こんにちは、鮨ブロガーの、すしログ(@sushilog01)です。
この度、神楽坂の「すし ふくづか」さんにて、日本酒ペアリング会を行いました。
前回行ったのは昨年5月なので1年半ぶりの開催となりました。
すしログ日本酒ペアリングの会(第3回):すしふくづか(神楽坂)前回から今回までの間に飲んだ銘柄の数はカウントできないほど(笑)
しかし、飲めば飲むほど強くなるのがペアリングだ!と感じました。
面白いペアリングが出来るようになっていますので、コラボして頂ける鮨職人さん、是非ともよろしくお願いします。
前回開催した「鮨ゆうき」さんの記事
タップできる目次
- 今回の日本酒ペアリングのお酒とイメージ
- 「すし ふくづか」で行った日本酒ペアリングの内容
- 【お酒】八百新酒造:雁木 純米発泡にごり生原酒
- 目光焼、酢橘
- 切りたての酢飯、鮪、きみ酢朧、海苔
- 牡丹海老、塩、酢橘汁
- 【お酒】今西酒造:みむろ杉 Dio Abita
- 鮪山かけ、四万十川すじ海苔
- 鮪脳天のカツ、抹茶塩
- 【お酒】日々醸造:日日 山田錦(vs 鮪その1)
- 【お酒】清水清三郎商店:作 玄乃智(vs 鮪その2)
- 鮪1・際トロ(背の小トロ)
- 鮪2・中トロ
- 鮪3・赤身
- 鮪4・腹中トロ
- 鮪5・血合いギシ
- 鮪6・大トロ
- 皮剥漬け(肝入り)
- 【お酒】菊姫:鶴乃里 山廃純米酒
- 鯵(葱、生姜)
- 秋刀魚(肝入り、当たり葱)
- ガス海老漬け
- めじ鮪(藁焼き、当たり葱)
- 【お酒】寒菊 電照菊 山田錦50:冷酒×ワイングラス
- 海胆軍艦
- 煮蛸(煮ツメ)
- 穴子(煮ツメ、柚子)
- すっぽん拉麺
- 玉子焼
- リンゴのアイスクリーム最中
- 「すし ふくづか」のお店情報と予約方法
それでは、まず、今回の日本酒ペアリングに用意したお酒を紹介します。
そして、ペアリングのイメージをお伝えします。
お酒については「すしふくづか」さんが仕入れている四谷の老舗「鈴傅」さんで仕入れました。
「鈴傅」さんは昨今人気を博す銘柄が主体なので、違いを出すために工夫が必要です。
今回は誰もが知る銘柄を加えながら、合わせる酒肴・鮨との変化を実感頂き、お酒単体で飲む時とは異なる印象になることを伝えるべく選びました。
- 八百新酒造:雁木 純米発泡にごり生原酒:冷酒×ワイングラス
- 今西酒造:みむろ杉 Dio Abita:冷酒×ワイングラス
- 日々醸造:日日 山田錦:ぬる燗×酒杯(vs 鮪その1)
- 清水清三郎商店:作 玄乃智:冷酒×ワイングラス(vs 鮪その2)
- 菊姫:鶴乃里 山廃純米酒:ぬる燗×酒杯
- 寒菊 電照菊 山田錦50:冷酒×ワイングラス
今回は前回よりも燗酒を増やしました。
結果的に正解で、やはり燗酒は日本酒ペアリングにマスト!だと感じました。
合わせる料理と酒質、味の構成を考慮したうえで、燗酒を交えなければ日本酒の本当の美味しさは引き出せません。
なお、「燗酒を使うと冷酒には戻れない」や「味を強めた後に軽いお酒には戻れない」と言う意見もありますが、僕は戻ることは可能だと考えています。
お酒には個々人の哲学が表れますが、正解はありません。
ペアリングを研究して確信した事は、セオリーはその人にとってのセオリーであって、他の人が使う場合は参考として考えて応用すれば良いだけの事です。
つまり、「こうあるべし」と言う強い意見は押し付けにしかなりません。
これはレストランのワインペアリングで学んだ自身の結論です。
今の時代、日本酒は自由な発想で創造的に楽しむのが良いですね!
また、今回は福塚親方にお願いして鮪多めの内容にして頂きました。
福塚親方も今後のお店の展開について、「鮪の魅力を改めて伝えていきたい」との談でしたので、好都合。
気合を入れて「やま幸」さんより仕入れて頂き、なんと合計8品。
酒肴で2品、握りで6貫の鮪を合わせ、未曾有のペアリング会になりました。
使用頂く薬味や調味料、構成なども綿密に打ち合わせを行い、特別なコース構成で行いました。
今回のペアリングのイメージとしては、以下のとおりです。
- 爽快に始めつつ、コクが強い料理に同調させる
- 鮪8連発を主軸にする(お酒を2銘柄同時に出す)
- 鮪を主軸にしつつ前後のメリハリを付ける
鮪に合わせるためには、ある程度ボディがしっかりしたお酒でなければなりません。
しかし、重すぎてはペアリングの構成が破綻するので、慎重にバランスを取りました。
それでは「すし ふくづか」さんで頂いた内容と、日本酒ベアリングの内容を紹介します。
今回は特別なコースを組んで頂き、お酒の持ち込み料もフリーにして頂きました。
深く感謝いたします。
以下に、選んだお酒ベースで酒肴と握りを紹介していきます。
酒肴の前半に合わせたお酒は、【雁木 純米発泡にごり生原酒】です。
提供方法は「冷酒×ワイングラス」です。
・特定名称:純米酒(原酒)
・原料米:山田錦、西都の雫
・精米歩合:60%
・アルコール度数:14%
「すしふくづか」さんの酒肴は前半から力強い展開となります。なので、味を意識してうすにごりタイプのスパークリングを選択しました。この銘柄は米の甘味が強く、香りについても米の香りに軽いブドウやリンゴの香りが混ざり華やかなので、ペアリングが成立します。爽快感だけでなく甘味を添えるペアリングです。
合わせる酒肴については、以下の3品です。
酒肴の後半、鮪2種類に合わせたお酒は、【みむろ杉 Dio Abita】です。
提供方法は、「冷酒×ワイングラス」です。
・特定名称:非公開(モダン山廃)
・原料米:山田錦
・精米歩合:60%
・アルコール度数:13%
ここから鮪のラッシュです!酒肴で2品、握りで6貫、鮪です。
まずは、食材こそ味わいの強い鮪ではあるものの調理法が重くないので、清涼感を添えるペアリングを選択しました。青海苔や抹茶、山椒などの香りには酢酸イソアミル系の爽快な香りが合わせられると考えます。それでいてスッキリしすぎていると鮪の旨味を受け止められないので、甘酸っぱい味の銘柄を選択しました。
口直し
これから鮪が6貫続くので、タイプ違いの2種類のお酒を用意して、参加者さんにお酒による味わいの変化やペアリングの妙を楽しんで頂く参加型の企画を提案しました。
まず、1種類目のお酒は、【日日 山田錦】です。
提供方法は、「ぬる燗×酒杯」です。
・特定名称:非公開(生酛造り)
・原料米:山田錦(東条、旧米田村)
・精米歩合:非公開
・アルコール度数:13%
「日日」は生酛の酸味で鮪の酸味に同調させ、燗によって甘味を高めたうえで合わせます。蔵元杜氏の松本日出彦さんと鮨をご一緒した時、「日日は(鮨においては)鮪の中トロに最も合う」とおっしゃっていた言葉に敬意を表し、僕はぬる燗にして合わせています。自身の味覚と感性で選ぶのが基本ではありますが、僕はプロや先人から学んだことも積極的に採り入れていきたいです(ストーリー性もありますしね)。
さらに、2種類目のお酒は、【作 玄乃智】です。
提供方法は、「冷酒×ワイングラス」です。
・特定名称:純米酒
・原料米:国産米
・精米歩合:60%
・アルコール度数:15%
鮪にはいわゆるカプロン酸エチルという香気成分が相性良好です。甘味と苦味を意識したうえで用いると、ネガティブな反応を一切出さずに味覚的に合わせられます。「作 玄乃智」はリンゴ、洋ナシ、バナナなどのフルーツ香とともに、甘味がありながら酸味もあるため爽やかさを加えます。「作」にはより華やかなタイプもありますが、魚介類と合わせて食中酒として楽しむならば「玄乃智」あたりが良いと感じました。
お酒は、【鶴乃里 山廃純米酒】です。
提供方法は、「ぬる燗×酒杯」です。
・特定名称:純米酒(山廃造り)
・原料米:山田錦(吉川町)
・精米歩合:65%
・アルコール度数:16~17%
親方も参加者さん達も、お酒だけだと「ちょっと重いのでは…?」という印象のようでしたが、料理と合わせることで納得されました。脂や旨味、そして香りが強いタネが続き、しかもタイプが異なる4貫なので、カバーするには難易度が高い構成です。ここは山廃でマスキング&同調を行おう!と選択。特に【肝入りの当たり葱を噛ませた秋刀魚】と【藁焼きめじ鮪】との相性が抜群でした。【藁焼きめじ鮪】はスモーキーフレーバーが強いので、香りの面でもドンピシャ。これは「マリアージュ」と自負出来るレヴェルでした。
握りの後半に合わせた1種類目のお酒は、【電照菊 山田錦50】です。
提供方法は、「冷酒×ワイングラス」です。
・特定名称:純米大吟醸酒(おりがらみ)
・原料米:山田錦
・精米歩合:50%
・アルコール度数:15%
一般的なセオリーどおりだと燗酒を続けるところかと思います。ただ、個人的には冷酒でスッキリ終わらせたいので、濃醇な純米大吟醸酒を選択しました。甘味を香りの面でも味の面でも上げつつ、冷酒で爽やかにフィニッシュするイメージです。
奥久慈軍鶏、群馬若鶏、鶉の卵を使用し、3層構造に分ける玉子焼き。
「すし ふくづか」さんは、OMAKASEでWEB予約が可能です。
店名:すし ふくづか
シャリの特徴:飯尾醸造のお酢を3種類用い、ブレンド比を変えて3種類のシャリを使い分ける。硬さや温度管理は申し分なし
予算の目安:おまかせ35,000円ほど
住所:東京都新宿区津久戸町3-5 2F
最寄駅:飯田橋駅から450m
TEL:03-5579-2860
営業時間:12:00~、14:00~、18:00~、20:30~
定休日:月曜
日本酒ペアリングについてのまとめ記事
【料理がさらに美味しくなる】日本酒ペアリングの基本理論からマリアージュを目指す!
日本酒ペアリングは本当に奥深いので、これからも追求していきます!
すしログ(@sushilog01)でした。
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