ぽつぽつと美味しいお店が点在する牛込神楽坂。
神楽坂の中心からは離れておりますが、外観の雰囲気から美味しそうなお店が多いように思います。
その中で、リーズナブルに上質な江戸前鮨を供するお店が、こちら。
お店に入ると白木のカウンターが歓迎してくれます。
そして、低い漬け場が印象的。
親方との距離感が近く、手元が全て見える設計です。
お客さんは近くに住んでおられると思われるカップルや家族が多いため、店内には温かみのある雰囲気が漂っておりました。
頂いたコースは握り6,000円。
お好みや酒肴付きのおまかせもありますが、初訪問なので握りを一通り頂こうとの魂胆です。
頂いた感想としては、6,000円としては非常にリーズナブルだと感じました。
雰囲気は穏やかで寛げますが、内容は非常に硬派な江戸前。
派手さは無く、ボリュームも控えめですが、食後の満足感が大きい。
何よりも生命線のシャリが大変美味しい。
硬めに炊かれ、口の中ではらりと散り、粒にもっちり感があります。
硬めに炊いているのにもちもちした食感がある点こそ、こちらのシャリの最大の特長だと思います。
味付けとしては、酸味はやや強めで、塩気は穏やか。
親方は掌ポンも捨てシャリもされておらず、美しく握られます。
更に、山葵を使用する都度おろしている点も抜かり無いです。
この度頂いた日本酒
吉野川特別純米1,200円、澤乃井純米大辛口700円。
先付
蛍烏賊にウド。
酢味噌は酸味は穏やかで、甘みがウドに合う。
空豆
蛸の柔らか煮
アテで単品オーダー。
しっとり、さっくりした食感。
ガリ
歯応えがシャキッと強く、甘みがありつつ辛味もビシッと利いている。
甘みはじんわりと漂う程度。
真子鰈
軽く寝かせており、走りの真子の旨味が引き出されている。
一貫目で期待が高まる真子鰈。
小鰭
半身二枚でつけられ、美しい見た目。
しっかりした〆加減で、噛み締めるごとに旨味が高まる。
墨烏賊
塩と酢橘で、酢橘の使用量は上品。
横に数本、雄々しく包丁を入れており、バツッと切れて食感が気持ち良い。
赤貝
これも良い包丁使い！
赤貝の飾り包丁は下手すると人工的になり美しさを欠く由。
赤貝の旨味はそれ程でもはないが、香りが良かった。
鯵
ほんの少しだけ酢洗いして握る。
浅葱と生姜は別々にあしらう。
もともと軽く〆ているのか、ねっちりした身からとろりと脂の旨味が高まる。
これは非常に良い仕事！
海老
茹で置きながらきっちりと甘く、食感も柔らか。
室温で温度を上げてから握られているのが嬉しい。
鮪赤身
漬け。濃厚に感じさせる漬け加減で、シャリのサポートが良い。
穏やかな味わいなのに印象深い。
海胆いくら丼
ともに旬では無いものの、ストレートに美味しい。
鮪中トロ
甘みが強く、酸味も感じさせる。
前述の赤身を頂き海外産である事を予感したが、矢張りアイルランド産との事。
鮨をよく食べている人でも国産信仰が強くて驚く事があるが、時期によっては海外産を使う判断も必要だろう。
鮪は日本政府の漁業政策と大手メーカーの暴挙によって、漁獲量が超激減しており、絶滅の手前にきている状況。
これも意外に知らない食べ手が多く驚く事しばしば。
料理人も食べ手もサステイナビイティを意識する必要性が高まっている。
穴子
江戸前の仕事で笹に乗せて炙っているが、これが非常に強めの炙り加減で美味。
スモーキーフレイバーをまとっており、意表を突かれた。
トロタク
脂の強い鮪は沢庵との相性が良い。
玉子
ジューシィな出汁巻き玉子。
椀
トータルとして、気が向いた時に美味しい鮨を楽しめる隠れた良店だと感じました。
季節の端境期で鮨にとっては厳しい3月の訪問でしたが、仕事で美味しく仕上げており、鮨好きにとって近所にあると嬉しいお店です。
違う季節に再訪したいと思います。
店名：すし北野(すしきたの)
シャリの特徴：酸味はやや強めで、塩気は穏やか。粒のほどけが良く、もっちり感も併せ持つシャリ。
予算の目安：握りおまかせ6,000円
最寄駅：牛込神楽坂駅から400m
TEL：03-6265-0305
住所：東京都新宿区納戸町35-4 ドムス牛込1F
営業時間：17:30～22:00
定休日：月曜
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