らしました。
油脂と糖分は味覚を遮断するデメリットがあるので、調理においては慎重に使う必要があるのですが、約肉においては「そういうもの」という風潮があり、むしろ大胆に用いた方が受ける傾向が強いと感じます。
しかし、「焼肉ふるさと」はタレに甘味を用いつつ、肉の味を楽しむことができる塩梅なのが嬉しい限りです。
焼肉は自分が住んでいるエリア(もしくは都道府県)で行くことが多いジャンルで、旅先で行く人はかなりのマニア勢だと思いますが、「焼肉ふるさと」のように「(ほぼ)その県でしかいただけない肉」を用いて「お店の工夫を感じる味付け」を行っているお店ならば、旅先で訪問する価値があると実感しました。

「焼肉ふるさと」では、漬けダレとは別に3種類のタレが用意されますが、正直なところ漬けダレだけで十分楽しめる、適度な味付けがされています。

さらに、一品料理が美味しいところは明らかな長所です。
焼肉店は「肉を食う場所」的な方向性で一品料理(の調理技術と調味の塩梅)が微妙なことが多いところ、「焼肉ふるさと」はいわゆる「肉割烹」レベルです。
上記写真の【榊山牛生ハムの燻製ブルスケッタ】や記事の冒頭の【木の芽と実山椒の塩肉とろ】は焼肉店離れのクオリティで驚きました。

そして、【和牛タンてっさ】や【ツラミ刺し】は非常に珍しく、格別の味わいの肉刺しです。
僕は最近、感染対策上の理由から生肉を避けるようにしていますが、「焼肉ふるさと」は自社で食肉加工していて衛生が徹底されていることを知っているので安心していただけます。
SNSのインプレッションを狙うばかりに奇抜な料理を出して食中毒を起こすお店が目立つ世の中なので、消費者として衛生観念をしっかり持っているお店を選ぶことは必須だと感じます。

最後に、キムチは化学調味料無添加であるばかりか、水キムチも自家製している点に意識の高さを感じさせます。
こういったお店側の意識の部分も消費者に広く伝わって欲しいところ。
焼肉という大衆的なジャンルだからこそ多くの人に!
それでは、お料理の紹介に入ります!
ドリンクについては、グラス赤ワインの【シャプティエ・ペイ・ドック・ルージュ】880円をいただいたところヒット。

これは焼肉に合います。
帰宅して調べたところ、無農薬の有機農法「ビオディナミ農法」を実践する生産者で、パーカー100点満点を全世界最多獲得40回以上受賞している「本物の安旨ワイン」のようです。
この度いただいた内容です(3名で満喫、税抜価格)。
- ★【刺身】和牛タンてっさ 1,680円
- 【刺身】ハツ刺し 840円
- ★【刺身】ツラミ刺し 790円
- ★【一品料理】木の芽と実山椒の塩肉とろ 1,529円
- ★【一品料理】榊山牛生ハムの燻製ブルスケッタ 2,090円
- 【一品料理】無添加自家製キムチ盛り 869円
- 【一品料理】サンチュセット 720円
- 【一品料理】野菜スティック 640円
- ★【一品料理】水キムチ 209円
- 【タン・ハラミ】コリコリ塩タン 1,089円
- 【タン・ハラミ】上タン 1,859円
- ★【タン・ハラミ】上ハラミ 2,310円
- 【モモ系・赤身系】イチボ 1,859円
- ★【モモ系・赤身系】ヒレ焼き 3,190円
- 【モモ系・赤身系】クリミ 1,639円
- 【ロース系】特上ロース(リブ芯) 2,310円
- 【ロース系】ザブトン 2,310円
- 【モツ類】ミックスホルモン 1,320円
- 【ステーキ】榊山牛サーロイン(150g) 6,600円

極薄切りながら脂が乗っていることがわかり、食感も楽しめる。これは焼き肉とは全く異なる魅力があるので、オーダーは必須だ。かなり旨い!確かな肉質を感じさせ、香りも良い。肉だけでなく薬味の切りつけも繊細である点が嬉しい。

臭みが全く無く、鉄分も軽やか。【和牛タンてっさ】に比べると「感動レベル」までは行かないものの、ハツなので鮮度と処理の良さがわかれば十分な合格点だろう。

コリコリ感がありつつ、まろやかな甘味が広がる。インパクトがある味わいだ。タレも甘味を用いつつ肉の味を壊さない塩梅。ほのかにまぶされた柚子皮の香りの用い方も洗練されている。見た目だけだとオーダーをスルーする可能性があるかもしれないが、【和牛タンてっさ】とともにグルメな方にイチオシの一品だ。

実山椒も葉もふんだんに使用されているのが嬉しすぎる。これは良いなー!「とろ」と表現しているが、この後ご紹介するブルスケッタよりも赤身主体の構成なので、サッパリといただけて山椒と抜群の相性だ。


瞬間燻製のプレゼンテーションだけでなく、スモーキーフレイバーをまとったブルスケッタは否応無しに食欲をそそる。榊山牛の旨味と甘味が活きているので、燻香をつけても嫌味にならない。これは間違いなく赤ワインが必須だ!
さて、焼肉の前に大切な野菜料理についても紹介しよう。焼肉店ではついつい肉ばかり食べてしまいがちだが、「焼肉ふるさと」の野菜料理は美味しいので、合わせて注文することを強くオススメする。

無添加なので過剰な旨味が舌に残らず、スッキリといただける。肉と向き合えるキムチだ。

野菜の鮮度はバッチリ。生のニンニクと青唐辛子も付いてくるのがマニアに嬉しいポイントだ。

良い箸休めになるし、栄養素補給にもなる野菜スティック。

隠れた傑作。前述の通り意識が高い自家製水キムチだ。ついつい2杯頼んでしまうほどの美味しさである。

それでは、ご待望の焼肉について紹介しよう。

やはり、まずはタンから食べたくなるのが人情だろう。鮨で言うと白身魚やイカから食べたくなるマインドに等しい。
【コリコリ塩タン】はコスパが高い、やや厚切りのタンだ。

「コリコリ」と言いつつ、脂が乗っている部位もある。


パーツによって異なる色々な味わいの楽しみがある。使用している肉は榊山牛ではないそうだが、他店ならば冷凍ものの薄切りタンの価格なので間違い無く満足度が高い。

肉質はむっちりしつつ、噛みしめると繊維が勝手にほどける。とろけるようなタンで、「上」様たる所以を実感する。
続いて、上ハラミ、ヒレ、イチボをオーダー。


これは感動モノ。一般的なハラミとはレベルが完全に異なる。

繊維質が気持ち良く、脂がたっぷり乗っているが酸味もある。食感だけでなく味覚のバランスに優れているハラミなので感動レベルだ。


脂が甘く、それでいて後味が綺麗なイチボ。甘味のベタつく感じが無い。これはタレも奏功している。有名店であっても個人的に解せないのが、脂が乗っている部位やレア部位に甘味が強いタレを用いるセンスの無さである。

まず、香りが良い!そして、香りが楽しめるだけでなく旨味が強く、余韻が長い。これは非常に美味しいヒレだ!柔らかくも噛み締めて旨い(語弊を恐れず言うとヒレ焼肉なのに確かな味、旨味ががあるヒレ肉)。間違いなく非凡なクオリティで、驚嘆に値する。ただ、鮨における白身魚の吟味と同じく、本質に気付くには食の経験値がある程度必要なのは間違いない。脂たっぷりで溶けるだけの特上カルビなどよりも、このようなヒレ肉を一口食べて恍惚となる消費者が増えると日本の焼肉業界の未来は明るい(健康寿命も伸びるだろう)。
そして、次なる部位へ。クリミ、特上ロース、ザブトンだ。

【クリミ】はあっさり方向の赤身肉だが、柔らかくてコクが有り旨い。

タレでも重たくなく、タレのメイラード反応すら楽しめる。噛み締めて旨いタレ焼肉って良いなあ…

なんて面白いカッティング!

焼き込むとコントラストが強まり、脂がじゅわっと滲み、パンチも高まるので面白い。

ポーションが大きいので、個人的には表面をカリッと焼き込むのがオススメだ!

味付けはスタッフさんオススメの辛味調味料でお願いした。

臭みはゼロ。包丁の仕事が非常に良く、歯切れが良い。ホルモン(モツ類)は旨味よりも食感、脂、香りなどが賞味のポイントなので、包丁が極めて重要だと考える。口の中に長時間残るホルモン(モツ類)は論外である。

鉄板焼屋さんやステーキハウスを思わせる肉塊が登場。貴重なお肉をベストで味わうべく、焼きの技が試されるぜ!



塊肉は最初に周りを焼き固めるのが鉄則だ。


辛抱強く焼いていく。この焼く過程が楽しく、焼肉店でこの楽しみを満喫できるなんて素晴らしすぎる。塊肉に惹かれる男性ならばテンションが上がることは間違いなく、デートで巧く焼いたら株が上がるはずだ。

巧く焼けているかどうかは、肉を押してみて弾力で判断するのが良い。柔らかくても硬くてもダメだ。
いざ、緊張のステーキ入刀…

思わず笑顔になる瞬間。

サーロインは焼くと筋の存在感が強まることがあるが、これは全く筋張っておらず 、極めて柔らかい。味わいとしては酸味よりも脂と旨味を楽しめる点がサーロインらしく、本当にステーキハウスを彷彿させるクオリティだ。
付け合わせの薬味が本山葵であれば非の打ち所が無いが、山葵は消費者の多くが混ぜ山葵でも良しとする傾向が強いので、お店としては致し方無しか…。個人的には、ある程度の価格のお店であれば、ジャンルを問わず本山葵を使用していただきたいところだ。鮨は言うまでもなく、蕎麦にしても鰻にしても、混ぜ山葵であれば使わない方が寧ろ良い。食材の味を壊すので。
「焼肉ふるさと 広島駅前店」さんは、オリジナルのWEB予約システムでオンライン予約が可能です。
店名:焼肉ふるさと 広島駅前店(やきにくふるさと ひろしまえきまえてん)
予算の目安:食べる量にもよるが、7,000円〜9,000円ほどか
TEL:082-568-2922
住所:広島県広島市南区猿猴橋町6-18
最寄駅:広島駅から450m
営業時間:11:30〜15:00(L.O. 14:30)、17:00〜22:30(L.O. 22:00)
定休日:月曜
広島の美味しく面白いお店です。





故郷広島に素晴らしい銘柄牛があって嬉しい、すしログ(@sushilog01)でした。