こんにちは、鮨ブロガーの、すしログ(@sushilog01)です。
今や静岡県は、全国から食好きたちを呼び寄せるグルメ県の一つである事は間違い無いでしょう。
予約困難店が多数生まれ、しかもそのグルメムーブメントの中心に位置する存在が焼津の「サスエ前田魚店」さんであるところが興味深いです。
全国的に漁獲量が激減する日本で、魚の魅力を伝え、美味しい魚を活かしてグルメ偏差値を上げ続ける魚屋さん。
そして、魚の魅力を引き出すため横の繋がりで切磋琢磨する料理人さん。
今後、日本全国、津々浦々に同じ現象が増えて欲しいと切実に思います。
今回ご紹介する「茶懐石 温石」さんは早々に人気を博した一軒です。
この度、ありがたきお誘いを頂き、念願の訪問が叶いました。
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「茶懐石 温石」さんは3代続く料理店で、先々代は蕎麦店だったそうです。
2代目の代で茶懐石料理店へと生まれ変わり、現在は3代目の杉山 乃互さんが継いでおられます。
お父上である2代目と同じく東京の目白にあった「茶懐石 和幸」で修業をされたそうです。
そして、冒頭で書いた「サスエ前田魚店」とのお付き合いは初代の頃から続くそうです。
現在の「サスエ前田魚店」店主の前田 尚毅さんと杉山さんは駿河湾の魚の研究を続け、現在の「茶懐石 温石」の御料理があります。
頂いた感想としては、押しなべて身体にしっくりと来る調理でまとめておられると感じました。
調理自体は王道と言えますが、食材の取り合わせの妙が面白く、多品種でありながら終始心を惹きつける素晴らしい和食です。
じんわりと身体と心に馴染む御料理ばかりで、味覚的にも盛り付け的にも洗練されています。
一言で述べると、ネガティブがゼロの御料理です。
さらに、「茶懐石」と言う渋く硬質な響きのジャンルでありながら、日本酒ペアリングをご提供されているところも魅力です。
お酒が好きで、静岡の日本酒を知りたい方には、ペアリングを強くオススメします。
こちらでしか頂けない銘柄もあります。
そして、日本酒の合間にワインを挟むストーリーテリングも素晴らしいと感じました(よくあるワインと日本酒を併用してお茶を濁す選択ではなく、日本酒の糖や御料理の味を切る観点でワインを使用されている為です)。
「茶懐石 温石」さんは【お任せ料理】のみで、価格は16,500円と都会に比べると格段にリーズナブルです(絶対額としてではなく、内容が非常に充実している為)。
そして、お酒はグラス880円で、一合が1,650円ほどの価格設定です。
お会計から、ペアリングの価格は13,000円ほどと予測されます。
- 先付:練りたての胡麻豆腐
- 鯵のキュウリ巻き
- 浜名湖産ドウマンガニと銀杏、モロヘイヤ
- 椀:小鯛、冬瓜
- 鰹、鰹の血合いのレバー仕立て
- 鰹の腹の身の塩タタキ
- 甘長唐辛子の衣揚げ
- 長芋素麺
- 焼津産エボダイ
- 白甘鯛
- 藤枝産の椎茸
- 風呂吹きいちじく、落花生味噌
- 新米コシヒカリのにえばな
- 太刀魚の蓮根包み揚げ
- お食事:栗ご飯とカマス、留め椀、香の物
- 水菓子:南水(梨)、ナガノパープル、シャインマスカット
- 水菓子:薄皮どら焼き
- お薄
ペアリングで頂いたお酒
- 志太泉 純米吟醸 中取り原酒(山田錦・55%・M310)
- 磯自慢 純米吟醸 大井川の恵み 薆瞬(誉富士・55%・静岡NEW5自社培養)
- 杉錦 特別純米酒 生酛(山田錦・60%・協会701)
- 初亀 純米吟醸はつかめ 秋あがり(山田錦・55%)
- 磯自慢 cha-kaiseki onjaku Junmai Daiginjo(秋津産山田錦・42%、磯自慢HD1酵母)
- CHASSAGNE MONTRACHET
- 開運 玄兎 純米吟醸(山田錦・・静岡酵母NO-2)
- 小布施ワイナリー Sogga Père et Fils Ordinaire Sauvignon Blanc 2022
- 山形正宗 純米吟醸 秋あがり(出羽燦々・60%)
- 森本酒造 H.森本 必殺 山廃仕込み(65%・協会1401)
- 開運 純米 ひやおろし(山田錦・55%)
焼き茄子を添えた練りたての胡麻豆腐!
低温ではなくぬるい温度で穏やかに甘味を感じさせ、胡麻の香ばしさは立てない仕立てだ。
翻って茄子の香ばしさを伝える。
餡も美味。
これは意外性がある先付からのスタート。
合わせる日本酒はカプロン酸エチル高生産酵母を使用したお酒で、甘味が強く、リンゴ様の香りとミネラル香が強いタイプ。
時期的に、桜海老をエサにしている鯵。
脂よりも旨味が強い印象を与える鯵で、喉で旨味を感じる程だ。
キュウリの香りと食感が軽やか。
良き鯵へのアプローチ。
日本酒はメロン系の吟醸香(酢酸イソアミル系)とともにヨーグルトやラムネを感じさせ、しっかりと苦味・旨味があり、甘味も支えている。
初物(9月下旬)の銀杏、生姜、下にモロヘイヤ。
部分的に半生の火入れに妙がある。
銀杏のホロ苦が実に合う。
(恐らくモロヘイヤの)出汁には浜松と焼津の本枯れ節をブレンドしているそうだ。
合わせる日本酒は燗酒で、しかも熱熱燗!
旨い、合う。
冬瓜には芥子。
冬瓜に入れている極細の包丁が良い仕事。
吸い地は鰹節を活かしながら真昆布が支えていて、塩気は穏やかで旨い。
個人的に好みの方向性の吸い地だ。
軽く脱水した小鯛が旨い。
初亀 純米吟醸はつかめ 秋あがり
「さっき締めたばかり」の鰹だそうで、これにはビックリ。
みしっとした後に筋を感じつつも、口に張り付く艶めかしい食感と口当たり。
酸が立ち、旨味が広がる。
部位によってはぷっつりと切れる。
何よりも、肝が衝撃的に美味しかった。
臭みが一切無く、それでいて鰹らしい香をり楽しませる。
ぷりりとした食感も記憶に残る。
お店オリジナルの銘柄、磯自慢 cha-kaiseki onjaku Junmai Daiginjo
脂が乗った腹の身は安定感がある味わいで、皆が喜ぶ方向性だ。
良いストーリーテリング。
サクサクした食感に煎餅的な香ばしさがあり、甘長の香りと一体化する事で野菜とは思えない程に食欲をそそる。
ジューシィに揚げて軽やかな揚げ物だが、料理としての存在感は強い。
CHASSAGNE MONTRACHETと合わせるのが素敵。
鶉の卵、削り立ての鰹節とともに。
酸を利かせた料理を日本酒の甘味と苦味で切るペアリング。
柚子胡椒。
むっちり、ぷるぷるした素晴らしい火入れ!
エボダイには旨味があり、脂も楽しめる。
小布施ワイナリー Sogga Père et Fils Ordinaire Sauvignon Blanc 2022
手前が実山椒醤油、否応無しに旨い食材!
山形正宗 純米吟醸 秋あがり
凝縮感があり、旨味が強く、香りも心地良い。
いちじくを風呂吹きにして落花生味噌と合わせるとは、意外性がある取り合わせで、しかもバランスが絶妙。
落花生の香りが抜群で印象深い。
フルーツとは思わせないのがコースの構成力の賜物だなあとしみじみ実感する。
森本酒造 H.森本 必殺 山廃仕込み
お米のピュアな香りと味わい。
粘度は新米コシヒカリとしてはすっきりしている。
肉厚な太刀魚を用い、蓮根の香ばしさ、鰹出汁の力強さでまとめる。
面白い意匠の器。
最後はスッキリと、しかし旨味も乗った酒でフィニッシュ。
「料亭」と言うよりも「和食屋さん」と言いたくなるような、ほっこりするお食事。
栗は焼いてから炊きこんでいるのだろうか?香りと食感が良い。
留め椀の味噌汁は鰹節のスモーキーフレイバーがたっぷりと感じられる。
カリッカリのお焦げは香ばしく、にえばな、ご飯からのお米の表情変化を魅力的に演出している。
さらに鰹のミニ丼を頂いた。
誰もが好きな秋のフルーツ、品種たち。
もっちりした皮が特徴的な自家製菓子。
お薄を頂き、終了。
「茶懐石 温石」さんは焼津駅から2kmほど離れた場所にあります。
「えっ、ここにあるの??」と言う、住宅街にあります。
外観も住宅のようですが、中に入ると趣深い空間で意表を突かれます。
飛び石がある露地を歩くと、「茶懐石」への期待が高まります。
「茶懐石 温石」さんは、テーブルチェック経由でWEB予約が可能です。
予約に際しての注意事項がございますので、公式サイトの予約情報を確認するのがベターです。
店名:茶懐石 温石(ちゃかいせき おんじゃく)
予算の目安:【お任せ料理】16,500円+お酒
TEL:054-626-2587
住所:静岡県焼津市本町6-14-12
最寄駅:焼津駅から1.9km
営業時間:昼12:00開始 夜18:30開始
定休日:不定休
静岡市内で駿河湾の恵みを楽しませてくれる「日本料理FUJI」さん
魚好きならテンションMAX!静岡市で駿河湾を満喫する「日本料理FUJI(フジ)」
同じ駿河湾の魚でも人によって全く表情が変わる事に感銘を覚える、すしログ(@sushilog01)でした。
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