
こんにちは、鮨ブロガーの、すしログ(@sushilog01)です。
さて、「炭割烹 新谷」さんは焼鳥好きであれば、和歌山で外せない優良店です。
和歌山駅の西側なので和歌山城周辺の中心地からは離れていますが、足を運んで正解でした。


熊野地鶏の魅力を十二分に伝えてくれる優良店です。
ご主人はソムリエとSAKE DIPLOMAをお持ちなので、ペアリングも可能!

和歌山の「炭割烹 新谷」さんは「熊野地鶏」を駆使する焼鳥店です。
店名から串だけでなく料理にも注力されている印象を受けますが、実際には串中心の料理構成で、個人的には琴線に触れました。
「「YAKITORI燃es」さんや「酉囃子」さんのように串と料理を高度にハイブリッドすることに成功しているお店もありますが、それはレアケース。
基本的には焼鳥店では串をいただきたいもの。
鮨店で酒肴よりも握りをいただきたいのに等しいです。
その意味において、「炭割烹 新谷」さんは求めるものにバッチリ応えてくれます。

串が中心のコース設計で、しかもポーションが大きいところが魅力です。
ご主人の新谷さんは焼鳥職人としての修行経験はなく、名店の食べ歩きによって腕を磨かれたそうです。
「熊野地鶏」の魅力を引き出す切りつけ、串打ち、火入れを行っておられますが、さらにソムリエとSAKE DIPLOMAの資格をお持ち。
ずいぶんと研究熱心な努力家だと推察します。

使用する「熊野地鶏」はその名の通り軍鶏の血を引くの、強い食感とコクが持ち味。
「熊野地鶏」の生育環境は1㎡あたり8羽以下と贅沢で、出荷日齢は平均115日。
新谷大将は驚くほどしっとり、ジューシィに焼き上げます。
なお、和歌山にあって「熊野地鶏」と聞くと和歌山県の地鶏のように思うかもしれませんが、熊野地鶏は三重県熊野市の地鶏です。
隣県の地鶏ですが、非常に美味しい地鶏で、お店の魅力を毀損することもないので、念のため記載しておきます。
世界遺産・熊野古道も3県にまたがりますしね。
コースは【熊野地鶏と旬のお野菜のコース】15品12,000円の一本です。
焼鳥店としては和歌山にあって高級な価格帯です。
なお、2022年には6,300円だったものの原材料の高騰によって現在の価格になっているそうなので、コロナ後の世の中の変化を痛感します。
僕は以下のとおりお酒をペアリングしていただき、27,000円でした。
これはシャトー・マルゴーまでグラスでいただいた価格なので、気になる方は相談されると良いと思います。
訪問時にいただいたおまかせコースとペアリングの内容です。
乾杯には地元の「平和クラフト IPA」をいただき、心地よい柑橘系のホップ香と苦味で喉を潤しました。

使用する食材のプレゼンテーションは期待が高まります。


先付から地鶏を取り入れている構成に感心。マッシュルームを合わせ、トウモロコシの甘味全開に振らない抑制の利いた調味が光る。鶏の旨味が濃厚なため黒胡椒の清涼感が自然に馴染み、甘味とスパイシーさが分離せず一体となる。

名刺代わりの一串目。炭火の香ばしい薫香をまとい、噛みしめると驚くほどしっとりジューシィ。むっちりとした赤身の間に忍ばせたニラの風味が絶妙なアクセントとなり、後半に弾ける皮の甘美な脂へと繋がる。塩気の当て加減も端正だ。
ここからペアリングをスタート。

白ワインはボルドー・ペサック・レオニャンの「L’Abeille de Fieuzal 2021」。乳製品を思わせるクリーミーな厚み、ハーバルな青々しさ、豊かな酸味と香ばしさを併せ持つ。

提供前から香ばしいネギの香りが立ち上り、食欲を刺激する。先ほどのもも肉が下側だったのに対し、こちらは膝から上の部位を使用。皮目はサックリと香ばしく、肉質は軽やかでむっちりとしつつ、歯切れはしっとり。ネギは外側がシャッキリ、中心部がトロリととろけて甘味が際立つ。もも肉を部位違いで2連発する構成は、焼きの技量を示すメルクマールとして実に魅力的だ。ワインのミネラルと酸が脂を心地よく洗い流してくれる。

胸肉は凝縮した旨味と清々しい酸味が魅力で、これまた驚くほどしっとりとほどける。和歌山県産の龍神椎茸は、小さく切り分けても炭火でじっくり焼き込まれており、凝縮した香りと旨味が溢れ出る。ペサック・レオニャンの酸味と胸肉の酸味が美しく同調する。

夏野菜の瑞々しい香りと鶏の旨味をパリッとした皮の中に閉じ込めた一品。

口直しの大根おろし。大根自体の甘味が強く、花穂紫蘇の香りと上品な出汁の調味。花穂紫蘇を映えのためだけに使っていないのが良い。

当日昼に届いたばかりという新鮮なアスパラガス。炭火焼きならではの香ばしさをまとい、甘味と水分が豊かに弾ける。根元に向かうにつれて現れるほのかな苦味が心地良い。

ここで日本酒「春鹿 七夕純米吟醸」が登場。カプロン酸エチル系の華やかな香りと甘味・苦味を生成する酵母(協会1801系)のお酒で、冷やして錫の酒器で供される。ただ、食中酒としては香りと甘味が立ちすぎており、料理と合わせるとやや主張が強い印象を受けた。日本酒ペアリングにおける酒質選定の難しさと奥深さを考えるきっかけとなる。

ももの付け根の希少部位。銀座「バードランド」の和田さんが使い始めて一躍認知が高まった有名部位である。皮はパリッと香ばしく、噛みしめるとむっちりとした強い弾力と濃厚な脂のパンチが押し寄せる。力強い部位ながら、中心部はあくまでもしっとり感を保っている。

鎖骨周りの部位。しっとりとした繊細な肉質と、骨まわり特有の濃厚な脂の旨味のコントラストが面白く、複雑なテクスチャーを楽しめる。

力強い赤身の旨味としっとりした舌触り。独特の鉄分や血の風味が穏やかに漂い、「あか」ならではの野性味を感じさせる。
こちらについては、ギリギリの範囲で「春鹿 七夕純米吟醸」が合う。

パリッとした歯ごたえとともに、濃密な甘味と青い香りが広がる。燻香が焼鳥屋さんならでは。
こちらについては「春鹿 七夕純米吟醸」がミスマッチで、合わせる野菜に甘味があるとカプエチ系のお酒とバッティングすることを学んだ。

皮のパリッとした食感とせせりのプリッとした弾力がダブルで押し寄せ、脂のパンチが力強い。皮に非常に近い味わいながらせせりもしっとりホロホロしていて、熊野地鶏に対する面白い発見だった。

赤ワインはブルゴーニュの「Patrick Javillier Savigny-les-Beaune Les Grands Liards 2021」。ピノ・ノワールらしい澄んだ赤い果実味と上品な酸、軽やかなタンニンが脂を上品にまとめてくれる。

地物のズッキーニ。瑞々しい水分をたたえ、焦げた醤油の香ばしさが効果的なスパイスとなる。

熱々の果肉がトロリと口内でとろけ、溢れ出るエキスと甘味に魅了される。

続いて「黒龍 大吟醸」。ピノ・ノワールの後に飲むと、黒龍の上品な甘味がふわりと広がりつつ、重たさを残さず綺麗に接続される。赤ワインから黒龍へのスイッチは実に心地良い流れだ。

鶏ガラと野菜を20時間煮込んだスープ。これは旨い!とにかく、鶏の純粋な旨味で食べさせる潔い調理が粋だ。塩気は結構強めだが、香りと出汁の厚みで一気に飲ませる魅力がある。

表面は香ばしく、身はしっとりホロホロ。終盤に重たさを感じさせず、すっきりとした酸味と心地よい苦味を忍ばせた手羽先とは、実に意表を突く構成だ。

ザクザクとした力強い繊維質の歯ごたえの後に、豊かな甘味と香りが立ち上がる。

こちらの蓮根には定番のペアリングがあり、鳳凰美田を合わせる。カプロン酸エチル系の香りの甘やかなお酒なので、これは蓮根の甘味との相性が良い。

しっとりジューシィに練り上げられたつくねに、玉ねぎの穏やかな甘味が優しく調和。

そして赤ワインに「Margaux du Château Margaux 2019」が登場!抜栓したばかりだとのことで僥倖である。凝縮した果実味、熟成したタンニン、スパイスの芳香がグラスを満たす。これは「誰が飲んでも美味しい赤ワイン」だと実感。
つくねに対しては、濃厚なマルゴーのボルドー赤ワインが、まるで上質なソースのように肉とタレの旨味を包み込み、奥深さを加える。ハッキリ言って、焼肉のタレ的なペアリングだ!

日本酒、「作」もご提案いただく。こちらと合わせると、お酒の甘味で抱擁しつつキレのある苦味で後口を引き締めてくれる。ワインとは異なる後味を楽しめる面白さ。

出汁をたっぷり含んだなめらかな茶碗蒸し。鰹と昆布、鶏の出汁に椎茸の旨味が重なり、具材に忍ばせた鶏肉が嬉しい。


バターとガーリックの「チート」的な香りを効かせた炊き込みご飯。熊野地鶏の旨味と夏野菜の彩りが美しく、絞ったフレッシュライムの爽快な酸味が油分を引き締める。


生地を用いずマスカルポーネの濃厚なコクとビターなカカオで仕上げた大人のティラミス。最後まで満足度の高いコースである。
「炭割烹 新谷」さんの予約は、様々なプラットフォームからWEB予約が可能です。
記事公開時点で、一休、TableCheck、食べログで受け付けておられます。
店名:炭割烹 新谷(すみかっぽう しんたに)
予算の目安:おまかせコース+お酒 約15,000円〜30,000円 ※いただくお酒の内容次第
最寄駅:南海本線 和歌山市駅から徒歩約10分、JR和歌山駅からタクシーで約5分
TEL:073-499-8805 [要確認: 電話番号]
住所:和歌山県和歌山市太田1-6-13
営業時間:18:00〜23:00
定休日:水曜
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