すしログ日本料理編 No. 151 白(つくも)@奈良市(奈良県)

こちらはJR奈良駅から非常に近い場所にある日本料理のお店です。

2015年12月にオープンされた若いお店ですが、既にミシュランの2ツ星を獲得。

地元の人にも「特別なお店」として認識されているようです。

ご主人は嵐山吉兆で修業された後、ニューヨークやロンドンなど海外で研鑽を積まれた方。

ご出身は東京ですが、奈良県出身の女将さんと共に奈良でお店を開かれたそうです。

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店名は「白」と書いて「つくも」。

命名の理由について、お店のブログから引用させて頂くと、

「この店名には様々な想いが込められ、そして結び付いて生まれたものです。我々の国には、九十九年目の生誕の日を祝う習わしに「白寿」があります。百から一を、取り除いた字が「白」そして引いた数が九十九(つくも)です。限りなく完璧に近いが僅かに足らず。しかし九十九と百の間には永遠が存在します」

との事。

実は、訪問前は、ご主人の経歴と「牛肉を使用される懐石」と言う事前情報から、モダンな要素を採り入れた「創作日本料理」だと思って訪問しました。

端的に言うと、ガッカリする要素も想定の上で訪問した次第です。

しかし、結果的に創作的な要素を盛り込みながらも、「奈良らしさ」を表現するために伝統を昇華させる創作であると感じました。

そもそも、奈良の「伝統的な日本料理」は料理史的には途絶えている状況ですし、奈良時代の料理は現代人の嗜好からすると合わないものが多く含まれます(特に調味上)。

そして、勿論、「日本全国、京料理」である必要性は皆無です。

ならば、創作があり奈良らしさを採り入れて新たな試みをされるのは良いではないかと感じます。

何処でも「正統的な日本料理的なるもの」を求めるのは、若い考えなのではないだろうか?と思いながら、胃と胸に満足感を抱いてお店を後にした次第です。

この度頂いたのは夜の12,000円のコースです。

お客さんの訪問時間は3回に分かれ、提供タイミングはバラバラながらに、ご主人の所作が穏やかなのが印象的でした。

また、お弟子さんへの対応も然り。

柔和な印象を覚えるお店でした。

この度頂いたお酒

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今西酒造・三諸杉菩提もと純米、篠峯・超辛口純米。

【三諸杉菩提もと純米】は室町時代の復元酒。

「菩提もと造り」は清酒発祥の地・正暦寺で考案された酒造法。

奈良で酒造りが生まれたからこそ、現在の酒があるとされています。

お味は甘みが強くて、結構ビックリしました。

ワインに親しんでいるヨーロッパのお客さんは戸惑う事でしょう(笑)

前半に頼むよりも後半の方が良い気がしました。

そして、千代酒造さんのお酒(篠峯)はやっぱり美味しいですね。

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先付

キノコは舞茸、椎茸、ハタケシメジの炭火焼きに、松茸の天麩羅。

そして、ブラウンマッシュルームは生をスライスで使用。

餡にはナメコとエノキが使用されており、とろみは葛。

贅沢にキノコ複数種を使用しており、調理法を変えているため、先付として頬がほころぶ一品。

野菜も銀杏に加えて、ナタマメが入っており嬉しい(ナタマメは福神漬に入っている面白い断面のアレです)。

キノコの力強い香りに加えて玄米パフの甘み、山葵と酢橘の辛味と酸味が混ざり、独創的な料理。

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早速牛肉が登場!しかも椀で!笑

牛肉の銘柄は大和牛(黒毛和種)で、部位はミスジ。

低温調理を行い、湯豆腐仕立てに仕上げている。

更に粒マスタードも使用。

出汁は力強い鰹出汁主体で塩気も少し強めに付けている。

豆腐は大豆の風味が深い。

ミスジは脂強すぎず、食感良好。

このあたりは低温調理が奏功していると感じる。

古典料理が好きな自分だが、嫌味なく頂けた創作椀料理。

唯一、提供温度がかなり高く、もう少し下げても良いと感じた。

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お造り

知床産の最上級鮭「羅皇(らおう)」を風干しにしたもので、これは1300年前に平城京で食されていた

【楚割(すわやり)】からインスパイアされた料理。

【楚割(すわやり)】は完全なる乾物であり削って食す事からその名となった。

奈良の古代料理をお造りで再構築されるのは面白い試み。

ソースはビーツに一味唐辛子と芥子の実を混ぜたものかと思われる。

黄色い方はパプリカ。

鮭の上には鬼おろし、イクラ、レモン数滴が掛けられている。

鮭の凝縮された香りと風味が魅力で、端的に、美味しい。

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焼きもの

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秋刀魚の瞬間燻製と焼き茄子。

燻製のチップは何と吉野の桜の倒木(笑)

生きた樹は当然採れないので、倒木を入手されているそう。

極めて大衆的な秋刀魚を用いながらにオリジナリティがあって良い料理。

秋刀魚の火入れが強い点はネックで、もう少しジューシィに仕上げた方が良い。

(焼きはお弟子さんの手によるものであった)

尚、何故瞬間燻製の料理を出されるか聞いたところ、実は多用しているわけではなく、秋刀魚の調理法として浮かんだそうで、しかも2年前のオープン前に手製された木箱の活用法として思いつかれたそう。

何もミーハーにスモークしているわけではなく、手製の箱ありきの料理と言う点が面白い。

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口直し的なサラダ素麺

素麺は奈良なので勿論、三輪素麺。

薬味は多く、穂紫蘇、ミョウガ、カボスの皮と果汁、生姜、アオサ海苔。

カンパチと北寄貝、黄色と緑色のトマト、四角豆

意表を突くほどに貝の出汁が利いており、多様な薬味も飽きさせぬ仕掛け。

一体感が高く、爽やかな創作料理。

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羅城門蓮根の蓮根餅

301年ぶりに再建された興福寺・中金堂にちなみ、「興」と「福」が書かれた箱を選び、中の調味料を掛けると言う趣向。

僕は「興」を選んだ。

すると、中から登場したのは1年熟成された自家製唐墨。

蓮根餅自体の完成度が高く、ストレートに美味い!

ねっちりと濃厚な味わいで、中にはカボチャの生麩が入っていた。

ちなみに、「福」に入っていたのはトリュフ。

高いのは「福」だろうが、個人的に「興」で正解だった(笑)

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大和肉鶏の水炊き

鶏肉の出汁だけでなく、節の出汁も用いている。

故に厳密には水炊きではないものの、地元の鶏を頂けるのは嬉しい。

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お食事

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松茸ご飯

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香りだけでなく旨味もあり、中々のクオリティだと感じたため、産地を伺ったところ北海道・日高産との事。

味付けは塩気と出汁が抑制されており、松茸を活かす。

塩気…特に醤油が強い松茸ご飯ほど無粋なものは無い。

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香の物、味噌汁も美味しいが、奈良漬はクオリティを上げても良いかと。

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水菓子

【栗名月】と銘打つ、三笠山をイメージされた和菓子。

自家製の和菓子である上に意匠も素敵で大変嬉しいが、生地がもっとしっとりならば更に良い。

創作性に加えて「奈良らしさ」もあるので、奈良で上質な料理を頂きたいと言う旅行者ならば満足出来る一軒です!

お昼よりも夜が圧倒的に良いかと思います。

店名:白(つくも)

予算の目安:一汁三菜ランチ5,400円、懐石料理12,960円

最寄駅:JR奈良駅から350m

TEL:0742-22-9707

住所:奈良県奈良市三条町606-2

営業時間:火17:30~20:00(L.O)、水~日12:00~13:00(L.O)、17:30~20:00(L.O)/span>

定休日:月曜、月末最終日、火曜ランチ、毎月1日ランチ

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