こちらは、静岡で美味しそうな鮨店はないかな…とリサーチして見つけました。
僕はかつて、静岡で最も有名で、自ら「最高のまぐろを提供する」と言う清水の末廣鮨さんにお伺いした事がありますが、残念ながら自身の口には合いませんでした。
それがトラウマになってしまったため、静岡の鮨店については、長らくリサーチしていなかった次第です(笑)
しかし、静岡駅のすぐ近くに形の良い鮨を発見!
末廣鮨さんとは異なり包丁が冴えており、同時に「刺身お握り」ではなく「仕事が施されている鮨」とお見受けし、期待に胸を弾ませて予約した次第です。
しかも、その後、追加で情報を調べたところ、鮪は「築地市場の仲買人が吟味したものを使用」と言う情報を発見しました。
今は築地ではなく豊洲でしょうけれど、静岡にあって清水港ではなく豊洲仕入れの鮪とは期待が持てます。
いや、何も清水港の鮪を否定するつもりは全く無く、清水港は冷凍鮪の水揚げが日本屈指であり、得意とする鮪がミナミマグロであるため、多くの江戸前鮨店で用いられる鮪=クロマグロ(ホンマグロ)とは異なると言うだけです。
地元の魚介類も用いられているため、その多くのタネは清水港仕入れでしょう。
現在は若い親方と先代のお父様で営んでおられるようです。
若親方は築地の鮪の大卸で10年働いた後、お店を引き継ぎ現在7年経過しているそうです。
席に座ると、金卸しで本山葵をすられ、ホッと一安心。
店内の香りも良く、期待が更に高まりました。
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美代司鮨さんのシャリ
こちらのシャリは塩よりも酢が立ち、甘みが強い点が特徴です。
炊き加減は硬めではありませんが、ほどけ具合は良好です。
街場寿司から進化中と言う印象を受けるシャリと仕事であり、今後の進化が楽しみだと感じました。
握りでは左手の親指を活用する事で、更に形が良くなると思います。
また、仕事系のタネを増やせば、静岡で大きなアドバンテージとなるかと思います。
お昼のおまかせコース(10貫)のお値段は3,000円(本体価)と、お値打ち。
県外からの訪問なので地物を中心に組み立てて頂けました。
冬ですが白身類を色々頂けたのは僥倖でした。
お昼のおまかせコース
ガリ
甘みがほぼ無しで、酸味と辛みが立つ。
シャリの甘みとのバランスを取っておられ、好印象。
白魚軍艦
一貫目から軍艦とは驚いたが、静岡における白魚漁は漁期が2ヶ月程度と短く貴重。
シラスが禁漁の際に行われる。
パツッと歯切れの良い身はほの苦さと甘みを滲ませ、印象深い一貫となった。
墨烏賊
墨烏賊を用いられるのは嬉しいが、レモンが強かった。
甘みがアオリイカなどよりも弱い墨烏賊には、必ずしも柑橘を用いずとも良い。
また、香りにも着目すると、レモンは柑橘の中でも香りが強く、酢橘やカボスよりも「フルーティさ」も強いと思う。
スッと切れるような柑橘の香りであれば、まだ合わせられるが。
ホウボウ
これもレモンと塩だが、レモンの使用量が少量であるため、気にならず。
また上記のように甘みと香りの観点からも、ホウボウであればバランスが取れる。
味わいは大変旨い。
パツパツした身から旨味が滲み出る。
鯛
寝かせてるようで、身質はしっとりで旨味もある。
鰯
とろっと旨い。この時期としては珍しい。
しかも、〆なし。
薬味を叩いて混ぜると一体感が高まるだろう。
椀
浜名湖産の青海苔を用いた味噌汁。
出汁も味噌もスッキリした味わい。
ヒメジ
炙り、塩。
強い旨味とシャリの甘みが合う。
フレンチでは高級魚のヒメジ。
出して頂けて嬉しかった。
ながらみ
じんわりと滲む苦みが心地良い。
鰤
湯霜で身を締めているところが良い。
最後に酸味が軽く広がる。
鮪中トロ
脂が濃厚なので、タイセイヨウマグロか。
金目鯛
強く甘い脂は鉄板の味わい。
穴子
煮ツメは中庸的な濃度。
現在は進化の途中にある街場寿司と言う印象ですが、勉強熱心な若親方はポテンシャルがあります。
江戸前伝統の仕事を増やせば、静岡では稀有な名鮨店になるかもしれません。
仕事(調理)よりも鮮度が優先され、街場寿司の多い県なので、今後のご活躍が楽しみです。
美代司鮨さんのお店の情報
美代司鮨(食べログのリンク)店名:美代司鮨(みよしずし)シャリの特徴:塩よりも酢が立ち、甘みが強い。
予算の目安:お昼の握りおまかせ3,000円最寄駅:静岡駅から300m
TEL:054-289-7877
住所:静岡県静岡市駿河区南町13-21
営業時間:11:30~13:30、17:00~22:00
定休日:日曜
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