こんにちは、鮨ブロガーのすしログ(@sushilog01)です。
この度、神楽坂の鮨ふくづかの福塚親方から「マグロの勉強会がある」とお誘い頂いたので、後学の為に参加しました。
イベントの名称は「まぐろさろん」。
すしログ
主催団体は「料理力研究所」と「サステナブルシーフード協会」です。
そして、世界で初めて大西洋クロマグロのMSC認証を取得した、株式会社臼福本店の臼井壯太朗社長のお話も伺える内容でした。
お陰様で、遠洋はえ縄漁業とサステナビリティを考える良いきっかけになりました。
ただ、当ブログでは読者の方が一番気になるであろう「マグロの味の食べ比べ」部分にフォーカスして、報告を記載したいと思います。
食べ比べしたマグロは11種類。
開催月は国産の太平洋クロマグロが弱い3月でしたが、他のマグロであっても中々出来ない食べ比べですので、ご参考にされてください。
今回食べ比べしたマグロの種類
頂いたマグロは以下の11種類です。
- クロマグロ 中トロ 大西洋アイルランド はえ縄 冷凍
- クロマグロ 赤身 大西洋アイルランド はえ縄 冷凍
- クロマグロ メジマグロ 太平洋山口県仙崎 定置網 生
- クロマグロ 養殖 大西洋メキシコ産 養殖 生
- ミナミマグロ 中トロ 南インド洋 はえ縄 冷凍
- ミナミマグロ 赤身 南インド洋 はえ縄 冷凍
- メバチマグロ 中トロ 大西洋ナミビア沖 はえ縄 冷凍
- メバチマグロ 赤身 大西洋ナミビア沖 はえ縄 冷凍
- メバチマグロ 赤身 千葉勝浦 はえ縄 生
- キハダマグロ 赤身 和歌山 はえ縄 生
- ビンチョウマグロ 赤身 那智勝浦 はえ縄 生
ちなみに、高級鮨店で出てくるマグロが「クロマグロ」で、しかも日本で獲れる「太平洋クロマグロ」がトップに君臨しています。
食べ比べの構成は下記の3つです。
- 赤身の食べ比べ
- 中トロの食べ比べ
- クロマグロに絞った食べ比べ
赤身の食べ比べの魚種
- クロマグロ 赤身 大西洋アイルランド はえ縄 冷凍
- ミナミマグロ 赤身 南インド洋 はえ縄 冷凍
- メバチマグロ 赤身 大西洋ナミビア沖 はえ縄 冷凍
- キハダマグロ 赤身 和歌山 はえ縄 生
- ビンチョウマグロ 赤身 那智勝浦 はえ縄 生
中トロの食べ比べの魚種
- クロマグロ 中トロ 大西洋アイルランド はえ縄 冷凍
- ミナミマグロ 中トロ 南インド洋 はえ縄 冷凍
- メバチマグロ 中トロ 大西洋ナミビア沖 はえ縄 冷凍
クロマグロの食べ比べ
- クロマグロ 中トロ 大西洋アイルランド はえ縄 冷凍
- クロマグロ メジマグロ 山口県仙崎 定置網 生
- クロマグロ 養殖 メキシコ産 養殖 生
なお、マグロは魚体が大きな魚なので、エサ、季節、魚体によって味が変わります。
ついては、本記事は「参考」である点をご了承ください。
決して「断定」するつもりはございませんので、よろしくお願いいたします!
赤身の食べ比べについて
大葉の左から時計回りで、クロマグロ大西洋アイルランド、ミナミマグロ南インド洋、メバチマグロ大西洋ナミビア沖、メバチマグロ千葉勝浦産で、折り返して下段左からキハダマグロ和歌山産、ビンチョウマグロ那智勝浦産。
【雑感】
- クロマグロ 大西洋アイルランド:香りと酸味が共にある
- ミナミマグロ 南インド洋:酸味よりも旨味が主体
- メバチマグロ 大西洋ナミビア沖:ぷるぷるした食感が特徴、クロ・ミナミよりも筋っぽい
- メバチマグロ 千葉勝浦産:ナミビアの冷凍よりも柔らかく、酸味がある点が特徴
- キハダマグロ 和歌山産:味はサッパリで、酸味が軽やかだが、筋っぽい
- ビンチョウマグロ 那智勝浦産:食味はあっさりだが、旨い
【総括】
クロマグロは大西洋であっても香りが特徴と言える。そして、旨味も強い。
ミナミマグロはクロマグロよりも酸味が弱い。旨味が強い点が特徴。
近海の生のメバチマグロは遠洋の冷凍モノよりも良い。
キハダマグロは全体的に弱い。
近海の生のビンチョウマグロはクロマグロとは異なる確かな魅力がある。
また、今回の食べ比べを経て、鮨店に流すトップ仲卸のクロマグロのクオリティを痛感した。
マグロはクオリティが大きく変わるために鮨種の花形なのだと実感する。
中トロの食べ比べについて
左から、クロマグロ大西洋アイルランド、ミナミマグロ南インド洋、メバチマグロ大西洋ナミビア沖。
これらは全て上述の臼福本店さんの鮪だ。
【雑感】
- クロマグロ 大西洋アイルランド:中トロで頂くことで尚更特徴的な香りを実感する。
- ミナミマグロ 南インド洋:脂と旨味が強く、鉄の香りはあるが、クロマグロのような雄々しい香りは無い。
- メバチマグロ 大西洋ナミビア沖:むちっとした食感で、全体にきめ細かい脂がある。
【総括】
臼福本店さんの鮪のトロはおしなべてマグロらしい脂を楽しめるため、多くの人が「旨い」と感じる味だ。
特にミナミマグロはクセが無い。
そして、トロについては「香り」、「酸味」、「脂」をどの程度許容するかで好みが分かれるようだ。
これは自分のテイスティングのみならず、周りの人のコメントを聞いていても実感した。
一般的には「脂」が重視されるが、高級な鮨店で使われる太平洋クロマグロについては、「香り」と「酸味」がある事で酢飯に合うのだと感じた。
ただ脂が多いだけのトロを鮨で頂いた時、妙に締まりの無い味がするのはこの為だろう。
個人的な好みとなるが、これは大トロについても同様だ。
なお、臼福本店さんは食べチョクに出品されているので、誰でも入手できる。
【葱鮪(ねぎま)鍋】用のマグロを出されている点が面白く、それは今回頂いた大西洋ナミビア沖のメバチマグロである。
大塚の【葱鮪(ねぎま)鍋】のお店、その名も「ねぎま」さんもメバチマグロを選ばれていたので、最適なチョイスなのだろう。
クロマグロの食べ比べ
左から、クロマグロ大西洋アイルランド、クロマグロ(メジマグロ)山口県仙崎、クロマグロ養殖メキシコ。
【雑感】
- クロマグロ 大西洋アイルランド:脂の含有量は意外にもメキシコの養殖モノよりもアイルランドが上。ただし、筋張っているので、包丁を細かく入れる必要がある。また、サク(ひいては魚体)が大きいので、刺身であっても両端で味が異なる。
- クロマグロ 養殖メキシコ:意外にも酸味が強く、クロマグロの香りもある。魚体が小さいにもかかわらず脂が乗っている点は養殖モノらしい。
- クロマグロ(メジマグロ) 山口県仙崎:実質的に赤身の味わいだ。脂が多い部分であってもサッパリ味。カツオのような調理が向いている。
【総括】
現代の冷凍技術は進歩したとは言え、このように比較してみると、個人的には生の方が美味しいと感じた。
舌に触れた時に広がる味覚の複雑さと食感が異なってくる。
また、国産クロマグロの中トロがあったら、間違いなくトップだったと思う。
これは自身が鮨好きだからかも知れないが。
まとめ
やや繰り返しになるが、周囲の方の反応を聞いていて確信したが、マグロは人の好みに大きく影響される魚だ。
「皆に愛されている魚」と言うイメージがあるが、実は好みが複雑なようだ。
好みに影響する主な要素としては、酸味、脂、香りだ。
僕個人としては、トロであっても「軽い酸味があり、脂の口溶けが良く、クロマグロの香りと血の野趣があるもの」が好きだ。
しかし、「酸味が無く、ひたすら脂が多く、甘みに浸れるもの」が好きな人もいる。
このあたりは複数の人間で食べ比べをして実感できた面白い発見である。
おまけ:スーパーでマグロを買う際の判別方法(ヒント)
最後に、サステナブルシーフード協会の鈴木允氏より伺った、面白いお話をご紹介します。
マグロの謳い文句の読み解き方
- 天然マグロ→(たぶん)メバチ、キハダ、ビンナガ
- 国産生マグロ→(たぶん)メバチ、キハダ、ビンナガ
- 国産本マグロ→(たぶん)養殖
- 国産天然マグロ→(たぶん)冷凍のメバチ、キハダ
すしログ
今まで以上にマグロへの関心が高まる、すしログ(@sushilog01)でした。
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