こんにちは、実は中華を食べるために中国に10数回渡っている、すしログ(@sushilog01)です。
さて、当ブログで中華料理を採り上げるのは初めてとなります。
「えっ、中華!?ネタ切れ??」と思う人がいらっしゃるかもしれませんが、違いますのでご安心を(笑)
「木燕」さんは「土地の味」を明確に伝え、土地の郷土料理を中華の枠組みに落とし込んでいるため、ご紹介する次第です。
こちらは、中華料理において信頼する友人が訪問して絶賛されていたため、長らく訪問したいと思っていました。
その友人は中華料理の専門サイト「80C(ハオチー)」を営む方で、伊那を積極的に開拓されています。
以前お伺いした「GUUUT(グート)」さんもその方経由で知りました。
しかも、「木燕」のご主人・木嶋 正明さんは、藤沢の「中国旬菜 茶馬燕」さんで修業されたと知って、期待が更に高まりました。
結果的に、この地を訪れる価値がある唯一無二の料理に心から満足しました。
すしログの情報リンク【すしログライブラリー】
タップできる目次
長野県伊那市「中国菜 木燕(ムーエン)」の魅力とは?
「木燕」さんの魅力は、土地の食材に絞り、ここでしか頂けない中華料理に仕上げておられる点です。
地元の方向けの定番料理やコースもありますが、食通諸氏には【伊那谷コース】がオススメです。
…と言うか、一択だと思います!
もちろん通常のコースも非常に美味しいと思いますが、ご主人が表現されたいのは【伊那谷コース】である事は間違いありません。
仕入れる食材や仕込みの手数が特殊で、地物の食材を駆使して、「伊那」を表現されているので。
時期によって豊富な食材があり、魅力的な生産者さんもいる事を伝えてくれます。
ご主人は【伊那谷コース】を試行錯誤で作られてきたようで、最近はそれが奏功している模様です。
【伊那谷コース】目当てで訪問するお客さんが増えているようなので、お話を伺って嬉しくなりました。
恐らくまだまだ美味しく、魅力的になっていくのが「木燕」さんの【伊那谷コース】。
季節ごとにガラリと変わったり、リピーターには違う食材を使用されたりするそうなので、また異なる季節にお伺いしたいと思います。
ご当地の食材を用いて異なる国の料理にアレンジする試みは、イタリアンでは盛んですが、中華料理では相対的に弱いのが現状。
木嶋さんは、全国的に見ても珍しい試みをされています。
「中国菜 木燕」の【伊那谷コース】の詳細について
それでは、「木燕」の【伊那谷コース】の詳細をご紹介します。
お店はアラカルトでの注文が可能ですが、【お任せコース】5,500円から用意されています。
そして、【伊那谷コース】は12,100円で、「10日前までの予約制」となっているので、ハードルが高いように思うかもしれませんが、相当充実した内容です。
【伊那谷宴席】の内容
- 伊那谷野菜の前菜六種
- 酸木瓜湯(伊那谷産かりん、春トマトのスープ)
- 咸鱿鱼馬来醤(信州伝統塩イカのマレーシアソース)
- 干鍋酸魚(佐久鯉の鮓、干鍋仕立て)
- 春季蔬菜(伊那谷産山菜の塩味炒め)
- 換口味(お口直し)
- 醋血甲鱼(南信州産スッポンのブラッディソース)
- 双色筍拌麵(二種アスパラガスの和え麺)
- 今天的甜品(本日のデザート)
車でお伺いしたので、普洱茶を頂きました。
中華には中国茶も良いもんだなあ…と当たり前の事を感じました(笑)
普洱茶はカロリーを削ってくれる気になれますしね。
伊那谷野菜の前菜六種
「前菜六種」は、根韮鮓豚皮、干煸竹笋、麻辣魔芋、腐乳油菜花、糖醋蜂頭菜、麻醤五加。
【根韮鮓豚皮】は根ニラと豚皮の漬物の蒸し物で、【干煸竹笋】は春竹の子の干し海老風味、【麻辣魔芋】は手作りこんにゃくのマーラーソース、【腐乳油菜花】は菜花の腐乳ソース(下右)、【糖醋蜂頭菜】は蕗の薹の甘酢漬け、【麻醤五加】はオコギのゴマソース(下真ん中)。
オコギは香ばし、持ち味の軽い苦味がゴマコースと実に合う。
筍も苦味を活かしている点が調理法的に素晴らしい。
干煸に合う。
根ニラは発酵の旨味がバシッと効いていて、とろんととろけて苦味も楽しませてくれる。
ニラの香りもバッチリで意外性がある食材だ。
【麻辣魔芋】は、手作りこんにゃくのピュアな味わいに強い麻辣のギャップが面白い!
蕗の薹も甘酢漬けが合うとは新発見だった。
なお、筆者は帰りに「産直市場グリーンファーム」に立ち寄り、オコギと根ニラを入手した。
変わったご当地食材を求める方に強くオススメの市場だ。
酸木瓜湯(伊那谷産かりん、春トマトのスープ)
干しカリンの香りと強い甘味のトマトを組み合わせ、未体験の味わいへと昇華。
一口頂いた際に思わず「これは何だ??」と疑問符が浮かんだ。
乳酸発酵の旨味と香りが効いていて、爽やかに旨い発酵スープなのか…と思いきや、4時間かけて煮出したトマトの旨味と酸味が主体との事で、意表をつく味覚を楽しませて頂いた。
咸鱿鱼馬来醤(信州伝統塩イカのマレーシアソース)
伊那は海の幸を塩漬けや乾燥させて保存食として珍重してきた伝統があるそう。
しかし、物流が発達した今、多くの人が食べなくなっているので、食文化を保存するためアレンジして出しているそうだ。
崇高な試み。
山菜はコゴミで、蝦醤や干し海老を用いたソースで炒めている。
塩イカの塩味と野菜の甘味を合わせて、ソースの香りとコクを調和させる設計。
塩イカを含む海産物は、古来より富山方面から薬売りが持ってきていたそうだ。
そして、元々は塩抜きしてキュウリやワカメなどと合わせる素朴な調理法であったとの事。
伝統食材を美味しい中華料理として再定義されている。
干鍋酸魚(佐久鯉の鮓、干鍋仕立て)
もち米を発酵させたナレズシとは、嬉しい限り!!
酸味は穏やかで、コクが極めて強いナレズシだ。
香りも非常に上品で、むしろ発酵由来の香りは無いくらいである。
つまり、多くの人が美味しく食べられるナレズシ。
ディル、香菜、木姜子、バイマックルー、花椒などの香りが絡み合い爽やかで、豆豉のコクや泡辣椒の甘辛フルーティーな味も活きている。
春季蔬菜(伊那谷産山菜の塩味炒め)
山菜は全て天然物で、タラノメ、野蒜、山ウド、うるい。
山ウドは非常に甘い。
野蒜の鱗茎は大変立派で、濃密な味わい。
しかも、とろっとろで粘度が高い!
うるいはホロ苦。
タラノメは安定のオイリー&ナッティな味わいだ。
ニンニクと生姜を用い、塩でシンプルに炒め、山菜たちの香りを満喫させてくれる。
換口味(お口直し)
伊那谷産イチゴの雲南スパイス和え!
意表をつく口直しで、イチゴに唐辛子、クミン、フェンネル、花椒など7~8種類のミックススパイスを合わせている。
意外性のある相性の良さだ。
醋血甲鱼(南信州産スッポンのブラッディソース)
なんと、2人に対してスッポンが1匹登場!
そして、味わいは白眉!!
スッポンは部位ごとに食べる調理法が多いので、一品で全部位を楽しめる料理を考えて作ったそうだ。
日本人としては多くの方が「奇抜」に感じる【血のソース】を用いつつ、実に旨い。
血のコクが強く、気品すら感じる香りと味わいである。
頂いたスッポンは臭みが皆無。
伊那の伝統野菜であるシビラ南蛮を使用し、ローリエ、八角、桂皮などの香りも丁度良い。
なお、流石に大型のスッポンだったので、使用する肉の量は半匹分であった。
双色筍拌麵(二種アスパラガスの和え麺)
白と緑のアスパラガスは朝どりとの事。
それ故に瑞々しく、甘く、香りが良い!
ホワイトアスパラガスは、もともと緑の品種であるが、懇切丁寧に育てて白にしているそうだ。
麺は手打ちと思われるもっちりつるつるリズミカルな麺。
付け合わせのドクダミ醤も秀逸で、自分も作りたくなった…!
今天的甜品(本日のデザート)
【本物の杏仁を使った杏仁豆腐】は、香りが良く、ぷるんとした食感を上品に楽しませてくれる。
【伊那谷産雑穀米のおしるこ】も非常に美味しく、10種類ほどの雑穀が使用されているため様々な食感が魅力だ。
「中国菜 木燕」の立地と雰囲気
「木燕」さんはJR伊那市駅から至近の場所にあります。
ただ、路地裏にあるため、知らないと到達は不可能!?
なかなか攻めている立地です。
店内はこじんまりとしていて、落ち着く雰囲気です。
立地をものともせず大人気なので、事前予約や訪問前のお電話は必須です。
「中国菜 木燕」のお店情報と予約方法
「中国菜 木燕」さんのWEB予約については、公式サイトより可能です。
店名:中国菜 木燕(ちゅうごくさい むーえん)
予算の目安:【お任せコース】5,500円~、【伊那谷コース】12,100円
TEL:0265-97-1401
住所:長野県伊那市新井3447-3
最寄駅:伊那市駅から130m
営業時間:ランチ(予約制)12:00~13:30、ディナー17:30~22:30(L.O.21:30)
定休日:第2月曜、日曜
長野県のグルメ県化から目を離せない、すしログ(@sushilog01)でした。
本記事のリンクには広告がふくまれています。