ブランド牛キラー。広島県で至高の和牛「榊山牛」を育てる!馬上畜産さんをレポート

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こんにちは、生産者さん取材が大好物の、すしログ(f:id:edomae-sushi:20201002142555p:plain@sushilog01)です。

さて、最近、東京のグルメな方の知名度も上がってきた広島の和牛「榊山牛さかきやまぎゅう」。

有名店だと、広島県の「馳走啐啄一十」、「ル・ジャルダン・グルマン」、「hiroto」、「永山」、「NICON」、静岡県・焼津の「馳走西健一」などで使用されていて、注目を集めています。

この度、貴重な機会を頂き、生産者さんの馬上ばじょう畜産牧場さんを訪問しました。

すしログ

結果的に、通常のセオリーをことごとく打破する生産を行っておられ、語弊無く感動!

お肉が好きな方々に、榊山牛の魅力を伝えるため筆を執りたいと思います。

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榊山牛(さかきやまぎゅう)とは?

榊山牛サーロイン

「榊山牛」とは、広島県で近年誕生したブランド牛です。

32ヶ月以上の長期肥育を行い、独自ブレンドの飼料で育てられるプレミアムビーフです。

重厚な印象を感じるブランド名の由来については、生産牧場がある熊野町の神社との事です。

榊山牛の定義
  • 黒毛和種の未経産雌牛とする
  • 生後32ヶ月以上の長期肥育の牛で、社団法人日本格付け協会が定める4等級以上の外観並びに肉質及び脂質が優れている枝肉とする
  • 榊山牛銘柄推進協議会が認定した広島県内に居住する飼育者が登録された牛舎で飼育されたものとする
  • 広島県内産の稲わらと指定穀物を使用した榊山牛推進協議会認定の自家配合飼料を使用し、指定の方法で肥育されていること

 

定義についてはこの後詳しく説明しますが、肥育期間(長期)とエサを固定しているのは、全国的に見て珍しい事です。

馬上さんは、セリに出される広島血統の和牛はほぼ落札するそうですが、血統よりも肥育期間とエサなどで独自の牛を志向されています。

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味わいの特徴としては、旨味を主体とした味の濃さ、が挙げられます。

そして、お肉の柔らかさ脂の融点の低さ、香り高い和牛香も特徴と魅力になります。

赤身の旨味が濃く、脂の甘味が強い。

それ故に食中はもちろん食後感が軽く、それでいて味わい深いので強い印象を与える牛肉です。

 

牛肉の融点は通常26℃と言われますが、榊山牛は16℃と極端に低い温度です。

サシ(脂)主体の松坂牛の融点が17℃と言われるので、榊山牛はそれよりも低い融点となっていて驚異的!

しかし、松坂牛よりもサシが格段に少なく、赤身主体であるところが特徴です。

 

生産農家は広島県熊野町の馬上畜産牧場さんがパイオニアですが、現在は仕様に則して生産する農家が増えているそうです。

ただし、榊山牛の生産仕様はハードすぎるため、多くの農家は諦めるか、そもそも思考停止して拒絶するとの談…。

次項では、榊山牛の凄さについて、馬上畜産牧場さんの取材を通してご説明します!

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榊山牛の生産者・馬上畜産牧場の凄さを解説

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榊山牛は、広島県で初の長期肥育による和牛で、農家の馬上畜産牧場さんも初の試みを行う農家です。

現在の当主は馬上幸治さん。

実はお父様は牛飼いの名人と呼ばれた方で、「広島に馬上あり」と言われたそうです。

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広島県は和牛オリンピック(全国和牛能力共進会)の肉牛部門で一回優勝したことがあり、金賞首席を取った時の生産者がお父様だったとの事です。

お父様は先進的な面を持っておられ、霜降りの牛を作る名人でありながら、「いつか、脂以外にも「味」で評価される時代が来るだろう」と言っていたそうです。

 

そして、予言が的中。

お父様の時代のニーズは牛肉=脂でしたが、時が経ち、市場のニーズが少し変わりました。

サシ主体の牛肉よりも、旨味主体の赤身を好む人が増えて、牛肉の味わい方も劇的に多様化しました。

 

当代の馬上幸治さんも「サシを入れる名人」と言われたそうですが、3年ほど前に一気に方針転換。

和牛オリンピックでの評価よりも、市場のグルメな方の嗜好に合わせることを選択し、BMS7~8ほどの生産を目指すようになりました(市場ではBMS12の牛が高値で取引されるにも関わらず!)。

格付明細書

馬上幸治さんが育てる榊山牛は、現在と未来のニーズに応える牛肉だと感じます。

主な凄さは、以下のとおりです。

  • 長期肥育のみ
  • 飼料を独自ブレンド
  • BMSや等級を超える肥育
  • 手間を惜しみなくかける
  • 生産農家・仲買人・精肉加工業者・飲食店の一貫

順に解説していきます!

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長期肥育のみ

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前述のとおり、榊山牛の絶対条件は「32ヶ月(2年8ヶ月)以上の長期肥育」です。

当たり前の事になりますが、牛は育てば育つほどエサを食べるのでエサ代がかかります。

しかし、良いエサを与えて長期肥育することが美味しさに繋がる、との信念に基づき一貫して生産されています。

 

牧場を見学して、32ヶ月どころでなく36ヶ月以上の大型の牛もいて、驚きました。

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飼料を独自ブレンド

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そして、次にスゴいのが飼料=エサ。

馬上畜産牧場さんは既製品の配合飼料を使用していません。

牛の味はエサが決める、との信念に基づきます。

しかも、牛一頭一頭の性格に合わせたエサをあげているそうです。

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広島県産の稲藁をメインに国産稲藁を100%使用し、何種類もの天然食材を独自でブレンドしています。

細かい部分は企業秘密になると思いますので伏せますが、人が食べても高価な国産の食材も使用されています。

さらにはコロナと戦争の影響でエサ代が高騰する中、むしろ国産の食材を増やしてコストを掛けている点には驚きました(なんて逆張りの発想!)。

 

水も抜かりなく、地元熊野町の湧き水を使用されているそうです。

BMSや等級を超える肥育

榊山牛は既存の「牛の価値」であるBMSによる判断を行っていません。

市場的には牛肉はサシが多い方が高く売れるので、牛をビタミンA欠乏症にして脂肪を増やす事さえ行われています。

 

しかし、榊山牛のBMSは、なんと平均して6程度!

消費者の多くが未だに「上質な牛肉」だと信じている「A5和牛」はBMSが8以上です。

「A5信仰」は消費者よりも和牛業界とメディアによって作られた信仰だと思いますが、今の時代に旨さで既成観念を打破しようと言う試みはスゴい。

 

それでビジネスが成り立つの?と言う話になりますが、問題なく成り立っています。

後述する加工業者・飲食店を経営する「焼肉ふるさと」さんが連携することで、市場を超えた牛肉の生産を可能にしています。

「焼肉ふるさと」さんはBMS6の榊山牛を、BMS12以上の高値で買い上げています。

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惜しみなくかける手間

既に手間と生産コストが惜しみなくかけられている事はご理解頂いているかと思います。

さらに敢えて項目化した理由は、長期肥育、独自ブレンドの飼料とともに、牛と向き合った飼育方法を採られているためです。

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馬上畜産牧場さんをお伺いすると、非常に清潔で、臭いが無い事に気付きます。

馬上さんは牛一頭一頭を丁寧に把握されていて、愛情を感じます。

馬上さんは、仔牛の段階で数か月間の集団生活をさせて、仔牛の正確を見極めるそうです。

あくまでもストレスが無いよう気を付けて、性格を見極めた上でペアを作ったり、一人部屋にしたりするそうです。

 

牧場が清潔で、臭くない点にも驚きましたが、牛が物静かで、めったに鳴かないことも新鮮でした。

牛舎と言えば、特有の臭いがあり、牛がモウモウと大声で鳴くイメージでしたので。

 

その結果、牧場と民家の距離が近いのに、共存環境が出来ています。

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生産農家から仲買人、精肉加工業者、飲食店の連携

最後に、榊山牛は生産農家から飲食店まで、一貫した流れがある点が全国的に見ても「奇跡的」と言えます。

榊山牛の相対取引~精肉加工~卸売までを担うのが「株式会社 焼肉ふるさと」さん。

なんと「焼肉ふるさと」さんには、朝にと畜された牛の精肉と内臓類がその日の内に入るそうです。

焼肉ふるさと内観

しかも、精肉だけでなく同一個体の内臓類も同時に流通する点が圧巻。

これは東京や大阪では不可能。

「和牛一頭買い」を謳うお店でも不可能な「本当の和牛一頭買い」です。

榊山牛塊

希少性の高い和牛のタンに始まり、ハラミやホルモン、レバー、ハツ、センマイ、テールまで全てが揃うというのは奇跡的すぎる。

ギャラ大腸

さらに、流通とトレーサビリティが確立されているので、生産農家である馬上さんがその日の内にご自身が育てた牛を食べられるそうです。

馬上さん

同様の事例は、日本でも他に無いのではないでしょうか…

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榊山牛を食べられる美味しいお店

本記事の最後に、どこで榊山牛を食べられるのか、ご紹介します。

ただ、正直なところ、提供レストランは公式サイトに記載されています。

下記は抜粋となりますので、よろしくお願いします。

  • 焼肉ふるさと(広島県広島市)
  • ねこちぐら(広島県広島市)
  • 和牛Lab K(広島県広島市)
  • 料理 むら上(広島県広島市)
  • NICON(広島県広島市)
  • 馳走啐啄一十(広島県広島市)
  • 永山(広島県広島市)
  • 日本料理 児玉(広島県広島市)
  • ル・ジャルダン・グルマン(広島県広島市)
  • hiroto(広島県広島市)
  • EPURE(広島県広島市)
  • Amiral(広島県呉市)
  • おく村(広島県福山市)
  • TWILIGHT EXPRESS 瑞風(寝台列車)
  • 馳走西健一(静岡県焼津市)

素材が美味しいと、ついつい取扱店を巡ってみたくなります。

 

それでは、次の記事では牧場取材の夜にお伺いした「焼肉ふるさと」さんをレポートします!

 

生産者さんの愛情が全てだと感じる、すしログ(f:id:edomae-sushi:20201002142555p:plain@sushilog01)でした。

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