こんにちは、鮨ブロガーの、すしログ(@sushilog01)です。
ことあるごとにお伺いしている浅草の久いちさん。
今回は2年半ぶりの訪問となってしまいましたが、出口親方は覚えていてくださり、嬉しかった。
かつて再訪した時も覚えていてくださり感動しました。
やっぱり、顔を覚えていてくれる料理人さんのお店には足を運びたくなるものですね。
それはさて置き、久々にお伺いしたところ、高いレヴェルで安定されており流石だなあと感じました。
また、もの凄いペースで値上げをされる若手も多いですが、以前と変わらぬ費用対満足度。
値上げイコール悪ではありませんが、値上げをするならば技術的もしくは素材的に満足度を上げる必要があります。
同じ内容で値上げを行うパトロン付きのお店に疑問を感じる次第です。
浅草「久いち」の魅力とは?
さて、今回驚いたことと言えば、従来通りの米酢のシャリに加えて赤酢のシャリも併用されていたことです。
ご存知の通り、こちらは久兵衛ご出身。
久兵衛はミツカンの米酢(恐らく、特醸優選と白菊かと思われます)を使用しているため、赤酢とは意外です。
しかし、出口親方いわく開店時は赤酢にしたかったそうで、その理由は先代と先々代の時代は赤酢のシャリを使っていたためだそうです。
お話を聞いて納得しました。
ただ、シャリを併用されると言っても、勿論タネとの相性を考えておられ、メインのシャリは米酢です。
そして、赤酢については江戸丹念酢、金将、ミツカン三ツ判山吹ほかの計4種類ブレンド。
このブレンドは最近の若手職人さんとは異なり渋いなあと感じました。
出口親方はベテランの部類に入りますが、常に新しい試みをされているところが魅力です。
仕事についても新技を開発されていて、時を置いて訪問するとガラリと変わっていて面白い。
「久兵衛」の系譜で最も好きなお店です。
浅草「久いち」のおまかせコースの詳細
浅草「久いち」さんのおまかせの詳細をご紹介します。
この度頂いた日本酒
土佐しらぎく、黒龍、磯自慢、浪乃音ええとこどり
九谷焼の酒盃
この度頂いたのは、握りが最も多い【おまかせ】11,000円です。
ただ、隣のお客さんの酒肴付きコースに鮎が付くと知り、塩焼きを単品で追加しました。
先付
定番の一品。
桜煮
甘く柔らかく煮た蛸。
ガリ
新生姜のガリ。
酸味、辛味、甘み、旨味的にバランスが良いタイプ。
真子鰈
歯応えと確かな旨味を感じさせる!
夏場の王道と言える初手で、しみじみ鮨店を伺う良さを感じさせて頂いた。
皮剥
肝の旨味がどんどんこみ上げてくる。
乗せるのではなく噛ませているため、次第に高める演出。
肝はボイルしており、雑味が無い。
墨烏賊
バツッバツッと良い食感。
最後にとろりととろけ、甘みが滲む。
夏場でもアオリイカを用いない点は江戸ッ子の粋だろうか。
真子鰈と共に鮨店の喜びを感じさせてくれる。
こう言うタネで喜びを感じさせてくれるお店は、良い。
鮎の焼きもの
頭と肝が非常に旨く、香りも良い。
腹周りに強い旨味があり、身は繊細な旨味。
結構な上モノだと思っていたところ、産地は高津川(島根県)とのこと!
なるほど~と強く納得。
高津川の鮎はコチラ↓で頂き感銘を覚えたことがあるので。
水茄子の漬物
鰹
ここで前述の赤酢のシャリが登場!
ねっちりした身に確かな旨味があり、酸味も楽しませる鰹。
赤酢のシャリの旨味も活きている。
鮪中トロ
産地は伺わなかったが、美味しい夏の鮪であった。
赤身の酸味を感じた後に旨味が高まり、上品さと力強さを併せ持つ。
それは香りについても同様で、爽やかな血の香りが妙味であった。
鮪大トロ
脂がしっかり乗っているが、鮪らしい香りがある点が魅力。
小鰭
旨い!
香りは極めて穏やかだが、じわじわとこみ上げ、ある一線を超えずに楽しませてくれる。
また、皮目の食感も活かす〆加減。
ベテラン職人さんの腕を感じるのは、やっぱり小鰭。
鰯
中に浅葱、外に生姜。
これも熟練の〆仕事。
車海老
非常に個性的な火入れで、レアを志向している。
生と茹での中間にあるような食感で、魅力的な仕事。
海胆軍艦
濃密な海胆で、海苔の香りは抜群。
椀
椀種の蛤は貴重な江戸前!
本枯節のスモーキーフレイバーを活かし、蛤はしっとりとろとろ秀逸な火入れ。
穴子
余韻が強く、脂がありつつサッパリ。
産地は伺わなかったが、恐らく対馬産ではなく江戸前かと思われる。
春子
超しっとりで爽やかな味わいの春子。
貝は5種類から選ばせて頂くサービス。
仕入れ価格が異なるのに太っ腹。
そして、お任せでもこう言った自由があると嬉しい。
赤貝
兵庫産で、かなり肉厚。
旨味は穏やかだが、香りは中々。
良い時期を考えると爽やか且つ旨い赤貝だと感じる。
少し時期外れなので面白がって頼んで正解。
北寄貝
肝付きを炙っており、甘みが強い。
トロトロの肝も旨い。
干瓢巻き
気負う事のない味が心に沁みる。
何処となく懐かしさを感じる、皆が好きな干瓢の味だ。
しかし、甘みや醤油の塩梅などは上品に仕上げている。
こちらは王道の久兵衛の握りの中に確かな個性を表現されていて、久兵衛の系譜では満足度が高い一軒だと再認識しました。
なお、出口親方が今年54歳と言うのには驚きました。
見た目は40代前半の若々しさなので!
浅草「久いち」のお店の情報
店名:鮨 久いち(すし ひさいち)
シャリの特徴:塩をキリッと利かせ、硬さと温度が丁度良いシャリ。また、赤酢のシャリも併用されるように。
予算の目安:握りは萩6,000円(8貫)、大島8,000円(11貫)、おまかせ11,000円(15貫)
TEL:03-3874-2921
住所:東京都台東区浅草3-18-8
最寄駅:TX浅草駅から400m、メトロ・都営浅草駅から1,000m
営業時間:12:00~14:00、17:30~23:00
定休日:月曜
【前回訪問時の記事】
すしログ No. 220 久いち@浅草 – すしログ 〜The Encyclopedia of Sushi〜
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