
こんにちは、ペアリング研究が大好きな、すしログ(@sushilog01)です。
さて、今回お伺いした代々木上原の「thalee ling(タレーリン)」さんは、タイ料理とワインが好きなら訪問する価値があるレストランです。
日本酒ペアリングの研究のために訪問したところ、御料理もペアリングについても大満足でした。


違う国の料理とお酒を組み合わせて今までに無い価値を生み出す試みは、なんて面白いのでしょうか!

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代々木上原の「thalee ling(タレーリン)」はワインとタイ料理の魅力的なペアリングを提供するレストランです。
駅からしばらく歩いた静かな一角にあり、外観も内観もスタイリッシュ。

こちらのタイ料理はモダンな方向性で、日本人らしい創作性を嫌味なく組み込んでいます。
要はタイ料理ガチ勢からビギナーまで幅広く楽しませてくれる魅力的な設計です。

そして、絶対に忘れてはならないのがワインペアリング。
味覚的に非常に巧みなご提案で、日本酒ペアリングを研究している自分も大変楽しく勉強になりました。
更に、驚くべきは高品質なサービス。
サービススタッフの方々がフレンチレストランのそれです。
御料理の提供についても、一斉スタートではなくバラバラに入ってもテンポが良く、素晴らしいです。
今回いただいたコースの名は「初冬」。メニューを一瞥しただけで季節感を感じさせてくれる点がまず魅力的です。

- ヤムアナゴ:穴子、ビーツ、古代米
- プラーディップ:鰤、カラフル大根、紅まどか
- トムカータレー:赤海老、根セロリ、カー
- オップウンセン:春雨、シーズニングソース、プリッキーヌ
- トムヤム:百合根、卵、レモングラス
- ゲーンパネン:宿毛湾鮮魚、プリンセスサリー、ピーナッツ
- カノムキウイ:キウイフルーツ、ココナッツミルク、ホラパー

大変多い構成要素は、煮穴子、山形の古代米をココナッツミルクで炊いたもの、トマトチリビネガー、タマリンド、パイナップルソース、山わさび。
ソースの酸味が広がり、煮穴子の甘味が加わり、ピリ辛も高まる。ハーブはパクチーファラン、セルフィーユ。多層的な香りに魅了される!そして、甘味の使い方も上手い。タイで必須の味覚を上品に組み合わせた名刺代わりのプレートである。

合わせるワインはスロベニアのピノグリで、オレンジワイン。パイナップルなどのトロピカルなフレイバーに合わせているそうだ。酸味とほのかな甘味、ピリッとした収斂味、そして強い旨味が舌の奥に広がり余韻が長い。酸味が同調して辛味を緩衝する効果あり。相補的な方向性のペアリング。

鰤は高知県産で、紅まどかも高知県のもの。紅まどかでスパイシーさを加えているそうだ。他に、横須賀産の大根、マイクロセロリ、ナンプラーソースとおろし大根、薄切りのレモングラス。
鰤の甘味がたっぷりと広がり、数々の香りがふくらむ。柑橘の甘酸っぱさとナンプラーの塩味と香りが非常に良いマッチングだ。

ワインについては、ジョージアのツィナンダリ。魚の燻香に樽香を合わせているそう。青リンゴ、きゅうり、レーズンぽさがあり、香ばしい香り、スッキリした酸味とほろ苦さ、軽やかで香りが個性を規定するワイン。香ばしさが調味料的に加わり素晴らしいペアリング!香りのペアリングは感動が大きい。そして、苦味でキュッと味を締める。

このプレートとペアリングの完成度は白眉!香りの調和が素晴らしい。
全体を覆う白いココナッツミルクのスープの下にはカー、根セロリとショウガのピュレが仕込まれていて、上に掛けられている茶色いものはアメリケーヌソース、緑のオイルはバイマックルーオイルだ。
ココナッツミルクを極めて上品に用いていて、香りが良い一皿である!スープ部分と海老、そしてピュレのテクスチャーの一体感も考えられている。甘味と旨味を押し出す一品でありながら抑制が効いている。香りは前のプレートよりも落としつつ…良い設計と構成だ。

ワインはイタリア・エミリア=ロマーニャのアルバーニャ。ココナッツミルクベースのスープのトロピカルさに合わせている。香ばしさが麦チョコやポップコーン的で、いかにも海老に合いそうな感じ。苦味やコクが強く、酸味はまろやか。

シーズニングソースとニンニクの香りが広がり、辛味が追いかけて味を引き締める。旨味が強いが、酸味と青唐辛子の辛味がありバイマックルーが香るソースがスッキリ感を与える。

ワインはフランスのソーヴィニヨン・ブランのオレンジワイン。料理の旨味が強いのでマスキングの方向性とのこと。甘渋で旨いワインだ。ワインの温度帯も甘味を伝えるベストのところ。料理に甘味を添えてコクを同調させるペアリングでもあると感じた。辛味を緩衝する。

百合根の茶碗蒸しに、タイ風の餡を掛けている。海苔の香りが広がり、茶碗蒸しと餡の濃密なテクスチャーに百合根の甘味とホクホク感が堪らない。そして、餡にはカピの発酵感と海老の香り、さらにタマリンドと思われる酸味をハッキリと感じ、ほんのりとピリ辛なメリハリある味覚設計。

ワインの品種はバベアスカ・ネアグラという黒海周辺の品種で、ルーマニア語で「貴婦人」の意味だそう。香りにはトロピカル感があり、味わいはグレープフルーツ的。香りを添えつつ、同時にマスキングするペアリング。

魚はメジナで、レッドカレーにピーナッツ、プリンセスサリーは国産のバスマティライスで山形県産。まず、魚の鮮度が素晴らしい。皮が旨く、プリプリでゼラチン質が豊富。ココナッツミルクにピーナッツのコクを乗せている点が魅力!お米はジャスミンライスの香りで、パラリとしつつ甘味がある。具はとろとろの里芋と薄切りの田芋か?

ワインはイタリア・ピエモンテのバルベーラ、ヴィンテージは2018。レーズン、プルーン、ナツメグ、シナモン、クローブ。甘味が奥深く、旨味がどんどん広がる。香りとコクを合わせて苦味をアクセントにするペアリング。

ココナッツミルクのブラマンジェ、バイ・ホラパーはソルベにしている。ココナッツミルクの香りにキウイの酸味、ホラパーの香りと青い香りが加わり、爽快なデザート。

その後、食後酒をめざとく見つけてオーダー。

「thalee ling(タレーリン)」は、テーブルチェックでWEB予約が可能です。
店名:thalee ling(タレーリン)
予算の目安:季節のコース7品+ワインペアリング7品10,000円、季節のコース9皿+ワインペアリング9品14,500円
TEL:050-5447-0811
住所:東京都渋谷区元代々木町16-16
最寄駅:代々木上原駅から450m
営業時間:月・火・木・金17:30~23:00、土・日・祝日11:30~15:00、17:00~22:30
定休日:水曜、隔週火曜
ペアリングの奥深さを実感する、すしログ(@sushilog01)でした。
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