
こんにちは、鮨ブロガーのすしログ(@sushilog01)です。
仙台「鮨 徳」さんは開店から3年が経ち、鮨好きならば誰もが知る鮨店ですが、お恥ずかしながらやっと訪問しました。
長らく訪問しなかった理由は、修行先である「鮨 竹」さんも未訪問だったためです。
親方のお店を差し置いて、お弟子さんのお店に行くわけにはいかない…と溜めていましたが、この度、「鮨 竹」さんを訪問したので訪問が叶いました。


いただいた感想としては、申し分無し!
宮城のみならず、全国的に考えても秀逸な鮨店で、特にシャリについては抜群です!
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「鮨 徳」さんは2022年6月にオープンした鮨店です。
親方の岩沼 徳太郎さんは、銀座の「鮨 太一」、「鮨 竹」で修行された方。
これらの修行先を見るだけで、鮨好きならば間違いない職人さんだと思うはずです。
そして、いただいて実際に間違いありませんでした。
率直に申し上げて、想像以上。

岩沼親方は地魚であることを強調されませんが、使用する魚の多くは地物だと思います。
しかし、真骨頂は仕事それ自体にあるお店なので、魚の産地がどこでも良い、そのように考えておられるので産地を細かく説明されないのかもしれません。
岩沼親方の仕事は、伝統的な江戸前鮨の仕事を敷衍して、確かにその先へと進める独自性のある仕事です。
王道の先に自己表現されている点が、何とも粋で非凡です。

生命線のシャリは冒頭に書いたとおり秀逸。
酸味がやや強め、塩気もやや強めながら、かなり上品に味覚をバランシングしています。
もっちりした食感を持ちながら、ぱらりとしていて、粘度が限りなく軽い。
サラッとしているシャリです。
浸漬、炊飯、シャリ切りの技術だけでなく、ネバを抑える管理が凄いと舌を巻きました(本当に)。
また、トロや鰯の前に自らシャリを変えておられ、きめ細やかな配慮も感じました。
「鮨 徳」さんでいただいた内容を紹介します。
2025年10月にいただいた内容です。
お酒については、県内外のものを扱っておられるので、おまかせでいただきました(最初は県内のものを中心にと)。

伯楽星のひやおろし。酸があり、旨味も乗っている。これは低温でバッチリ美味しいひやおろしだ!魅力的な一杯目のご提案。

酢〆を施した鰆を軽い炭火炙りで提供。脂ノリノリの鰆を酢〆してから炙るとは、鮨店らしくて実に良い。調理される前のサクの状態をみて、そのように感じた。そして、実際にいただいたところ、脂だけでなく確かな旨味もあり、香りも芳醇な鰆で抜群に美味しかった。

地物。むっちりと凝縮感がある火入れで、噛み締めると旨味と香り、ゼラチン質が高まる。そして、甲殻類を思わせる香りが特徴的であった。また、肉厚な切りつけが嬉しい。1品目の鰆もポーションしっかりあり、鮨店はこうでなくては!と感じる。

辛口方向だが、甘味も上品に漂わせ、酸味もある。
器は西岡 悠さんのもの。

火入れしたいくらと裏ごししたものを合わせるとは魅力的な調理法。濃密な魚卵の味わいなので、海胆の甘味も明瞭に調和する。そして、シャリの酸味が中盤から活きて、味わいを引き締める設計も魅力だ。

濃密!水分が程良く切れているためか濃密に感じる。ポン酢の香りと牡蠣の磯の香りの調和もバッチリ。

生酒らしい香りが強く、味が濃い。余韻に苦味とキレが伸びる。

薄切りで辛口。酢と塩がしっかり効いていて、食感も強い口直しとしてのガリであり、系譜を感じさせる。

脱水が巧みだ。むっちり、ねっちりした食感で脂の甘味を活かす。昆布不使用で潔い仕事で、しかも精度が高い。世間一般的に柔らかさと昆布の旨味を褒める人が多いが、春子の仕事の真骨頂は別のところにある。

酢〆して10日熟成した鰆。柔らかさと脂によってシャリと見事に融合する。噛みしめると食欲をそそる香ばしさが高まる。噛ました当たり葱もバランスが良好だ。

2枚漬け。脂がノリノリながらプリプリ、パツパツな食感が魅力である。脂の強さはもちろん、食感と香りが印象的な走りの鰤であった。

包丁少なめでパツパツながらとろりととろけてシャリと馴染む。甘味と旨味とシャリの酸味が余韻として残りながら調和する。新烏賊に近い食感だと思ったところ、なんと新烏賊らしい!時期的に驚いた。

酸味とともに旨味も実感する赤身。酢飯の美味しさを浮き出すバランス。

血合いギシ。むっちりしていて脂のコクと酸味が同時にあり、実に旨い中トロだ。シャリと相まって乳化もバシッと決まる。「結乃花」仕入れで見事。

カプロン酸エチル系の吟醸香と寝かせた麦的な香ばしさのある純米大吟醸。「カプロン酸が鮪に合わない」という定説は間違いで、やはり合う!と確信する(自身の理論では「合う」と宣言しており、ペアリングセミナーを受講してくださった職人さんたちも同意を示していただいている次第)。

独自性が強い小鰭だ。皮目は柔らかで、身はしっとりジューシィ。決して水っぽくはなく、〆て小鰭らしい香りを押し出す仕事だ。

脂があり、まろやかなコクのある香りが広がる大トロ。

細切りの大葉を噛ませて。身の脱水をしっかりして脂を引き立たせる仕事。脂の甘味と鰯の強い香りを引き立てて、大葉の香りとバランス良く合わせる。最後は鰯の良い意味での余韻が続く。

茹で上げで素晴らしい仕事だ。しっとり、むっちり、甘味がしっかり。味噌もレア寄りなので香りが強く、この点については非常にマニアックに車海老の香りを活かしていると感じた。

地物ではなく対馬だろうか?脂がたっぷり乗っている穴子をトロトロに煮ている。シャリの酸味が活きる。

均一にしっとり、ふわふわ。焼き海老のような香ばしさも楽しめる。そして、焼きの香ばしさが山芋の香りと調和する。甘味が時流に迎合せず粋。かなり美味しいカステラ玉子だ!
「鮨 徳」さんについては、テーブルチェックでWEB予約が可能です。
店名:鮨 徳(すし とく)
シャリの特徴:酸味がやや強め、塩気もやや強めながら決してタネの味を壊さず、粘度が抑えられていて秀逸なシャリ
予算の目安:昼・夜おまかせコース25,000円~
最寄駅:勾当台公園駅から600m
TEL:022-200-6220
住所:宮城県仙台市青葉区春日町5-16 シエロ春日町2F
営業時間:月~金12:00~14:00、18:00~22:00、土・日・祝日12:00~14:00、18:00~21:00
定休日:不定休
宮城県の個性派鮨店たち
江戸前鮨をこよなく愛する、すしログ(
@sushilog01)でした。
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