こんにちは、鮨ブロガーの、すしログ(@sushilog01)です。
こちらは唐津で隠れた人気を誇る鮨店です。
食べログのスコアは3.08で、口コミ数も4件しかありません。
しかし、実は地元では絶大な人気を誇り、お客さんには食通を多数抱えています。
ご主人は唐津産の魚介に留まらず、お米、野菜、調味料まで、ほぼ全て唐津産を使用!
そして、ハイレヴェルな味に仕上げていて、街場寿司と江戸前鮨の中間をつく非常に魅力的なお店です。
すしログ
唐津「鮨 笑咲喜(えさき)」の魅力とは?
唐津の「鮨 笑咲喜」は、親方の江崎順二さんが2014年12月にオープンした鮨店です。
江崎さんは北九州出身で、旦過市場で働いていたこともあるそうです。
また、鮨職人としてはイギリス・ロンドンで握っていたこともあるとのこと。
ご主人のお話は楽しく、接客も見事で、まさに幅広い人生経験が表れていると感じます。
江崎さんは風貌こそ屈強ですが、お人柄は非常に柔らかく、客あしらいは絶妙です。
狭いお店なのに決して窮屈に感じないのは、その接客ゆえでしょう。
肩の力がほどけ、常連さんとも和気あいあいと話すような雰囲気づくりに長けておられます。
そして、冒頭に書いた通り、食材も調味料もほぼ全て唐津産というのが凄い。
魚介類は産栄市場ほか複数箇所で仕入れられ、ガリは七山産のお多福生姜、煮キリはマツキン醸造の醤油を使用されています。
気になるシャリは、唐津では意表をつかれる赤酢のシャリです。
お米は、上場産棚田米コシヒカリと相知産ヒノヒカリの古米のブレンド。
そして、お酢については、もともとは唐津にあった蔵のお酢を使用されていたそうですが、廃業してしまった為、福岡県大川市の「庄分酢」に同じレシピで造ってもらっているそうです。
情熱的なご対応であるばかりか、「庄分酢」は伝統的な静置発酵の赤酢なので、鮨好きとして感銘を覚えました。
味付けは酸味も塩味も強すぎず、穏やかな味わいです。
温度が低めながら、粘度が低くてパラッパラなので、軽快に頂けるシャリです。
使用する魚は東京の流行りとは異なり、寝かせよりも鮮度を重視したものが多いです。
しかし、それが良い。
脂が乗っていて、食感が豊かな魚は、唐津らしさを十分に楽しませてくれます。
今回、刺身を頂き、静かな感動を覚えました。
そして、都市部の「一流店」ばかりで食べていると、味が分からなくなってしまうものだと再認識。
都会で何故半可通が跋扈するのか不思議でしたが、それは「一流店」ばかり巡るためだと腑に落ちました。
ちなみに、親方はあらゆる点に配慮をされているのにもかかわらず、山葵は混ぜ山葵でした。
混ぜ山葵は香りが山葵ではないので、どうしても鮨のバランスに影響を及ぼします。
調味料全てに気を払われているのに何故?と思い、ご主人と打ち解けてから尋ねてみました。
すると、なんと山葵も地物を用意されているものの、コース価格が廉価なので使えないとの事でした。
こちらは【おまかせにぎり】4,180円、【おまかせ肴とにぎり】6,050円と確かにリーズナブルで、しかもボリュームが豊富です。
山葵のクオリティを気にするレヴェルの人は決して多くないので、デフォルトで使えないお気持ちは痛いほど分かります。
ご相談すれば価格を上げて本山葵で楽しませて頂けるそうなので、僕のような方は予約時にお伝えしてみてください。
ちなみに、唐津の鮨店と言えば「鮨処 つく田」さんが圧倒的な知名度を誇っています。
旅行者で訪問するならば十中八九が「鮨処 つく田」さんでしょう。
ただ、個人的には「鮨 笑咲喜」さんを推します。
その理由は、居心地の良さ。
「鮨処 つく田」では、他にお客さんがいないのに入店からお会計まで僅か9分でした。
お決まりに追加3貫で合計12貫頂いたのですが、握りに手を伸ばした瞬間に次の握りを置かれるので、味わうことが出来ませんでした。
追加の際に「じっくり味わいたいので、ゆったりお願いします」と伝えたのに改善されず。
鮨職人は「さらしの商売」であり、鮨店は職人と食べ手が握りで対話する場だと思います。
それゆえ、相互の意思疎通が無いと不幸な結果に終わってしまいます。
「鮨 笑咲喜」さんはざっくばらんなお店ですが、職人としての器量は上を行きます。
最後に、「鮨 笑咲喜」さんは使用する器も素晴らしいです。
器好きなら、確実に楽しくなります。
すしログ
書籍に掲載されている逸品です。
唐津なので使用される器の圧倒的多数は唐津焼ですが、幅広くお好きであるところに共感を感じました。
「鮨 笑咲喜(えさき)」のおまかせの詳細
「鮨 笑咲喜」さんで頂いたおまかせの詳細は、下記の通りです。
繰り返しになりますが、旅行者には【おまかせ肴とにぎり】をオススメします。
この度頂いたお酒
- 光栄菊、白月 無濾過生原酒純米吟醸
- 富久千代酒造泉錦(地元限定流通酒)
- 万齢、特別純米酒
- アカカベ超辛口 純米酒
- 七田、純米
もずく
地元、唐津産のもずく。
太めなので柔らかそうだが、実際はジャクジャクと良い歯応え。
新もので特に美味しいもずくだ。
刺身盛り合わせ
敢え無く山葵は混ぜ山葵であるが、刺身は全て絶品。
本当に味が良く、鮮烈な印象を与えてくれた。
マフグ、鯵、蛸、カンパチ、全て地物との事だ。
マフグはコリッコリと心地良い食感で、脂が乗っていて、甘みも感じられて美味い。
蛸はぷりっぷりと強めの歯応えであるが、決して硬いわけではなく、噛み締める程に甘みと香りが広がる。
鯵は脂がノリッノリ!
これには驚いた。
カンパチは寝かせしていないので、ぷりっぷり。
しかし、強い脂と軽い酸味が広がり、寝かさない魚の魅力を久々に実感した。
また、付け合わせの調味料も自家製である点も好ましい。
元寇という柑橘を使った自家製のポン酢だ。
茶碗蒸し
卵、椎茸、魚介の全てが唐津産との事だ。
超滑らかで、とろっとろの茶碗蒸しは出汁に満ちている。
魚介類はイカ、浅蜊、鯛など具沢山だ。
具沢山な茶碗蒸しは旅館っぽく大衆的になりがちだが、魚介類だけで固め、しかも地物であり、とろっとろなので、好感が持てる仕上がりだ。
餅が入っている点には驚いたが、郷土性だろうか?
ヒラマサの肝と胃袋
臭み無く濃厚な肝。
胃袋はコリッコリと食感が気持ち良い。
カマスの焼きもの
自家製の一夜干しをワイルドに提供。
この提供方法で、「鮨 笑咲喜」さんの雰囲気を分かって頂けるだろう。
ガリ
辛口のガリで、甘みもあるが辛味と酸味が走る。
赤イカ
コリッコリな食感の後、とろんととろける甘くて美味しいイカだ。
イサキ
脂が乗っていて、濃厚な味だ。
それゆえにシャリに合う。
鱚
むっちりと食感に艶があり、確かな味わいを楽しめる鱚だ。
鯵
抜群に脂が乗っていて、香りも良い鯵。
今時期の一流店で出す鯵のクオリティを超えていて、驚いた。
アゲマキ貝
実に九州北部らしい貝だ。
軽い甘みがある漬け込みで、繊維はしっとりとほどけて美味しい。
きっちり江戸前の仕事を施している点に注目だ。
アシアカエビ
標準和名はクマエビ。
繊維質がタフで、ぶちり、じゃっくりと力強い食感。
そして、優しい甘みがふんわりと広がる。
鮪赤身
身質は柔らかく、脂が乗っていて美味い。
これは予想外の美味しさである。
それゆえ産地を伺ってみたところ、長崎との事だったので、恐らく壱岐かと思われる。
中トロのような濃厚な味わいの赤身だ。
カンパチ
バツバツと力強い食感だが、脂がねっちりと舌に絡む。
良い香りもあり、これは江戸前鮨とは異なる魅力を感じさせてくれる。
鰯
脂が乗っている鰯を〆の仕事で巧みに仕上げる。
〆によるねっちりと脂が滲む。
椎茸の焼きもの
口直し。
海胆軍艦
全国的に有名な「唐津の赤海胆」はシーズンオフ。
それゆえにムラサキ海胆だが、濃密な味わいだ。
甘みだけでなく、香りが濃厚なところも良いなあ、海苔有明海香りよし!
穴子
繊維質はホロッホロで、味付けは穏やかな穴子。
玉子
ほっこりする味わいの出汁巻き玉子。
アミの塩辛
酒肴としてサービスで出して頂いた。
椀
潮汁ベースで、魚介の旨味が出ていて、唐津の赤味噌と麦味噌をブレンドしている。
郷土性があり嬉しい椀ものだ。
「鮨 笑咲喜(えさき)」の立地と雰囲気
「鮨 笑咲喜」さんは唐津の中心街にあります。
「鮨処 つく田」さんや「産栄市場」のはす向かいに近い場所です。
外観はカジュアルですが、店内も同様にカジュアル。
カウンター5席、テーブル1台4席のみで席が限られていて、お客の背後は通れません(笑)
漬け場の奥には数多くの唐津焼の酒器と器が並び圧巻です。
使用する食材と共に、まさに唐津を代表する唐津らしい一軒です!
「鮨 笑咲喜(えさき)」のお店情報と予約方法
「鮨 笑咲喜」さんの予約は、お電話のみになります。
いかんせん席数が少ないので、遠方から訪問する場合は早めの予約が必須です。
店名:鮨 笑咲喜(すし えさき)
シャリの特徴:伝統的な赤酢を使用し、まろやかな方向性のシャリ。お米は唐津産。
予算の目安:【おまかせにぎり】4,180円、【おまかせ肴とにぎり】6,050円
TEL:0955-75-2014
住所:佐賀県唐津市中町1840-1
最寄駅:唐津駅から350m
営業時間:火~土17:00~22:00、日12:00~14:00
定休日:月曜
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