お麩の魅力とポテンシャルを伝える金沢の老舗!「加賀麸司 宮田・鈴庵」

鈴庵暖簾

こんにちは、郷土料理が大好きな、すしログ(@sushilog01)です。

金沢と言えば予約困難な日本料理店、鮨店、イノベーティブなどの華やかなお店が注目されがちですが、食文化的にはお麩料理のお店も訪問する価値があります

僕は過去に最も有名な「不室屋」さんでお麩料理のコースを頂いて感銘を覚え、京都でも「半兵衛麸」さんで頂き、すっかりお麩に魅了されました。

今回ご紹介するのは、金沢で二番目に有名な「加賀麸司 宮田・鈴庵」さんです。

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個人的には、流行っていても似たりよったりの食材を使うお店よりも、味の予測が付かない郷土料理の方が訪問の価値があると思います。

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金沢市「加賀麸司 宮田・鈴庵」の魅力とは?

「宮田・鈴庵」さんは、1875年(明治8年)に創業された金沢の老舗です。

「不室屋」さんは1865年(慶応元年)の創業なので、歴史で考えると大差はなく、ともに加賀麩の伝統を伝える優良店です。

ちなみに、冒頭で言及した京都の「半兵衛麸」さんは1689年(元禄2年)の創業なので、流石、歴史の都だと実感します。


御料理を頂いた感想としては、今の時代には家庭的に思えるものも散見されるものの、調理は非常に丁寧で、お麩を活かす着想を感じる事が出来るため、食を本質的に愛する人間にとっては間違いなく美味しくて楽しいコースであると感じました。

麩のステーキ

高級食材や現代的な味を求める方にはヒットしません。

しかし、伝統料理や郷土料理を頂く目的は、表面的な味のみならず御料理の奥底にある文化と哲学から着想を得る事にあります。

今日び忘れられがちですが、このような志を持って食べ歩きするか否かで、食べ歩きから得られる結果は大きく変わってきます。


ちなみに、そもそもお麩とは何か、説明できる方はどのくらいいらっしゃるでしょうか?

意外に盲点だと思いますので、記載しておきます。

まず、日本でのお麩の発祥は室町時代に遡り、中国へ修行に行った禅僧によって伝来しました(※奈良時代説もあります)。

当時は小麦が栽培があまり栽培されておらず、希少性が高かったため、宮中や僧堂で特別な日に食される高級食材でした。


お麩の主原料は3つ。

「小麦粉」、「食塩(にがり)」、「グルテン」、「もち米粉」です。

グルテンとは小麦たんぱく質の事で、粘弾性があり、主に小麦粉と水を混ぜ合わせることで抽出できる成分です。

うどんの粘り、腰はグルテンに由来します。

そして、小麦粉から取り出したグルテンに小麦粉を混ぜて焼き上げたものを「焼麩」、グルテンにもち米粉を加えて、茹でたり蒸したりしたものを「生麩」と呼びます。

江戸時代中期頃ではグルテンそのものを調理しており、「焼麩」や「生麩」が生まれたのはその後とされます。


「宮田・鈴庵」さんの【加賀麸】については、江戸時代後期に生み出されました。

「加賀百万石」加賀藩主である前田家の調理人、舟木伝内包早(ふなきでんないかねはや)が「煮崩れしない麸」を完成しさせた事で地位が確立しました。

金沢はもともと、京都、津島(愛知県)と並ぶ古くからの産地でしたが、郷土料理【治部煮】に必須の【すだれ麩】が舟木によって生み出される事で有名になりました(1725年(享保10年)に完成)。

また、加賀麩は美しい【飾り麩】でも有名です。

なお、舟木伝内は映画『武士の献立』の主人公なので、気になる方は観てみてください。

「宮田・鈴庵」のコースの詳細

「宮田・鈴庵」さんには3つのコースがあります(税込みで表記)。

  • 三のコース 3,850円
  • 四のコース 4,950円
  • 五のコース 6,050円
メニュー

これらの違いは、品数の違いのようです。

【四のコース】には【治部煮】が付くそうなので。

僕は【三のコース】を頂きましたが、十分に満足させて頂きました。


【三のコース】の内容

  • 生麩の刺身
  • 生麩のジュレ掛け
  • 車麩の巣ごもり卵仕立て
  • 生麩のステーキ
  • 生麩のフライ田楽
  • お麩の酢のもの
  • お食事:粟入りの栗ご飯、味噌汁、香の物
  • 水菓子:生麩
酒器

金沢の酒蔵「福光屋」さんや【天狗舞】で知られる「車多酒造」さんのお酒もあります。

麩で飲る清酒も一興です。

生麩の刺身

生麩の刺身

使用されている生麩は、ヨモギ、クルミ、加賀棒茶、柚子。

全てに共通する「宮田・鈴庵」さんの特徴としては甘味の強さだ。

国産小麦粉のみ使用しているためか、甘みが強い。

そして、もっちりした歯ごたえがありつつ、にゅるりと滑らかにほどける。

ヨモギは爽やかな香りで、クルミはコクがたっぷりある。

加賀棒茶は滑らかな口当たりで、実に上品な香りだ。

柚子は爽やかな香りがしっかりと広がる。

個人的に加賀棒茶の大葉、柚子の混ぜ山葵は無くても良いかとは思う。

生麩のジュレ掛け

生麩のジュレ掛け

もっちり感が強く、香りと甘味も同じく強い生麩(粟麩)だ。

よって、ジュレとの相性が良い。

野菜はトマト、パプリカなど。

お麩が洋風の食材とも合わせられるポテンシャルを伝えてくれる。

車麩の巣ごもり卵仕立て

車麩の巣ごもり卵仕立て

出汁に甘味を付けていて、ほっこりする味わいだ。

味を含ませる調理に車麩は最良。

豆が食感的にも香り的にもアクセントになる。温かみのある味わいと嬉しさのある可愛らしい提供方法が素敵だ。

生麩のステーキ

麩のステーキ

香ばしい香りに魅了される。

表面はカリッと、中はとろりと食感のコントラストが魅力。

油脂を含まない食材で力強い味わいを楽しませてくれる!

お麩は柚子と黒胡麻かな?

生麩のフライ田楽

生麩のフライ田楽

周りの衣も麩なのが素晴らしい!!

カリッカリ&クリスピー!

それでいて軽やか。

これは良いなあ…。

味噌カツのような黒胡麻味噌ソースと柚味噌のソースも魅力。

お麩の酢のもの

お麩の酢のもの

お麩をメインの食材に据えた酢のものは良い。

刺激を頂いた。

お酢には少量の芥子を溶いている。

お食事:粟入りの栗ご飯、味噌汁、香の物

お食事

予想外に炊き加減が良く、お米はパラッ、もっちりと炊かれている。

郷土料理のお店や老舗、旅館などは炊飯が等閑であるケースが多いので、これには感心。

味付けも上品で良い。味噌汁は優しい風味の味噌に色々なお麩とエノキが使われている。

香の物も手作りであり、手抜かり無し。

水菓子:生麩

生麩

生麩はもっちりしていて、黄粉、餡、黒蜜とも抜群に合う。

最後までお麩が使用され、お麩がスイーツにもなりうることを伝えてくれる。

「宮田・鈴庵」の立地と雰囲気

「宮田・鈴庵」さんは、ひがし茶屋街から徒歩圏内ですが、落ち着いた場所にあります。

そして、リーズナブルなお店であっても期待が高まるアプローチです。

鈴庵外観

店内も日本家屋なので風情があり、中庭の景色に癒やされます。

鈴庵内観

また、壁面のラピスラズリ色に目が奪われます。

壁

「宮田・鈴庵」のお店情報と予約方法

「宮田・鈴庵」さんは完全予約制となっています。

お電話での予約となりますので、日程に余裕を持ってご予約ください。


宮田・鈴庵(食べログのリンク)

店名:宮田・鈴庵(みやた・すずあん)

TEL:076-252-6262

住所:石川県金沢市東山3-16-8

最寄駅:金沢駅から1.4km

営業時間:9:00~16:00

定休日:月曜、水曜

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伝統料理が持つイマジネーションにワクワクする、すしログ(@sushilog01)でした。

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