こちらは清水五条にある麩と湯葉の専門店です。
創業は1689年(元禄二年)に遡り、現在は11代目の当主が継がれているそう。
麩は日本料理の源流に近いところにあり、精進料理では主役級の食材だと思います。
「麩」と聞くと一般的には味噌汁の具で脇役だと思われがちですが、生麩を頂くと、イメージが変わるでしょう。
見た目にも美しいし、調理法によって大きく味を変える食材なので、現代、未来にも通用する食材です。
半兵衛麸さんの外観と内観
半兵衛麸さんは清水五条駅からほど近い場所にあり、雰囲気も良いです。
暖簾をくぐると120年前からあると言うおくどさん(竈)が出迎えてくれ、奥には石灯籠のある坪庭が目を引きます。
僕は訪問したタイミングが丁度ひな祭りだったので、華やかな気持ちになりました。
ちなみに、そもそも麩とは何か?
すぐに答えられる人は結構少ないのではないかと思います。
お店の説明によると、小麦粉に水を加えて練り、寝かせた後でんぷんを洗い流し、水で冷やしてできるグルテンに、もち粉を加えて蒸したもの。
それこそが生麩となります。
そして、グルテンに再度小麦粉を加え釜で焼き上げたものが、焼き麸となります。
更にお店によると、今から35年ほど前は、生麸は「料亭や仕出し屋さんが使う食材」で、家庭で料理される事がほとんど無かったそうです。
よって、購入を躊躇われる人が多かったため、料理教室を始め、後に茶房を始める事にしたとの談です。
茶房ではお昼限定で、麩と湯葉のコース料理を提供されております。
【むし養い】とは、
「小腹を満たして、お腹の虫をおさえる簡単な料理」
を指す京言葉との事ですが、
実際には「簡単な料理」とは謙遜に過ぎず、
多用な料理に舌も眼も喜ぶ事は間違いありません。
金沢にも麩の名店・加賀麩不室屋さんがあり、茶寮でコースを頂く事が出来ます。
そちらとの対比としては、半兵衛麸さんの御料理の方が洗練度が高いと感じました。
半兵衛麸さんのむし養い
・焼き麸の酢のもの
・湯葉と焼き麩の炊いたん
・生麩の時雨煮
・縁高
-生麩の田楽
-生麩(花麩)
-生麩の炊いたん
-ご飯、香の物
-麩饅頭
・汲み上げ湯葉
・湯葉と麩の揚げもの
・生麩の煮もの
・生麸と湯葉のみぞれ和え
・蓬麩の白味噌仕立て
・水菓子
半兵衛麸さんのむし養いの詳細
酢のもの(右)
戻した焼き麸を細切りにして、椎茸、キュウリ、ゴマと和えたもの。
生麩の時雨煮(左)
これは精進料理らしい一品!
凝縮された食感はあたかも肉のようで、味付けもパンチが利いている。
縁高のご飯と共に頂く。
湯葉と焼き麩の炊いたん
キリッとした出汁で、甘みを付けていない。
縁高
生麩の田楽はあわ麸と蓬麸?もっちり、ねっちりと力強い食感。
上質な生麩らしいグルテンの気持ち良い弾力だ。
同時に香りも楽しませてくれる。
田楽味噌も上品で、麩の風味を損ねない調味。
黄色が美しい生麩には山椒をバッチリまぶしている。
麩饅頭は桜色の可愛らしい見た目で、餡も桜餡。
汲み上げ湯葉
大豆の香りと甘みを楽しめる。
湯葉と麩の揚げもの
揚げた湯葉と焼き麸、玉麸。
ほのかな塩味で上品に頂く。
生麸と湯葉のみぞれ和え
銀杏、キクラゲ、百合根が入った生麩や胡麻麩を揚げて、みぞれ餡。
麩の美味しさを活かす出汁の力を感じさせる。
ああ、京都らしいなあ…と。
蓬麩の白味噌仕立て
力強い出汁と白味噌の風味の椀。
麩の縁に芥子が塗ってあり、工夫が光る。
水菓子
抹茶のアイス。
なお、2階には「お辨當箱博物館」があり、必見です!
貴重な弁当箱があり、弁当箱から京都の華やかな文化を見る事が出来、
こじんまりとしているものの見応えがあります。
半兵衛麩さんのお店の情報
半兵衛麩(食べログのリンク)店名:半兵衛麩(はんべえふ)予算の目安:むし養い3,780円
最寄駅:清水五条駅から90m
TEL:075-525-0008
住所:京都府京都市東山区問屋通五条下ル上人町433
営業時間:お店9:00〜17:00、茶房11:00〜16:00(L.O14:30)
定休日:年末年始
※むし養いは完全予約制です
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