こんにちは、鮨ブロガーのすしログ(@sushilog01)です。
愛媛県の鮨店を巡る中で「愛媛は全国トップクラスの鮨県になる!」と確信しました。
理由については、魚介類のクオリティと、各店の切磋琢磨による技術の飛躍的な向上です。
さらに、進歩を支えるバックボーンとして「愛媛食材研究会」がある事を知った次第。
そして、今回ご紹介する「道後 海舟」のご主人、坂本 紀征さんこそが会長との事なので、楽しみにお伺いしました。
結果的に想像以上に愛媛県の食材を駆使されていて、熱量と共に感服しました。
愛媛県の食材の見本市のようなお店で、愛媛の食材力を痛感しました!
設えや接客も申し分ない優良店です!
既に食べログでは3.80ありますが、きっと4を超えるお店だと思います。
また、愛媛県は鮨だけでなく、日本料理はじめ魚介類を用いるあらゆる料理のポテンシャルが大きい県です。
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「道後 海舟」の魅力については、愛媛県の食材の素晴らしさを伝えてくれる点と、それを力強く演出するご主人・坂本さんの技術とセンスです。
坂本さんの御料理は、全体的に力強くて旨い。
しかし、パワフルでありながら魚味を引き出す事が考えられていて、味付けや調理が行き過ぎるところが無い。
このバランス感覚は秀逸。
素材の味が強いと見ると、強い味を乗せたり、香りを付加したりする事が流行っている世の中なので、時代に流されない工夫に惚れ惚れしました。
また、コースの構成も巧みで、味覚や温度帯の変化が極めて自然です。
行き過ぎる事無く感情を高い位置で維持する手腕は見事。
都会の予約困難店は脂や旨味で殴りかかる「ドヤ感」が強い構成にしがちなので、食べている途中に疲れる事があります。
しかし、「道後 海舟」さんには、そのようなシーンが皆無です。
素材が力強く、ポーションも大き目で、情報量も多めなのに疲れないのは構成力の賜物。
さらに、坂本さんは日本酒のご提案も秀逸です。
特に燗酒を巧みに採り入れて、御料理を盛り上げる手腕に惚れ惚れしました。
県内外の日本酒を巧みに構成し、自らの御料理に合わせてご提案してくださります。
お酒が飲める方は必ずペアリングをお願いしてください!
体験価値が大幅に高まりますので!
それでは、「道後 海舟」さんのコースの詳細をご紹介します。
- 座附:極早生米の粥、早生栗、新銀杏
- 小鉢:中島の赤雲丹、冷やし茶碗蒸し
- お椀:藤本さんの鱧、早松茸
- 造り:愛南町のクエ
- 造り:愛南町のカツオ、伊予灘の穴子
- 焼きもの:八幡浜の甘鯛の焼き浸し
- 口取り:今治桜井産ワタリガニ
- 佐田岬・漁恵丸の蒸しアワビ
- 北条沖の丸ハギ肝和え
- 強肴:藤本さんの鯛の酒蒸し
- お食事:中野さんの極早生新米、伊予麦芽牛炭火焼、今治産ピーマン金平、廣川農園のオクラ浸し、ゴーヤ味噌漬け、新牛蒡酢漬け、松前町のしらす、平飼い卵黄醤油漬け
- 留め椀:大洲市梶田商店の麦味噌汁
- 水菓子:中山産ブルーベリーの自家製チーズケーキ
- 水菓子:桑原地区産 出来立て無花果アイス
一杯目に頂いた日本酒は、石鎚酒造の【石鎚 愛】。
穏やかなカプロン酸エチル由来のリンゴ様の香りとミネラル香。
そして、甘味をキリッと引き締める苦味と軽いピリッと感。
余韻はやや長め。
酒ログインスタアカウント的に数値化すると、香り3、甘味3、酸味3、苦味4、余韻4。
ご主人が一緒に米作りされている、西予市宇和町の中野さんのお米だそうだ。
使用しているお米の品種は【コシヒカリ】。
いつもは【ひめの凜】を使用するが、時期的に未収穫なので【コシヒカリ】との談。
早生の栗は香りが良く、甘味は上品に、しかし確実に楽しませてくれる。
銀杏は樹上採集。
栗や銀杏のテクスチャーを近しくしているのが良い。
香りで秋を満喫させる、素敵な先付けだ。
海胆の産地は中島で、脱水して2日との事。
仕事が奏功しており、ねっちりしたテクスチャーで甘い。
塩を効かせた冷製茶わん蒸しとの塩気のコントラストが実に良い。
海胆の味わいの輪郭をキリリと描写する。
そして合わせる日本酒が面白く、冷製の茶碗蒸し対して山廃のお酒を68℃の燗酒!
これは愛媛県で唯一、山廃酛で仕込む酒蔵のお酒だ。
個性的な酒盃は、池田麻人さんの砥部焼。
今治・藤本さんの神経〆の秋鱧と、徳島県産の松茸の出会いもの。
吸い地は強烈な旨味とゼラチン質で満ちている。
鱧の骨出汁が味わい深い!
松茸の香りは抜群。
塩気も程良い。
愛南町で神経〆との事なので、丸鉄水産・濱田さんの魚と思われる。
部位が全て異なるのが嬉しく、背カミ、背ナカ、背シモ、腹。
2日生け越しして臭いを抜ているそう。
歯ごたえが良く、脂が甘い。
そして、香りが広がる。
背シモはプリプリ、パツパツした食感で、脂が明らかに強くなる。
腹は濃密な脂だが、食感があるのでダレる事無く楽しめる。
大葉は無農薬の地もの。
そして、合わせて頂いた日本酒、アサヒワカマツが合う!
米の甘味を添える方向性だ。
穴子は皮目のみ焼いていて、鰹には新生姜を添えている。
穴子は口に入れた途端に旨い!
厚みがあり、脂が強い濃厚な穴子で、これは驚きの美味しさであった。
どうやら神経〆を施しているそうで、技術を感じる仕立てと仕事である。
鰹もパワフルで、脂と旨味がありながら酸味がじんわりと切る。
…ただ、穴子好きとしては何よりも穴子に感銘を覚えた。
調味料にも微塵の抜かりも無く、瀬戸内の海水塩、レモン醤油、造り醤油。
付け合わせは冬菇椎茸、浅葱の根っ子の素揚げ。
強烈な旨味とゼラチン質、そして血由来の香り(良い意味での香りだ)も楽しませる。
腹寄りの部分は更にパンチが強い。
ワタリガニ、オクラと胡瓜のトロロ、カニ酢ゼリー。
蟹の甘味にカニ酢の強い酸味を与えてスッキリと食べさせる。
「鮑は獲って2時間以内に調理しないと味が落ちる」との信条より、後輩の海女さんが獲ってすぐに直送後、ANAORI Kakugamaで8時間蒸した鮑。
大胆な切りつけでボリューミー!
これは嬉しすぎる。
冷製で意外に覚えるが、噛みしめるほどに旨い。
そして何よりも香りがこみ上げてくる!
アタックよりもフィニッシュ重視の仕事だ。
あえての冷製が奏功している。
竹鶴は、なんと石川杜氏が在籍された頃のBYだ。
別注の丸ハギだそうで、当日の夕方に届いたもの。
鮮度が抜群。
肝も言わずもがなの濃厚な味わいだが、身の部分の旨味や脂も強い!
その点において、(肥大化した肝に身の旨味を奪われた)一般的な胆和えとは異なる。
柑橘の酸を効かせた胆和えだ。
鯛は初手に脂が滲み出て、噛みしめた時と飲み込んだ時の旨味が強い。
特に喉にズシッと旨味が広がる。
付け合わせの今治産島生蓮根は甘い。
潮出汁の餡かけで、上にまぶされているのは西予市明浜町産すじ青のり。
すじ青のりは四万十川のすじ青のりに勝るとも劣らない香気がある。
まず頂いたご飯は、にえばなに近い状態のもの。
水分をたっぷりと含んでいて、実に澄んだ味わいだ…
生産者の中野さんは、西予市で無農薬・無化学肥料の自然農法と減農薬栽培を実践する方。
おかずは非常にゴージャスだ。
今治産ピーマン金平、廣川農園のオクラ浸し、ゴーヤ味噌漬け、新牛蒡酢漬け、松前町のしらす。
オクラには削りたての鰹節が添えられていて、嬉しい。
付け合わせはメインディッシュのような伊予麦芽牛(45日間ドライエイジング)の炭火焼。
この【伊予麦芽牛の炭火焼】については、肉の脂が強いものの、表面をカリッと焼き、炭火焼きに伴う薫香をまとわせているので、脂がずっしりと残らず嬉しい提供方法だ。
ソースは実山椒、付け合わせは本山葵と自家製柚子胡椒。
面白いことに、ご飯にも日本酒をペアリング頂ける。
銘柄は、こちらだ。
そして、平飼い卵の黄醤油漬けでフィニッシュ。
出汁の香りだけでなく、スモーキーフレイバーを感じる味噌汁。
これは焼き茄子を使用している為か。
椀種も愛媛らしい食材で固められていて、松山長茄子、松山揚げ、東温キクラゲとの事だ。
チーズの風味がたっぷりなレアチーズケーキで、これは美味しい!
日本料理店では微妙なチーズケーキに遭遇する事もあるので、抜かり無い。
そして、合わせる日本酒は新政の陽乃鳥の燗酒!
貴醸酒の燗酒をチーズケーキに合わせるなんて、素晴らしい選択で嬉しくなった。
アイスクリーマーで、いちじくの要素を取り込んだ、ふんわりクリーミーなアイスクリーム。
「道後 海舟」さんは松山の道後エリアにあるため、温泉街の風情を感じられる立地です。
かつては一番町にあり、その頃にミシュラン一ツ星を獲得されたようです。
お店の外観も洗練された料亭風ですが、店内も上質で優雅です。
キリッとした空気が漂っており、日本料理店に求める雰囲気を道後で実現されています。
それでいてカウンターの上には畳が敷かれていて、これが非常に和む!
温かみのある雰囲気は道後と言う土地に馴染みます。
「道後 海舟」さんは、TableCheckでWEB予約が可能です。
店名:道後 海舟(どうごかいしゅう)
予算の目安:ランチ12,000円コース、ディナー15,000円コース
TEL:089-915-6600
住所:愛媛県松山市道後湯乃町15-27
最寄駅:道後温泉駅から200m
営業時間:カウンターは18:00スタート or 20:00スタート、個室は18:00~21:00の間で時間を選択
定休日:不定休
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愛媛に行く度に好きになる、すしログ(@sushilog01)でした。
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