1貫88円から提供する低価格な寿司酒場!「すし宗達」が手掛ける奥渋谷の「すし光琳」

こんにちは、鮨ブロガーの、すしログ(f:id:edomae-sushi:20201002142555p:plain@sushilog01)です。

ネットの海をさまよっていたところ、異常にリーズナブルなお店を見つけました。

 

お店の名前は、すし光琳。

2021年4月にオープンしたばかりで、場所は奥渋谷。

『ミシュランガイド東京 2021』でビブグルマンを取った「すし宗達」のプロデュースとのことです。

なんと1貫88円から出しているそうで、お好みで頼めるところが魅力。

すし光琳小鰭

ページを閉じて早々にWEB予約フォームを開いたところ、当面一杯で、某日のみ1席空席がありました。
※現在、予約フォームは閉じており、ホットペッパーに変わっています

現代の低価格帯のお店がどれほどの実力か?楽しみにして訪問しました。

「すし宗達」と「すし光琳」とは?

すし光琳看板

「すし宗達」は2016年にオープンした鮨店で、初台にあります。

夜でも握りのお決まりが12貫3,500円と聞き、また、訪問した知人が好評価だったので、少し気になっていました。

 

オーナーは鮨職人の新田真治氏。

街場寿司のお店で修業を積みつつ、和食店でも修業されたそうです。

修行経験を活かし、進化系の街場寿司として早々に人気を獲得されました。

初台に2号店「寿司 おでん 芦舟ろしゅう」をオープンし、渋谷の「すし光琳」は3号店になります。

1貫88円!?「すし光琳」のメニューと価格設定について

「すし光琳」は烏賊のゲソと玉子を何と1貫88円で出されています。

これは回転寿司を下回る金額ですね。

これら2貫については利益を度外視されていて、お客さんに気軽に入ってもらうために価格設定しているそうです。

 

新田氏はあくまでも街場寿司としての展開を考えていて、「儲けよりも質の良いものを適正価格で提供する」と言う方針があるそうです。

実際に頂いてみて、その言葉は嘘ではなく、価格を考えると満足度が高いと感じました。

すしログ

リーズナブルな価格なのに、ブランド仲卸である「やま幸」の鮪を出しているところは凄い!

 

当日のタネは壁のボードに書かれていて、酒肴と握りの種類は豊富です。

すし光琳メニュー※価格表記は税抜き

ゲソと玉子以外のタネは「良い回転寿司」くらいの価格でしょうか?

僕は12貫頂き4,664円でしたので、平均すると1貫388円。

ここにお通し528円がかかります(お通しがあるとは正に寿司酒場)。

 

お決まりがあるところも街場寿司の精神を宿しています。

すし光琳おきまりメニュー

1貫あたり300円くらいが基準のようです。

 

現在は「禁酒法」が発動していますが、平常時にお酒を飲んで客単価6,000円~8,000円くらいかと思います。

一般的な居酒屋よりは高い客単価になるので、新田氏の戦略は奏功している模様です。

 

気になるお味としては、全く悪くありません。

街場寿司としては上々です。

低価格でもタネの仕入れは頑張っておられ、仕事系のタネも揃えています。

魚を効果的に寝かせたり脱水させたりして、単に生の魚を切って乗せる街場寿司とは別物になります。

 

鮨の生命線であるシャリも中々。

すし光琳鮪赤身

お酢はヨコ井の「長期熟成したお酢」を使用との談でしたので、恐らく與兵衛かと思います。

そして、米酢を半分程度の割合でブレンドして、赤酢の角を取っています。

 

一見すると赤酢が強そうなシャリですが、実際には割と穏やかです。

酸味が利いていて、まろやかな味わい。

そして、当初は粘度がありねっちりかと思いきや、割とパラッとほどけます。

ただ、船底は付けられていないので、どことなく懐かしい感覚のシャリです。

街場寿司として狙っていたら凄いですね。

保温をお櫃+ラップでされている点も非常に街場寿司っぽい工夫です。

 

ただ、個人的に厳しい点があり、それは山葵です。

低品質な混ぜ山葵が使われているで、魚の風味を阻害します。

低価格の鮨だと難しい問題がありますが、本山葵が好きな人、鮨には本山葵と考える方は、必ず抜いてもらった方が良いです。

「すし光琳」の立地と雰囲気

お店は渋谷の中でもここのところグルメスポットとして人気を集める、奥渋谷オクシブにあります。

ご近所には実力派の「利﨑りざき」さんや個性派の「鮨 五徳」さんがあります。

 

お店の外観も内装も非常にカジュアルで、現代的な街場寿司の雰囲気です。

昔ながらの街場寿司のように渋いデザインにもできたのでしょうが、あえてライトな(ちょっとチェーン店っぽい)デザインにしたのは、「入りやすさ」を優先したためかと思われます。

 

店内は清潔感があり、空気も清浄です。

安くても空気が悪いと最悪ですからね…この点は今後も徹底して頂きたいですね。

 

カウンター席とつけ場(職人さんがいる調理場)はフラットに近く、手元が全て見えるスタイルです。

ネタケースは無し。

このあたりは高級店を意識した設計で、お値段が安くとも矜持を感じるポイントです。

 

そして、メニュー数が多いのに、職人さん2人+接客1人で回されているところは凄いです。

満席の中、お好みで頼んでも長時間待つことなく、テンポ良く頂けるのは素晴らしい。

ゆったりと12貫頼みましたが、待たずに45分以内でご提供頂き、個人的には満足です。

酒肴も頼むお客さんはもっとゆったりされていましたので、色々なニーズに応えるお店かと。

 

全体的にカジュアルで誰もが気兼ねなく頂ける雰囲気ですし、接客もバッチリだと感じました。

 

ただ、ちょっと気になったのが、訪問のタイミングによっては客層が悪い可能性があります。

渋谷と言う立地×低コストなので、ガラが悪いお客さんがいらっしゃることがあります。

デートは止めて一人もしくは男友達と訪問するのが良いかと感じました。

「客層は価格帯に影響される」ことを再認識した次第です。

「すし光琳」の握りの詳細

お好みで、下記の順番で頂きました。

 

お通し 528円

すし光琳お通し

蜆のスープ。

温度が低いのが難だが、味は良い。

これは低価格帯のお店では嬉しいお通し。

 

ガリ

すし光琳ガリ

見た目通り市販品のガリ。

一切れだけ頂いたが、例の味だ。

 

真子鰈 418円

すし光琳真子鰈

寝かせることで非常にねっちりしていて、トロトロ。

行き過ぎた寝かせだが、ある意味意表をつかれた!

ただ、混ぜ山葵が酷くてショックを覚えた。

 

カマス 253円

すし光琳カマス

江戸前。炙りの加減は嫌みが無い範囲。

脂のノリは弱めのカマスだが、脱水していて良い。

 

キス昆布〆 418円

すし光琳鱚

しっかり〆ていて、食感はむっちり。

昆布の香りも強すぎず、価格を考えると楽しめる。

 

初鰹 308円

すし光琳鰹

千葉勝浦産。

これも効果的に脱水しているので、鰹の酸味に加えて旨味を楽しませてくれる。

 

鮪赤身 418円

すし光琳鮪赤身

那智勝浦産。

この価格で国産のクロマグロとは驚いた(しかも「やま幸」仕入れ)。

夏らしい酸味を楽しませてくれる。

 

鯵 253円

すし光琳鯵

出水産。

臭みが無い鯵なので、居酒屋の鯵で苦手意識を持った人でも大丈夫そう。

生姜を使用。

 

サワラたたき 308円

すし光琳サワラたたき

まさかの藁燻し。

街場寿司を名乗るが、この辺りは進化系たる所以だと感じる。

燻しの香りは上品。

サワラはしっとり、滑らかにとろける。

これは完成度が高い仕事で、正直なところ驚いた。

 

鮪中トロ 528円

すし光琳鮪中トロ

那智勝浦産。

赤身が好印象だったので頂いた。

とろっと濃厚な中トロで、鮪の香りもある。

やや大味だが万人の満足度は高いだろう。

 

小鰭 308円

すし光琳小鰭

天草産。

レモンを使用されたのには驚いた。

しっとりとろりとほどける身質で、厚みが薄いものの中々良い。

少なくとも臭みが無いので苦手意識のある方のイメージを変えてくれる小鰭だろう。

 

〆鯖 418円

すし光琳鯖

これも臭みが無く、フォルムも含めて大衆心理に訴求する鯖だ。

 

穴子 418円

すし光琳穴子

対馬産。

炙りはサラマンダー。

骨が多めだが、柔らかく煮ている点は良い。

 

玉子 88円

すし光琳玉子

ジューシィで甘みのある出汁巻き玉子。

このテイストは久々すぎてニヤニヤしてしまった。

いかにも街場寿司の玉子で、懐かしい感じだ。

「すし光琳」のお店の情報と予約方法

予約についてはホットペッパーより可能です。

▶すし光琳(ホットペッパーのリンク)

 

すし光琳(食べログのリンク)

店名:すし光琳(すしこうりん)

予算の目安:酒肴+握り+お酒軽くで6,000円~8,000円

最寄駅:ハチ公像から750m

TEL:03-6407-9516

住所:東京都渋谷区神山町11-10 梅澤ビルB1F

営業時間:15:00~20:00 (料理L.O. 19:00) ※緊急事態宣言による時短営業

定休日:無休

【関連する記事】

文中で言及した、ご近所にある鮨店です。

鮨 利﨑さん

鮨 五徳さん

 

進化系の街場寿司が増えると更に鮨ファンが増えて良いなあと夢想する、すしログ(f:id:edomae-sushi:20201002142555p:plain@sushilog01)でした。

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