こんにちは、鮨ブロガーの、すしログ(@sushilog01)です。
この度、グルメ友達から「六本木にステーキレストランなのに魚のクオリティが凄いお店がある」と誘われて訪問しました。
聞くところによると、原価率が非常に高いとか。
それでいて、「全ての部屋が個室で、完全にバブリーな内装」との談で、バブル文化を研究している僕は期待値MAXでお伺いしました(笑)
すると、本当にバブリーでした。
なんと、店内に螺旋階段とシャンデリアがあるので(笑)
しかも、個室も大変エレガント!
ここまでバブリーだと逆に味が不安になりますが、幸いにも杞憂に終わりました。
肝心のお料理は期待以上に美味しく、原価率が本当に高くてビックリ。
すしログ
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六本木「六花(りっか)」の魅力とは?
「六花」さんは、六本木駅至近のビルに入っていて、1階には有名な「ラトリエ・デュ・パン」が入っています。
「ラトリエ・デュ・パン」には8年くらい前に訪問しましたが、「シニフィアン・シニフィエ」の志賀シェフ直伝の技が光るブーランジェリーです。
「六花」さんのアプローチは異常にゴージャスで、逆に心配になります(笑)
しかし、シェフの佐藤さんは腕が立ち、独自性の高いお料理を作られるのでご安心を…。
佐藤シェフはフランスの「ポール・ボキューズ」や「メゾン・ピック」など、本場のミシュラン獲得店での修行歴をお持ちです。
それ故に、創作的であっても安心してお任せ出来ます。
ただ、フレンチ畑のシェフですが、お料理には和食のエッセンスも採り入れていて、個人的にはノンジャンルだと感じます。
もしくは地に足の着いたイノベーティブ。
シェフは魚介が好きで新しい事をやりたくなったため、流行っていた前の業態を止めて今の路線に変更されたそうです。
軽くクレイジーな変態性を感じました。
食材は各地の生産者や仲卸から直接入れていて、食材力が非常に高い。
この点において「東京らしさ」があるレストランだと実感します。
コースの前に食材のプレゼンテーションがありますが、この通り圧巻です。
香茸、極太の本山葵、クエとマナガツオなど、期待が高まるプレゼンです。
お店の魅力を端的に挙げると下記のとおりです。
- 希少性の高い牛肉を頂ける
- 産直で仕入れる魚介類のクオリティが高い
- 旨味を掛け算しながらバランスがキープされる調理
- 油脂と塩味は洗練されていて、ボリュームがありつつ連続性がある
まずは、ステーキレストランなので、牛肉のお話を。
こちらはコースのお肉が限定されておらず、複数種類から選べるシステムです。
しかも、通り一遍等のブランド牛で固めるのではなく、生産者との信頼関係で入れる肉や、希少性が非常に高い肉も仕入れておられます。
特に、今回頂いた秋田県の【かづの牛】は、なんと月に2頭のみしか出荷されない日本短角種でした。
情報はさて置き、味わいは感動的な美味しさで、今までに頂いた短角牛の中でぶっちぎりに美味しかった。
また、牛肉についてはコースの随所に混ぜられるのですが、品種と銘柄が違うところが心ニクいです。
例えば、以下の通り。
- 高知県土佐あか牛(褐毛種)、はだての雲丹
- 秋田県かづの牛(日本短角種)、オシェトラキャビア
同じ銘柄や似たような部位で構成されるコースは、結構すぐに飽きてしまいます。
複数の品種と銘柄を織り交ぜ、しかもワクワク感のある調理で仕上げられる点は佐藤シェフのアドバンテージであり、日本料理の基礎技術に欠ける多くの「肉割烹」よりも遥かに好感が持てます。
次に、魚介類について。
佐藤シェフは、漁師や仲買人に直接交渉して仕入れるようにしているそうで、確かにクオリティが高いです。
長崎県五島列島福江島の出口さんと言う漁師から仕入れることが多く、放血神経〆を行った魚介を仕入れ、さらに熟成も掛けているところが凄い。
今回頂いた九絵は「フロリレージュ」でも使っているものとの事ですが、ワタを抜いた状態で1週間熟成を掛けていて、その塩梅が絶妙でした。
ここまで力強い食材を多用していると、調理技術とセンスが無いと食材自慢大会に成り下がってしまうもの。
佐藤シェフは旨味、塩味、油脂のコントロールが巧く、食材の取り合わせも好感が持てます。
現状、有名店ではありませんが、既に下手な有名店を凌いでいると実感しました。
ちなみに、ここまで原価を掛けていると逆に心配になりますが、実は経営はビルオーナーとのことでした。
なるほど。
さらに、1階の「ラトリエ・デュ・パン」もワインショップもレストランも全て同一の経営で、ワインのインポーターもしているそうなので、もはや無敵な印象です。
さらに言ってしまうと、螺旋階段の上には会員制のクラブもあるとの談。
お洒落女子の夢=パンと、エロおやじの夢=クラブ、を同時に叶えるビルと言うのは凄い。
僕は水商売が心底苦手なので、食欲の「六花」さんで十分ですが(笑)
結論として、資本を持つ本当にグルメなオーナーがバックに就いた時の凄さを実感しました。
世間には、大した舌を持っていないのに、料理人にアレコレ口を出す三流オーナーが多いので素晴らしい事です。
六本木「六花(りっか)」のコースの詳細
ペアリングコースは8,800円でご用意されていますが、多くは飲めない方の為にハーフ5,000円など、柔軟に対応頂けるようです。
ちなみに、ディナーは16,940円のコースもあり、ランチは12,100円で提供されているので、六本木の完全個室のお店で税サ込みである事を考えるとリーズナブルだと感じます。
ただ、こちらの本気を味わいたい方は、ディナーの上のコースにペアリングを付けるのが、圧倒的にオススメです。
ボリュームが多いので、お腹を空かせての訪問が必須です!
この度頂いたコースの内容 25,410円(税サ込み)
- 長崎県出口氏の九絵、北海道イクラ
- 高知県土佐あか牛(褐毛種)、はだての雲丹
- 秋田県かづの牛(日本短角種)、オシェトラキャビア
- 高加水パン
- 徳島県マナガツオ、香茸、野辺地蕪
- 山形牛(黒毛種)のハート、熟成黒ニンニク
- 岐阜県10年熟成白龍本味醂、ゲランドの塩
- 厳選極み和牛の石窯焼き
- 〆の一品
- 季節のデザート
- カフェ
Paul Dangin & Fils
グラスはオーストリアのルヴァン社のもの。
極めて軽いグラスである。
長崎県出口氏の九絵、北海道イクラ
九絵は1週間熟成。
ウロコ焼きとともに提供し、2層構造になっているところが楽しい。
九絵は脂だけでなく旨味が非常に強い!
熟成で柔らかくなっているとは言え、表面に包丁を細かく入れているところが好印象。
このあたりの調理の配慮に安心感を抱いた次第。
下の器には九絵、イクラ、柿、春菊、菊、白味噌の酢味噌、和牛コンソメと出汁のジュレが組み合わされている。
一口目から強い旨味を実感し、紫蘇の香りなどに和のテイストを感じる。
出汁もふんわりと漂う。
旨味と香りを足しまくっている構成だが、コアに存在する九絵が旨いので嫌みにならない。
旨味のバランシングに妙があると感じた瞬間だ。
そして、アミューズなのに非常にボリューミーで驚いた。
続くアミューズ2種類は…
高知県土佐あか牛(褐毛種)、はだての雲丹
なんと、海胆が「はだて」のもので驚く(一流の鮨店が使う超高級な海胆なので)。
そして、あか牛の調理が面白く、ワカサギ魚醤を用いたタルタルだ。
仰々しい組み合わせだが、よくある世間の「う肉」とは別次元の美味しさと繊細さ。
安易な牛肉の脂ではなく、あか牛の旨味や酸味と海胆の甘味を合わせる方向性だ。
山葵もバッチリ美味しく、辛味はピリ辛で、甘味が強い。
海胆の磯の香りがふんわりと漂いつつ、山葵の辛味と甘味が寄り添い、引き締めてくれる。
産地を伺ったところ、山葵栽培発祥の地とされる、有東木のものであった。
さらに、海胆にグラスフェッドのあか牛を合わせると、まさかピノ・ノワールに合うとは新鮮な発見であった。
ミネラル感と協奏する。
秋田県かづの牛(日本短角種)、オシェトラキャビア
部位はトウガラシ。
オシェトラをたっぷり使用しているが、牛の強い旨味が活きている。
トリュフオイルを少量使用か?
九絵にしても、かづの牛にしても、旨味を活かしてお料理のバランスを取るセンスが秀逸だと感じる。
同時に、最後に赤身の酸味がキリッと味を引き締め、単なる成金料理に成り下がらないところが魅力だ。
…そのような意味において、お料理の上の金箔は不要である旨をお伝えした。
ここまで味のバランスが良いならば、味に影響の無い物体は除いた方が美しい。
同時にスノッブなお客も除外することが叶うだろう。
フランス人がチリで日本酒酵母を用いて造っているソーヴィニヨン・ブラン。
高加水パン
天然酵母を使用し、加水率は105%の焼きたてパン。
海藻を入れたバターを添えて。
流石、「ラトリエ・デュ・パン」を運営するだけありパンも美味しく、特に高加水なので記憶に残る美味しさ。
食感は、ふんわり、モチモチ。
本当にモチモチ感が強く、甘味がたっぷりなパンだ。
なお、加水率105%と聞いてもイメージが湧かない人の方が多いだろうが、生地はあたかも自然薯だ。
兵庫県但馬香住蟹
和牛のコンソメを用いたフラン仕立て。
昆布出汁もソースとして合わせている。
漁が解禁されたばかりの香住の蟹。
走りの初モノとは嬉しい限りだ。
しかも、ボリューム感が半端なく、フランと言うよりも蟹のフラン寄せだ。
フランとソース部分のコクが非常に強く、旨味が凄すぎて笑ってしまった。
それ故に蟹が前面に出すぎず、「料理」として纏めている点にセンスを感じる。
ワインは先ほどのピノ・ノワールと同じ生産者のシャルドネ。
徳島県マナガツオ、香茸、野辺地蕪
ソースは旨味たっぷりの和牛コンソメに、香茸の香りがたっぷりと滲んでいる。
マナガツオは炭火焼きで凝縮させる焼き方だ。
ジューシィに仕上げる方が好みの方もいるかもしれないが、個人的にこのソースには強めの火入れの方が合うと感じた(もう少しジューシィでも良いかもしれないが)。
香茸本体も肉厚で、食べ応えが凄い。
東京で頂いた香茸の中で一番の美味しさだった。
極細の針柚子が上品なアクセントになる。
合わせるお酒は獺祭の純米大吟醸二割三分。
和を強く感じさせるお料理なので、相性は申し分ない。
香茸の香りに負けることもない。
山形牛(黒毛種)のハート、熟成黒ニンニク
ハツの概念を打ち砕くハートだ。
血の臭味は皆無で、くにゅくにゅと心地良い食感と強いコクが印象的。
旨味も強い。
和牛コンソメで伸ばした黒ニンニクソースも相性が良く、落花生も魅力的な付け合わせ。
岐阜県10年熟成白龍本味醂、ゲランドの塩
口直し。
塩気を強めに効かせたソルベに、熟成本味醂がリキュール的に合う。
本味醂は玉泉堂酒造のもので濃厚な味わい。
厳選極み和牛の石窯焼き
【かづの牛】を選択したのだが、信じられないほど大盤振る舞いのポーションだ。
焼き方については、石窯に入れて芯温45℃をキープしながら、1時間かけて46℃まで上げる。
細胞を壊さずに火を入れるためだ。
その後、溶岩石焼きと炭火焼きを交互に繰り返して、54℃のセニャン(英語のミディアムレア)の状態を目指す。
そして、ロゼの手前、60℃あたりまで焼き上げて完成。
実に美しい色合いの、素晴らしい焼き加減だ。
肉には本山葵の根に近い方を、直前に鮫皮おろしでおろして提供。
徹底している。
さらに、付け合わせの調味料はゲランド塩と赤ワインを合わせて作った自家製ワイン塩。
そして、自家製のカタクチイワシの燻製魚醤。
フルーツは樹熟イチヂクと黒イチヂク。
待望の【かづの牛】は、旨味がメチャクチャ強くて、端的に感動した。
食感もメチャクチャ柔らかい。
そして、香りが良い!
中心部のテクスチャーが見事だ。
【かづの牛】が持つ旨味の強さに加えて、焼きの技術も楽しませてくれる。
ちなみに、添えられているイチヂクのパンチも凄い。
〆の一品
まさかの土鍋ご飯が登場!
お米はゆめぴりかで、佐藤シェフは蒸さないスタイル。
冷蔵庫で1日かけて浸水させる。
メニューは2つで、自家製の唐墨と、カレーだ。
唐墨は800gオーバーの卵巣を使用していて、鹿児島県産のピン。
洋酒ではなく日本酒で仕上げている。
少量でお願いしたが、満足感は十分だ。
カレーは気合いが凄く、炭火焼きした牛骨と野菜でフォンを取り、旨味が凝縮されている。
旨味が強烈なので、あたかも(フレンチの)ソースのようなカレーだ。
今回の具は和牛のタンで、ホロホロ。
スパイスは日替わりなので、舌が良い常連さんは指摘するそうだ。
季節のデザート
乳酸発酵のラムレーズンアイスクリーム、ラム酒風味のクリーム。
ブドウは、シャインマスカット、ナガノパープル、熟成マスカット、自家製レーズン。
生のフルーツと手をかけたフルーツ、そして菓子を融合する、魅力的なデセールだ。
カフェ
珈琲、紅茶、ハーブティーから選べる。
六本木「六花(りっか)」のお店情報と予約方法
WEB予約については一休経由で行なえます。
食べログ経由でも可能なようですが、一休経由だとシャンパーニュがサービスで頂ける模様です。
予約数は1日6組以内に限定し、質を高めるために制限しているそうです。
なので、予約は早め早めがベターです。
店名:六花(りっか)
予算の目安:ランチ12,100円、ディナー16,940円・25,410円、
電話番号:03-3401-2929
住所:東京都港区六本木6-1-12 21六本木ビル2F
最寄駅:六本木駅から100m
営業時間:ランチ[月~金]11:30~15:00(L.O.13:30)、[土・日・祝]11:30~16:00(L.O.14:30)、ディナー[月~金]17:30~23:00(L.O.21:00)、[土]17:00~23:00(L.O.21:00)、[日・祝]17:00~22:00(L.O.20:00)
定休日:不定休
久々に東京の牛肉でうなる、すしログ(@sushilog01)でした。
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