広島食材の魅力を伝える気鋭の料理人!広島県庄原市「一柿(いちがき)」

一柿暖簾

こんにちは、鮨ブロガーの、すしログ(@sushilog01)です。

広島県の最北部にある庄原市で、面白いお店が誕生しました!

お店の名前は「一柿(いちがき)」。

ご主人は滋賀の名店「徳山鮓」で修行された三河 功治さんで、僕は東京都内に勤務されていた際に特別コースを頂き、非凡なセンスを実感しました。

八寸 すしログ日本料理編 No. 162 三河功治さんの料理

そして、この度お店にお伺いしたところ期待以上!

他に出回らない食材を用い、すでにこちらだけの世界観を創られています

鹿肉のロースト(ロース、ザブトン)01
すしログ
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確実に、将来的にどんどん美味しくなっていき、料理マスターズやゴ・エ・ミヨなどのアワードを受賞されると思います。

ちなみに、現在は不定営業をされていますが、貴重な営業情報を聞き出しました!

最後のお店情報に記載しますので、気になる方はぜひお早めにご予約ください。

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広島県庄原市「一柿(いちがき)」の魅力とは?

一柿外観01

一柿」のオーナーシェフである三河 功治さんは広島県外での武者修行の後、広島に戻って準備を行いました。

そして、古民家を改修して「一柿」を開くばかりでなく、幾つかの事業に精力的に関わっておられます。

ジビエの加工施設の運営、「せとうち古民家ステイズHiroshima」での出張料理人、備北丘陵公園グランピング事業の料理監修です。

三河さん近影

中でもジビエの加工施設はお店の食材に直結するので重要です。

2018年に設立された庄原市の加工施設は、農林水産省お墨付きの「国産ジビエ認証制度」に認定されました。

「国産ジビエ認証制度」は今話題の「HACCP(ハサップ)」に対応していて、全国で38軒広島県内に2軒しかありません(もう1軒は東広島市の「東広島ジビエセンター」)。


そこで、三河さんは自ら狩猟し、手当したジビエを巧みに用いられています。

今回頂いたところ、そのクオリティは非常に上質

僕は全国でジビエを食べ歩いていますが、かなり美味しい鹿と猪でした。

鹿肉のロースト(ロース、ザブトン)02

そして、自ら獲ったジビエに加えて、広島県北の豊富な山の恵みをご自身のお料理に落とし込まれています。

広島出身の自分としても「こんな食材があったのか!」と驚かされました。

なので、必然的に三河さんのパッションの源泉が気になりました。

お聞きしたところ、それは社会的意義。

なんと庄原の食材は100%鳥獣被害を食らっているそうです。

野菜も淡水魚も全て被害を受けているので、生産者を守るために狩猟は必須の状況との事です。

地域社会に貢献しつつ、上質なジビエを確保し、お店で素晴らしいお料理へと昇華されているとは素晴らしい試みです。


忖度なく自身の舌で断言しますが、三河さんのジビエはクオリティが高いです。

なので、料理人の方は是非とも照会して使ってみてください

▶連絡先:インスタグラムのアカウント

定番の部位だけでなく、レアな部位も手配できるようです。

ジビエのレアな部位で頭に浮かぶのは、広島市内の「中土」さんや長野茅野の「無名」さん。

これらのお店では鹿のタンを巧みに使用されていて、格別の美味しさです。

よって、赤身やバラなど以外のジビエの部位は今後ポテンシャルが大きいと確信しています。

淡水魚の棒寿司3種(ヤマメ、ゴギ、鮎)01

御料理については、全体を通して、食材の活かし方食材の取り合わせ方発酵食品の扱い方などの観点において、流石「徳山鮓」ご出身だな…と実感しました。

使用する調味料にまで必然性があり、細やかな配慮は料理愛とセンスの賜物。

さらに、塩気の塩梅もこの地にあって攻めておられ、極めて上品。

山間部のお店で、塩味のみならず甘味や油脂も抑えていくスタイルは素晴らしい!と感じました。

「徳山鮓」に掲げられている「妙味必淡」を実践されています。

妙味必淡

最後に、店名の「一柿」は、三河産の母方のお祖父さんのお名前との事です。

三河さんは大のおじいちゃん子だったようで、節々に尊敬の念を感じます。

料理人を志したきっかけもお祖父さんだったそうです。

「一柿」のおまかせコースの詳細

「一柿」のおまかせコースについては、現状価格が定まっていないので、ご相談ください。

税込み16,500円くらいをイメージされると良いかと思います。


この度頂いたコースの内容

  • 柿の御料理
  • 鼈のスープ
  • ワニ(サメ)の刺身
  • 淡水魚の棒寿司3種(ヤマメ、ゴギ、鮎)
  • 鹿肉のロースト(ロース、ザブトン)
  • 鮎の塩焼き
  • 鮎魚醤を使った猪のサラミとテリーヌ
  • 猪の肉じゃが(トモサンカク)
  • 猪の鍋(バラ、ロース)
  • 焼おにぎり、鍋ツユの餡仕立て
  • 猪の鍋の雑炊、香の物
  • 水菓子:アイス、ウワミズザクラの新芽、桃

お酒のメニュー

お酒のメニュー

お酒については、是非とも相談して頼んでみてください。

日本酒のチョイスは非常にセンスが良く、ご提案はバッチリでした!

広島県北の地酒を中心に選びつつ、味覚的に合うご提案です。

日本酒は順に紹介していきますが、最初に頂いたのはこちらのビール。

ビール

柿の御料理

柿の御料理01

店名にちなんだ柿の容器で登場。

柿の御料理02

中身は、庄原産西条柿のドライフルーツ仕立て、「乳ぃーずの物語。」のカチョカヴァロ、アマランサス、猪型のキュウリの下に猪ペースト。物語性がある先付だ。

柿の御料理03

ペーストは猪レバーの癖は無く、レバーを風味として楽しませてくれて美味。柿との相性も良く、甘味とコクで食欲を刺激してくれる。

鼈のスープ

鼈のスープ

高野の「高原鼈」を使用。エンペラと鼈の水餃子。スープにはゼラチン質がたっぷり滲んていて、極めて上品な塩気が個人的にヒット。焼き茄子の香りも良い組み合わせだ。

水餃子をかじると表情ががらりと変わり、洋風になる。面白い!これはハーブソルトを使用している為だ。

ワニ(サメ)の刺身

ワニ(サメ)の刺身01

ワニ(サメ)は山間部、庄原の郷土食だ。

ワニ(サメ)の刺身02

付け合わせの調味料は西城の木山本店の醤油、山椒レモン。ワニは臭みが無く、ふんわりと香りがあり、強い酸味を持つ。なので、用意されている調味料との相性が抜群!コリアンダーのマイクロリーフも素敵な取り合わせ。

日本酒01

さらに、ご提案頂いた日本酒、三輪酒造「神雷 生酛」とのペアリングもバッチリ!

淡水魚の棒寿司3種(ヤマメ、ゴギ、鮎)

淡水魚の棒寿司3種(ヤマメ、ゴギ、鮎)01

使用する淡水魚が素晴らしく、西城川のヤマメ、ゴギ、鮎。酢飯には、東城の後藤酢の赤酢を使用。これはなかなか頂けない喜び!酢飯も甘味や酸味がとがっておらず、お米の粘度も低めで上品だ。実に嬉しい!

魚介の骨スープ

さらに、これらの魚介で出汁を引いた骨スープも合わせるとは素敵なプレゼンテーション。

鹿肉のロースト(ロース、ザブトン)

鹿肉のロースト(ロース、ザブトン)01

口和町で三河さんが自ら撃ったもの。部位はロース、手前がザブトン。三原の梶谷農園の野菜とカチョカヴァロ。付け合わせのピュレ状のソースはズッキーニ、茄子、唐辛子とトマトと白菜の古漬けソースと猪の粗挽きを合わせたペースト。

鹿肉のロースト(ロース、ザブトン)02

ザブトンは柔らかくて旨い!甘味すら楽しめるほどの美味しさで、鹿のイメージが変わる人も多いだろう。ロースはしっとりしていて味が濃く、香りも強めだ。コントラストが面白い。

使用している塩は島根県大田市の藻塩「たましお」を使用していて、この選択には理由がある(是非とも聞いて欲しい)。

ピュレ状のソースも素晴らしい。トマトのコクが活きていて、古漬けの乳酸発酵の癖は皆無。バランスが良い。

日本酒02

生酛熟成の組み合わせもバッチリだ。

鮎の塩焼き

鮎の塩焼き01

鮎は西城川の天然物。

鮎の塩焼き02

そして、付け合わせはキュウリ2種でサプライズを与えつつ、去年の落ち鮎で作った鮎のうるか。

鮎の塩焼き03

合わせる日本酒。

日本酒03

鮎魚醤を使った猪のサラミとテリーヌ

鮎魚醤を使った猪のサラミとテリーヌ01

手前のテリーヌに合わせているのは、黒ニンニク、実山椒。

鮎魚醤を使った猪のサラミとテリーヌ02

これは旨い。しっとりジューシィで軽やかな味わいのシャルキュトリーだ。そして、周りの野菜もバッチリ旨い。

日本酒04

猪の肉じゃが(トモサンカク)

猪の肉じゃが(トモサンカク)

猪の部位はトモサンカク、じゃがいもはさんじゅう丸、間引き人参、涙豆(サンセバスチャンでしか栽培されていないと言われてきたエンドウの若芽)。猪はホロホロに煮ていても香りとゼラチン質、コクが強い。人参は間引きでも味が濃い。使用する食材、見た目、味の全てが印象深い一品。

日本酒05

猪の鍋(バラ、ロース)

猪の鍋(バラ、ロース)01

猪の部位はバラとロース。

猪の鍋(バラ、ロース)02

赤身の部分がサシ状になっている点が凄い。人為的にサシを入れる畜産牛とは異なり、ジビエ肉でこの状態は驚いた。

猪の鍋(バラ、ロース)03

吸い地は猪骨に昆布を合わせている。パンチある味わいで、旨味とコク、まろやかな甘味がたっぷりと滲んでいる。

猪の鍋(バラ、ロース)04

合わせているのは葱、木ノ芽、破竹。ため息が出るほど美味しかった。

焼おにぎり、鍋ツユの餡仕立て

焼おにぎり

チート級の組み合わせで、めっちゃ旨い…。浅葱に加えて実山椒も使用しているのが心ニクい。

日本酒06

猪の鍋の雑炊、香の物

猪の鍋の雑炊

「徳山鮓」は雑炊が格別だが、修行先の喜びを伝えてくれる雑炊だ。上質な鍋の後の雑炊は完全に別腹である。

香の物

香の物も抜かり無く自家製。

水菓子:アイス、ウワミズザクラの新芽、桃

水菓子

「モーモーあいすらんど」のアイスクリームで、キャラメル味。そこに、オリジナリティを加えるべく、ウワミズザクラの新芽の塩漬けと旬の熟れた桃のシロップ漬けを合わせている。ウワミズザクラは杏仁に似た香りを持ち、素晴らしい。本当は森枝幹シェフのようにフェモラータオオモモブトハムシを使いたいところだが、立地的にウワミズザクラを選択されたそうだ。うん、正しいと思う(笑)

「一柿」の立地と雰囲気

一柿外観02

お店は築100年以上経つお祖父さんの古民家を改修されています。

比婆牛

近くでは広島県が誇る畜産牛である「比婆牛」が育てられていたり、ホタルがやって来る公園があったりと、自然豊かです。

一柿裏手

お店にはバリアフリー対応などの改修を行い、ご友人の現代アーティストの作品が飾られています。

一柿内観01
一柿内観03

BGMはマイルス・デイヴィス。

一柿内観02

古民家の夏、アブラゼミの声とマイルスの二重奏は最高の時間でした。

「一柿」のお店情報と予約方法

「一柿」さんの予約については、公式サイトの予約フォームが稼働する見込みです。

現状、予約を取る場合はインスタのアカウントが良いと思います。


2024年9月の営業日については、以下の日にちとのことです。

  • 7日(土)、8日(日)、10日(火)、11日(水)、12日(木)、15日(日)、16日(月)、21日(土)、22日(日)、23日(月祝)


一柿(公式サイトのリンク)

店名:一柿(いちがき)

予算の目安:コース16,500円ほど ※現在、お支払いは現金のみとのこと

TEL:090-4106-1986

住所:広島県庄原市口和町永田181

最寄駅:なし

営業時間:12:00〜 22:00 ※要相談

定休日:不定休

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