こちらは九段下にあって、創業1861年という歴史を誇る鮨店です。
1861年という創業は、老舗の中でも筆頭の伝統です。
弁天山美家古(浅草、柳橋の源流)が1866年、東銀座の二葉鮨が1877年なので、東京屈指の歴史を持つ江戸前鮨店と言えます。
こちらのお店は小鰭が有名で、シャリもエッジの利いた個性を持っております。
ともに酸っぱくて、塩辛いのが特徴。
もしかすると、毛抜鮓のような握りよりも前から存在した鮓の特徴を引き継いでいる握り鮨なのかもしれません。
かなり個性が強いので好き嫌いが分かれるかもしれませんが、お店の雰囲気と相まって、東京に住んでいる方なら一度は伺って損のないお店です。
ランチの「お決まり」は【梅】3,000円からあります(平日昼限定の1,944円!の握りも)。
老舗だけにコンスタントな人気を持っているお店なので、お昼は予約せずにふらりと寄れるところも昔ながらの鮨店らしくて良いです。
シャリに関して味付けは前述のとおりですが、硬さが程よく、温度が温かめである点は着目すべきところ。
老舗ですとやや柔らかかったり、温度が低めなこともあるので、この点については現代風に改良しているのかもしれません。
下記が、5月のある日の【梅】の内容です。
鮪トロ
鮪の、それもトロから始まるとは面白いです。
一番下のコースながらにクオリティは高い。
時期的に紀州・勝浦産でしょうか。
酸味・塩分の強いシャリとピッタリ合っております。
真子鰈
これも満足度が高く、シャリと競る鰈です。
やや煮キリの味が主張する点がやや難点か。
帆立
妥協なしのクオリティと厚み。
鮪赤身
いくら軍艦
小鰭
極めて強く〆ており、〆と言うよりも塩酢漬けに近い印象です。
小鰭の香り、旨味が弱く、スペシャリテと言う程ではないかな…という実感。
昨今の柔らかな小鰭とは対極にある仕事です。
文化遺産的には非常に高い価値がある小鰭です。
車海老
茹で置きですが握る前に温度を調整しておられ、好印象です。
穴子
炙っておらず、柔らかくふわっとした煮加減。
煮ツメは甘めで、老舗としては比較的爽やか。
干瓢巻き
塩気よりも甘みが強く、食感は中々。
山葵は不使用です。
この点においてもクラシカル。
今は山葵を入れるほうが好まれていますが、昔は干瓢巻に山葵を入れると怒られていたそうなので。
椀
潮汁ではありませんが、丁寧に出汁が取られております。
こちらは冒頭にも記した通り、老舗の中でも個性が飛び抜けているシャリです。
訪問のハードルは低いため、赤酢のシャリが好きな方は是非とも訪問してみてください。
店名:寿司政(すしまさ)
シャリの特徴:赤酢を用い、酸味、塩気がやや強い。硬さと温度は良好。
予算の目安:昼2,000円〜、夜5,000円〜
最寄駅:九段下駅から70m
TEL:03-3261-0621
住所:東京都千代田区九段南1-4-1
営業時間:11:30~14:00、17:30~23:00(土日祝は〜21:00)
定休日:日曜、祝日
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