こんにちは、鮨ブロガーの、すしログ(@sushilog01)です。
この度、春の金沢旅行で訪問した「すし屋 小桜」さんは金沢のみならず北陸で考えても非常に素晴らしい鮨店です。
タネの選択から、仕事、シャリとのバランスまでバッチリ。
お店を出てすぐに「また伺いたい!」と強く感じた一軒です。
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「すし屋 小桜」の親方である川名 充さんは千葉県銚子出身で、銀座などで修行を積まれたそうです。
金沢で開業された理由は金沢という街に惚れ込んだためだそうで、開店は2016年3月。
川名親方は鮨職人らしい出で立ちなので、最初は「怖い」と思う人もいるかもしれませんが、全く大丈夫です。
むしろきめ細かい接客をされる素敵な客あしらい。
例えば、若い女性が間違った事を言っても、間違いを指摘すること無く正しい知識を教えてあげていて、これは人間力と繊細な配慮の賜物!と感服しました。
結果としてお客さんは笑顔になっていて、素敵な雰囲気が醸し出されていました。
お店に入るとお酢のキリッとした香りが漂っていて、シャリ切りがお客の訪問直前である事が分かります。
これは一つ、間違いない証ですね。
石川は競りの時間が全国でも最も早いそうですが、きっちり河岸で仕入れて午前中で仕込みを終え、お昼に営業されている事に敬服します。
使用するタネはほぼ全てが地産で、仕事は確かな江戸前の仕事。
ご当地らしく当日早朝〆のフレッシュなものから、氷温熟成を施した魚まで幅広く使い分けておられ、かなり満足度が高い内容です。
生命線のシャリは赤酢の酸味が効いていてキリリとした味わい。
炊き加減は少し柔らかめに感じつつ、パラリとほどけ、お米のもっちり感もあります。
塩気は強くなく、甘味も用いつつ良いバランスに仕上げておられます。
川名親方の手返しは極めて速く、手数も多い本手返しです。
ここまでの速度の鮨職人さんは、かつて築地にあった「鮨つかさ」さんくらいです。
速いだけでなく、成形や空気を含ませる精度も高いので、同じ金沢だと「小松弥助」さんの数段上を行く握りの技術です。
しかも、性別やタネによってシャリのサイズを変えられている点も技術の高さの証左です。
ちなみに、食べログには「大学生以下のお子様、社会人でない方のご入店をお断りいたします」と書かれていますが、これには理由があるそうです。
昔は大学生も大歓迎だったそうですが、インスタグラムやYouTubeが普及してから動画を回す無礼な人が増えたため、禁止にされたとの談。
これは賢明なご判断です。
周囲のお客さんに影響を及ぼす食への敬意無き客層はシャットアウトするのも鮨職人の仕事ですね。
「すし屋 小桜」さんの【お昼の握りおまかせ】は9,900円です。
夜もおまかせコース自体は2万円を切るため、昨今の相場からすると良心的です。
お酒についても明朗会計で、メニューに記載されています。
【天狗舞 純米大吟醸】は正味1合で1,650円でした。
メニュー以外のお酒もお任せで頂けますが、定番を明記頂いていると安心感がありますね。
甘味を効かせつつ、酸味と辛味が程よく効いている。
3時半に神経〆を施したホウボウとのこと。
当日〆でもねっちりした食感で、脂が乗っていて旨い。
浅葱を噛ませつつバランスが良い。
金沢に着いて早々、思わず笑顔になる名刺代わりの一貫目であった。
脂があり、香りも良い意味で強い鯵だ。
浅葱を噛ませ、タネの上にはおろし生姜を。
鯵の味わい的に薬味が良いアシストを行う。
薬味の使い方にはセンスが多分に表れるので、親方は間違いない事を2貫で実感する。
5キロの腹側の身。
真空パックの状態で氷温熟成を行い、提供前に軽く炙っている。
これは秀逸な仕事で、脂が乗っていて香りも良く、火入れや包丁が絶妙なため一体感が高い。
炙りの人数も制限していて、一斉に炙らない点に味に対する真摯な姿勢とセンスを感じる。
なお、石川では一般的な鰆を「ヤナギサワラ」と呼び、「サワラ」はカジキマグロになるそうだ。面白い。
1尾が太い!
ぷちりとした食感があり、ひたすら甘く、ネガティブな味や香りは皆無。
甘味と香りの余韻が実に良い。
これは産地の朝どれでしか楽しめない味わいだ。
親方は仲卸で自分で目利きをされているようで、信頼が持てる。
仲卸から言われて買うのではなく自身の眼力を持つ方こそ鮨職人。
滑らかで柔らかく、脂が滲み、とにかく香りが良い。
じんわりと広がる香りの素晴らしさはサーモンには全く無い魅力だ。
このような香りを楽しませ、味が広がるサケ・マス類を頂くと、安いサーモンのにおいがキツくなる。
金目鯛は今や多大な人気を誇る鮨種だが、親方が提供されるには明確な理由があり、「この時期のみ、銚子から取り寄せている」との談だ。
産地は御出身の銚子。まず、頂くと切りつけの厚みが実に良い。
噛みしめると金目鯛の甘味が広がり、香りも高まる。
脂が強い魚は仕事がテキスト通りになる鮨職人もいる中、意識的に向き合っておられる。
そして、酢橘を付ける位置も考えられていて、タネの奥側のみに付けられていた!
実に石川らしい魚で嬉しい。
4キロの大型。
有名な地元名は「ナメラ」だ。
身質はしっとりしつつ、皮寄りはプリプリしていて魅力的なコントラスト。
塩、酢橘で、さっぱり提供しつつ、旨味が強く喉に残るほどだ。
開店当初は出していなかったものの、お客さんからあまりにも要望が強くて導入したそうだ。
脂の強さが持ち味の魚だが、親方のものは食感が良い。
しゃぶしゃぶ的な繊維質のほどけ方で、一体感も高い。
浅葱と酢橘が活きている。
ストレートなノドグロの仕事としては久々にヒットした。
勝浦、160キロ、延縄、一週間の熟成。
さっくりしていて程良い脂の中トロだ。
そして、香りが良い。
食欲をそそる香りと優しい血の香りがふんわりと最後に調和する。
格子状に包丁を入れて、提供前に細切りに。
柚子と塩でスッキリさせつつ烏賊の甘味と薬味の胡麻によってコース終盤でテンションを維持する調整だ。
なめこと生若芽、長ネギの味噌汁。
ほっと落ち着く味わいだ。
口どけ良く甘い海胆。
海苔は香りがありつつ、食感的にも強すぎず海胆と調和する。
温かいシャリで提供する手巻き。
甘味とコクのある鰻とキュウリのシャキシャキ感が抜群だ。
お店の定番との事であり、北陸の鮨店では鮨に穴子ではなく鰻を多用する文化であるためだそう。
ふわんふわんでありつつしゅわりときめ細かい玉子焼き。
ブランデーと蜂蜜を使用されているそうだが、センスが良い塩梅だ。
ブランデーの香りが上品に漂い、甘味も強くなく洗練されている。
そもそも元々の玉子の焼き方が巧い。
変則的な玉子焼きを作るにはセンスが必須だと、味をもって再認識させられた。
ガリ、柚子皮を使用。
小鰭はあっさり方向だったので、ガリの甘味と食感でリズムを生み、【ガリ小鰭巻き】のような味わいを楽しませれくれる。
「すし屋 小桜」さんは駅から徒歩至近の場所にありながら、店内は広く、落ち着いています。
どの席からも親方がサーヴし易い間取りで、お客としては安心感を抱けます。
冒頭に記載した通り、店内の香りも良く、きめ細かく清掃されています。
デート利用からビジネス用途まで幅広く対応してくれる空間です。
なお、昔は親方は子どもOKで受け入れておられたそうですが、接待利用のお客から「子どもがうるさい」とのクレームがあり、敢え無く止めたそうです。
「すし屋 小桜」さんの予約については、お電話のみとなっています。
僕が訪問した際も満席でしたので、予約はもちろんのこと、余裕を持ってお電話するのが得策です。
店名:すし屋 小桜(すしや こざくら)
シャリの特徴:酸味を効かせた赤酢のシャリで、塩気は強くなく、甘味も用いてバランス良く仕上げている。
予算の目安:【お昼の握りおまかせ】9,900円〜
TEL:076-213-8558
住所:石川県金沢市昭和町15-21
最寄駅:金沢駅駅から350m
営業時間:12:00~13:30、18:00~21:00
定休日:水曜
直近で訪問して印象深かった「鮨いくた」さん
鮨の激戦区、金沢で気鋭の鮨職人!「鮨 いくた」
再訪したい鮨店が増えて実に悩ましい、すしログ(@sushilog01)でした。
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