こちらは大阪で90年続く、河豚料理を得意とする割烹です。
ミナミに移られたのは1930年(昭和5年)との事。
ビルの一番奥にありますが、河豚料理店がひしめき合う大阪において、「知る人ぞ知る名店」として多くのファンに支えられている模様です。
今回、僕は友人に教えてもらって訪問したのですが、お味に加えて雰囲気や接客も含めて大ヒット!
大阪の人情味を感じさせてくれるお店です。
アットホームな雰囲気で頂く伝統料理は、冬の寒い身体を温めてくれ、心もじんわりと暖めてくれました。
お店に入ると、店内には河豚の香りが満ちております。
冬の【ふぐコース】は15,000円で、内容はシンプル。
突き出し、てっさ、てっちり、雑炊、水ものに絞られており、基本的な【てっさ】と【てっちり】への自負が感じ取れますね。
今回は【ふぐコース】に白子と唐揚げを追加で頂きました。
尚、河豚以外のシーズンも魅力的な食材を取り扱っておられ、【鯛コース】7,000円、【蛸コース】8,000円、【鱧コース】9,000円。
個人的には明石の蛸を用いた蛸しゃぶを頂ける【蛸コース】が気になりました。
是非とも旬に再訪したいと思います。
さて、こちらの最大の魅力は、何と言っても絶品の【てっちり】。
【てっちり】とは河豚(テツ)のちり鍋ですが、こちらは出汁が唯一無二。
秘訣を女将さんに聞いても「企業秘密」と教えてくれません(笑)
しかし、河豚のアラでじっくりと取っている事は間違いなく、あたかも「河豚白湯」と形容すべき濃厚な河豚出汁です。
この出汁で頂けば、河豚は勿論、野菜も雑炊も素晴らしい逸品へと昇華されます。
シンプルでありながら、長い歴史に裏打ちされた職人技を感じさせる鍋です。
日本酒はオバマ元・米大統領がすきやばし次郎で飲んだ、広島の賀茂鶴・特製ゴールド(大吟醸)。
突き出し
胡麻豆腐。正直なところ大して期待せず頂いたところ、メチャクチャ美味しくて失笑してしまった(笑)
胡麻の風味しっかりで、とろっとろクリーミー!
てっさ
旨味がしっかりと乗っており、河豚特有の酸味もある。
そして、余韻が力強い。
伺ったところ、1.5キロのモノを1日寝かせておられるそう。
淡い味わいに後を引く力を秘めているところが、河豚(の薄造り)の魅力だと再認識。
そして、こちらは脇を固める調味料も美味。
自家製ポン酢は柑橘も出汁もしっかり。
もみじおろしは唐辛子の辛味に加えて香りもあり、塩分を強めに利かせているため、これ自体が酒肴になる程。
ともに強い味わいだが、河豚と頂くと相乗効果を示す。
自家製調味料も凄いし、それに負けない河豚の味わいも凄い。
また、皮の下処理も素晴らしく、旨味が非常に強かった。
これも旨味がしっかりだが、同時に上品で繊細な一面も併せ持つ。
河豚の白子焼き
ねっちりと濃厚。雑味は皆無。
聖護院大根
鍋に用いる材料だが、生で味見させて頂いた。
非常に甘い!
てっちり
旨味も風味もしっかりで、件のポン酢に負けない。
出汁にゼラチン質が滲み、どんどん濃厚になる。
聖護院大根は河豚の香りと旨味を吸い込み、自身の甘みと一体化。
贅沢な食べ方である。
くちばしは溶け出たゼラチン質がたっぷり!
皮はしゃぶしゃぶにして。
もっちり、ねっちりした食感で、歯切れが良い。
菊菜もこれまた河豚に合い、シャキシャキした食感と風味が鍋のアクセントに。
コース構成のみならず具もシンプルなのがええですわ。
あくまでも看板料理で勝負して、時代に残っている印象。
雑炊
美味しい出汁の雑炊が、美味しくないわけない!
香の物
聖護院大根の皮の漬け物が印象的。
水菓子
季節ごとに異なる楽しみを与えてくれそうな名店です。
店名:新明石(しんあかし)
食べるべき逸品:冬の絶品てっちり(河豚鍋)
予算の目安:ふぐコース15,440円など
最寄駅:なんば駅から500m
TEL:06-6211-2523
住所:大阪府大阪市中央区心斎橋筋2-2-13 宝山心斎橋ビル1F
営業時間:17:00~22:00
定休日:日曜、祝日
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