名古屋で貴重な洗練された鮨店!三河前なら「鮨 功」

鮨功暖簾

こんにちは、鮨ブロガーの、すしログ(f:id:edomae-sushi:20201002142555p:plain@sushilog01)です。

さて、コロナ下の2021年7月に訪問した「鮨功すしいさお」さん。

名古屋には様々な人気店がありますが、当時こちらはあまり知られておらず、握りの写真を見て訪問を決めました。

結果的に大ヒット。

名古屋で訪問すべき硬派な鮨店だと思いました。

鯵
すしログ
すしログ

2024年7月に再訪したところ、やはり良い鮨店でした。

お昼に味が濃すぎる鮨店で大ハズレを経験したので、癒やされる思いでした!

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「鮨 功」の魅力について

「鮨 功」の親方は早乙女 慶さんで、功さんではありません(店名はオーナーのネーミングかと思われます)。

早乙女親方は東京出身ですが、名古屋の「鮨 土方」で10年間修業されたそうです。

「鮨 土方」は食べログで名古屋ナンバー1の鮨店になっていますが(※2021年当時)、早乙女親方がその地位まで高めた功労者である事は紛れも無い事実かと思われます。


早乙女親方は接客が清々しく、ご自身の哲学や美学を明確に持っておられ、考えをハッキリ言われる素敵な方です。

実に鮨職人らしい方で、僕は名古屋で職人らしい職人さんに出会えたことを嬉しく思いました。

昨今、お客さんに媚びて歌って踊るような方も増えているので、職人らしい職人さんには拍手を送りたくなります。


早乙女親方は東京出身ですが、あくまでも「名古屋らしさ」にこだわります。

「東京と同じ鮨はやらない」と言うハッキリした意志があり、名古屋らしさを出すことを目指されています。

名古屋の鮨店の多くは東京と同じことをして失敗しているケースが散見されます。

東京以外の土地では、土地らしさを出さなければ東京の二番煎じの模倣品に留まってしまうのですが。

早乙女親方は三河産、東海産の魚介類を積極的に仕入れ、使用する器は瀬戸物のみと徹底されています。

イサキ

そして、生命線のシャリについては、酸味がふわっと立ちながら消える穏やかな使い方です。

ただ、タネによっては酸味がキリッと広がるので、守りに入っているわけではありません。

赤酢を用いつつキリッとした方向性であると同時に、塩気を抑えめに用い、万能タイプのシャリを切られています。


使用するお酢は「三重県、熊野のものを使用」との事なので、恐らく御蔵酢かと思われます。

硬さについては標準的で、温度は良好。

交換時ですら温度のブレが無いので、管理が非常に良いと感じます。

握りは捨てはあるものの手数が少なく軽妙に握られていて、終始安定感があります。


初めてお伺いした時に、「間違いなく今後名古屋を代表する職人さんになる」と感じましたが、再訪してもその思いは変わりませんでした。

なぜかフーディーと呼ばれる人たちは名古屋で予約困難店ばかり訪問しますが、味が分かる方には「鮨 功」さんをオススメします。

「鮨 功」のおまかせコースの詳細

それでは、実際に頂いた内容を紹介します。

お昼のコースは10,000円〜、夜は16,500円〜で提供されています。

今回は夜の18,700円のコースを頂きました。

2024年7月訪問時に頂いたもの

2024年7月訪問時に頂いた御料理です。

酒器

まずは、頂いた日本酒です。

日本酒

このとおり種類が豊富なので、おまかせではなく、味についてのご意見を伺いながら自分で組み立てました。

  • 重家酒造 よこやま 夏純吟
  • 丸世酒造店 勢正宗 お祭りカープ 純米吟醸
  • 三浦酒造 蔵のみ限定酒 Houhai 純米大吟醸
  • 伴野酒造 Beau Michelle(ボーミッシェル)
  • 盛川酒造 白鴻 特別純米酒 緑ラベル
  • 柴田酒造場 孝の司 純米吟醸

蛸

南知多篠島産。味付けで甘味を付けつつ、非常に太いので蛸の香りと旨味が味付けを超えてくる。しかも、濃厚な甲殻類の香りと喉で旨い旨味が感動的だ。水蛸のようなサイズ感で、もぎゅもぎゅした食感も楽しませる火入れが魅力。吸盤はコリッと。

蛤の茶碗蒸し

蛤の茶碗蒸し

鰹出汁でスッキリと感じさせた後に蛤の旨味と香りが広がる!「こういったのが鮨店の茶碗蒸しだよなあ…」としみじみ思う(お昼に名古屋の某店で大失敗したため。そちらは甘味を付けた玉子に小柱、フカヒレ、桜海老、いくらを合わせていた)。シンプルに旨い茶碗蒸しだ。

唐墨

唐墨

昨年のクリスマス頃に一括買いして仕込んだそう。香りが良い唐墨。

真魚鰹の幽庵焼き

真魚鰹の幽庵焼き

厚みがあり脂が大変乗っている。香りも良いし、幽庵地の塩梅も良い。

このタイミングで【勢正宗】を頼んだが、幽庵地とこの手のお酒はドンピシャだと実感。乳酸感と餅米四段仕込みのコクが奏功する。

海老のコロッケ

海老のコロッケ

ボタンエビと車海老の出汁と合わせる!!海老の香りを楽しませ、旨味と甘味が広がり、ほんのりと酸味が広がる良い味覚設計の餡だ。

ガリ

ガリ

甘味を強めに付けつつ甘ったるくはなく、辛味が味を切るガリ。

イサキ

イサキ

和歌山県産。ぷりぷりすぎず、噛みしめると香りと脂がこみ上げてくる。

琵琶鱒

琵琶鱒

生姜を噛ませている。しっとり、ほろほろした食感で、脂が漂いながら舌に残らない。それでいて喉に余韻がある琵琶鱒。

鱸

篠島産。ぱつりとした食感の後にしっとりほどけ、皮目で軽くぱつりと弾ける。酸味と香りが広がりつつ旨味を楽しませる。

ボタンエビ

ボタンエビ

むっちり、ぱつりとした食感で、甘味しっかり。シャリの酸味と合う。

ここで合わせた【ボーミッシェル】は新鮮な発見があるペアリングとなった。甘味があるタネに合わせやすい淡麗辛口よりも合うのではと思わされる、同調のあるマスキングペアリング。ミネラル、白ブドウ、ヨーグルト、メロンの香りも味に寄り添い、味わい的には酸味と上品な甘味が持ち味で、苦味はほぼ無いため甘味のあるタネを活かす。

北寄貝

北寄貝

甘味が強いので、シャリの酸味が穏やかに調和する。甘味が強いタネの時に酸味が広がる塩梅なのは魅力だ。

ノドグロ

ノドグロ

愛知県産。軽く炙る程度の仕事。ノドグロは通年ではなく、夏場の脂が落ち着いている時期のみ出しているそう。それでも相当な脂の乗りのノドグロだが、炙りの香りなどを付けておらず、味付けも程良いので、親方の意図を実感する事が出来る。

甘鯛の松笠揚げ

甘鯛の松笠揚げ

言わずもがな美味しい料理に蟹とエノキ入の餡を合わせているのが良い。

岩牡蠣

岩牡蠣

三重県産、低温調理。濃密な旨味だが重くなく後味が爽快な岩牡蠣。

合わせた日本酒は広島の【白鴻】。全くネガティブ無し。甘味がありつつ苦味のキレがある広島の軟水醸造酒は牡蠣に強いのか!と実感する。

鯵

三重県鳥羽市・菅島産。非常に美味しい鯵だ。脂が乗りつつ、食感と香りが良く、旨味もある。喉に残る余韻が長い!!魚体は700~800グラム。これは嬉しい出会いであった。

鮪赤身

鮪赤身

まろやかな甘味のある赤身で、次第に酸味も高まるので季節らしさを楽しめる。

鮪中トロ

鮪中トロ

甘味に加えて酸味もあるトロ。

鮪大トロ

鮪大トロ

強い甘味のトロ。これは夏場とは思えない味わいであった。

海胆軍艦

海胆軍艦

バッチリ甘くて美味しい。

太巻き

太巻き

贅沢仕様。

穴子

穴子

香り良く、ホロホロした火入れで、味付けも上品。

椀

鰹出汁をキリッと効かせた赤出汁。流石、八丁味噌の本場だけあり、八丁味噌の酸味とコクを活かしている。

玉子

玉子

しっとりしゅわしゅわなカステラ玉子。

水菓子

水菓子

卵の味わいを楽しめるプリン。

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2021年7月訪問時に頂いたもの

以下は2021年7月に頂いたランチコース7,700円(現在は無し)の詳細です。

蛤の茶碗蒸し

鮨功蛤の茶碗蒸し

口当たりは滑らかで、余計な味も具も加えていない点が清々しい。

具も出汁も蛤。

あくまでも蛤を楽しませる茶碗蒸しで、初手から琴線に触れた。

薬味も柚子皮がほんの少々使用されているだけで、センスを感じる。

茶碗蒸しは手を加えるほどに魅力が低下するリスクがある料理。

 

鮎の春巻き

鮨功鮎の春巻き

皮が少なめで、体の部分には大葉を巻き、爽やかに仕上げた春巻き。

鮎の肝の苦みと香ばしさを楽しませてくれる、良い酒肴。

 

ガリ

鮨功ガリ

薄切りで、非常に強い歯ごたえのガリ。

酸味が強く、辛味はじんわり。

甘みがありつつバランスが良い。

 

縞鯵

鮨功縞鯵

寝かせて柔らかくなった身に、細かく包丁を入れているため、歯切れが良い。

歯切れが良いことで、すぐに香りが立ち、縞鯵の香りを楽しませてくれる仕事と見る。

夏の力強い香りでスタート。

 

鮨功鱚

しっとりと柔らかい〆下限で、とろりとシャリに合致する。

 

スズキ

鮨功スズキ

地物。香りをふんわりと楽しませる。

縞鯵、鱚、スズキと頂き、実に良い流れだと実感する。

全く浮ついたところがない。

季節の変化を上品に楽しませてくれる、これぞ鮨の導入部だと思う。

 

蟹の赤味噌焼き

蟹の赤味噌焼き

酒肴にピッタリで、お酒を飲んでいたら…と後悔(笑)

 

金目鯛

鮨功金目鯛

蒲郡産!東京だと伊豆もしくは銚子のものがメインなので、意外な地物で興味津々。

頂いてみたところ、大変勉強になり面白かった。

食感はむちっ、しっとり、さらりとしていて、金目鯛らしい脂がありつつ、あくまでもスッキリしている。

香りと酸味を楽しめる金目鯛だ。

金目鯛に濃密な脂を求める口には合わぬだろうが、これはこれで魅力ある味だと個人的には思う。

 

タイラギ

鮨功タイラギ

甘みを感じた後、最後にタイラギらしい旨味とホロ苦味がじんわりと奥歯に広がる。

歯切れを良くする包丁使い。

 

ボタンエビ

鮨功ボタンエビ

むちっと反発を示した後、すぐにトロトロととろける。

甘みが強く、同時に香りも楽しませる、一体感重視の寝かせ仕事。

 

甘鯛

鮨功甘鯛

松笠焼きにした甘鯛に、甘鯛頭の出汁とかき玉の餡、ほうれん草。

甘鯛はバッチリ、パリパリかつしっとりに焼き上げている。

甘鯛に甘鯛の出汁を合わせる点で感性が合う(笑)

素朴な具材を足しているところも嫌味がなくて好き。

 

北寄貝

鮨功北寄貝

トロトロの後にコリッコリと強い食感を示し、甘みとともに滋味が高まる。

タネとシャリの温度のバランスが良かった。

 

鮪中トロ

鮪中トロ

産地は境港なのでまき網の可能性があるが、味は非常に良かった。

脂が強く、そして夏らしい酸味もある。

何よりも身が柔らかい。

血合いギシの部分を選ばれているためだろう。

なお、仲卸は豊洲ではなく地元の市場を通されているとのことだ。

 

鮪大トロ

鮨功鮪大トロ

脂は見た目ほど強くはなく、さらりとしている。

同時に、酸味もある

つまり、如何にもな夏の大トロの味わいだ。

筋が少し強いので、包丁を効果的に入れていて、仕事も良い。

 

鮨功鯵

三重産。

ぷりっとした身に脂がたっぷり乗っていて、香りも良い。

これは味わい深くて良い鯵だと感じた後に産地を伺った。

早乙女親方は鯵に力を入れているそう。

鯵と言えば出水(鹿児島)に始まり、浜田(島根)のどんちっち鯵が人気を集めているが、地物で美味しい鯵を開拓されている姿勢には頭が下がる。

これこそが地方の鮨の面白さ。

地方なのに豊洲から引っ張りすぎると面白さが薄れ、長期的なビジネスは難しくなってしまう。

なお、浅葱と生姜の合わせ調味料を噛ませている。

 

海胆軍艦

海胆軍艦

礼文産のバフンウニ。

たっぷり乗せて頂いているが、甘みは濃密すぎず、爽やかな印象がある。

夏の北海道らしい。

 

穴子

鮨功穴子

三重産。

対馬産ではなく敢えて東海産を使用されている点が嬉しい。

もともと対馬よりも脂が少ない魚体のようだが、ホロッホロに柔らかく煮ていて、旨い。

同時に香りも楽しませる。

これは仕事で魚を旨くする、鮨らしい仕事。

旨い魚を使うのだけが鮨ではない。

 

鮨功椀

アオサ入りの赤出汁で、名古屋らしい。

旨い。

 

玉子

鮨功玉子

しっとりかつホロッホロな玉子焼きだが、特にソフト!

スフレ的な食感だが、過度にスイーツ志向に寄せていない。

 

贅沢な太巻き

鮨功太巻き

お休みの前だったことと、店内が盛り上がったことを踏まえて、スペシャルな太巻きを作ってくださった。

夏の鮪で作る太巻きは非常に旨い。

「鮨 功」の立地と雰囲気

移転前の「鮨 功」さんは名古屋きっての歓楽街・錦にあり、猥雑な雑居ビルに入っていました。

しかし、移転後は落ち着いた高岳エリアで、ずいぶんと居心地が良い雰囲気になりました。

名古屋の錦や栄を好きな人もいるかもしれませんが、僕は苦手なエリアなので、ホッと安心…

良いお店は良いお客さんが来るエリアに在って欲しいものですね。

「鮨 功」のお店情報と予約方法

「鮨 功」さんは、食べログ経由でWEB予約が可能です。

鮨 功(食べログのリンク)

 

店名:鮨 功(すし いさお)

シャリの特徴:赤酢を用いつつ酸味を上品に効かせ、塩気は穏やかな万能タイプのシャリ

予算の目安:お昼7,700円〜、夜16,500円〜 →お昼10,000円〜、夜16,500円〜

TEL:080-8262-5991

住所:愛知県名古屋市東区泉2-28-24 東和高岳ビル B1F

最寄駅:高岳駅から50m

営業時間:11:30〜14:00、17:30〜23:00

定休日:不定休

 

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ファンが増えることを願う、すしログ(f:id:edomae-sushi:20201002142555p:plain@sushilog01)でした。

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