創業1702年、東京では現存する最古の鮓店です。
こちらは、江戸時代には、両国・與兵衞壽司、深川・松が鮨と並び、「江戸三鮨」と称されました。
ただ、同じ「江戸三鮨」と言っても、握りの開祖・與兵衞壽司の創業は1842年とされておりますので、毛抜鮓はそれよりも140年も前に開業されていたことになります。
関西の鮓を除けば、最もクラシカルな鮓を頂ける貴重なお店です。
現在は十三代目の宇田川浩氏が看板を守っておられ、伝統の味わいを楽しむことが出来ます。
タネは塩を振った後、酸味の強い酢で一日〆て、翌日、酸味の弱い二番酢で三〜四日漬け込むそうです。
もともと江戸時代(あるいはそれ以前)には、「保存性」のために〆の仕事が発達という背景があります。
現代の観点から極論を言うと、味は二の次。
よって、こちらのお店では、戦前よりも酢の使用量を抑え、現代風に若干のアレンジを加えて出されているそうです。
ただ、そうは言っても握りとは異なる〆加減(強め)なので、江戸の原点に近い鮓を味わうことが出来ます。
ちなみに、「毛抜」とはかなり変わった名前ですが、由来は、鯛の小骨だけは酢でしめても軟らかくならないため毛抜きで抜いており、それが話題となって名前になったとのことです。
なんともテキトーな、いかにも江戸っぽいエピソードが面白いですね。
この度は7個1,804円のイートインを頼みました。
(イートインだと潮汁が付きます)
海老
サイマキ(5cm以下の車海老)。
これは〆というよりも、軽く酢に漬ける仕事と形容するほうが近い。
白魚
もはや、鮨と言えば生でしか供されなくなった白魚(酒肴で蒸されることなどはありますが)。
こちらではしっかりと〆ており、驚きました。
まさか白魚を〆るとは…と味わい以上の魅力があります。
かなり古い江戸前の仕事を体感させてくれます。
小鰭
塩も酢もバッチリ使って、超強めに〆ております。
とにかく酢が立ちます。
笹で巻き、香りを移しているため鮓として成立しているという印象です。
海老オボロ
握り鮨店のふわっとしたオボロではなく、一昔前の桜デンブのようなパサパサ、サラっとしたおぼろ。
甘みが強く、酢が強いタネとのコントラストが面白いです。
干瓢
味が濃く、柔らか目の煮加減。2個付きます。
海苔の食感が強く、香り高い。
玉子
甘じょっぱい点が面白い。
古典的な薄焼きです。
潮汁
鯛のお頭がゴソッと入っており、とても美味しい。
酢飯は酢も塩も利かせて、冷めても美味しいように炊いておられます。
関西の押寿司をファーストフードとして発展させたような鮓です。
なお、ランチでは限定10食のランチ(1,000円)が提供されており、笹巻鮓2個に加えて、穴子&ネギトロ丼、小鉢、吸い物、香の物が付きます。
かなりリーズナブルなので、流石に笹巻鮓7個だけというのはマニアックだな…と思われる方は、ぜひこのランチをご利用ください。
ずっと残り続けて欲しいお店です。
店名:笹巻けぬきすし(ささまきけぬきすし)
予算の目安:1,000円〜
最寄り駅:小川町駅から137m
TEL: 03-3291-2570
住所: 東京都千代田区神田小川町2-12
営業時間:月~金9:00~18:30、土9:00~17:00、限定ランチは11:30~14:00
定休日:日曜、祝日
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